『最初から決まってた』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
※ほんのりホラー
一人夜道を歩く。
誰かとすれ違う事はない。静かな道をただ歩く。
ふと視界の隅で、何かがちらついた気がして視線を向ける。
右の電柱。街灯に惹かれた蛾が、ふらふらと灯りの周囲を漂っていた。
ふう、と息を吐いて視線を戻し、歩き出す。先ほどよりも僅かに速い速度で。
誰もいない夜道を一人、歩いていく。やがて十字路に辿り着き、立ち止まる。
帰宅するには、ここで右に曲がらなければならない。
考える事なく、右へ曲がった。
一人夜道を歩く。
誰かとすれ違う事はない。静かな道をただ歩く。
ふと視界の隅で、何かが横切った気がして視線を向ける。
右の電柱。街灯に引かれた蛾が、灯りを求めてその白い翅を懸命に揺らし、力尽きて地に落ちた。
はあ、と息を漏らして視線を戻し、歩き出す。先ほどよりも速い速度で。
誰もいない夜道を一人、歩いていく。やがて十字路に辿り着き、立ち止まる。
かえるには、ここで右に曲がらなければならない。
深く考える事なく、右へ曲がった。
一人夜道を歩く。
誰かとすれ違う事はない。静かな道をただ歩く。
ふと視界の隅で、何かが揺らいだ気がして視線を向ける。
左の暗がり。影が伸びた闇が形を作り、ゆらゆらと揺れて手招いていた。
ああ、と声を漏らして視線を逸らし、歩き出す。先ほどよりも速い速度で。
誰もいない夜道を一人、歩いていく。やがて十字路に辿り着き、立ち止まる。
返るには、ここでどの道を行けばよかったのか。
少し考えて、左へ曲がった。
一人夜道を歩く。
誰かとすれ違う事はない。静かな道をただ歩く。
ふと視界の隅で、何かが蠢いた気がしたが視線を向けず。
右の街灯がちかちかと点滅を繰り返し、その度に左の暗がりが色を濃くしていくような気配がした。
ひゅっ、と息を呑んで俯いて、走り出す。先ほどよりも速く、逃げ出すように。
誰もいない夜道を一人、走っていく。ようやく十字路に辿り着き、立ち止まる。
ここでどの道を往けばよかったのか。
悩み考えて、正面を進んだ。
一人夜道を歩く。
誰かとすれ違うはずはない。静かな道をただ歩く。
視界の隅で何かが見えた気がしたが視線は向けず、足を止める事もなく。
左の街灯がぱちんと音を立て灯りが消える。色を濃くした暗闇が、ざわざわ、くすくすと音を立てこちらに近づいてくる。
声を殺して耳を塞ぎ、走り出す。脇目もふらず、逃げ出すために。
誰もいないはずの夜道を一人、走っていく。ようやく四つ辻に辿り着き、けれど立ち止まらずに。
どの道も変わらない。何度繰り返しても出られない。
諦めそうになる気持ちを押し殺し、ただ真っ直ぐの道を駆け抜けた。
一人夜道を走る。
誰かとすれ違う事に怯えながら。騒めく道をただ走る。
左の、あるいは右だったはずの街灯は二度とつかず。蠢き近づく暗闇が、こちらの反応を愉しむように、おいでおいでと手招いている。
この道は何度目なのか。変わらない道。同じ景色。
走る先にまたあの四つ辻が現れる。道の選択は疾の昔に諦め、また真っ直ぐに駆け抜けようとして。
道の先に昏い森がある事に気づく。
四つ辻で立ち止まる。
正面の道の先に森。左右の道の先は暗闇に覆われ見えず。
どの道が正解なのか。それとも正解など最初からなかったのか。
どれを選択していった所で、最初からこの結末は決まっていたのか。
思わず数歩後ずさる。その足が何か固いものに触れ。
それを確認する前に何かに腕を引かれ、よろめいた。
「運ガ良かったね。おめでとう」
無感情な声。気づけばいつもの帰り道。
こちらに背を向け去って行く誰かの後ろ姿。
待って、と慌てて声をかけるも、その誰かは振り返る事はなく。けれど立ち止まり、やはり無感情な声音で忠告された。
「今日の話は誰にもしない方がいい。本来は後戻リが出来ないのだから…まったク、ドコで話が広がったンだか」
話。そういえば数日前に見た掲示板で似たような実況スレを見たような。
最後に森に行くと書き残し、それ以降現れなかったスレ主を思い出していると、目の前の誰かは盛大なため息を吐き肩を落とした。
「そウか。それは手遅レだな」
どういう意味だろうか。
「話を聞けばその人ノ所にやって来る。よく聞くダろう?話に引き込まれて、いつの間にか取リ込まれる。気づいても誰かに腕を引かれないと戻れなイから、タチが悪い」
再びため息を吐いて去って行く誰かに、けれども引き止める余裕はなく。
それが本当であるならば、戻れたのは奇跡ではないか。
あの時、気づいて立ち止まらなければ。偶然目の前の誰かがいてくれなければ。気づいて腕を引いてくれなければ。
