『春爛漫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
春の妖精の王みたいな顔で笑うあなたが好きだった。好きとも嫌いとも愛しているとも言えず、「幸せでいてね」とあまりに傲慢でむつかしいお願いを繰り返した私に、あなたはよく熟年夫婦じゃぁないんだから、とお手本みたいな美しい顔で笑ってくれた。
花筏に乗って届かぬところへ行ってしまったあなたの目に、この恋の燃えかすがながれつかぬように、この愛のかけらがとどかぬように、わたしはただ祈っている。
「みんな卒業おめでとう。
みんなの担任として、
1番近くで成長を見守ることができたのが
本当に嬉しいです。
中学生になっても、
それぞれ別々の道を歩んでいくことになっても
私は一生みんなの先生だし
みんなは私の可愛い生徒です。
離れていてもみんなの健康と幸せを願っています。
みんなが歩む先がどうか光で溢れ出すように。」
教壇を見上げる、今日卒業を迎えた生徒達
その顔は寂しさに涙を浮かべながらも、
希望に満ちた優しい笑顔だった。
教室に並ぶその笑顔は
まるで春風に揺られる花のように美しく感じた
春爛漫
春って言えば良いイメージが浮かぶ
子供達がはしゃぐ姿に、桜が舞う風景
ちょっと、遠くに行けばそこには桜が満開で、
とても心地よい気分になるはずだ。
私だってもうすぐ入学式がある
新しい制服で、見知らぬ道を歩んで行く
あーだったら良いなー。
こーだったら良いな~と毎回現実と理想を行ききし、ついには錯乱する
LINEの通知を待っては、絶望しはたと寝る。
それの繰り返し。
花が咲き乱れて、外では光で満ちていく
外は綺麗で、自分が醜くなって、
まるで、無能なニートになった気分。
君がいない世界で、私はどのように生きれば良い?
どんな私を演じれば良い?
そうあれこれ考えているうちに、
酷い睡魔に襲われる。
部屋の中には散在する錠剤と
アルバムに写り込む無邪気な君
ただ、それだけでよかったんだ
桜が舞う窓の上で、透き通る何かが宙に揺れる
唇は、朱色に染まって、頬には赤みがさしている
窓からは春の穏やかな風が、外ではウグイスの鳴き声が
ただ、それだけでよかったんだぁと
そんな春の憂鬱だった。
最後まで
カッコつけてたなあ
蕾のままのピンク色と
したたかに咲く白色と
枝の先に見えたトラックなんかを追って見て
静かにひとつくしゃみをする
ちょろちょろと流れる川の音に気付いて
とたんにぶわっと風が吹く
見るのと聞くのと触るのと
高次元の遊びに酔いしれる内に
時間はどんどん過ぎていった
スマホは家に置いてきた
そこに言葉は無かった
ただそこに僕がいたということだけがあった
そうやってこれからも生きていこうと思った
この桜は僕の知らないうちに満開になる
僕はこの目と鼻と耳と肌でいまを感じていればいい
それでいいと思う
春爛漫
【春爛漫】
サクラだ何だ
蝶よ花よと
イメージするところはある
けれど
素直にそれに乗っかれないのは
ひねた性格のせいか
遠のいた者の僻みなのか
どちらにしても
春爛漫
そのイメージとは
相反する心情だろう
だけど
縁側に座って
庭で遊ぶ孫を愛でながら
茶を啜る
そんな感じもしなくは無い
【春爛漫】15
「うわぁ…」
そこは現実とも夢とも言えない、何とも絵に描いた…それもちょっとおかしいわね。
言葉では言い表せない世界が目の前には拡がっていたのだ。
目にするもの全て華やかな美しさ。
ここは本当に在って良いものなのか?
そう悩みそうになるくらい現実離れしていた。
見渡す限り花一色。
その中でごちゃごちゃと騒ぎ立ててる一団が。
何とも異様な異彩を放っていた。
チェシャ猫の言った通りそこには私が探し求めた集団が御茶会なるものを開いていた。
メルヘンチックなこの場所で。
しかも男だらけで。
…別に男だけでも良いのだけど。
?「…処で何時まで其処に突っ立ってるつもりだい?麗しいお嬢さん」
「え」
う、麗しい?
