先代ルリビタキのお話、昔々の疑似長編も、そろそろ終わりを迎えようとしております。
前回掲載分で、とうとう副部長になった「当時のツバメ」、「現在のルリビタキ」。
すなわち、ドラゴンです。
世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織
お仕事も給料も増えましたが、
ぶっちゃけドラゴンはドラゴンなので、シモジモの地位や現金には興味が無いのです。
食い物は当時のルリビタキのオタベオタベで、完全に、十分に足りてるし、
人間のオシャレなんてよく分かりません。
「ツバメ」の名前を貰ったドラゴンは、
取り敢えず味噌汁と七味と一味と、それから何が美味しいのか分からぬタバコを覚えたので、
自分の給料はもっぱら、タバコ買って味噌汁を開拓して、残りは全部、放っとくのでした。
で、そんなこんな、あんなどんな。
副部長職を続けて◯年のツバメが、その日も特殊即応部門のオフィスに向かっておると、
「やめろッ!やめろよー!何するんだ!!」
おやおや、ツバメの世界の恩人、ルリビタキの悲鳴がオフィスの中から聞こえます。
ツバメの目に飛び込んできたのは、
まずミドルサイズの冷蔵庫、
それを撤去しようと「浮遊のランタン」で浮かせて引っ張っている、収蔵部収蔵課の「ランタンの魔女」アンゴラ、
浮いてる冷蔵庫にしがみついてイヤイヤしているルリビタキ、
それから「カラス」ことハシボソガラス主任と、
もうひとり、人間の男性が、アワアワおろおろ……?
「研修終えて、今日からウチに配属になったひな鳥ちゃんだよん」
やめろー!持ってくな!
それけっこう高かったんだぞ!
海の底の温度の安定感くらい、高価値なんだぞ!
ルリビタキがギャーギャーヒィヒィ叫ぶ中、気にせずカラスが言いました。
「面倒見が良さそうだからってことで、ツバメに預けるってさ。しっかり教育してあげてねー」
はいはい、良い授業料になったわねぇ。
海の底の温度の安定感と、バイバイしましょうね。
アンゴラが気にせず浮遊のランタンを掲げて冷蔵庫を持っていく中、
カラスが「人間の男」をツバメに突き出しました。
「あっ、あの、本日付けで着任しました、スズメです!」
冷蔵庫問答にすっかりアワアワしていた人間。
ツバメの前に突き出されて、緊張で上ずった声で、ツバメに挨拶しました。
「至らない点、多々あろうかと思いますが、よろしくお願いします!」
彼こそ、後の「ツバメ」でした。
彼こそ、後の「ウチの部長がすいません」であり、直近の投稿で焚き火したりコーヒー飲んだりの、アイツなのでした。
昔々のこの当時は、
現在「ルリビタキ」のビジネスネームを管理局から貸与されておるドラゴンが「ツバメ」で、
現在「ツバメ」のビジネスネームを管理局から貸与されておる人間の男が「スズメ」で、
現在「先代」として、法務部から籍が消えてる男、海の底の隠し冷蔵庫保有者が「ルリビタキ」。
これがどうして現在の名前に落ち着いたかは、
次の次もしくは次の次の次あたりのお題でご紹介。
…——で、隠し冷蔵庫保有者のおはなしです。
管理局法務部、執行課実動班、特殊即応部門長のルリビタキ(当時)です。
隠し冷蔵庫は1個だけではなかったらしく、
数ヶ月後、またもや別の冷蔵庫を、
ガッツリ、押収されてしまうのです。
「ふふふ。この程度で僕の、局内に20個置いてある、隠し冷蔵庫の包囲網を崩せると思うな」
どうやら全然、懲りていない様子。
だってルリビタキ部長は別に、法務部の資金を横領して隠し冷蔵庫を設置しているワケでもないし、
特応部門の予算を水増ししてキッチンの設備を増設しているワケでもないのです。
すべて自腹、すべて自分の給料。
だから経緯を報告する程度で、まだ許されておるのです。 多分。
「許してるワケないでしょ。これから全部記録する予定よ」
おやおや。今日は特応部門のオフィスに、法務部門長のオネェが訪問中の様子。
「アンタが勝手に設置した冷蔵庫の位置、勝手に給湯室からキッチンに改造された部屋、勝手に大規模農場にした難民シェルターの区画!
アンタ、今以上に増やしたら、罰としてアタシの仕事手伝わせるわよ」
バチクソに怒っています。
オネェ部長のタコ足が、3本くらいウネウネぎりぎり、ルリビタキの体に巻き付いてゆきます。
苦しいから離して。くるしい。助けてツバメ。
ルリビタキはオネェのタコ足をポンポン叩き、ツバメの方をじっと見ますが、
ツバメときたら、ルリビタキの視線を既読無視。
「いいか、スズメ。ウチは『特殊即応部門』だ。
すべての緊急行動において、決裁も許可も後回しにできるが、その分責任がともなう」
ツバメは新しく特応に入ってきた新人スズメに、特応の何たるかを語っています。
「ツバメ、つばめ。お前の故郷を救ってやった借りを、今返してほしいんだけど」
「今タコじめされているのが、ウチの部長だが、あいつから『メシは食ったのか』と聞かれても絶対に『いいえ』とは答えるな。
『ハラが減った』とも言うな。絶対だ」
「ツバメ。つば、め、」
ギリギリ、ぎゅーぎゅー。オネェにタコじめされたルリビタキは、「ごめんなさい」と言うまでシメられておりました。
当時のルリビタキの意識はモヤモヤ、もはやまさしくお題のとおり、ほぼ海の底。
その日の管理局は平和でした。
その日の管理局「は」、まだ平和だったのでした。
1/21/2026, 3:49:17 AM