もしもを想像して、ぞっとした。
ふるりと頭を振って恐怖を掻き消し、歩き出す。
夜も遅い。早く帰らなければ。
しばらく歩き、ふと立ち止まる。
先ほどから、誰かに見られているような気がした。
速度を落とし始めた電車に気づき、顔を上げる。
終点だ。降りなければと立ち上がり、ドアへと向かう。
いつもと変わらぬ駅に着き、改札を抜ける。
外は暗く、人通りもほとんどなく。
珍しいなと思いはしたが、終電などそんなものかとさほど気にする事はせず。人も車もいないならばと、スマホを取り出した。
ロックを解除し、小説の続きを読み始める。
日が暮れても気温の下がらぬこんな夜には、少し背筋が寒くなるような話がちょうどいい。
助かるのか、助からないのか。繰り返す十字路の選択に、自分ならばと想像しながら文字を追いかけた。
ふと視界の隅で、何かがちらついた気がして視線を向ける。
右の電柱。街灯に惹かれた蛾が、ふらふらと灯りの周囲を漂っていた。
まさか、と嫌な汗が背筋を伝う。
偶然だ、と必死に否定して、帰り道を急いだ。
そんなはずはない。ここは現実なのだから。
似ている状況を同じだと錯覚しているだけだ。
歩く速度は段々に速くなり。いつしか走り出して。
だがその足は、目の前に現れたそれにぴたりと止まる。
正面の道の先に森。左右の道の先は暗闇に覆われ見えず。
いつの間にか、帰れぬ四つ辻に迷い込んでいた。
20240808 『最初から決まってた』
愛されている事を、少女は自覚していた。
両親には蝶よ花よと愛でられ、何不自由なく生活が送る事ができ。教師には信頼され、友人達にも恵まれている。
異国の祖父の血を濃く継いだ容姿は、精巧に作られた西洋人形を思わせ。玉を転がすような声は、より一層少女の美しさを引き立てる。
それはとても幸せな事だと、少女は知っている。どれか一つ欠けるだけで、今の自分はいないと分かっている。
だからこそ恵まれたこの状況に驕る事なく、皆の望む優しさを、聡明さを維持出来るように努力を続けていかなければならない。
与えられるものが当然であると思った時点で、きっと終わってしまうのだろう。
「瑠璃」
「お姉様。どうかされましたか」
そしてきっと、その終わりを連れて来るのは、この姉なのだろう。
二つ年上の姉に呼ばれ、ふわりと笑みを湛えて返事をする。側に寄れば優しく手を取られ、白くしなやかな指先に手首をなぞられ。
「あなたに似合うと思って、ね」
手首につけられたのは、深い青の色をした石のついた銀色のブレスレット。
「努力を怠らない瑠璃に、ご褒美よ」
「ありがとうございます。大事に致しますね」
艶やかに口元に笑みを浮かべ囁く姉に、嬉しくてたまらないと頬を染め礼を言う。その反応に満足したのか、姉は少女を抱き寄せその額に唇を触れさせた。
「これからも励みなさい。決して驕る事のないように」
「はい、お姉様」
頷き、返事をする。
その返答に姉もまた頷くと、少女から離れ自室へと戻っていく。後ろ姿を見送って、少女も自室へと戻り。
深く息を吐き、崩れ落ちた。
力の抜けた体が、思い出したかのように恐怖で震える。姉の冷たい眼差しを振りきるように膝を抱え、きつく目を閉じた。
姉であるはずの存在は、少女にとって違和感でしかなかった。いつの頃からか家族の中に入り込み、けれども記憶の中では紛う事なく姉として在る異分子。
それに気づいた幼い頃に、泣き喚いて拒絶した事がある。
幼いが故に泣く事でしかその違和感を訴える事が出来ず、両親は困惑しながらも宥めようと必死になり。
その背後で、姉は表情もなくこちらをただ見つめていた。
その時に感じたのは純粋な恐怖だった。死を前にしたような恐怖。救いのない終わりを目にしたような絶望。
戦慄く唇で必死に違うと繰り返し、知らないと姉を指差して。
その後の記憶は、随分と朧げだ。
ただそれからは、幾分か姉を姉だと違和感なく認識出来るようになっていた。
頭を振り、のろのろと立ち上がる。ふらつきながらもベッドへと辿り着き、そのまま横になった。
少しだけ眠ろうと、目を閉じる。
蝶よ花よと愛でられて生きてきた。
少女が蝶だとするならば、その蝶を捕食する蜘蛛が姉なのだろう。
人として正しくあれと、姉は言う。
与えられるものを当然と思わず、それ以上を相手に与えよと。上に立つ者の義務を全うせよと。
その言葉が、少女《瑠璃》を形作っている。
唇を噛み締め、小さく蹲る。
胎児のように丸くなり眠るその様は。姉の手で着飾られていく少女の姿はまるで。
蜘蛛の巣に囚われ、少しずつ糸を絡められていく蝶を思わせた。
20240809 『蝶よ花よ』
『最初から決まってた』
1.