生まれて初めて言われたわそんな言葉。
突然沢山の花をあしらったシルクハットの紳士風の青年が話しかけてきた。
?「てか、呼ばれてもいないのにここに居るって無作法にも程があるよね?」
?「ぶ…さほう…zzz」
無作法ですって?
次に御世辞にも紳士とは呼べない、頭から垂れたミルクティー色の兎耳を生やしたホスト風の青年が私を値踏みするように上から下まで見るとにたにたと嫌な笑みを浮かべた。それから少し小柄なこれまた頭からねずみの耳を生やした少年がテーブルに突っ伏しながら眠そうに呟いた。
「それなら、男性が女性に気安く声をかけてくるのは無作法にはならないのかしら?」
ムッとしたのでつい言い返してしまった。私の悪い癖だ。
?「おや、それは失礼したね。私はイカレ帽子屋、この御茶会の主催者さ」
?「俺は三月兎!毎日がお祭り騒ぎだ!」
?「寝、む、り…ねずみ…zzz 」
帽子「さぁ、こちらの自己紹介は終わったよ。君の名前も教えてくれないか?」
「そうね…」
ちょっと釈然としなかったけど一応名乗られたのだし私も自己紹介しなくちゃ。
そう思ったのだが。
「私の名前は…」
…やはり、自分の名前を言おうとすると頭の中に白い靄(もや)がかかって言葉にならなかった。
春爛漫
東京では、落合の神田川沿いの桜がとても好きだった。
変に観光じみていなくて、金曜の深夜に歩いていると路上でビール缶を片手に桜を眺めるサラリーマンなどがいて、それもまた良かった。花見は、やろうと思えばいつでもできる。そういう春が、好きだった。
あとは、観光地的なものだと、函館の五稜郭に咲く桜を眺めるのも好きだった。函館は、いくなら春が1番好きだ。五稜郭タワーの一階で売られている桜アイスも、1番美味しい。
どちらも、春に産まれた、大好きだった人と訪れた場所だった。私のつまらない記憶と場所を、桃色でいっぱいの爛々で嬉々とした思い出に変えてくれた。
それだけで、充分だったのにな。
【書く練習】
仕事がヤバイ
疲れがたまってる気がする
変にハイになって、何でも出来る気分だけど
反面キレやすい
こんなに頑張っているのに、どうして誰も労ってくれない
気遣ってくれない
どうしてどうして
自分すごく働いてる
すごいすごい
嗚呼、体が暑い
もう、止まらない
春爛漫
日に日に暖かくなり、
桜が満開になる、春爛漫の頃
私は毎年、あの人と見た桜を思い出す
あの人は覚えてるだろうか、
忘れたと思っていた
送られてきた、同じ場所の桜の写真
あの人も少しは思い出すことがある、そんな気がした
私の勝手な勘違いかもしれないけれど
私が送った植物を処分したり、誰かに譲るわけでもなく、持って行ってくれたと聞いた時
あの時の私は大切にされていたんだ、と後から知った
取り返せない時間
戻れない過去
振り返ってはみるものの
私は前に進みたいから
思い出はそっと、そのままに置いておく
両手に花、、、そうつぶやきがら花を摘んでいた。少し蔭って肌寒い校舎の中庭、スーッと吹き抜ける風が砂を巻き上げ乾いた僕の目に入る。
「痛った」
痛くもないのになぜか出るこのセリフに、クスッとニヤついてしまった。1人で何してるんだろwそう思っていると、
「何ニヤニヤしてるの?wダンゴムシでも居たの?w」
と、背後の校舎の壁から聞こえてきた。
少し頬を赤らめながら振り返ると、少しからいたいという思いが顔ににじみ出ている先輩が居た。
いつもと違う、いじわるな先輩にドギマギしながら僕は、綺麗な花があるんですよと言わんばかりに花を指さした。
先輩は「私の方が綺麗ね」とこちらを見ながら言ってくる。てきとうにそうですねーと言うと先輩は少し不満そうに手を掴んできた。
「そんな綺麗な私が嫉妬しちゃう花を特別に見せてあげるわ」
