『泣かないよ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
辛い時、悲しい時があっても泣かないよ
こんな時どうしたらいいかな
そこに浸るのではなく、もっと明るい光に変えましょう。
いやその前に、この悲しみを包み込んで
優しくケアしましょう。
そして愛情を注ぐと、たちまち楽しみに変わっていきます。
あなたは最高の変化の瞬間を迎えています。一緒にその場にいましょう
:泣かないよ
泣かないよ、泣かないから
弱音も、涙も、暴力も、ちゃんと受け入れるから
独りぼっちは、寂しいよね
だから、理解者になりたかった
だって、あたなの寂しさが好きだった
あの夜、二人で、孤独だった
あなたと孤独になりたかった
独りぼっちは、寂しいよね
だから、あの夜を再生していたい
泣かないから
足りなかったこと、今なら、分かってるから
だから、どうか い ま さ ら
■■
何かに苛ついたような、怒ったような、焦燥感に駆られたようなあなたは、冷蔵庫から大量の缶ビールを持ち出してきて机に並べる。1本、2本、3本、4本、5本、どんどんと開けて胃に流し込んでいく。
奥にある新しい缶ビールを手に取って、他の空き缶を倒しながら手前に引きずる。空き缶がカラカラ机の下に落ちることなんて気にもせず、カシュッと軽快な音を鳴らして、あなたは楽しそうに笑うのだ。6本、7本、8本、どんどん開けて、飲んで。「あれがしたい」「これが楽しみ」「将来は――――」。
そうやって楽しそうに話したかと思えば、途端に泣きだしてしまう。「将来なんてない」「これからなんて」「逃げたい」「どうして」「生きてる意味なんて」「死んでしまいたい」。
わんわん泣いて、泣いて、テッシュを撒き散らしながら泣いて、泣いて、そうして横たわる。そのまま眠ってしまって、けれどずっとうなされている。
そんなあなたの姿を見ても泣かなかった。泣いても役立たずにしかならない。泣かなくとも役立たずなのに、泣いたら役立たず以下だ。どうあがいてもあなたの役に立てないなら静かにしておくのが一番だと、そう思っていた。ずっと。
あなたに何と声を掛けただろうか。背中を擦ってあげたことはあっただろうか。ティッシュを渡したことは?コップに水を注ぐのが正しかったのだろうか。抱きしめたことは?「味方だよ」と伝えたことはあるだろうか。話を聞いて頷いたことは?
ない。
少しはやっていたのかもしれない。話を聞いて、分かるよなんて言って、側にいたつもりで。声を掛けようとして「大丈夫だから気にしないで」と言うのを真に受けて、静かにしておくのが一番だなんて、そんなの保身でしかない。それが一番だなんてそんなわけなかったのに。やったつもりだっただけだ。だって実際あの人はいなくなった。それが何よりの証明。
今更泣いたってもう遅い。だから、泣かない。泣いたって取り戻せない。無意味だ、無駄だ。泣かない、泣かない、泣かないよ。泣かないから、迷惑かけないから、迷惑、違うか、あなたの望むこと出来るようになるから、だから、だから。だから?あの人はもうここに帰ってこない。
あなたの孤独はどれほど深く暗かったのだろう。気づかなかった、知らなかった。無知は罪だ。あなたを知らなかった。深い穴に落ちていく感覚がする。あなたはもっとずっと深く落ちていく感覚がしていたのだろうか。砂と鉄の味がする。あなたも苦い味が広がっていたのだろうか。あなたも、この恐怖と虚無の狭間にいたのか。
ティッシュをそのへんに撒き散らかして、貰った薬もその辺に放ったらかして、シャッターもカーテンも閉め切って、ただ布団に潜る。昔の記憶を再生している。酒を飲めるようになったらあなたと同じように缶ビールを転がして、アルコール依存症になったりするのかな、なんて夢想している。あなたと同じ道を歩めているなら、少し、報われるような気がする。だって今度こそ、あなたと孤独になれるのだから。
─泣かないよ─
本当は知ってたよ。
何もかも、全部。
君が僕を捨てようとしたのも。
それが全部僕の為だったことも。
また会えるかわからないから、
いつも言ってた「またね」じゃなくて、
「バイバイ」で終わらせたのも。
全部全部、分かってた。
勿論、止めたかった。
僕の為に、なんて言わないでくれって。
僕の為に、行かないでくれって。
でも、君の顔を。
悲しそうで、でも何処か嬉しそうな顔を見たら、
何も言えなかったんだ。
きっと君は、僕に泣かないような人生を送ってほしかったんだろう?