嘘みたい
こんなことがあるなんて
私にこんな奇跡が起きるなんて
なんて偶然
出会ってくれてありがとう
私はきっとあなたの
あなたはきっとわたしの
と、言うことは最初から決まっていた
事実であろうとなかろうと
小さな違和感は前向きという現実逃避で消す
言うセリフは決まってる
予定調和で決まってる
最初から
そういう事にしないと
私が可哀想だから
2.
反論した時に
話し合いなんかする気はなくて
従わない時は最初から敵に仕立て上げ
攻撃するって決めてたんだろうなあって
なんとなくわかっていた
だけど乗ってあげられない
騙されてあげられない
飽く迄相手の誤解を解き
話し合いを解決に導く姿勢を貫く
相手がそれを放棄した時点で
原因は誰に、どこにあるのか
明らかになることははっきりする
こうなる事は最初からわかっていた
決めたのは、あなた
「最初から決まってた」
皆さま無事でいらっしゃいますか?
本日大きな地震がありましたが、皆さまが無事でおられることを祈っております……。
「前回までのあらすじ」────────────────
ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!
調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!
……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!
そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!
……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!
それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、お覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。
もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。
どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。
そうそう、整備士くんや捜査官くんの助けもあって、きょうだいは何とか助かったよ。
712兆年もの間ずっと一人ぼっちで、何もかも忘れてしまって、その間に大事な人を亡くした彼は、ただただ泣いていた。ずっと寂しかったよね。今まで助けられなくて、本当にすまなかった。
事情聴取は無事に済んだ!その上、ボクのスペアがきょうだいを苦しめた連中を根こそぎ捕まえてくれたからそれはそれは気分がいい!
だが、実際に罪を犯した以上、きょうだいは裁判の時まで拘留されなければならない!なぜかボクも一緒だが!!
……タダで囚人の気分を味わえるなんてお得だねえ……。
牢獄の中とはいえ、随分久しぶりにふたりの時間を過ごせた。小さな兄が安心して眠る姿を見て、今までずっと研究を、仕事を続けてきて本当によかったと心から思ったよ。
きょうだいのカウンセリングの付き添いがてら、久しぶりにニンゲンくんと話をしたんだ。いつも通り話がしたかったけれど、そんなことはできなかった。
ボクの心は、ボクの気持ちは紛れもない本物だと信じて欲しかったけれど、受け入れてはもらえなかった。
機械のボクはもう、キミに信じてもらえないみたいだ。
でもまあ!!!きょうだいもボクも元気に牢獄暮らしが送れているうえ、旧型管理士の彼女も調子がよさそうだから、当面はよしとしようか!!!
多分ニンゲンくんの事情聴取も終わっている頃だろう。あとは何度か取り調べを繰り返して、いつか来る裁判の時を待つだけだね。
……というかこの「あらすじ」、長すぎるね!!!何がどう荒い筋だと言うんだい???……また作り直さなければ!!!
