『春爛漫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ー4月。
桜が咲き誇り、風に花びらが舞う。
その向こうではウグイスが忙しくラブソングを歌っている。
菜の花のそばでモンシロチョウもつがいでひらひらと踊っている。
風に合わせて足元のチューリップもゆれる。
公園でおしゃべりに夢中な学生たちとすれ違う。
春爛漫。
今年も会えてよかった、大好きなこの季節に。
お題「春爛漫」
4月の間の景色は桜が咲き乱れ本当に綺麗な景色だと常々思う。
この様子を春爛漫というのだとか…
桜が一面に咲いている様はまさに春爛漫だと言える
春爛漫
「寝言を言ってんじゃないよ」と
息をはずませ歩くと
木々に緑が増えていくことに気づきます。
蝶が、気づけばたくさん舞っています。
朝晩はまだ冷えますな、などと言って
衣を替えるのに手間取っては、
姿を見せないうぐいすを探しています。
桜が散っていくのを見ます。せつないのです。
月が満ちてかけていきます。
澄んだ青空を見ると気持ちが良いです。
暑かったり寒かったりなんなんだー、と思っています
だけど私はまだ本当の春爛漫を知ってはいないのであります。
華やかな赤。つややかな黄色。鈴生りの薄紅。
この咲き乱れる花々の中で、本当に欲しいものは?
君が、一番美しいと思う色は?
尋ねられて笑う。
わたし、あんたの瞳の色がいい。焙じ茶みたいな、深くて透明な色。
ねえ、わたし今、この花畑でお茶が飲みたいな。
あんたと、あんたの目みたいな色のお茶を。
花は誰のためでもなく咲くけど、あんたは、わたしのためにお茶を淹れてくれるでしょう。
わたしだけのために。
花より団子なんて言うなよ。団子も、まあ、あったら嬉しいけど。
#春爛漫
閑散とした場所から生えてきた命はまだ輝いて散っていく
『春爛漫』
「誰よりも」
私が中学生のころ、誰よりも性欲が強かったように思う。地味だったし、もてないし、そもそも男の子と話すことすらなかったので実際の行為は皆無だったけど。だから親が隠していた大人の雑誌やテレビのちょっとエロいシーンを見てモンモンとしていた。当時cheese?だったか少女マンガの皮を被った女の子向けのエロマンガが流行っていて、友だちとこっそり貸し借りしていた。
高校生になると落ち着いてきて、かわいくなりたい欲はたっぷりあるのに性欲はそうでもなかった。 初めて彼氏ができたときも抱き合ったりするだけで満足で、その行為を特にしたいとは思わなかった。
大学生になって一人暮らしを始めて親の目がなくなったのに、別にしたいとは思わなかった。もったいない。
社会人になると他に考えることが多いせいか、さらに欲が少なくなった。ただ一度だけ、とんでもなく高嶺の花の男の人とお近づきになったときは爆発した。だからたぶんスイッチが入り辛くなっていただけでずっとそこにあったんだろうな。
お題/春爛漫
花びらが、君を、彩る。
「……綺麗……」
思わず出た言葉に、君はくすりと笑う。
「うん、とってもキレイ」
「……僕は春が好きじゃなかったけど、こういう景色は悪くないな」
そう呟いた僕に、君は大仰に驚いて見せた。
「えぇ……どうして? いいじゃない、春」
「昔はね、好きだったんだ。でもね、あるときから好きじゃなくなってしまった」
そして君に、手を伸ばす。
「大切な人を奪っていってしまったから」
もう触れられない君。毎年この日だけ、姿を表す君。もしかしたら、すべて僕の空想なのかもしれない。本当は君はそこにはいないのかもしれない。
「そっかあ」
君は、照れたような、嬉しそうな、なのにどこか寂しそうな笑みを浮かべた。すり抜ける君の掌が、また今年も透けていく。
「君はほんとうに、私のことが好きだね」
今年の最後の言葉はそれだった。
本当は、あの春の最中、花びらのように散ってしまった君の姿を、僕は、まだ追いかけている。
空一面に咲き誇る薄桃色の吹雪
二人で歩く一本道
枝と枝の隙間から
空の青を見ようとして
その先から注ぐ陽光が注して
君は手をかざして目を細める
薄い線になった目を添えて
君がこちらを向いたとき
私は地面に目を伏して
落ちてくすんだ花びらを見てる
花びらの海を飛び越えて
君は私の手をとって
あの丘まで連れて行くと
私は行けない
その丘には行けない
