『暗がりの中で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
観客のまばらな映画館だった。
古い映画のリバイバル上映。
公開当時はかなり人を集めた映画だったが、日々新しい作品は作られる。
撮影技術や演出も古臭くなり、出演している俳優もその名前を知る人は少なくなり、それでも名作とされているが故に何度目かのリバイバルとなる。
私はシートに身を沈め、聞き覚えのあるセリフ達を、聞くともなしに聞いている。
…いつの間にか眠ってしまったようだ。
映画は続いている。
このシーンもよく覚えている。
主役の少年の恩師でもある高校時代の担任が、校舎の屋上から大きく手を振るシーン。
大声を張り上げて、校庭の生徒達に別れを告げている…はずだが、声が聞こえない。
あれ?音響設備の不具合かな。
客が少ないからって、このまま上映を続けるつもりじゃないだろうな。
そう思って周りを見回すと、観客は誰もいない。
数人はいたはずだが…眠ってる間に出ていったのか?
スクリーンに目を戻すと、件の担任教師が、校舎の屋上から飛び降りるところだった。
…いや待て。こんなシーンは無かったぞ?
もう何度もこの映画は観てる。
こんなショッキングなシーンがあったら忘れるはずがない。
卒業してゆく生徒達に向かって、担任の先生が「頑張れよ!」とエールを送る感動的な場面のはずだ。
カメラは、落下してゆく教師を追いかけ、耳を塞ぎたくなるような音を立てて、地面に叩きつけられる瞬間を映していた。
「こんな映画じゃなかったですよね」
突然、背後から声をかけられ、慌てて振り返る。
さっきまで誰もいなかったはずの真後ろの席に、男が座っている。
暗がりの中で目を凝らすと、それは、スクリーンの中で校舎から飛び降りた担任教師だった。
いや…教師役の俳優と言うべきか。
「私も反対したんですがね。こんな脚本は良くないと。監督がどうしても聞き入れてくれなくてね」
状況が分からない。
何が起きているのか…この暗がりの中で…スクリーンにはエンドロール。
「この中に、私の名前、見つけられますか?」
この役者の名前…確かに、覚えていない。
「どんどん忘れ去られてゆくんですよ、私達は。単なるお芝居の中の登場人物として、存在していないものとして」
何の…話だ?闇が濃くなってゆく。
出口は…どこだ?
エンドロールが終わり、暗転。
しばらくして、照明が灯る。
後ろの席には、誰もいない。
だが、周りの席にはちらほらと観客が座っている。
元に…戻った。
何だったんだ、今のは。
映画の途中で眠ってしまって、夢を見たのだろうか。
それ以外に考えられない。
あの教師が地面に叩きつけられる音が、耳に残されている。
そんなシーンは無かったはずなのに。
映画館を出て、スマホであの役者を調べる。
…数年前に亡くなっていた。
そして、今日が命日だという。
死因は明かされていなかったが、あの音が耳から離れない。
そういえば、こんな名前の役者だったな。
「名前、覚えたよ…いや、待てよ」
映画のタイトルで検索して、彼が演じた教師の役名を調べる。
「覚えておいて欲しかったのは、こっちの名前なのかもしれないな」
あの、全身全霊で演じた、彼の代表作。
また、リバイバル上映されることがあるなら、きっと観に来るだろう。
彼の熱演が、忘れ去られることのないように。
人々の記憶の中で、葬り去られることのないように。
暗がりな中で
叫び続ける
なんで!どうして!なぜ私!?