ふえぇ全然時間が取れないようぅ……。゚(゚´ω`゚)゚。
あとどこに書くのがいいのかもわからないよぅ……(´•̥ω•̥`)
────────────────────────────────
「マッドサイエンティストさん。」
「うわあ突然だねえどうしたんだい?!!」
「あなたにご来客です。」
「またまたぁ……この状態のボクに会いたいヤツがいるって……?誰なんだい?」
「おきゃくしゃん?ボクもあいたいー!」
「コードネーム『サイレン』さんがお越しですよ。」
「あ!だっこちてくれたおにーしゃん?ボク、もいっかいだっこちてもらうのー!」「キミはだめだよ」「やー!」
「……で、一体何の用があるんだろうか?」
「子守をしてくれるとかなら助かるんだが……いや、わざわざボクを指名するんだから何かしら理由があるんだろう。」
「もしその気分ではないのであればお帰りいただくことも可能ですよ。」
「ご心配なく!!!ちゃーんと会ってくるから!!!」
「というわけで……⬜︎⬜︎、いい子でお留守番していてね!」
「んー……ばいばい!」
……ご機嫌斜めだねぇ。小さい子は難しいや。
゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。
-面会室にて-
「やあやあ!!!サイレンくん!!!元気にしていたかい?!!」
「おう!!!お前も変わり映えしないな!!!」
「こんな場所じゃあねえ!!!仕方ないさ!!!」
「というか」「っつーか」
「「相変わらず声がデカい!!!」」
「悪かったね!!!」「おうよ!!!」
「……で、キミは何のためにボクに会いに来たんだい?」
「いやっ、あんまりこういう外の情報を持ち込むのはよかねーんだろうけど……でもなぁ……!」
「なんなんだい?」
「お前、ヤバすぎだろ!!!」
「何が?!!」「全部だよ!!!」
「もー!!!……何が言いたいんだい?!!」
「今度のおにーちゃんの事件の裁判、お前が宇宙管理機構を敵に回してるってこっちは大騒ぎなんだぞ?!!」
「それの何が問題なんだい???」
「何がって……お前、うちの法務部の恐ろしさを知らないだろ!!!」「別におっかなくないよ???」「は???」
「というよりもむしろ、とうとうこの時が来たか!!!くらいには思っているよ!!!」
「と言いますと?」
「実はねぇ……ボクは既に法律関連のひとたちと、ずーーーっとカチあっているのさ!!!ボクのせいで法律が増えるから!!!」
「お前、実は色々やらかしてたんだな……。」「違うって!」
「今までずっと裁判沙汰にはなってこなかったが、ボクが新たな発明をする度に、彼らがいちいちあれやこれやと言ってくるから正直うんざりしていたのだよ!!!」
「ボクはただ便利なものを作っているだけなのに!!!」
「しかも特許権すら放棄しているというのに!!!」
「なぜボクが文句を言われなくてはならない?!!」
「ぉ、おう……。」
「まあ、でもいいよ……!ボクは彼らのやり口を知っているからね!!!勝ちは最初から決まっていることさ!!!」
「すげえ自信だな……。」
「いつかはこういう日が来ると分かっていたから、ボクはちゃーんと法律家の資格も持っているうえ!!!そこそこの蓄えもある!!!真正面から勝ちに行くのが見え見えだね!!!」
「……心配した俺がバカだった……。」
「で、何の用だったっけ???」
「か、顔見にきただけだよ!精々頑張れよ……!」
「そりゃどうも!!!キミたちもボクに負けないようにね?!!凄腕の弁護士が見られるのを期待しているよ!!!」
「じゃあな!!!」「お元気で!!!」
……ボクが生まれたからには、こういう日が、誰かを守るための力が必要な日が来ると、最初から決まっていたんだ。
その日のためにボクはずっと頑張ってきた。
正直言えば、すごく不安だよ。
それでも、ボクはきょうだいを守り抜くと決めたんだ。
大丈夫。きっとうまくいくよ……。
To be continued…
最初から決まってたんだろうな...多分
私には好きな人がいた。
でも彼には好きな人がいる
しかもその人は容姿・性格共にいい...
そんな彼女に私が叶うわけない...
物語とかだとすれば
「彼女がヒロインで私は当て馬」って感じだったんだろうな...
でも、彼のことが好きだったな...