私の目から水が溢れて
君が色がじわりと滲む
君と私の手が解け
満開の笑顔で何かを隠して
ゆっくりと私から離れていく
私は我慢出来なくて
君に向かって手を伸ばす
けれど、白い吹雪が君を隠して
君をどこかに攫っていく
柔らかな草が生い茂る草原
風に押し倒されて私の目に
丘の上にきりりと立った
一本の桜の樹
***
いつかこの丘を登れたら
頂上できっと君に逢える
丘の上に立つ、満開の君に
「−春爛漫−」
春が怖かった。自分だけを置いて世界が色鮮やかに動き出す、あの焦燥から逃げていた。
君が私を春に引きずり込んだんだ。責任取ってくれ。
題.春爛漫
「あなたにとって、恋の色はなんですか」
ピンク色、黄色、緑色、青色。選択肢の中に僕が思う恋の色がなくて、スマホの画面から目を逸らして、机に突っ伏した。
僕に、心理テストは向いてない。
僕にとっての恋の色はピンク色でも、黄色でも、緑色でも、青色でもない。どんな色も違う。そもそも色なんて付いていない。
最初に質問を見たとき、僕が浮かんだのは白色だった。
君が嬉しそうに笑っていると、僕も嬉しい。君が悲しそうに泣いていると、僕も悲しい。
そうやって僕の白色に、君が勝手に色を塗りたくっている。君が赤色だったなら僕も赤色、君が青色だったなら僕も青色になるだろうと思った。
ひとつだけ例外を除けば、僕は従順な白色だ。
そんなことを想像してから、ふと窓の外を見ると桜の花びらが柔らかく、宙を舞っていた。
「足りない……」
空気の冷たさがひっこんで、陽光の暖かさを実感するようになったけれど、僕には春も、夏も、遠く感じる。
僕には、流れる桜の花びらも季節外れに思えた。
やはらかな陽射しの中で、舞う桜の花片と、そっと佇む貴女の後ろ姿。その一時が、愛おしく、このまま閉じ込めて仕舞いたくなる。風に揺れる長い髪。何かを想う横顔。
「卒業の成仏」
終わりも始まりも
告げられることなく
区切りなく
手から離された
風船のように
川の流れにたゆたう
浮草のように
ただふわふわと漂った。
立ち止まると
もうそこは
一面に花畑が広がる季節
チューリップが
庭を華やがせている。
生命の芽吹きの時期、
おっはよーう!と
もぞもぞ蠢く虫や新芽。
あんなにも揺り動かされた
感情や笑い泣いた時間
振り返る暇もないままに、
激動の今に流され、埋もれ、
大切な日々が
乾いた砂漠の
ひと粒の砂となって
消えてしまうのは
あまりに惜しい。
ひとつひとつが
大切な記憶のかけら
過ぎし日々の形が
いつか
ぼんやりとでも
浮かび上がってくるように
今はホロっと
こぼれた愛しき断片を集めよう。
#春爛漫
春爛漫
桜に囲まれてみんなと写真を撮った。
みんな違う道に進む。みんな頑張ろうって笑ってた
思い出を引きずってるのは私だけじゃないはず。
大切な友達が懐かしい友達になってしまった。
そんな春。
『春爛漫』
一つ生まれて春爛漫
一つ育てて春爛漫
桃色戦のフレーバー
喜色満面、春うらら
囀り囀る小鳥が待つのは
ロープウェイの終着点
ごったごったと返しに返す
春待つ人らの皮算用
わぁっと咲いたは春桜
さぁっと引いたは人の群れ
二つチャーチで祝います
二つ悲しいカタコンベ
やわこい風に包まれて
優しく両手で掬います
春春来た来た
春爛漫
宵もたけなわ
春爛漫
#春爛漫
今日は寒い。
春分の日を迎えて、これから春がやってくるというはずなのに一向に暖かくならない。
俺を守ってくれるはずの段ボールも、昨日の雨でその役目を果たせすことなく溶けてしまった。
ただでさえここしばらくまともに食べていないというのに、身体から熱を奪っていく神様はどこまで俺のことが嫌いなんだろうか。
「あぁ、神なんていないんだったなあ」
でなきゃ、今俺がやっていることがなぜ咎められないのだろうか。
暖を取るために枯れ木につけた火は、瞬く間に俺が間借りしていた社に燃え移った。
雨が降っているにも関わらずだ。
燃えるはずのないものが燃える。
社を大火が飲み込み、時々バチバチと光を放つ様はまさに春爛漫。
呆然と眺めていたらだんだんと暖かくなってきた。ようやく俺にも春が来たようだ。すぐに夏になっちまいそうだが。
「でも、これが神様からのプレゼントってやつなのかな」
案外、神様にも嫌われてなかったのかなと思った次の瞬間。
