『星が溢れる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
帰り道に空を見上げて
オリオン座を探す。
「今日は星が綺麗だったよ」
貴方に電話でそう話したのは
いつのことだったか。
ある日、ふと空を見上げたら
君がいなくなっていた。
見えなくなっちゃった。
そうか。
私が立っているこの地球も
少しずつ少しずつ
移動しているのね。
立ち止まっているのは、私だけ。
思いがあふれて
こぼれそうな星空には
手が届きそうにない。
それでも君は
また会いに来てくれるでしょう。
貴方のもとにも訪れるのでしょう。
どうか
溢れそうな私の想いをのせて
貴方のもとへ届けてほしい。
「星が溢れる」
「星が溢れる」
ある時、
赤ちゃんのつぶらな瞳を目に
無垢で何とも言えぬ愛おしさを感じた。
人の成長は長いようで過ぎ去れば思い出になりけり。
今日は卒業式。
街々には希望に満ちた卒業生で
星が溢れるだろう。
ショコラ
「わーきれい」
「本当に星を見るのがお好きなようで。」
貴方は届くはずもない小さな星に手を伸ばす。
私は缶コーヒーを一口飲んだ。
「僕飲めないから羨ましいなぁ」
私の方に振り向いてはにかむ。その言葉に理解出来なかった私は首を傾げた。
「何故羨ましいと感じるのですか?貴方は苦いと味が感じれる、好きか嫌いか自分で分ける事が出来ます」
淡々と疑問を口に出した私に貴方は悲しそうな表情をする。貴方はオレンジジュースを握りしめながらゆっくりと口を開いた。
「ごめん、今のは失言だった」
「そんな、謝らないで下さい。誠実に疑問に思ったのです」
責めるつもりはなかったので彼の謝罪に戸惑う。
オレンジジュースを一口飲むと貴方はまた話し出した。
「君にこの感覚を分かってほしいな、人間になる予定とかないの?」
私は手に顎を乗せ考える。
人間に何か特別な印象はないが興味は少々あった。私の中に感情は存在するが人間ほどではない。
考える私に貴方は黙って返事を待つ。
「そうですね、考えてみます」
「やったぁ!」
ふふっと笑う私を見て貴方はより嬉しそうに微笑む。コーヒーをゆっくりと喉に流す。貴方は目線を星空に戻した。だが、星を見つめる横顔は何処か寂しそうだった。
「そろそろ行っちゃうの?」
すると今にも消えそうな、かぼそい声で問う。
「えぇ。そろそろ行きますね」
私は八の字に眉をあげて答えた。指を鳴らして缶コーヒーを消し、スーツの襟を正す。
貴方を見ると静かに泣いていた。目をこする指の隙間から見えた涙。きらきらと輝く涙に思わず惹かれてしまう。
「…空を見てください、私はお星様になって貴方を見守っていますから」
慰める気持ちもあったが私の気持ちも入った言葉だった。
「星なんて溢れるほどあるんだ、君一人を見つけれないよ」
瞼を真っ赤にさせ、震えた声で貴方は叫んだ。
感情がこんなに揺さぶられる事は初めてだった。私は胸を抑えながら貴方の目を見つめる。
「ではすぐ見つけれるように一番星になってみせます、毎日」
「なんだかプロポーズみたい…笑」
貴方は笑っていたが、泣いていた。
星が溢れる
大好きなあの場所には
もう僕は行けないのだろうか
涙が溢れる
大好きなあの場所には
もう君は居ないのだろうか
想いが溢れる
大好きなあの場所には
もう僕らの欠片は一片も残っていないのだろうか
僕らは変わってしまって
欠片が一片も無くなってしまっても
あの場所はずっと美しく在るのだろう
変わらず 誰かの想いが溢れて
変わらず 誰かの涙が溢れて
変わらず 星が溢れる
星が溢れる
「これは星の砂って言うのよ」
「おほしさま?」
「そうよ」