最初から決まってた
個人的には
いい時にだけ 使いたい言い方です
絶対に自分のせいじゃない時も
使っている気がします
ただ、誰かの不運とか
自分のつらさとかに使うと
何かが 減る気がするのです
私について 最初から決まってたことは
文字を読むのが好きなことだけです
それを仕事にしている今
大変だけど 悪くはありません
「私の恋は嘘でできている」
私は高校一年生、成瀬姫花です。始業式から少しの時がすぎ、2ヶ月ほどが経った。今日は土日休みで、家族で買い物に来ている。母が買い物カゴにどんどん商品を詰め込み、私は疲れたので近くの公園のベンチに座っていた。そしたら後ろからどんどん近づいてくる足跡がしてきた。私はすぐに後ろを振り向いたら、韓国にいた時によく一緒に遊んだリンとランがいた。私は急に日本に来た二人にびっくりした。「どうして日本にいるの?」
私は気になりすぎて聞いてしまった。「お前をずっと探していた。」と、リンが答えた。私は意味がよくわかっていなかった。私はへえーと言いながら母のもとに戻ろうとしたその時、「お前、今どこの学校に通ってるんだ?」とランに聞かれた。私は何も考えずに「ここの近くの私立の高校に通ってるよ、まさか私立に入れるとはね!」と言った。そしたらリンとランがふーんと言いながら去っていった。私は何が何だがわからずにいたが、そんなに深く考えずに母のもとに戻った。そしたら母がまっていてそのまま家に帰った。
そして次の日、突然全校集会があると報告を受けた。クラスのみんながなぜだか分からず、そのまま体育館に向かった。全生徒が集まり、全校集会が始まった。「今から全校集会を始めます、今日なぜ全校集会があるかというと、急だが転校生がくることになったからだ。」と司会者が言った。全員がわさわさしゃべり声をただ寄せながらの集会が始まった。転校生が入場する。「えーっと今回の転校生は韓国人なんですが、リンレイズくんとランレイズくんです。」と司会者は言った。私はその名前を聞いた瞬間、嘘だと思いたかったがそれは嘘じゃなかったらしく、昨日会ったリンとランが入場してきた。「俺の名前はリンレイズです、そしてこいつがランレイズ、俺たちは韓国人です。」
と軽い自己紹介をしてもらった。私は自己紹介が全然耳に入らず、それよりも何でここに転校してきたのかが気になりすぎて頭に何も入らなかった。そして転校生には毎回質問コーナーがあり、生徒が気になったことをどんどん質問していった。「好きな食べ物は何ですか?」「好きな食べ物はどっちも肉です。」
「趣味は何ですか?」「どっちもサッカーです。」
「じゃあ好きな人はいますか?」と私の隣の隣の人が質問をした。私もそんなことは今まで聞いたことがなかったから、少し気になった。「俺たちの好きな人は、この学校にいます。」と言った。生徒全員がびっくりっして探偵ごっこのようなことを静かにしていた。「特徴を言ってください。」と私と違う学年の人が言った。「えーっと、特徴は背が俺たちより低くて、ツンデレなところもあって、脅かしたりドッキリをしたりすると反応が面白くて、怖がりなところですかね。」っと答えた。それに少し迷ったのが全て私の特徴に一致していることだ。リンとランには何度も脅かされて、無理やりお化け屋敷に連れて行かれたこともある。でももしかしたら違う人とも仲が良かったのかもしれないと思った。そんなことを考えていたら、「じゃあ名前でヒントください。」と質問した人がいた。「そうだなー、苗字と名前、漢字で書くとどっちも2文字で、姫が名前につく。」と言った。私は少しだけ気づいた気になっていた、もしかしてそれって私かなと期待があった。「正解はー!!」と誰かが言った。「正解はー、成瀬姫花っていう、一年生です。」っとランが言った。私はびっくりして声を出しそうだったか、恥ずかしいと思って自分で我慢していた。そしたらリンが「この生徒の中に姫花いますよね。姫花!いたら立てー。」と言われた。私は恥ずかしすぎて立てる訳がなかった。「何を言ってるのよ。リンー、声も出せないし、立てないしどうしろと?!」