先輩の手を振りほどく訳でもなく、握り返す訳でもでもなく、ただついて行った。甘い花の香りだなぁとぼんやり思っていると、先輩の歩みが止まった。
「この先は目をつぶって来て」
目を見ながら言われた僕は少し目線を逸らしながら目をつぶった。先輩の手を頼りに歩いていると
歩みが止まった。
いいよと言われ、期待を胸に目を開けると
目と鼻の先に先輩の顔があった、思わずわっと声をあげると、それに驚く先輩が尻もちをついた、
先輩に呆れつつ、立ち上がらせるために手を出すと同時に目線を下げると、色とりどりの花が咲き誇っていた。
花に見とれて力を入れるのを忘れた僕は、先輩に倒された。押し倒すような姿勢で先輩の上に居ると
「なによw私に惚れても強引にってのはなしよw」
そう冗談交じりで言う先輩は頬を赤らめる訳でも無く、僕から離れる訳でも無く、目を見ていた。
その目に灯る光と周りに広がる無数の花達がそそのかされたように
「優しくならいいんですか?僕じゃダメですか?」
『春爛漫』
暖かい一日が
庭を彩っていく
春爛漫
さぁ、出番だよと
一斉に咲き乱れる
春爛漫
毎年桜が咲いたら愛犬と一緒に花見をする。
桜は綺麗だし、
愛犬も可愛いし、
とても好きな空間になる。
今日は仲が悪い母親と話したんだけど、完全にもう関わらないことになりました。私は一緒にいたくないって言ったし、母親にはもうなにも言わないって改めて言われました。いろんなことが重なって死にたい気持ちがより強くなった。ところで皆さんは自分の気持ちを書く事をしてますか?スマホに打ってもいいし、手書きでもいいので、気持ちを書いてまとめるといいですよ。これを読んだ人はブログとか書いてほしいです。それで、書く人は最後に💫をつけてほしいです。なんかよくない?好きな絵文字とかありますか?今日はどんなことがありましたか?特にいいことはなかったけど、少しだけ笑えたからよしとします。今日も生きてて偉いです。恐いこととかプレッシャーとかあると思うけど、その調子でいきましょう。
種々に咲き乱れる花を見遣りながら、物憂げに目を伏せる。
春が来た。永い眠りの時は終わり、目覚めの時が来てしまった。
早く起きろと言わんばかりに、鳥達が囀る。春を奏で、愛を歌う。
なんて残酷なのだろうか。穏やかに、陽気に目覚めを告げながら、その裏側で苦痛で喘ぐその様を、嘲笑っているのだから。
目覚めなど知らず、眠り続けている方が余程幸せだろうに。苦痛も、恐怖も、不安も。冷たく、それでいて暖かな雪の下にすべて隠していればいいのに。
本当に残酷だ。目覚めを強要され、隠していたものを暴かれるだろう先に、涙が溢れ出す。
だがしかし。こうして愚痴を溢していても仕方がない。変える事も、止める事も出来ぬのだから。ただ時が過ぎていくのを、いつものように部屋の奥で待つだけだ。
あぁ、と痛み出したこめかみを抑えつつ、窓の外を睨み付ける。辺りが黄色く煙るのを一瞥して、忌々しいとばかりにカーテンを引いた。
「大丈夫?」
「――だいじょばない」
ぐすぐすと鼻を鳴らし、ベッドの片隅で蹲る彼に、だろうな、と密かに同意する。傍らに置かれたごみ箱に、あふれんばかりに積まれたちり紙の山が、その悲惨さを物語っているようだ。
「じぬ。こんどごぞ、ごろざれるっ!」
「いや、花粉症で死んだりはしないから」
肩を竦め、街で購入してきたばかりの空気清浄機を取り付ける。ずびっ、と鼻をかむ音を聞きながら、電源を入れた。
「それで。食欲はあるの?お粥ぐらいは食べられそう?」
「……がんばる」
「頑張って。食べたら薬を飲んで寝てて」
「ありがど」
「どういたしまして」
少し待ってて、と言い残し部屋を出る。キッチンに入ると、あらかじめ作っていた粥の鍋を火にかける。少し暖めるだけで十分だろう。