脳天から足に向かって衝撃が俺を貫いた。
一瞬の轟音のあと「あぁ、これが春雷か」なんて益体もないことを考えたがすぐに意識は消える。
意識が消える直前、言葉が聞こえた気がした。
「社燃やされて嫌わない理由がねぇだろ」
「綺麗だね」
私は彼女に語りかける。
「…」
返事はない。
桜が舞い散る今日。
太陽が顔を出し、笑っているみたいに暖かく包み込んでくれる。
「ほら私達が出会った時もこれくらい綺麗な桜が咲いてたよね」
私はまた彼女に笑いかける。
また返事はない。
冷たくなってきた。
「こんなにも暖かい光に包まれているのに…冷たいんだね。」
当たり前だ。
生温かい感触が肌をつたっている。
鮮血が花に零れ落ちていく。
後悔はしていない。
「来年も一緒にまた桜を見よう。」
目を閉じて頬を指でなぞった。
彼女はぴくりとも動かない。
春爛漫より。
新生活、新学期
スタートラインに立った途端に
振り回されるように、日々が始まる。
けれど、その姿は
清々しくもあり、勇ましすら感じる。
自分を奮い立たせ
前に突き進む、君たちにエールを
咲き乱れる花よりも絢爛な
ひとりひとりが、とても眩しい。
【お題:春爛漫】
拝啓、ーーーさんへ。
今年も春爛漫という言葉がぴったりなほど、さくらが咲き誇る季節となったでしょう。
其方は如何お過ごしですか。
ところで、現在のーーーさんはどのような日々を過ごしておられますでしょうか。
以前、と言いましても10年程遡ってしまいますが、
その頃の貴方はとても真面目で冷静な方でした。
現在の貴方を知ることが出来ないのは非常に残念です。ですので、こうして手紙を書かせて頂きました。
これを読んでいる時、貴方はとても驚くでしょう。
何せ高校時代の時からサボる事が多い僕の事ですからね、自覚はあります。
きっと貴方は、毎年この季節になると思い出と共に後悔をされているでしょう。
ですが、後悔はされなくて結構ですよ、何せ僕の独断ですからね。
貴方が悔やむ必要性は何処にもありません。
ですので、貴方は僕の事など、
"自分と正反対な幼馴染"とだけ記憶してください。
あの時の事はもう忘れてください。
こんなにも自分勝手にしてしまい申し訳ありません。
こんな僕の傍に居てくれて、嫌って程感謝してます。
あの時止めに来てくれてありがとう。
あの時泣いてくれてありがとう。
あの時話を聞いてくれてありがとう。
あの時怒ってごめん。
あの時約束を破ってごめん。
あの時突き放してごめん。
こんな幼馴染で、
ごめんね。
君の幼馴染 より、
―春爛漫―
春の花と言えば桜を思い浮かべる人が多いだろう。
でも、私は雪柳が好き。
垂れた長い枝に白くて小さな花をたくさん咲かせる。
今年は、例年に比べて暖かな気候だったためか桜の開花がとても、とっても早かった。桜前線はみるみる北上して、卒業式に満開、入学式にはもう散ってしまうという、風情もくそも無い様子だ。そもそも卒業式、入学式ともに満開であって欲しという、
私の小さなエゴが悪さをしているのだが。
とにかく、今年の春は少し違った。
桜の花びらが舞い散る、
満開から少しすぎた頃の桜の木を
僕はぼんやりとながめていた。
「綺麗ですねえ」
後ろから春のような声がした。
このご時世に世間話を繰り広げるために他人に声をかける人は居ない。無視をしよう。そう思ったとき、
「今年は桜が咲くのが早くって」
「ええ、そうですね」
私の忍耐に問題があるのか、目の前に差し出された話題が魅力的だったのか、つい返事を返してしまう。
「あれ、あなたは私が」
「はい。見えますよ」
「みなさんは、そうではないみたいですが。今年は桜が咲くのが早くて残念だこのままでは入学式のころには散ってしまう。」
「入学式?」
「入学式って、ご存知ないですか。ほら、小学校、中学校とかの」
「ああ、入学式といえば桜という時代ではなかったですから」
「そうですか」
「はい」
「でも、こんなに早く桜が散ってしまうのは私としても残念ですねえ。こんなにも綺麗なのに」
「また、みれますよ」
「まあ、そうなんですけどねえ」
「よかったらご一緒に花見でもどうです?つまみでも買ってきますよ」
「あら、嬉しいお誘いですねえ。でも、」
突如風が吹き、桜は全て散ってしまった。
だが、私の中には今この瞬間、春が爛漫していた。
#春爛漫