誰もわかってくれない理解してくれない
心が明るくなれないずっと閉ざしてるから暗い
作り笑いも疲れた
スマホで気晴らし
我に返るのが怖い
ずっと探してる光の明るさを
私の光はどこにあるのかな…
誰かに聞けばわかるのかな…
何処かに行けば見つかるのかな…
無い無い無い無い無い
暗がりにいる自分を救い出せるのは私しかいない
待ってて、時間はかかりそうだけど絶対救い出せるから
暗がりな自分の中の私
暗がりの中で
人生を歩くって
未来に向かって歩くって
暗がりの中を歩いている様である
不安という暗がりの中で
いかに自分を信用することができ
自分の考える通りに行動できるのか
試されている
暗がりの中の行動は怖い
けれど行動できた人にはきっと答えがくる
私もあなたも人生の答えに向き合う為に
怖いけど暗がりの中を行動していく勇気を
明日からは持って生き抜きたいものである
こっそりと押し入れに
懐中電灯とお菓子と漫画持ち込んで私だけの秘密基地。
親に見つかり叱られるも、これもまた良き思い出。
暗がりの中で
・暗がりの中で
自身の手さえ見えないほどの闇の中、どれがボクでどれがボクじゃないのか何も分からない夜の中、潜むように静かに歩いているキミを見つけた。
闇夜に消えてしまいそうな、それでいて何よりも暖かく輝いてるキミが僕にとってどうしようもなく眩しかったんだ。
いつかその輝きを手にすることが出来たなら、きっとボクもキミのようになれるのかな。
希望と夢はなくすな
暗闇のなかで
たとえ光が見えそうになくても。
しんと静まり返った夜の住宅街。バイトを終え、家路を辿っていた。昼までずっと雨が降っていたので、ジメジメした空気がまとわりつく。街灯が100メートルに2、3個だけの道をトボトボ歩いていた。高校を卒業した後、地元を離れ一人暮らしを始めた。親も地元の友達とも離れた生活の中、大学では趣味で天文サークルに入り、広く浅い交友関係を築いてきた。
はぁ、と無気力なため息をつく。最近始めたコンビニのバイトはなかなかやることも多くて、仕事が覚えられず怒られてばかりだ。
「俺、ダメだなぁ」
こうして怒られてばかりでは、どうしても弱気になっていく。高校生の頃は、星の博士になるんだ、と意気込んで受験勉強にも学校の誰にも負けないくらい励んでいた。成績はいつも1番だったし、周りからも褒めて貰えた。きっと自分は成功していくんだと、これから歩んでいく道は明るいと確信していた。しかし大学に入り、自分よりも優秀な人は山のようにいて、井の中の蛙であったことを知った。明るい道など自分には用意されていなかった。そう思い知らされてからは、勉強にも昔ほど取り組まなくなっていた。
ガサガサッ。暗がりの中、物音がした。驚いて振り返ると、草むらからキツネが2匹出てきていた。きっと親子であろう。わるい菌が移るのも嫌なので、追い払おうと、足で地面を叩き威嚇した。今まではこうすれば、カラスも野良猫も野良犬も決まって逃げた。しかし、キツネは逃げなかった。親ギツネであろう、子ギツネを後ろに隠れさせて、こちらを睨みつけている。鬼気迫る目つきに、怯む。吐き出せない何かを胸に感じたが、再び歩き出すことにした。10数歩歩いてから後ろを振り返ると、キツネの親子は居なくなっていた。
親ギツネは子ギツネを守ろうと必死だったに違いない。だから威嚇にも怯まず、こちらを睨み続けていたのだろう。夢に必死だった高校生の自分を思い返す。キツネと目的は違えど、自分は必死だった。周りの人々を圧倒し自分は正しい道を進んでいるのだと自分に証したかった。今はどうだろうか。周りに圧倒され、正しい道どころか、道を進むことさえ諦めている。情けない。まずは思い出すところから始めよう。なぜ自分はあんなに必死だったのか。きっかけは夜空に浮かぶ月を綺麗だと思ったことだ。
