『時を告げる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今その時を告げる。
命の終わりの時を告げる。
次はどんな場所に行けるだろうか。
もっと安らかに過ごせるだろうか。
『時を告げる』
初めて友達が出来た幼稚園
初めて喧嘩した小学校
初めてズル休みした中学校
初めて勉強を頑張った高校
初めて自由を手に入れた大学
今までと自由を忘れた社会人
…。
時は永遠に流れている
時を告げるは、日常使わない言葉。頑張って乏しい私の体験に目を向けると、「おしまい」と言われてる感じと言い渡される感じがするかな。
あの別れの時を告げたのは医者だった。「ご臨終です」ほど、ただその時を告げる言葉はなかったな。この先も聞きたくない言葉だけど、また聞くのだろうか、また告げられるのだろうか。
長年貴方と過ごしてきた
貴方と過ごした思い出は数知れず
私の脳では収まりきらない気さえするが
余程大切だからかしっかり収まっている。
時間すら忘れてしまっていた程
私は貴方と楽しんでいたようだ。
病院の心電図の音が
私に時を告げた。
時を告げる24時になったらまた会おうよ
また、墓場でさ、話そうよ
そして、また25時になったら、
消えちゃうんだね。
『時を告げる』
医者の歓喜。
家族の賞賛。
目覚ましの音。
チャイムの鐘。
他人の怒号。
友達の嘲笑。
画面の嫌悪。
知人の悲鳴。
───の叫び。
木魚の音が、最期を告げる。
時を告げる魔法の鐘
さあ急げや急げ
新しい未来が
誰かに隠れて待っている
その『誰か』になる勇気を
今、キミはもっているかい?
始まりの音色
誰かが紡いだ歌に
エールを受けながら
『キミ』という未来が
可能性の旗を掲げ
“社会”という名の
未知なる大陸を旅して行く
時を告げた魔法の鐘
さあ急げや急げ
未来を描き始めている
キミのキャンバスを離さないで
手放してしまったら
2度と還らぬものだと知って
継続の音色
誰かが描いた絵に
感動をもらいながら
『キミ』という明日が
叶わない夢などないと
“社会”という名の
未知なる大海を旅して行く
さあ急げや急げ
新しい未来が
誰かに隠れて待っている
その誰かになる勇気を
今、キミは持っているハズだから
さあ、怖じ気づかずに
その両腕を
未来に
のばして!
#時を告げる
作者コメ→今回はこんな感じでどですか?
↑(M×T×ER風)五月雨深海魚
とある
大型洋裁店にあった
大きな大きな羊の時計
正時になると
手に持っていた
これまた大きな編み針で
優しいメロディーと共に
ゆっくりゆっくり
マフラーを編んでゆく
あなたはそれを見て
『いつ、編み上がるんだろうね』と
言って笑っていた
あれから数年。
あなたは突然、
私に別れを告げぬまま
私はあなたに『ありがとう』もいえぬまま
ひとり、旅立って行った
2度と戻らぬ旅路へ
あなたが居なくなってから
もうその時計を
見ることはなくなったけれど
まだ、編んでいるのだろうか。
優しいメロディーをBGMに
永劫に編み上がらぬマフラーを。
#時を告げる
花鶏ヨリ→とある大型洋裁店とは
ユ…ピー!(←規制)ワヤです(笑)
ふとした時に思い出すあなたの顔。
優しくて、暖かくて安心するあなたの声。
笑った時のふにゃっとした砕けた笑顔。
どれもこれも、時間を忘れさせてくれるくらい
幸せだった。
1日の中で、貴方に出会えたら幸せで、
この想いが気づかれないようにって自分に蓋をした。
はぁ、これで何人目なんだろうなぁ
臆病な私は、いつまでたっても自分の檻から
抜け出せない。
一生、この負のスパイラルから抜け出せることはない。
今日も、世界一幸せで、世界一辛い片想いをする。
ぴこんと鳴ったスマートフォン
「別れよう」
終わってしまった私達
あまりにも呆気ない終わり方だった