だからせめて、その願いを叶えるよ。
僕はもう、泣かないよ。
【最近のつぶやき】
人に嫉妬する。
なんで自分はあの人みたいに大事にされてないのかな。
あの人の方が私よりも人が集まるのは何故。
無理をして笑ってやってきた。
人が離れないように探りを入れながら程々の距離感で関わってきた。
自分に嘘ついて人に嘘をつく生き方は辞めようと決めたはずだった。
だけどそれが出来ていない。
いつからこうなったんだろう。
どこでしくじった?
1粒の涙が溢れて零れてしまいそうになる。
でもねいいじゃないか、出来ないことに気づけたのだから。
嫉妬してる自覚があるのだからそれだけで十分だ。
醜い気持ちに向き合うのはハードルが高いけども。
自分の心の声を大事にしたいから。
泣かないよ。乗り越えられるよ。
大丈夫だよ。
彼と俺は正反対らしい。自覚はないけれども。
繊細な彼、ガサツな俺。
インドアな彼、アウトドアな俺。
人見知りでシャイな彼、物怖じせずに誰とでも話せる俺。
泣かない彼と泣き虫な俺。
今はもうお互い大分と涙腺が緩くなって、ベタに家族とかスポーツのドキュメントとかで感動してしまうけど。
「二人って泣く場所も真逆やん!おもろ」
人にそう言われたことがある。確かに、言われてみれば。
単純に琴線が彼と俺は違うということもあるのだと思う。
俺が泣いた時、そんなぶっさいくな顔で泣かれたら、泣くに泣けないと呆れながら慰めてくれていたことを思い出す。
あの頃の俺は自分のことしか見えてなくて、
辛いしんどい苦しいとよく泣いていた。
そんな俺を受け止めてくれていた彼が俺にはお兄さんのように見えていた。今では俺もすっかり可愛げのない同い年のおっさんになってしまったが。
それはつまりあの頃の彼だって同じように泣きたかったことがあったということだ。俺ほど泣き虫で腐ってはいなかったと思うが。彼にだって零したかった弱音があったはずなのだ。俺が泣いていたせいでそれを飲み込むしかなかったが。
だから罪滅ぼしという訳でもないが俺が泣いてしまった分、彼にはいっぱい泣いてほしい。
『ええかっこしい』だから素直に泣いてくれないだろうけど泣くに泣けない状況にはならないと思うので、俺はもう
『泣かないよ』
作者の自我コーナー
またもやモデルがいる話。
多分これからもですが連動してます。
時々出てくる方言の匂わせは多目に見てください。
正反対でお互いの背中を預けていても、進む方向は同じ二人が好きです。
憧れのお兄さんがいる。
同じ大学の学部に行きたい。
その夢を叶えるために、浪人の道を選んだ。
いつかまた会えたら今度こそ合格したよって伝えさせてね。
必ず夢は叶うと信じてる。
その日まで泣かないよ。
『泣かないよ』って、君が言うから、僕も泣かないよ。
だけど、君が泣けないのなら、僕が代わりにいくらでも泣くよ。
それがただの自己満足だとしても。
『時々、金とワガママな恋』
友達も愛も金で買える時代になって
悲しんでるのは誰?時代に乗り遅れるよ
友達を親友にするには友情を深めろ
愛を続けたいなら愛情を注ぎなさい
情は買えないはず...今はまだ。
友達と愛の間にいる 恋は売れ残ります
そんな時代なんです
だからこそ丁寧に扱われがち。それが嫌。
あとがき
タイトル「友と恋と愛」かとても迷いました。