少女はじっと足元の砂を見、母親の方をぎゅっと見上げた。
「おほしさま、もってかえっていい?」
「いいわよ。この瓶に入れなさい」
母親は用意してあったのか小瓶を差し出す。
「ありがとうおかーさん!」
少女は喜び勇んで砂を詰め始める。気づくと溢れるほどに入れている。
「あらあら溢れちゃってるわよ。もっとは入れられないわ」
「えー!おほしさまいっぱいもってかえる!」
「溢れたお星様は空へ帰って輝くわ。ひなちゃんはそれをちょっとだけ貰うの。たくさん持って帰っちゃったらダメよ」
「…分かった」
不貞腐れながらも少女は頷いた。溢れた星が足元へ落ちる。
お題「星が溢れる」
真っ暗な夜空にきらきら輝いている。
あの星はとっても明るい、あの星は少し青白い。
昼間に比べて冷える外で、1人上を見上げて眺めてた。
もしかしたら流れ星が見えるかも、なんて夢をみて。
TVや本の中でしか見たことのないような、
夜空いっぱいの溢れてしまいそうな流れ星。
いつかみてみたい。なんて夢をみる。
あふれて、こぼれて、流れた星が
いつかの僕の夢みたいだった
受け止める器もなく
ただ落ちていくのを
眺める事しか出来なかった
ありふれた夢だったんだよ
ヒーローになりたいとか
お金持ちになりたいだとか
大層なものから
くだらない事まで
それがいくつもいくつもあったんだ
今のこの僕に後悔は無いけれど
やっぱり少しだけ
寂しい、と思う
星が溢れる夜は息が詰まりそうで
この気持ちは受け止めなければと思った
忘れたくないんだ
あの時、並べて眺めたいくつもの夢は
僕にしか作れない光だったから
星があふれる夜、きみは頑張りました。
明日から、素晴らしい人生が始まるよ。
もう卑屈にならなくていい。
もう投げやりにならなくていい。
いつか誰かが、頑張ったことを認めてくれるよ。
いくら、星を残したくても
余白がなくて。
満天の星空を
そのまま閉じ込めたいのなら
紙は何枚必要なのかしら。
このままじゃ、
全然足りないんだけど。
でもさ、
枠からはみ出て
溢れちゃうってのも
たまには良いのかもしれない。
#8
星が溢れる
"星が溢れる"
「急になんだ?渡したいもんがあるって」
人気のない休憩スペースにある、いつものテーブルに座る飛彩に質問をぶつけながら、向かいの椅子を引いて腰を下ろす。
遡って今朝、朝食を食べていると傍に置いていたスマホから、メッセージを受信した通知音が鳴り見てみると飛彩から『渡したい物がある』と、詳しい時間と共にメッセージが送られてきた。
指定された時間通りに、いつもの場所に向かうといつも座っているテーブルに既に着席して紙コップを傾けて中のコーヒー──恐らくカフェラテ──を啜り、俺の姿を認めると紙コップをゆっくりテーブルに置いて「来たか」と言った。
「急な呼び出し、時間も一方的に指定して済まない」
俺の質問に答えると、テーブルの下から綺麗にラッピングされた細長い物を出してテーブルの上に置いた。
「これは?」
「一日遅れてしまったプレゼントだ」
そう言うとプレゼントを手に取って、俺に差し出してきた。よく見ると、蝶々結びの下に【Happy White Day.】と筆記体で書かれたステッカーが貼られている。そのステッカーを見て、あぁ、と納得した。
「いいっつったのに」
「俺がしたくて、それを選んだんだ」
そう言って、再びコーヒーを啜る。
──全く強情だな。
呆れながら「開けていいか?」と聞くと「あぁ、勿論」と答えた。
リボンの端を引っ張り蝶々結びを解いて、ラッピングから取り出す。
中身は瓶いっぱいに入った、淡い緑色と水色の二色の金平糖。
蓋を開ければ星が溢れ出てくるのではないかと思う程、一粒一粒が綺麗な星の形をしている。