空を見上げる。10月の上旬、午後9時。東の空にオリオン座を見つけた。夜になって、空は晴れていたのか。それから、空全体を見渡して、次々と星座を見つけていく。大切な思いを取り戻すように、いちばん明るい星を、つまんで、胸にしまっておいた。
暗がりの中で
「ずっと一緒にいよう」
「うん」
花火大会の帰り道、約束した。
次の年、その次の年も一緒に見た花火。
4回目。私はベッドの側に座って、大きな窓から一緒に見た。
「……来年も見れるかな」
「きっと見られるよ……」
初めて一緒に見た場所にひとり。
見上げた花火は滲んで見えた。
「暗がりの中で」
暗がりの中で私は怯えていた。
理由は、怖い夢を見たから。
現実では起きていない事だけれど、凄くリアルだったから、現実で起きたらどうしようと不安になり、怯え、布団にくるまった。
帰宅した時は、まだ外は明るく、部屋の照明をつけなくても明るかったからそのままにしていた。いつの間にかベッドで疲れて寝ていたみたいだった。
起きたら、部屋が真っ暗で怖いと思った。
そして、怖かった夢の内容を思い出し、布団にくるまって今、現在に至る。
私と君のふたりでこの家に暮らしている。
「ごはん出来たよー!」
君の声がした。
少し待っても反応がないと判断したのだろう。
ドアをノックをする音がする。
私を呼びに来てくれたみたいだった。
「開けるよー」
「どうしたの?また怖い夢でも見たの?」
私の様子を見て、君が言った。
私が頷いた。
君は私の頭を撫でてくれた。
「あんしんする。ありがとう」
私は呟いた。
「うん!」
私は、君に助けられてばかりだから、君に何かあったら助けたい。私と君、支え合いながら暮らせていけたらいいなと君と晩ごはんを食べながら私は思った。
※10/24のお題「行かないで」加筆しました。
──君だけを照らすことができたなら。
輝く金髪、深い紫の瞳。どちらも貴族によく見られる見目だ。自分は下町で育った、ただの庶民だというのに。
実のところ、貴族の血は入っている……らしい。自分を一人で育ててくれた母が昔言っていた。普段はきはき話す姿と違って、言葉に詰まりながら。
『お前の父親は貴族だけど……もう、いないから。気にしないで』
母は、父だという男のことを夫とは呼ばなかった。それはつまり、そういうことなのだろう。自分の家族は母ひとり。それだけのことだ。
***
「君の金髪、きらきらしてて綺麗だよねえ。遠くから探しててもすぐ見つけられる」
「……そう?」
「うん。太陽みたい」
(暗がりの中で)
後日加筆します。
「此処が暗いというならば」
「君は光の中にいたのさ」
「此処が明るいというならば」
「君は闇の中にいたのさ」
「この薄明が安心するなら」
「この薄闇が心地良いなら」
「それは否定されることでもないさ」
「生きやすい場所で息をするのさ」
‹暗がりの中で›
暗がりの中で
集めた光
歩いた道
暗いから怖いし
何も見えないから何もわからないし
何をしてるか分からないし
お先真っ暗って嫌だな!
暗がりの中で見つけたものは
誰からもらったものでもなく
自分の中にあるものだった
誰かに求めるだけの自分には見つけられなかった
手放さないと見つけられないものがあると知った
傷ついて辛くて悲しくて寂しい中に
私というたったひとつの光があったんだ
暗がりの中で
私は37歳独身。
中小企業で事務職に就く普通のOLだ。付き合っている人はいても、いつも長続きしない。
結婚なんてとっくの前に諦めてる。
そんなある日突然、ポストに手紙が届くようになった。送り主の名は書いていない。不審に思い、警察に届けようかと思ったけど中身を見て思い止まった。
あの人の筆跡によく似た文字だったから。10年前に突然いなくなってしまった彼。
私が唯一、心から愛したあの人。
恋文と受け取れるような時もあれば、どこかの風景をただ描写していたり、不思議な言葉を並べただけの走り書きに近いものもある。
書かれた文字は歪んでいたり、かすれていて読みにくい箇所が多い。