改めて見ると、漫画のタイトルにありそう…
と、なるのは世代がバレますか?少女漫画は
小学生の時に読んだきりで、ちゃお派でした。
〖泣かないよ〗
「泣いてるの?」
電話越しに鼻をすする私の声を聞き、彼は聞いた。
「泣いてないよ?笑」
実際、花粉症で鼻水が止まらなくて鼻をすすっていたところもあるけれど、私は泣いていた。
最近会えていなかったから、彼が私に愛を伝えてくれる度に、どうしようもなく不安になり、気づいたら涙で視界がぼやけていた。
「泣いてるでしょ?なんで泣いてるの?」
「ううん、大丈夫だよ、泣いてない。」
「大丈夫って言う時は大丈夫じゃないじゃん。」
「もう泣いてないから。」
「ちゃんと言って、そうじゃなきゃやだ。」
何度も何度も理由を聞いてくれる。
もう既に眠たくてほとんど頭が回っていないだろうに。
「ねえ、なんで泣いてたの?」
「特に理由はないんだけどさ、不安になっちゃったんだ。」
「大丈夫だよ。俺はずっとそばにいるよ。離れたりしない。愛してるよ。」
「うん、分かってる。うちも愛してる。」
「知ってるよ。絶対離れないから安心してね。」
「うん、ありがと。」
彼はいつもよりも優しい声で私を包み込んでくれた。
決めた。どんな理由があったとしても、私は彼の知らないところで泣かない。
彼は私が泣いたことを知っておかないとどうしようもなく不安になっちゃうから。
【泣かないよ】
大丈夫泣かないよ。君が突然消えてしまったあの日、どうしても僕は帰れなかった君より大切なものはないはずなのに、なぜ〈帰らして下さい〉と言えなかったんだろう、間に合わなかったとスマホで知らせが来た時に後悔の念しかなかった。
最期の時の君の側にいれなかった、君はどんなときも僕の側にいてくれたよね?‥
それだけがどれだけ救いになったか、大丈夫君のくれた心の支えというものがあるから
大丈夫だよ。泣かないよ。君がいなくなったあの日から一回もないたことない
いや、心配かけてしまうから
泣かないよ‥
※この話に出てくる人物の名前は主が想像の元付けました。
フィクションです。
『なかないよ』
大丈夫、僕は強いから!
僕はお兄ちゃんなんだよ!
ぼくは「いさわ しょう太」!小学2年生!
今ね?ママのおなかの中には赤ちゃんがいるんだって!
だからね!もうすぐぼくは"お兄ちゃん"になるんだ!
[翔太。こっちにおいで。]
あ、ママがよんでる!
「うん!」
[翔太、ママはもうすぐ赤ちゃんをお迎えに行くの。
だからね、パパと2人でお留守番しててほしいんだ。]
…ママと会えないってこと?そんなのやだよ!
「いや!ママといっしょがいい!」
[…翔太はもう"お兄ちゃん"なんだから、我慢出来るよね?]
お兄ちゃん…そうだぼくはお兄ちゃんになるんだ!
「、できるよ!ぼくもうお兄ちゃんになるんだもん!」
[偉いね!翔太。大好きだよ!]
「ぼくもママのことだーいすき!!!!」
ぎゅー!ぼくはママのことだーいすきなんだ!
〔……パパはぁ…?翔太ぁ…パパも〜!〕
[ふふっ、パパのこともだーいすきだよ!]
この日はかぞく3人でぎゅーをしました。
そのあとママをびょういんにおくりました。
またぼくはなきそうになったけど、
お兄ちゃんになるからがまんしてなきませんでした!
