空一面に咲き誇る薄桃色の吹雪
二人で歩く一本道
枝と枝の隙間から
空の青を見ようとして
その先から注ぐ陽光が注して
君は手をかざして目を細める
薄い線になった目を添えて
君がこちらを向いたとき
私は地面に目を伏して
落ちてくすんだ花びらを見てる
花びらの海を飛び越えて
君は私の手をとって
あの丘まで連れて行くと
私は行けない
その丘には行けない
私の目から水が溢れて
君が色がじわりと滲む
君と私の手が解け
満開の笑顔で何かを隠して
ゆっくりと私から離れていく
私は我慢出来なくて
君に向かって手を伸ばす
けれど、白い吹雪が君を隠して
君をどこかに攫っていく
柔らかな草が生い茂る草原
風に押し倒されて私の目に
丘の上にきりりと立った
一本の桜の樹
***
いつかこの丘を登れたら
頂上できっと君に逢える
丘の上に立つ、満開の君に
「−春爛漫−」
4/10/2023, 2:46:31 PM