12時を告げる柱時計
あぁ、魔法は解けてしまった
「時を告げる香り」
「さあ明石、新造出しも終わったんだ、今日から一本立ち出来るよう、気張るんだよぉ」
煩い遣り手婆がニヤニヤしながら言うもんだから、引きつる笑顔で「あい」返事をした。
一本立ちの意味は分かるが、一本って何の一本なんだろう、まさかアレじゃないよな。
「ねぇ、東雲姐さん。一本立ちの一本って何?」
そう聞くと、昼見世を終えて一息ついてる姐さんは、煙草の煙を外へ向かってふぅと細く吐いて口を開く。
「『東雲姐さん、聞いてもようござんすか? 一本立ちの一本とは何でありんすか』と、聞けぬ妹女郎に、わっちは頭が痛ぅなってきんした」
はぁ、と小さな溜息を吐いて眉を下げる姐さんは、カンカンと煙草盆に火種を落として、私に向き直る。
「あ、ご、ごめんなんし……」
姐さんがきっちりと座り直すので、私も崩した足を直して姐さんの目を見る。内心、やっちまったと反省した。
「明石どんや、主は新造出しも終えた立派な女郎でありんす、しっかり廓の流儀は守らねばなりんせん。後に続く禿のためにも、わっちが教えささんした事はきちんと──」
「し、東雲姐さんっ。わっちが悪ぅござんした。長いお説教は堪忍しておくんなんし。わっちが知りたいのは一本でありんす」
眉間の皺を押さえて東雲姐さんは、ふぅと呆れた様に息を吐いて「禿を呼びなんし」と呟いた。
私は禿のイトとコトを呼ぶと「あい」と二人がやってくる。
「ちょんの間で使う香を持ってきなんし」
「あい」
そう言われて二人はキビキビと動いて言われた物を持ってくる。
「良いでありんすか。明石、イト、コト。ようお聞きなんし。一本立ちの一本はこの線香一本の事じゃ」
「線香一本、でありんすか……わっちはてっきり、マ……」
「明石どん、姐さんの話は黙って聞きなんし」
キッとイトが睨む。
「そんな下品で、東雲姐さんの名を貶めるのはやめなんし」
コトがやれやれと呆れて見せた。まだ何も知らないロクにアレも見たことも無い禿の癖に分かったような口を聞く。けれども、今回ばかりは自分でも品が無かったと私は顔を赤くして頭を垂れた。
「ごめんなんし……」
東雲姐さんは言い得て妙だと少し可笑しかったのか笑いを噛み殺し、咳払いをして話を戻す。
「良いでありんすか、この線香一本の間に客を満足させたら一人前。かように短い間にお客様を持てなし、尽くすのは簡単な事ではありんせん。ようく精進しなんし」
あい、と私達は返事をした。
「でも、東雲姐さんは線香を使っておりんせんが……」
ハテと思いついて口にしてしまった。すると、今日一番の深い溜息を吐いて、東雲姐さんは呆れ果てて力が抜けたと笑った。
「わっちらのような座敷持ちは、客の方が線香一本の儚い時間では足りんせんと、一晩に銀を払う遊び方をするもんじゃ。どれ、遣り手婆に話をつけて、ちぃと灸を据えてやろう」
イト、コトと呼んで、東雲姐さんは眉間の皺を揉みながら、また煙管を手にした。二人は頬を膨らませて怒っている。
「いらぬ口を申しんすな。東雲どんをちょんの間と同格にみるなど、なんたる不届きモンでありんすっ」
「それでも東雲どんの妹女郎でありんすかっ。お大尽様が線香一本などしみったれた遊びなどしませぬ。遣り手婆に言いつけささんすっ」
ああ、余計な事を言っちまった…。
私は思いつきで言ってしまった自分を馬鹿と罵って、真っ赤になった遣り手婆からどう逃げようかと考えるのに忙しくなった。
スタンドライトを点灯する、イヤフォンをつける、ノートを広げる、ラジオの電源を点ける、コーヒーの湯気がゆらりと震える、ペンを握る、ラジオから始まりの曲が流れる、鼓膜が震える、チョコレートをかじる、私の夜が始まる
『時を告げる』
あと5分!
私は時計を何度も確認する。
バイトの時間まであと5分、今すぐ家を出なければ遅刻してしまう!
