柔らかい雨』の作文集

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柔らかい雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

11/6/2023, 12:55:55 PM

小麦が広がる丘陵に豪奢な館があった。
午後から降りだした霧雨が世界を包んでいる。

領主の息子に無理やり連れてこられて何時間経っただろう。周りには誰もいない。暗がりの部屋で、彼女の心細さは最高潮に達していた。

(このまま街に帰れなかったら…どうしたら…)

コツコツと外から壁が叩かれる。明らかに雨の音ではない。
「まさか」
窓を細く開けると、街に居たはずの彼が壁に身を潜ませていた。 

「よう、囚われのお姫様」
「どうしてこんな雨のなか…」
衣服から布切れを出して彼のびしょ濡れの額を拭いてやる。
「気配が紛れる雨だからこそだぜ。泥棒の基本だろ」
「えっ」
「お前さんのことだ。迷惑が掛かるとか言って普通に連れて行こうとすると怒るだろ」
ハンカチを持つ腕が握られ、そのままふわりと身体が浮く。
「ちと乱暴にいくぜ」
「ちょっ、…待っ」
まるで小麦袋のように肩に担がれてしまった。
(うそ…!!)
「なんか楽しくなって来やがった」
ここ、2階…!!
彼は担いでいる自分の重さを物ともせず走り出した。確かに悲鳴を上げても雨がかき消してくれるのかもしれない。
「でも、こ、怖い…です!」
「スリリングで最高じゃねーか。ははっ!」
先程までの心細さはかき消えて、雨が顔を優しく濡らしてくる。


館には、窓の近くにびしょ濡れとなったハンカチが無造作に落ちていたらしい。

11/6/2023, 12:53:37 PM

3月6日はセンパイの誕生日。

そして3月7日は雪降る中を、
声を上げて泣いて帰った日。

片思いのセンパイの家に初めて行ったのは、
ーーー話があるーーー
と、お誘いを受けたから。

自分の誕生日の翌日に、
私を家に招いてくれた!!
最高に嬉しい気持ち
だったのに。


卒業式を間近にして、
キチンとしておきたいから。
と、私の片思いを終わらせた。

「僕の事は忘れて、これからも頑張って」

意味不明!!
どうして告白もしていないのに、
そんな事を言われなくちゃいけない訳!
なにを自分勝手に完結させてるの?!

ハラがたって、頭にきて、
怒り泣きしながら帰り道を歩いた。
降ってくる雪を相手に沢山たくさん、
語りながら歩いた。


冷たかった雪は、
慰めのつもりか、細かな
柔らかい雨になっていて、
薄い夕日に背中を押されて帰宅した。

まるで
まぁまぁそんなに怒るなよ。
とでも言われるかのように。

ーーー柔らかい雨ーーー

11/6/2023, 12:52:04 PM

〜柔らかい雨〜
あなたの涙が私の手の甲に落ちた
なんと優しく柔らかいのだろう
きっとあなたは雨のような暗闇に飲まれてたかもしれない
もう水分を含みきった真っ暗な雲にとざされていたかもしれない
それでもあなたの涙はやさしかった
そっと降り注いだ
その優しいあなたを包み込みたい
どしゃ降りの雨に紛れてしまわぬように

11/6/2023, 12:50:09 PM

「柔らかい雨」

 どんよりとした空から冷たい雨が降りかかる。

 負けた。
 
 青春すべてを懸けてきたのに。

私の3年はなんだったんだろう。
こんな惨めな思いをするために汗を流してきたのか。
当時はそう思っていた。努力は報われないと強く思った。
才能が全てだと思った。

何もかも投げ出してやろうと思った。
意味がないなら頑張る意味もないと思った。

誰のために。何のために。

真っ黒な気持ちを洗い流すように柔らかい雨が降り注いだ。

なぜだろう。
いつもは嫌いな雨が少し好きになった日だった。

11/6/2023, 12:48:18 PM

柔らかい雨

こんなに雨が降ると思わなかった

こんな雨の日に

おばあちゃんが亡くなった

だから雨の日は好きじゃない

でも…

雨が降る日は、優しい気がするの

柔らかい雨のように。

11/6/2023, 12:45:26 PM

霧雨がしっとりと身体を濡らしていく中、傘を持たずに佇む俺の毛先からぽとりと小さな水滴が落ちる。
もう少し強く降ってくれないと困るな、と軽く空を見上げたけれどむしろ雲の合間からは光が射してきた。
頬を伝う水滴は雨粒よりもずっと大きくて、これでは誤魔化せやしない。

あんたにこれ以上心配かけたく無いんですけど。これで俺はちゃんとやってますよ、なんて言っても信じてもらえないですかね。

聞こえない返事に苦笑して、冷たい石にそっと口付けた。

『柔らかい雨』

11/6/2023, 12:45:20 PM

[柔らかい雨]