本当は誰が書いたのかわからないそれを何度も何度も読み返した。全て暗記するほどに。
読むたびにあの人と過ごした日々が甦ってくる。そして、彼に会いたくて胸がギュッと締め付けられるのだ。
毎日手紙が届くようになって半年程過ぎた日のこと。
ある晩、近くの路地裏の暗がりの中にうずくまる人影を見つけた。
「おかえり」
「たこ焼き買ってきてくれた?」
男は黙って俯いている。
クシャクシャになった紙切れを手渡される。手紙と同じ筆跡のその文字は短い詩が書かれてある。
「見せて、傷口。」
大丈夫
私があなたを死なせやしない。
end
星を眺める私の横で君はタバコに火をつける
何を話す訳でもない
ただ傍で時間を共にしているだけ
なんでもない特別な時間
もうあの匂いを感じることは無い
もっと君と居たかった
微かな灯に照らされる君の顔を見ていたかった
もう叶わない願いと知っていても
あの日を思い今日も1人涙を流すだけ
#暗がりの中で
暗がりの中でぽっと灯る朧気な光。それは君の手の温かさ。
私は何度その光に助けられたことだろう。
私が闇だとするならば君は光。決して交わることの無いけれど、君は何度でも手を差し伸べてくれた。
暗がりの中にふわっとあたたかい光がやどる。
そして私の心も軽くなる。
まるで暗がりの中のたったひとつだけの星みたいに。
zene
土砂降りの雨を降らす黒い雲すらすり抜ける。隠し切れない暗がりで、目を凝らすわずかな時間稼ぎでいい。
二度と来ないチャンスなら、殴られても蹴られても手を離さずに捕まえる。
どうしてもこの人でなければいけなかった。
雲の向こうで神鳴りは見咎めるが、うまく隙をついた罪は成就した後です。
罰ならこれからいくらでも、体当たりしていくつもり。
ただひとつ、痛む拳を引っ込めて諦めてくれたこの人は、気の迷いだと見逃して下さい。
「暗がりの中で」
「暗がりの中で」
闇に閉ざされた私の心の中は、ずっと真っ暗で、真っ黒で。
誰も信じられず、誰も求めず。
全てを拒否して、微かな光さえも差さない程の、本当の真暗闇だった。
そんな私に、貴方は微笑みかけて、言葉をかけて。
最初は貴方の存在は、私の目にも心にも映らなかった。
貴方の言葉も、全く私に届かず、響かず。
でも、貴方は根気良く、長い時間をかけて私の心の中に入ってきた。
少しずつ貴方の声が聞こえてきて、姿が見えてきて。
木漏れ日が木々の隙間から差す様に、貴方という光が私の中に差してきて、閉ざされた私が、少しずつ開いて行った。
そして、今まで、キチンと見えなかった貴方の姿が見えるようになり、私の扉も開かれて。
そしたら、貴方だけでなく、周りにいる他の人の声も聞こえるようになって、姿も見えた。
私の周りは、敵ばかりじゃなくて、実は暖かい人が溢れてた。
そんな当たり前の事に、やっと今気づけた。
何で今まで気づけなかったのだろう。
自分の辛さは見えて心を閉ざしたのに、何で人の辛さとか優しさが見えなかったんだろう。
貴方が光をくれたから、見えた。聞こえた。気づけた。
貴方にも、周りの人にも。
ごめんなさい、有難う。
これからも、私が駄目だったら叱ってください。
甘えてたら、言ってください。
辛い時に受け止めてくれる場所がある事を知った私は、前よりは強くなれたと思うから、キチンと受け止めて、考えて行けると思う。
そんな自分になれたと思うから。
昔は暗い場所が怖かった。
恐ろしいものが潜んでいて、
暗闇からこちらを覗いているように思えたからだ。
だが、気づいた時には暗い場所も平気になった。
昔は怖かった中が全く見えない暗い部屋も、
恐ろしいどころか入れるようになった。
自分が大人に成長したように感じた。
大人になって嬉しいような、悲しいような。
なんとも言えぬ感情が胸に広がった。
私の心は暗い
けど…唯一私を誰かが照らしてくれたのが
家族だった。
けどとても優しくゆりそってくれてうれしかった