はやく赤ちゃんがくるといいな〜
それからしばらくして赤ちゃんがお家にやってきた。
ぼくにはいもうとができたらしい。
お家にやってきた"いもうと"はとても小さくて
すこし力を入れたらこわれてしまいそうだった。
お家に"いもうと"がきてすぐ、とおくにいるおじいちゃんと
おばあちゃんがきた。「あそぼ」っていったけれど、
おじいちゃんとおばあちゃんは"いもうと"を見てて
あそんではくれなかった。
"いもうと"に名前はまだないらしい。
これからつけるんだって。ぼくもてつだおうとおもって
クレヨンをもっていったけど[向こうで遊んでてね]って
ぼくはおてつだいできなかった。
ママとパパは"いもうと"の名前をずぅっと考えていて
あれだこれだとなやんでいた。
1人であそぶのはたいくつで何度も「遊ぼ」と言ったけれど
[向こうで遊んでてね]〔パパとママは大事な事してるから〕
ってパパもママも遊んではくれなかった。
おくで"いもうと"が泣いていた。
ぼくはお兄ちゃんだからね。なぐさめてあげないと。
[何してるの!]
きゅうに大きい声がきこえた。ぼくはびっくりして
声のする方を見た。ママだった。
「あのね、"いもうと"がないて、っ」
ただぼくは、いもうとをあやそうとしただけなのに…
[なんで泣かせてるの!あぁ〜もう!ごめんね《春葵》]
「はる…な?」
[……この子の名前は今日から"春葵"よ。ねぇ〜"春葵"〜。]
"春葵"が来てからぼくのパパとママはおかしくなった。
あそんでくれなくなったし、お話もしてくれなくなった。
"春葵"ばかり構うようになった。
ぼくはだんだん"春葵"がきらいになった。この異物が。
それでも僕は我慢して、自分なりに可愛がっていた。
が、ある日の事だった。ぼくの絵がやぶかれていた。
一瞬の事だった。小学校から帰ってきて手を洗い、戻ったら
ぼくがかいた絵がビリビリだったのだ。
「ぼくの…絵…」
せっかく家族みんなの絵をかいたのに…
何かぼくの中で糸がきれた。
ぼくは"春葵"にどなった。
「何してんだよ!!なんでやぶったんだよ!!!!」
"春葵"が泣いて、すぐにママが来た。
[何してるの!]
「ママ!"春葵"が…」
[翔太!!!!]
…え?ぼく?
「ちがうよ、ママ、"春葵"が…」
[言い訳しない!"春葵"はまだ赤ちゃんなのよ!?
翔太はもうお兄ちゃんでしょ!"春葵"を泣かせないで!!]
〔ただいまー〕
ちょうどパパが帰ってきた。
[パパ!翔太が…]
そこからはずうっと怒られてた。パパにも、ママにも、
「…ッ、パパもママも嫌いだ!大嫌い!!」
自然と口から出た言葉であり、本心だった。
[なんて事言うの!]
〔親に向かってなんだその言い方は!〕
「だって、パパだってママだって"春葵"が来てから"春葵"の事ばっかり!ぼくの事なんてきにしてくれないし!