楽しいときに降ってる雨は柔らかい

悲しいときに降ってる雨は硬く感じる

子どもたちにはいつも柔らかい雨を感じながら成長していってほしい

11/6/2023, 12:44:46 PM

頬をなでるのは柔らかい雨。

わたしの涙もいっしょに流れていく。

11/6/2023, 12:43:07 PM

【晴天】
お題:柔らかい雨

 「私ね、魔法が使えるの」
二人だけの秘密よと微笑んだ女の子に僕はなんて返したのかもう思い出せない。
 魔法が使えると言った女の子は周りから好かれていて、いわゆる人気者だった。それに対して僕は友達と言えるような人はいなくていつもひとりぼっちだったらしい。らしいというのももう随分と昔のことで記憶がないからだ。じゃあなんでそんなことがあったのかわかるかといえば日記が出てきたから。自分が小学生の頃に書いてた日記だ。その日記によれば友達のいない僕が一人で公園にいたらその女の子が仲良くしてくれたというものだった。
 魔法を見せてもらったとかいてあったがその魔法については詳しく書いておらずただただすごかったと。その日記には自分が描いたと思われる絵がついていて雨の中笑顔でいる女の子と男の子がいた。雨が降っていたのに公園に行くのだろうか。そんな疑問をふと抱いた。幸い日付が書いてあったからスマホで天気を調べた。天気は晴れ。雲ひとつない晴天だったらしい。もしかしたら、雨を降らすという魔法を見せてもらったのだろうか。一人でいた僕を笑顔にしてくれたのはあの女の子の気持ちがこもった柔らかい雨だったのかもしれない。

11/6/2023, 12:40:39 PM

帰り道あなたと雨に打たれて笑い合う
その雨はとても優しく柔らかい雨だった
この出来事もあなたにとっては
当たり前のように過ぎる1日の中の一瞬でしかないんだろうな

11/6/2023, 12:40:14 PM

雨音がこんなにも穏やかに聞こえるのはなぜなんだろう。

あなたと初めて会った日も、初めてデートした日も。
あなたとの初めてはいつも小雨だったからかな。

#柔らかい雨

11/6/2023, 12:40:00 PM

二度寝から目が覚めて 少し気だるい日曜の午後

何か口に入れる必要があるはずさ 重い足を動かす

近くのスーパーにある ちらし寿司でも買おう



外に出ると 空が灰色に染まっている

目を凝らすと 微かに水滴がみえた

雨音はきこえない

だから 傘はいらないだろうと判断して歩き始めた

濡れながら歩いていると 

ふと 

亡くなった愛犬の小さな歩幅を思い出した



目当てのちらし寿司は売り切れていたし

それなりに服は濡れたけれど

しとしとと降り続ける雨は 嫌いじゃなくて

隣にあった 2割引のカツ丼を手に取った

11/6/2023, 12:37:34 PM

「雨なんて憂鬱だわ」

誰かがこぼした一言が心の中に入ってくる。

この頃気分が下向きだから上手く笑えないのが嫌になる

しとしとと降る雨で人が憂鬱になるならば

今の私の不機嫌も雨のせいだと言ってしまえるかもしれない

柔らかく降る雨を不機嫌の理由にしたらほんの少し心が軽くなる

「本当雨なんて憂鬱」

少し口角を上げながら心の中で呟いて

私はお気に入りのケーキを食べた

11/6/2023, 12:36:53 PM

"柔らかい雨"

 なんだか急に頭痛を覚え、窓の外に目をやる。雨粒が窓いっぱいに張り付いている。雨粒が一つ、また一つと付いているのを見ると、今雨が降っているのだと認識する。「雨か」と独りごちて少し気分が落ち込む。
 けれどその雨粒はまるで窓に霧吹きをかけられたようで、とても小さく。
 音も、ザー、ではなく、サワサワ…、というような音で。
 今降っているのはただの雨じゃない、《霧雨》だ。
──霧雨が降るのは本当に久しぶりだ。最後に降ったのはいつだ?
 自分の傘を手に取って、外に出る。ワンタッチ式の傘を、バッ、と開くと、目を閉じて雨音に耳を傾ける。
 開いた傘に雨粒がぶつかり、柔らかく優しい雨音が響く。目を開けて外を見ると、柔らかなレースカーテンのフィルターがかかったような景色が広がっていて思わず「綺麗……」と呟く。まだ若干の頭痛はあるが、霧雨が作り出す柔らかな音と景色に頭痛がある事を忘れ、傘をさしながらあまりの美しさに立ち尽くす。
 だがすぐに、はっ、と我に返る。
──まずい、まだ仕事中なのに。早く中に戻らなきゃ。
 と、傘を閉じて傘についた雨粒を軽く振り落とし、いそいそと中に戻った。