そのような状況に陥っていた私に気づいたらしくランが「じゃあジュノを連れてこようとしたけど、やめようかなー、おーい姫花、お前が出てこない限りジュノも出てこねーぞー!」と脅されてるのかと思いながらでもジュノは私の宝!!と思い、迷いなく立った。そしたら生徒全員が「あの子が姫花っていう子?私の方が可愛くない?!」「まじ?リンくんとランくん好きって思ったのにー!!」などの声が聞こえてくる。そしたら前に呼び出された。私は渋々歩いて、前に行った。「よっ!姫花!お前ジュノのことになると必死になるから絶対に来ると思ったぜ。」とランに言われた。これは本当に仕組まれた行動だったらしい。そしたらリンが「お前学校ではその格好なのか?」と言い出した。私は秘密をばらされるっと思って必死になって、「しー、」っと言った。そしたらランがニコっと笑い、大声でこう言った。「こいつ、韓国人でーす。」私はやばいと思ったが、もう遅く、みんなは驚きすぎて、体育館全体がえーの文字でいっぱいになりそうだった。私は必死で、「何で言ったのよ!ラン。」っと言った。そしたらリンが「韓国人でことは、韓国語話せるよな。」っと試すような口ぶりでそう言った。本当は嫌だったがもう生徒全員がこっちをめちゃくちゃ見てしまっている。私は全部が嫌になってこう言った。「私は韓国人です。そしてこの皆さんが見たいる姿は偽物でこれは着ぐるみです。私の本当の姿はこの中にあります。」と大声で言ってしまった。そしたら「見せて!!」という声が響いてきて、私はもうやけになって、チャックを開けて金髪で水色の目の本当の私の姿を見せた。そしたら生徒はもちろん、先生たちも当然びっくりした顔で、えーっと叫んだ。私は韓国語で自己紹介をした。「ヨロブンチョウムペッスムニダ、チェイルムン、ナルセコンジュックワ。ヨロブネゲ、コジンマルブットイッサスムニダ。ミアネ、クンデナッペンコジンマルクロダミャン。アップルド、ソヨンヘヨ、これで終わります。」
僕は無力だった。
カラスが僕達を嗤っている。
ザリ、ザリ。
僕とひろくんの舗装の荒いコンクリートの砂利を踏む音が虚しく響く。
じんじんと痛みの訴えが腕や脚から聴こえてきた。
ひろくんの方をみると、僕と同じ様に小さな擦り傷をあちらこちらにつけていた。
僕はカサカサの唇を噛み締めた。
ズズッ、ズッ。
横から鼻水をすする音が聞こえだす。
ひろくんの耳は赤くなり大きな涙をボロボロと流し出した。
きっかけは些細な事だった。
放課後、僕はひろくんとリバーシをしていた。
すると突然、体がひとまわりもふたまわりも大きな上級生達が僕らを囲み出す。
「それ、やりたいんだけど。」
ひろくんは下をうつむいて黙り込んでいる。
僕は勇気をだして声を出した。
「今、遊んでるから」
それから何度か言葉を掛け合ったが覚えていない。
パァン!!
ひろくんの坊主頭から大きな音がなった。彼らが手を上げたのだ。
すかさず僕は髪を引っ張られる。もみ合いになり必死に抵抗したが僕らに勝ち目は無かった。
僕らは逃げるようにその場を後にした。
悔しい。悔しい。悔しい。
うぐっ…ズズッ。
ひろくんから情けない音が鳴り響く。
我慢していた僕の瞼も熱くなる。
口を開けば僕も涙が落ちそうだったので、ポンとひろくんの肩に手を置いた。
僕も同じ気持ちだよ。辛かったな。唇を噛み締めながら言葉を肩に置いた手に込めた。
家に着くと祖母が迎えてくれた。
何も話さないでいようとしたが、耐えられなかった。
「おかえり」
優しい声が耳に届くと同時に涙が溢れだした。
祖母の胸に飛び込むと、ありったけの大声で泣き叫んだ。
祖母は一瞬驚きはしたが、すぐに力強く抱き返してくれた。
「大丈夫。大丈夫。」
僕の頭を撫でる祖母の手からは玉ねぎのにおいがツンとかおってくる。
今日はハンバーグだ。
「よいしょとぉぉ」
声が小さな声に響く。
デスクワークで痛めた首をぐるっと回し、コンビニで買ってきたハンバーグを頬張る。
ゆっくりと噛み締めながらそんな昔の事を思い出していた。
ふと窓の外を見ると。
まんまるな満月がこちらに笑みを浮かべているようだった
「最初から決まっていたさ、運命は。ただお前の勇気・行動が運命を捻じ曲げたんだ。お前はまだまだ強くなれる。だから、お前は俺の分まで生きてこれからの残酷な運命を捻じ曲げろ。」そして未来から来た魔王の息子は光の粒となって消えていった。
最初から決まっていた事は
私はまー
恋愛運はないけど
生命力運はいいって事やな
「先輩、もう卒業ですね」
「うん」
窓を開ければ今にも綻びそうな蕾の青い匂いの風がカーテンを揺らす。
春めいた柔からな日差しが私達二人を包み込むように優しく照らしていた。
いつになく穏やかな時間は嫌でも別れのときが近いことを意識させられる。
「寂しいです」
「電話するから」