「気に入ってくれたようで良かった」
「……まぁ、有難く頂いとく」
そう言って包みを元に戻し、リボンをキュッと縛る。
「ありがと」
聞こえたかどうか微妙な声量で礼を言うと、柔らかく微笑んで小さく頷きながらコーヒーを啜った。
「……もう行く」
「あぁ、急な呼び出しに来てくれてありがとう」
その言葉を聞いて身を翻し、廊下に出て「じゃ、またな」と片手を上げると「また」とこちらも片手を上げて返してきた。その様を見守ると曲がって正面玄関を出て、帰路に着いた。
──大事に食べよ。
浮き足立つのを必死に抑えながら、早足で進んで行った。
星が溢れる…。
うーん、実に情緒的。
情緒には情緒をお返ししたい所存だが、
…難しいな。
星…。星。
────────────────────────
「君の身体を構成する元素は、人から見れば悠久とも言われる時間、宇宙を旅してこの地球へと辿り着き、君の中へ宿った。己の中に悠久の時を知るものが宿っているだなんて、ロマンがあると思わないか」
双子座流星群の夜。
天体望遠鏡をセットしながら、貴方は言った。
機材の代わりに手渡された星座早見盤を片手にぼんやりと星を眺めていた私は、間抜けな声を上げてしまった。
作業が終わるまで話しかけられないだろうなんて油断をしていたから、頭と言葉がまだ追いつかない。
もらった言葉を咀嚼しようとした瞬間、甲高い金属音が耳を打った。
コロコロと転がったネジが、自分のつま先にコツンと当たって止まる。
どうやら先ほどの金属音はこのネジが上げた悲鳴らしい。
ネジが転がってきた先にいる貴方は、鏡筒を片手に微妙そうな顔をしていた。
悴んだ手ではネジを回すのも一苦労なのだろう。
いつも以上に不器用な動きをする指に苦笑しながら、グーパーを繰り返すその姿は、先ほどの言葉を言った人と同じとは思えない。
足元のネジ(多分、鏡筒固定ネジ)を拾って差し出す。
「ありがとう」
はにかみながらネジを受け取った貴方の瞳の中に光が流れた。
空を見上げると、沢山の流星群が空を駆けている。
冬の澄んだ夜空に光の軌跡を描いては儚く消えていく。
時に力強く。時に繊細に。
長い旅の果に辿り着いたこの青い惑星に証を残すかのように、美しい光の奇跡がそこにはあった。
儚く消えた星の原子は、この青い惑星に留まるのだろうか。
もし、留まったとしたならば、この青い惑星で他の分子と混じり合い、新しい命となっていくのだろうか。
そうして出来た新しい命は、この世界を循環し、私や隣り合う貴方とも出会うのだろうか。
途方もなく、長く短い出会いを何度も何度も繰り返していくのだろうか。
果てない旅路の軌跡と奇跡を思うだけで心が震え、涙が溢れた。
頬を伝う涙に手が触れようとした瞬間、白いハンカチが頬を包んだ。
「星が溢れてる」
光の軌跡を背に貴方が優しく微笑んでいた。
爆ぜたそれらは数知れず、
人智を超越する未知の塵。
虚ろの闇を煌々と照らす、
彼方で溢れる数多の彩り。
原子から始まった初代星、
那由多を経て散った衆星。
我らは地の上に立つ個の一つ。
星もまた果てるまで齢を重ねる。
遍く輝く光の斑点に、人々は線を引いた。
そうして様々な印が作られていった。
古来にてそれらは、口伝などをもとにしたもの。
ある方では物語から、またある方では忌避から付けられた。
祖たちはそうして豊かに肉付けをし、証を残して旅立った。
我らは魅入っている。
全天に覆われた世界から眺める無限の宙(そら)に。
隔たりを越える輝かしさを放つ、あの向こう側に。
技術を以てしてどれだけ飛翔しても辿り着けない。
だからこそ、我らは神秘を見出すのだ。