全然遊んでくれななくなった!皆して"春葵"春葵"って…
こんな事なら……"春葵"なんて、要らなっ、!パンッッ!」
その日、初めて僕は親に叩かれた。
もう何も聞こえなかった。視覚から得られる情報は、
ただただ、何かを言っている父と泣き崩れる母だけだった。
段々と視界が滲んでいく、もう、何も分からないや、
その後僕は、外に出された。
その日は夜はまだ肌寒い春の日だった。
その日から僕は"いいお兄ちゃん"を演じた。
春葵に何を壊されようと、何を奪われようと。
ずっと笑顔で。全てを許して。
この"人達"はどんな理不尽があっても春葵を優先し、
甘やかすんだ。春葵しか眼中に無いらしい。
僕はお兄ちゃんだから、ね。
僕、ちゃんとがまん、できるよ。
ぼく…ぼくは…
来月には高校3年生になる私。
もう学校や塾では来年の大学入試に向けての準備が始まってる。
高校に入った頃からここに行けたらいいかなくらいで適当に選んでいた大学だったけど、今になって初めて行きたいと思える大学を見つけた。
高1は半分不登校、高2はその影響もあって下から数えて10番以内に入る程の頭の悪さ。その大学は私のレベルじゃ到底届くわけなくて、そこを目指して勉強しようって決めた1週間後の今にはもう諦め半分だった。
友達に雲の上の存在だよねーって、笑い話のつもりで志望校についての話をしたら「まじで応援してる。今からやれば間に合うんじゃない?」って言ってくれて。笑
こんな返事かえってくると思わなかったから、思わず涙が零れそうになった。
でも泣く時は今じゃない。合格発表の日、受かっても落ちても、私はきっと泣くはず。
だからその時まで泣くのはお預け。
嬉し泣きできるように、もう少しだけ頑張ろうね、私。
泣かないよ
そんなのは無理
貴方の歌声 眼差し 指先
このホールを満たす世界観
貴方はきっと現代の憑座(よりまし)
私たちすべての想いを受け取って
昇華する
貴方の言葉が
私のこころに 刺さって 刺さって
泣いてしまうの
もう泣かないよ
これは、目にごみが入っただけだから
あくびしただけだから
もう泣かないよ
涙が枯れないことがわかったから
十分ってくらい泣いたから
もう泣かないよ
今でも好きだから
ずっと忘れられないから
泣かない
中肉中背の男子高校生が犬と睨み合っていた。すぐそばを車が通りすぎる。小型犬だがピンクの歯肉から突きでた牙は鋭い。高校生はおもわず後退る。彼は武器を持っていない。腕力もない。瞬発力もない。何も持っていないので、己の拳ひとつで闘わなければならなかった。どこかで自転車のベルが鳴った。小型犬が後ろ足で地面を蹴った。犬歯が太陽の光を反射する。白い毛並みをなびかせながら、直線を描いてくる。覚悟を決めた男子高校生は中腰になった。
「俺はゴールキーパーだ」
飛びかかってくる犬を止めようと決めたのだ。彼は両手で壁を作るみたいにしてそれを止めた。
「ありがとう。助けてくれて」
ランドセルを背負った少女が丁寧に頭をさげる。仰向けになった男子高校生は顔を覆った。さきほど犬は飼い主に連れられたところだ。
「泣いてるの」
少女は目にいっぱい涙をためていた。
「泣いてないよ」
彼は言った。
通りかかった自転車に目一杯ベルをならされるまで、そこから動くことができなかった。
ひとり、舞台の上。観客はいない。僕だけの、僕のための、ちっぽけで静かな演劇場。息ができない程詰まらせてしまったものを吐き出せ。胸の中に巣食う憤りを叫べ。この僕だけの舞台で、演じ、歌い、舞え。踏みつけるように地に足つけて、歓声を浴びるように両手を広げ、言の葉に想いを乗せて。誰よりも自由に、何よりも鮮やかに。この舞台は喜劇だ。だから泣かない。だってここには僕しかいない。僕しか入れない秘密の場所。誰にも邪魔されはしない。邪魔なんてさせてやるものか。
僕の舞台は紙の上。広げる手に握るのはペンや筆。また今日も、舞台の幕が上がる。ここにいるときは自由になれる。自由でいられる。僕の台詞は線になって、僕の振りは色になる。
僕だけの、僕のための演目をここに。
それは「悲しくてこぼれた涙」ではない
自分を守るために流した水滴だ