素直に溢せば、優しく笑って宥めるような言葉が返ってくる。
それが寂しい。
からかいと呆れの装飾が外された振る舞いは、よく知っていたはずの彼を遠くの存在に感じさせる。
心臓から目頭へと熱が込み上げてきて、今にも涙に変わってしまいそうだ。
「お前も来るか」
多分これが最後のチャンスなのだ。
言葉を変えて何度も差し出されてきた、別れを遠ざけることができる選択。
わかっているのに動けない。
首をほんの少し動かすだけでいいのに、まるで冬が帰って来てしまったかのように冷たい日差しが私を縫い留める。
「なんてな」
「私には夢がありますから」
何度も返した言葉を吐き出す。
いつものように返せただろうか。
彼を見ていることができなくて、ようやく動けるようになった体で窓の外、どこか遠くを見やる。
「電話くださいね」
「うん」
「待ってますから」
「うん」
「メールもチャットも……手紙だってほしいです」
「全部送るよ」
優しい言葉はさよならにしか聞こえなくて、速くなる鼓動が目から涙を押し出した。
ぼやけて何もかもが混ざり合う景色の中で、よく知っている手の温かさだけが私が縋れるすべてだった。
最初から決まってた
私があなたのことを好きになると最初から決まっていたのならば…
こんなに苦しい思いをせずに済んだのではないだろうか…
最初から決まっていた
そう思うことが増えてきた、いやそう思って
心のモヤモヤを正当化しようとしているのかもしれない
これでいいんだ、こういう結果で決まっていたんだ
言葉にできない気持ちが押し寄せる
こうなるようになっていた。どの道を行ってもこれが現実であり変わらないものだったんだ
自分が自分である限りそう仕組まれていたんだ
後悔がないとは決して言えないけど、いまさらどうかできることでもない。
諦めて受け入れて整理をつけて道を歩くしかない
そう言い聞かせて思考のリフレインが鳴り止むのを待とう
最初から決まってた、ここに変な毛が生えてるってことは。
頭のつむじを原点としてみれば、(3,2)に生えている。
何って、座標だよ座標。xy軸とか、習っただろ。
他の毛は直毛で生えてくるってのに、この毛だけは芸術的だ。
お坊さんの手首にあるものを想像してほしい。
あるいは、ビーズが連なったものでもいい。
触りごこちは、ざらざら。
指先で挟めば、多種多様な凹凸を感じられる。
たぶん毛穴の構造がぐちゃぐちゃなんだろうな。
まだ毛の材質が柔らかいときに毛穴を通ってきてしまって、天然パーマみたく、ぐちゃぐちゃになっている。
僕は正直、ずっと触っていたいという気持ちと、さっさと抜いてしまえの気持ちがヤクザの抗争のように敵対関係にあって、後者の勝ち逃げとなっている。
それで、家で気づけばいいのだが、こんな芸術的毛髪に出会うときに限って外なんだ。
流石に取っておくって愚考、難しい。
だから、名残惜しい感じでゴミ箱に向かうのだ。
その間も、指いじりをするように凹凸感を楽しんで、そして素知らぬ顔で捨ててしまう。
人生にも「最初から決まってた」みたいなものはあるだろう。この毛穴みたいな人生を辿っていても、僕は、そう思える年代にいません。
だって、ぐにゃぐにゃしたいから!
僕は、こんにゃくさんだぞ〜。
まいったか、まいったか!
砂を、袋に入れていた。
甲子園の初戦で敗れた私たち高校の野球部は、
丁寧にかき集めながら、
砂を袋に入れていた。
その姿を、私は三塁側の応援席から見ていた。
見ているだけだった。
その姿に、ふと昔のことを思い出した。
砂の記憶。
幼少期の砂場。
友達がいない私は、一人、砂のお城を作って遊んでいたっけ。
360度どこから攻め込まれても迎撃できるように、
ぐるりと砲台で囲まれたお城。
夕方、日が暮れるまで一人でせっせと砂のお城を作っていた。
そうしているうちにパラパラと雨が降ってきて、
360度どこからも迎え撃てるように作った私のお城は、
どんどん崩れて、溶けて、流れてしまった。
なぜ、頑張って作ったのに壊れてしまうのだろう。
なぜ、頑張ったのに負けてしまうのだろう。
その事実に世界の無慈悲を想った。
神様はいじわるだから、たまにこういういたずらをするのかな。
それが運命なのかな。
でも、それでも、どう生きるかは、自分次第なんだよね。
きっと。
…
そっか、それに気づくために、
今ここにいるんだね。
『最初から決まってた』 完
最初から決まってた
最初から決まってたんだからしょうがないじゃん!