今年もまた花粉は猛威を振るっているらしい。不謹慎ではあるが、こうして彼が花粉症で苦しんでいるのを見ると、春が来たのだなと実感する。春爛漫に咲き乱れる花々よりも、囀る鳥の声よりも、彼は正確に春を告げてくれる。赤くなった目や枯れた声。自覚がない頃からはっきりと現れる兆候に、春を感じながらも薬の手配や、部屋の換気に一層気を遣うのが恒例行事となってきていた。
暖め終わった粥を盆に乗せる。椀と匙、それから水と薬を一緒に盆に乗せ、出来るだけ急いで彼の元へと戻った。
「ちょっと遅かったか」
ベッドの上ででろんと伸びる、小さな鼬に戻ってしまった彼に苦笑する。サイドテーブルに盆を置いて声をかけるも、反応はない。
「しょうがないね」
一つ息を吐いて、傍らのごみ箱を引き寄せる。粥が冷めてしまうが、無理に起こすまでもない。彼が寝ている間に溜まっているごみを片付けて、ついでに新しいちり紙も用意しようかと、ごみ箱を持って立ち上がりかけ。
「――だめ」
小さな呟きと共に、腕に彼の尾が絡みつき、引き止められた。
「だめ、って…ごみを片付けるだけなんだけど」
彼は答えない。しかし尾が離れる様子はない。
「本当に、しょうがないなあ」
苦笑して、ごみ箱を床に置き。彼の隣に座り直す。
一度こうなってしまっては、彼が離してくれるまでこの尾は離れない。管である彼の行動には必ず意味がある。きっと今は彼と共にいるのが最適解なのだろう。
不意に、かたん、と窓が揺れた。
視線を向ける。かたかたと小刻みに揺れる窓は、段々にその揺れを大きくし。
「――風?」
強く吹き抜ける風の音。窓を揺らし、家を軋ませながら駆け抜けていく。
風の音に紛れ、扉越しに硝子の割れる音がした。風の勢いに耐えきれず、窓が割れでもしたのだろう。
思わず息を詰める。彼との距離を無意識に詰めて、腕に巻き付いた尾に縋るように触れていた。
そうして、しばらく風の音が渦を巻き。次第に勢いをなくしていく風に耳を澄ませて。
窓が沈黙し、風の音が聞こえなくなってから、ようやく息を吐き出した。
「っ、ありがと」
礼を言って尾を撫でる。するりと離れていく尾にもう一度ありがとうと呟いて、立ち上がった。
彼を見る。弛緩して眠る彼に苦笑を漏らし、ごみ箱を手に今度こそ立ち上がる。
「さて、片付けをしないと、だね」
扉の先に広がっているだろう惨状を思い、眉を下げ。
仕方がないか、と呟いて、静かに部屋を出た。
20250327 『春爛漫』
【春爛漫】
花が咲き、光に満ちた季節。
美しく、そして儚い。
新しい居場所を与え、幸せを運んでくる桜舞う春。
私の娘はそんな季節に生まれた。
娘には春のような居場所を与え、幸せを与えられる素敵な人になって欲しい。
そう願いを込めて、私は娘に「春香」と名付けた。
【春爛漫】
花弁が
君と私の間を
埋め尽くす
私の目から
溢れ出す
ぽろぽろと
雫と花弁
春の嵐のよう
掻き分けても
歩みを進めても
一向に
君との距離は
縮まらない
平然を装っても
溢れ出してやまない
この想いは
胸に大きな花を
抱いたまま
春を理由に
踏み出せば
花弁一枚くらい
届くだろうか
「さあ、サクヤヒメ。日本酒をどうぞ」
彼女は屈んで瓶を傾けた。地面に落ちた桜の花びらは、日本酒の滝にのまれていく。街灯に照らされた水たまりには、酒の香りに混じって微かに花の匂いがした。
男はただ見ていた。酔っ払いの挙動を訝しんでいる。彼女が、カバンの中にあった酒を一日中大事にしていたから、たいそう美酒なのだろうと彼は期待していた。だがその美酒は、今やコンクリートの上に留まる汚水と化してしまった。彼女は、星空も映らない無機質な水たまりを眺めて、ニタニタと笑っている。
「酒の匂いで酔えるとは随分と能天気だな」
「あはは、ボーキサイト味の缶ビールを捧げるよりかはこっちが良いでしょ」