よく見てみろ
何も言えなくなった相手を見て
ほくそ笑む女の顔を
簡単に騙されてんじゃねーよ
#泣かないよ
「泣かないよ」と君は言うが
それって『泣きそうだよ』って言うのとおんなじだよね、だなんて思いながら
桐の棺の中から手を伸ばした
拭えなかったけれど
第四十七話 その妃、再会の抱擁を
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
過ぎた事を思い返すのは性に合わないが、各所で不規則に爆発が起きる度、正直肝が冷えた。
守護の力に多少覚えがあるとはいえ、両手の数の守り雛だけでは、あのポンコツが自身を護り通すには不足だと感じていたからだ。
それ以前に、彼があそこまで他人を煽るとは思わなかった。似せたのか、それとも本音だったのかは、敢えて聞きはしないが。
でも、それも全て杞憂に終わった。
元々はロンが身バレをしないようにと、提案した入れ替えの術。それがまさか、蓋を開けてみればこうなるとは誰が予想したことか。
『どうしても譲りたくなかったようですよ。あなたを護るのは自分だと』
何はともあれ、立候補しただけのことはあった、ということで。今は、仲間たちに感謝をしよう。
「……それで? まさかとは思うけど、泣いてるの?」
御上たちと、報告のついでに幾らか言葉を交わした後、彼等はロンを連れてあっという間に立ち去っていった。
大半の人間は捕縛していたが、その他色々と後処理があるのだろう。現場は類を見ない程に悲惨だから。
その背中を見送っていると、隣からは鼻を啜る音が聞こえ始める。暫く待っても止まりそうにないので、思わず問い糺したのだ。
「な、泣いてないです」
「じゃあ今から泣くのね」
「泣かないですよ!」
その気持ちが、全くわからないわけじゃない。斯くいう自分でさえ、思わず胸が詰まったのだから。
“藤の花”は、御上の右腕である“藤原”の家紋を示すもの。そして“橘の花”は、左腕である“橘”の家紋を示すもの。
つまり、御上の側に支えていたのは、藤原と橘の当主――我々の実の父親に他ならなかった。
『積もる話もあるだろう。それくらいの時間ならやらんでもないさ』
五分だけだぞと、ひらひら手を振る相変わらずの御上に苦笑を浮かべていると、藤原の当主が一歩前へと踏み出す。
『何だこの有様は』
その一言で、隣の男は身を縮こませた。自分に向けられたものだと思ったのだろう。
『早期に問題を解決しただけに過ぎませんわ』
『だから、これだけの爆弾を使う必要があったと』
『ええ。大事な御子息を護るには必要だったので』
『そういう割には、息子の頬に傷がついているように見えるが』
『傷ではなく汚れですね』
『血がついているように見えるが?』
『何かの染料ですよきっと』
だから、完全親馬鹿発言に頭がついていかないのだ。そもそも大事でなければ、守護の依頼など来るわけがないというのに。
まあ、守られていること自体知らないのだから、それも無理ない話か。
喧嘩になりそうなところへ、今度は実の父親が割り込んで止めに入る。それはいつもの光景だった。
『無事で、……っ。よかった』
『……お、とう、さま……?』
それが崩れたのは、“父親としての五分”を御上がわざわざ与えてくれたからだ。
『お前は、いつも無茶ばかりする』
『性分ですから』
『私や兄たちの心臓を、少しは心配しなさい』
『ふふ。善処致しますわ』
父親を抱き締め返す腕の中で、そっとその隙間から隣を覗くと、今までずっと抱えていた張り詰めていたものが、ゆっくりと解けていくのが目に見えてわかる。反対を見ると、嬉しそうに微笑むロンと目が合った。
それは、愛すべきお馬鹿な彼が、ようやく愛されているのだと、実感できた瞬間だった――。
#泣かないよ/和風ファンタジー/気まぐれ更新
「泣かないよ」
あからさまな同級生からのイジメ。主犯はクラスの学級委員長だろう。それにしても相変わらず馬鹿みたいだ。典型的なイジメすぎる。先生に見つかったらどうなるかとか考えてないのだろうか。
朝学校に行くと机の中が画鋲まみれだったり、テストの答案を書き換えられてたり...