11/6/2023, 12:35:33 PM

柔らかい雨



「天気予報じゃ一日中晴れだったのに〜!」
そう独り言を言う。

 私は今日傘を持ってきていなかった。学校で雨宿りをして弱くなったら帰ろう、と思っていた。
けれどその時、彼が私の独り言を聞いたのか

「傘...入る?」

と言った。
 彼は私の好きな人だった。
嬉しさと同時に罪悪感もあり一瞬迷ったが、風邪をひいて彼に会えなくなることが嫌だったし、相合傘が出来る機会は今回しかないと思ったので入れてもらうことにした。

「じゃあお言葉に甘えて...ごめんね。ありがとう」

そう言い彼の傘に入らせてもらった。


 帰っていると、彼が突然私に

「聞きたいことがあるんだけど。いいかな...?」

と言った。
好きな人からのお願いだし、聞かないとね

「うん、いいよ」
「あのさ...××ちゃんって好きなタイプなんだと
 思う?あと彼氏とかいるのかなって思って...」
「明日、全部聞いとく!」
「ごめん!ありがとう!」

ああ、私じゃないんだ。期待した私が馬鹿みたい。

「あ!私の家すぐそこだから、またね!傘ありがとう」

彼の口から言葉が出る前に私はその場から去った。


その時、ちょうど雨が弱くなった。




  私は、柔らかい雨に打たれながら涙を流した。









    ───────フィクション───────

11/6/2023, 12:34:07 PM

失恋した。
ずっと好きだった先輩に告白した。
結果は惨敗だった。
先輩には好きな人がいて。
その人は先輩の1つ歳上で大学生らしい。
その人と同じ大学に通うために受験勉強頑張ってるらしい。
そこまで聞いたら、もう“頑張ってください”しか言えなかった。
告白する私が応援してもらう立場なのに、なんで先輩のこと応援してんだろって思った。
けど先輩は笑顔でありがとうって言ってきた。
そんな格好良い笑顔を向けられても、私を見る向こうに歳上のその人を想像してんでしょ。
それを思ったらもう、どうでも良くなった。
お疲れ様でしたって言って先輩の前から離れた。
外は雨が降っていた。
天気予報、見てくれば良かった。
今日傘持ってないよ。
こうなりゃ濡れて帰るしかないか。
でも濡れたい気分だったからちょうどいいや。
今日の雨は霧雨みたいな感じだった。
地味に濡れるけど、霧状だから水滴は大きくない。
私の目から出てくる水滴よりもずっと小さい。
「もぉやだ……」
頭も痛いし気分が悪い。全部失恋のせいだ。
今日の雨は私の涙を隠すには優しすぎる。
もっと土砂降りが良かったのに。
こんな柔らかい雨にうたれたって、もっと泣きたくなるだけじゃんか。

11/6/2023, 12:32:54 PM

珍しいこともあるもんだと思った。
 オレを、ベッドの上で組み敷いて、おまえは涙を流してる。
 また、オレのせいだな。
「ごめん。もう言わねぇから……」
 そうやって謝ると、やっとオレの上から降りた。
 オレは、他人のために泣けねぇよ。

11/6/2023, 12:30:33 PM

失敗して、落ち込んで、涙が流れる。
外を一歩一歩歩いていると、雨が降ってくる。
ポツポツと、一滴が体に染みていく。
涙を流してくれるような雨。
涙を目立たなくしてくれる雨。
涙と雨はなんだか不思議な関係に思える。

涙と雨は悲しみを増すシチュエーションのようなイメージがあるが、視点を変えれば、そうした良い風に捉えられる。
涙と雨は何だか不思議な関係だなと思う。

雨は時に弱く降り、時に強く降る。
涙を流している時に降る雨は、優しい雨として、悲しみを和らげてくれているのかもしれない。
ある時の雨は、悲しみを緩和してくれる柔らかい雨となるのかもしれない。

11/6/2023, 12:27:22 PM

お題
『 柔らかい雨 』


気付けばもう私は立てなかった。歩けなかった。そして話す事も出来なかった。

ベットの周りでは家族と大切な恋人が私を見て泣きじゃくり私の名前を呼び続けていた。

その中で一つ、

最期の私の頬を撫でたのは彼の柔らかな雨だった。

11/6/2023, 12:25:12 PM

降り注ぐ雨。
思えば人生の転機が訪れる時は雨の時が多かった。

降り注ぐ雨。
時に痛みを伴うほど強く、そしてはげしく心を揺さぶり、打ちのめす。


けれども、そんな日ばかりではないことを知った。

降り注ぐ柔らかい雨。
浄化と共に固まった心に染み込み、新たな芽吹きとなる。





20231106 柔らかい雨

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