焦っている時に限って必要以上に時計を確認してしまう。その時間に準備をしなければならないのだが…。
慌ててバイトの制服をカバンに詰め込み、髪型を整え家を出る。
バイトの時間まであと3分。
#時を告げる
時を告げるはずの時計の針は
いつまでも止まったまま
ただそこにあった
明日取り壊される家の中、ただ静かに
この場所が好きだった
古い日本家屋、縁側に寝そべる野良猫
畳の匂い、いつも綺麗な仏壇と兵隊さんの写真
風に揺れる風鈴、頭を撫でるしわくちゃな手
そして、あの時計
苦労してきたんだなって思った
あまりに顔をくしゃくしゃにして笑うから
あまり字を書けない人だったけど
器用で、料理上手で、とにかく世話好きで
優しい人だった、僕は皺一つない
ほんと愛想悪いガキだったのにさ
いい子だね、なんて
救われてたんだ、なのに
僕はあの人を救えなかった
都合よくしょうがないと呟いた奴も
一緒に連れてってと思ってしまった僕自身も
ますます嫌いになった
少しだけ皺が増えた僕は
今も願い続けている
神様も天国も信じてないけど
どうか、どうか
報われますようにと
さあ、時は満ちた
後は自分自身が
動くだけ。
女神が微笑んでいる
さあ、私の手をとりなさい、と。
お題 時を告げる
時を告げる
むかし、祖父母の家の仏壇の横。
柱の真ん中に、かけてあった振り子時計。
そんな大きいやつじゃない。
時間が丁度になると、
ごーん、ごーんって鳴りだした。
その時間の回数だけ、音がなる。
一度だけ。
ねじを巻くところを見せてくれたことがあった。
キリキリと回すのが、とても不思議だった。
これをしないと時計がおかしくなるからねって。
今はもう、なくなってしまったけれど。
聞こえないはずの音が、
響いている気がするんだ。
「時を告げる」
もう我慢せずともいいんだよ
茜色の空に沈む夕日が
その時を告げる
日中の哀しみ辛さ全て
我慢せずに泣いてもいいよと
033【時を告げる】2022.09.07
ああ、なんていまわしい。時を告げる鐘!
シンデレラはいまやすっかりみすぼらしいもとの姿にかえった自分をながめまわした。つややかな絹のドレスもなにもかも、一切合切が消失し、ただ、ガラスの靴のみが、彼女に残されていた。しかもそのガラスの靴さえも。彼女の手もとには、片方しかなかったのだ。
せめて靴だけはとりもどしておこう、と彼女は襤褸の身をかくしながらもと来た道を戻っていった。舞踏会とはあまりにもかけ離れた身なりを、中天の満月が容赦なく照らすのにひるみながら、あの大階段へと戻っていったのである。
するとどうだろう、階段の真ん中に、王子がいるではないか。なにかをもって立っている。目をこらさずとも、月光のおかげで、王子の手中のものがなにかきらきらするものであることは容易にみてとれた。まちがいない。階段の途中でつまずいたときに脱げた靴の片方だ。だだっ広い大階段のただなかに、ぽつねんとたちつくしながら、持ち主に見捨てられたほうのガラスの靴を手に取り、王子がしげしげとながめまわしているのだ。そして、王子は、ガラスの靴に、口付けした。まるでそれがいとしい女性の素足であるかのように、おもむろに、深く。
たちまちシンデレラは情熱を感じた。まるで自分の肉体に王子の接吻をうけたかのように。あなたのいとしい私はここです、と名乗りでたかったが、このぼろ着。とてもさきほどのシンデレラとは理解してもらえまい。が、ふと。彼女は気がついた。真夜中の12時の鐘の残響とともに魔法は解け、きらびやかな装いもなにもかもが失われてしまった、とおもいこんでいたが。左右のガラスの靴同様、いまだ消えておらぬものがあったことを。
それは、彼女自身であった。
実態の無かったものは消えたが、実体の有るものは消えなかった。いや、もとより消えるはずがないのだ。
王子はこれでも私と気がつくかしら?
シンデレラは、目鼻立ちには自信があった。声も透き通るような美声であると、かねてより自負していた。だから、彼女は賭けにでることにした。
シンデレラは、素足で一歩前に進み出た。もう片方の足には、ガラスの靴を履いたままで。
月明かりが、彼女のかんばせを照らした。その瞳は、青玉のようであった。
あなたといる時間は何よりも輝いて過ぎるのが早かった……離れるのが寂しかった。いつまでも一緒にいたかった。でもそれは出来なかった……離れたが最後そのまま終わりを告げられてしまった……私はどうするのが正しかったのだろう……
子供達の一時の思い出も、
ひぐらしの朝夕の訪問も、
だんだん聞こえなくなってきた。
時を告げる