もっと上手くできないのかと考えながら、証拠を残しておこうといつも通りスマホで写真を撮る。こんなのももう慣れっこだと自分の心に言い聞かせる。そうしないと心が辛いから。自分は人に虐められやすい性質なのだろう。小、中とずっといじめられ続けてきた。
誰しも先生に相談すればいいと思うだろう。だが、それは出来ない。なぜなら、学級委員長は先生の“お気に入り”だからだ。だから、私は何も出来ない。ただただ目の前のことが現実だと受け入れることしか出来ない。
今日はゴミ当番を代われと言われた。いつもよりはマシだ。掃除が終わり、ゴミ捨て場へ向かう。そうすると、そこには学級委員長とその取り巻きがいた。こういう人達は1人で行動できない。可哀想な人たち。すると、学級委員長が話しかけてきた。
「ねえ、相変わらず汚いね〜」
「ほんとに、近くにいると汚れるからやめてほし〜」
「ほら、ゴミ以下。ゴミと一緒にこれも捨ててやるよ」
それは、母の形見だった。
母は元々身体が弱くてあまり外に出れない人だった。お淑やかで、お上品な人だった。そんな母が私は世界で一番大好きだった。母は亡くなる直前にあるものを私に渡した。
「私が死んでから開けなさい。」
という遺言を残して。
お葬式も終わり、母から貰ったものを開けた。それは、私の中学入学祝いのシャーペンだった。私の名前も入っていて、とても思い入れのあるものだ。
そのシャーペンが今捨てられようとしている。
「それは、、、やめて。」
「は?あんたに拒否権なんてないんだけど笑」
「なんで、そんなことするの?楽しい?」
「あんたには関係ないでしょ」
「関係ある。私は被害者、あなたは加害者。」
「だから何?別にいじめる理由なんでどうでも良くない?ただの暇つぶしだよ」
「ただの暇つぶしにそんなに時間かけられるんだ。凄いね。」
「あんたバカにしてるでしょ」
バカにしてるに決まってる。なんであなた達みたいな脳みそ空っぽな人に自分の時間を割かなくてはならないのだろう。
「あ〜もう頭にきた!このシャーペン捨ててやる。」
反論したい気持ちを抑えた。
「おい、泣けよブス」
取り巻きの1人が言った。1人が言うと他の人間も口々に言い始める。
「私は、、、泣かないよ。泣いたら負けだと思うから。」
自分にしては頑張ったと思う。
「あっそ。じゃあね、シャーペン。」
そう言って学級委員長はシャーペンを足で粉々してその場から立ち去った。
言葉にならない怒りと悲しみが押し寄せてくる。今まで思ったことの無いような感情だ。
泣いたら負け、泣いたら負け、、、と言い聞かせる。
、、、ガサガサ、、、
え、誰かいる?
そう思って周りを見渡すと、そこには悲しそうな顔をした父の姿があった。そういえば、今日は先生と父の2者面談だった。少し沈黙の時間が流れた。沈黙を破ったのは父の言葉だった。
「大丈夫か、、、?」
「うん」
「そうか」
「うん」
会話が止まってしまった。父も、これ以上話しかける言葉がなかったんだろう。
「帰るか。」
「うん」
帰り道。再び沈黙が訪れる。
......
「お父さんが言えることでもないんだけどさ、」
「うん」
「泣いたら負けでは無いと思うよ」
「うん」
「泣いてもいいんだ、お父さんもお前と同じ状況なら、ああ言うと思う。でも、お父さんとお前の違いは、お父さんは弱い事だ。俺は弱い。こんなこと言ってるけど、未だにお母さんのことを引きずっている。たぶん一生乗り越えられないんだろうな。でも、お前は違う。お母さんを思い出として心にしまって未来へと踏み出している。お前は負け組でも、弱くもない。お前は強いんだよ」
「うん、、、」
「だから、あんな奴ら気にするな。前を向け。泣きたい時に泣いて、笑いたい時に笑え。それが、強い人だ」
「う、、、グス、ん」
その日、私は今までで1番感情を出して泣いたと思う。でも、心は晴れた。
もう、どんな事があっても怖くない。泣かないよ。
次に泣くのは、たぶん、きっと、合格発表の日。
終わり