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〖泣かないよ〗


「泣いてるの?」

電話越しに鼻をすする私の声を聞き、彼は聞いた。

「泣いてないよ?笑」

実際、花粉症で鼻水が止まらなくて鼻をすすっていたところもあるけれど、私は泣いていた。
最近会えていなかったから、彼が私に愛を伝えてくれる度に、どうしようもなく不安になり、気づいたら涙で視界がぼやけていた。

「泣いてるでしょ?なんで泣いてるの?」
「ううん、大丈夫だよ、泣いてない。」
「大丈夫って言う時は大丈夫じゃないじゃん。」
「もう泣いてないから。」
「ちゃんと言って、そうじゃなきゃやだ。」

何度も何度も理由を聞いてくれる。
もう既に眠たくてほとんど頭が回っていないだろうに。

「ねえ、なんで泣いてたの?」
「特に理由はないんだけどさ、不安になっちゃったんだ。」
「大丈夫だよ。俺はずっとそばにいるよ。離れたりしない。愛してるよ。」
「うん、分かってる。うちも愛してる。」
「知ってるよ。絶対離れないから安心してね。」
「うん、ありがと。」

彼はいつもよりも優しい声で私を包み込んでくれた。

決めた。どんな理由があったとしても、私は彼の知らないところで泣かない。
彼は私が泣いたことを知っておかないとどうしようもなく不安になっちゃうから。

3/17/2024, 4:54:16 PM