そんな悲しい事言うな!これからいくらでもどうにでもなる… 勝手に決めるな!
絶対に大丈夫だから! ママがついてる!!!
あたしが死んだとき、死神は言ったんだ。
「あの日、お前が死ぬことは最初から決まっていた」
って。あたしはまあ概ね満足行く生を送れたから「そうなんだー」くらいにしか思わなかった。けど、アイツはどうだったのかな?
あたしみたいなのと一緒になって、それどころか子どもを授けてくれたアイツ。
自分のことは二の次三の次で、あたしと子どものためだけに生きたアイツ。
あたし達のために身を粉にして働いた挙句、不治の病に蝕まれたアイツ。
それでも、子どもの成人だけは何とか見届けたいって、必死で生き、病と戦い続けたアイツ。
……そして、その願いが叶うことなく旅立ったアイツ。
アイツの死に物狂いの闘病の結末も、最初から決まってたのかな? そして、そんな残酷な真実をアイツに伝えたのかな?
あたしは死神に尋ねた。
「——————」
死神はまだ何か言ってる途中だったけど、あたしは死神の頬を引っ叩いた。
これで地獄に落ちたって、あたしは構わない。
悪い結果になった時、僕らは思う。
「最初から決まってた」と。
結果的に、自分にとって理想とは違う、目標とは違うゴールになってしまったけれど、その過程は人それぞれ。
最初から決まっているものなどなくて、もし最初から決まっているとしたら、それは誰かの誘いに乗って進み始めた道であり、自分で決めた「もの」ではない。
そんな人前では絶対に言えない事でも、ここでは言える。
言ってしまえる。
これは、自分への言葉です。
自分への言葉として書きたいという事は、最初から決まっていた。
いや、決めていた。
#2
#最初から決まってた
最初から決まってた
「お前が嫁に行ったから、
○○家は終わるんだ。終わらせたのは、
お前だ」
実の父にそう言われた。
○○家って、そんな大層な家かよ…。
ええと、私たちが女の子ばかりの姉妹で、
男の子がいないところから、
○○家の終わりは決まっていたのでは?
だいたい、父が郷里を出て、
近隣の大きな市に出てきた時から?
そもそも、父が一人っ子なのも?
私のせいにばっかすんなよ、糞爺が。
と、思っている。
でも、言われた時に
言葉に詰まって言い返せなかったので、
今度こそ蒸し返してやる。
首洗って待ってろ。
「あら?○○家を終わらせたのは、
お父さまですわよねえ?」って
言ってやるわ。
テーマ 最初から決まってた
「私、結婚するの。」そうやって僕に微笑みかけたのは、10年片想いし続けた女性だ。
天使の様な微笑みと裏腹に、言っていることは僕の心に深く切り刻むナイフのような鋭利な内容だった。
彼女と初めて出会ったのは高校生の時。まだあどけない女の子だった。
肩までの艶やかな黒髪に真っ白な透き通った肌。肌から滲むようなピンク色の頬。一目惚れだった。
ずっと言いたかった。「キミが好きだ。」と。たったその一言を言えずにずっと君の友達の振りをしていた僕は弱虫だ。
彼女に恋人ができる度、心が張り裂けそうだった。
でも言い出せなかった。友達なら関係が永遠に終わらないと思っていたから。ただの僕の傲りだ。過信だ。
何度も伝えるチャンスはあった。でも言えなかった。
もし伝えていたら、君は僕の気持ちに応えてくれていたのだろうか。
いや、それはないな。最初から決まっていたんだ。
君は僕だけの君になることはないことを。
「おめでとう。」僕はめいいっぱいの笑顔で君を祝おう。君の友達として。
最初から決まってた
最初から決まってたよと、
変えることなんてできないよと、
いっそそう言ってくれるのなら、
何もかもあきらめて
楽になれるかもしれないのに。
ほんの少しの希望が、逆に辛くなる。