「何が言いたい?」
「みんな春らんまんといって花見を楽しむのに、散った桜にはちっとも見向きもしない。しかも、ゴミを置いて帰るでしょう。散った花びらにだってサクヤヒメはいるのに」
彼は戸惑った。おそらく、顔の赤い彼女と見ている景色が違うのだろう。彼も屈んで、日本酒に浮かぶ花びらを見た。
彼女は酒の湖にうっとりと見惚れているが、彼の目にはやはり汚水にしか見えない。溢れた液体は、街灯の光を跳ね返し、コンクリートの溝を強調させ、化け物のような鱗を浮かび上がらせている。彼女には、サクヤヒメがそこで寝転がって見えているらしい。
「人の命が花か岩かと選ぶ話があるけれど、貴方の国では何を選んだ?」
「さあな。知っても俺には関係ない。ただ、水から全てが始まったと聞いたことがある」
「水から全てが始まった?」
「ああ、生物も物語も歴史も全て水から生まれた。そう覚えた」
「じゃあ、ここでひとつ聞かせてよ。水から生まれたお話を」
男はなんとかして嫌そうな顔を見せた。彼女はまだ酔っ払って笑っている。彼女に睨み返しても無駄であった。
「……地神不死、是謂玄牝。玄牝之門、是謂天地根。綿綿若存、用之不動」
「わあ、博識だね」
「もう酔いが覚めただろ。帰るぞ」
男が立ち上がるのにつられて、彼女も身体を伸ばして一緒に歩み出した。
桜は寝る暇もなく散っている。日本酒の湖には、花びらが徐々に集まってきた。ようやく、人々が寝静まって星の光が輝く夜明け頃、酒に溶けた花びらは、じっくりとコンクリートの下に濾過されていき、するりと消えていった。後に残ったのは、濡れた地面に溢れ出る星々の光だった。
(250327 春爛漫)
春爛漫
このまま
空気に
溶けて
漂うものに
なりたい
#春爛漫子供の時はね、17、18ぐらいの時かな。よく友達と家で遊んだんだけど、その時に、僕はすごい変な言葉を使うっていうか、女のこととか男のこととかね、芸能人の真似事をしてましたよねって言うのが、よく言う言葉だった。
「芸能人の真似事をしてましたよね」って。そういう話よくするって、大体2人でとか。すぐそういう話が好きなんやって、芸能人の話をするよねって。
芸能人の真似をしたら、見ますよねみたいな。言われてたみたいな感じね。よく僕とよく遊ぶ家族とか。昔はね、今と全然違う。
今も話しかけるのは変わらない。話しかける所は変わらないけど、ネタが変わって、変な言葉、もっとこう、ちゃんとしたらって言う。
でも、本当にね、10年経っても本当にさ、これか。どんなこと話してたんだろうね。なんか、もう安定してるっていうか、ありがたいなと思う。
すごい安定してる。昔は話してたけど、今は結構落ち着いて、普通に話せるようになった。だから今も焦るかもって思うんだけど、だから、これからきっと安定感を持って話せるようになる。
だから、やっぱ高校生とかさ、やっぱ十代後半って一番精神的に焦りとか。20歳になったら落ち着くかなって思ったけど、全然落ち着かない。
もう、すごい変わった。
彼から運転を教えてもらった。
それをしっかり吸収する。
私は彼から教えてもらったものを、なにひとつも無駄にしたくない。
走る車両のスピードが上がると、森林を抜け視界が広がる。木々の影から光が差し込んだ。
「ふわっ……!」
道路の端に車を停めて、その光景に目を奪われた。
青の中に桃色の花びらが舞い踊って、溶け込んで一枚絵のようだった。
春を身体に感じられる。
練習していたからこそ、見られた景色に胸と目が熱いものが込み上げた。
深呼吸をすると優しい花の香りと、少し前の森の香りが混ざり合う。
「春だぁ……」
今度、こんな景色を見た。
そう彼に伝えよう。
私はもう一度深呼吸して練習に戻った。
おわり
三一五、春爛漫