溢れんばかりの、その未知の美を。
【星が溢れる】
『星が溢れる』
僕は、不死身だ。
不死身だから、空に還れない
輝く星になれない
周りの者は、不死身でない。
不死身じゃないから、空に還れる。
輝く星になれる。
長い年月が経ち、僕の友達は、みんな星になった。
きっと、これからも…
空には星が増え。溢れるのだろう。
僕独り残して、溢れるのだろう
星が溢れるように偽物の空から降ってくる。プラネタリウムの座席に背中を預けてじっと宇宙を見過ごせないかと眺めていた子供のころを思い出しながらいまもまた天を見る。作り物の空は当時よりももっと精巧で美しさを増すようになっている。眺める自分はずいぶん変わってしまったと星の光の下で影の中で思う。解説の声に耳をすませながら本物よりも美しく見える星空は滲むようにぼやけて見える。寄りにもよって眼鏡を忘れるなんてと頭をよぎる老化の文字もぼやけている気がしてため息が出る。星の美しさに感嘆したかのように聴こえるその息は人工の夜空に滲んでいった。
星が溢れる
夜空に溢れた星は、海に拡がり
水面(みなも)の輝きとなる。
水面の輝きとなった星は
海底に沈み積もり積もる。
積もり積もった星は、星の砂となって
私の手の中に。そして、
私の願いを叶えてくれるだろう。
今日は卒業式だった
今年卒業する人おめでとう
3月は星の数だけ色んな人が行動を起こす日
例)転職 就職 進級
皆さんはどれかひとつ当てはまりますか?
夜中に眠れなくて、外に出た。
真冬の夜空は特に星がよく見える。
僅かな灯りで足元を照らしながら、冷たい空気を吸い込む。雪国ではないので雪があったら、もっと静かで異世界みたいだと思った。
虫の声も、動物の声もあまり聞こえない。
勿論、人の声も聞こえない。
あらゆる雑念を消してくれる、寒さと静けさ。
入ってくる情報は真っ暗な空に名も知らぬ星が輝くことだけ。
星が溢れるほど満ちた空ではなかった、適度な隙間と間隔を保ち。大きな星も小さな星もただ燦然とそこに在り続ける。
そろそろ眠れそうな気がしてきた。
─星が溢れる─
ある小さな町に、ひとつの星が落ちてきた。
それはダイヤのように輝き、吐息が漏れるほど美しかった。
星は博物館に飾られ、町の人々はそれが誇らしかった。
しかし、星が落ちてきた町の何倍も栄えている、
隣国の王様にもその話が届いてしまった。
王様は嫉妬から、その小さな町を襲った。
星は奪われ、大怪我を負った人も少なくなかった。
それをお構い無しに、隣国の王様は綺麗な星を眺めていた。
手で触ると石のように硬く、でも何処にでもある石とはまったく違うモノだった。
その日の夜、寝付けなかった王様は見た。
奪った星が砂のようなモノになってサラサラと消えていくのを。
そしてその奥の窓からは、自分の国に星が降り注いでいるのが見えた。
空から落ちてくる星たちは家を壊し、国を壊し、国民の心をも壊していった。
夜中に響く人々の声。それとは裏腹に美しく降る星たち。
王様は、その光景に小さく吐息を漏らした。
人が亡くなると、夜空の星になって輝くらしい。
昔、星が降り注いだと言い伝えられた国では、
一夜にして美しい星が溢れたらしい。
深淵のゆめ/星が溢れる
宇宙の星屑を食べ続けていれば、君のようなやつでも光り輝く美しい星になることができるさ。
という星雲の言葉が嘘だと気付くのに、数億年かかった。
私はそれでも星屑を飲み続けた。
数億年もこの狂った行いを続けていて、今更やめることなどできなかった!
私が美しい星になり、煌めきを運ぶことなど、命尽きるまで無いというのに。
本当に愚かな穴だった。
ぽっかんと空いた底なしの闇の縁から、かつて煌々と燃えていた、星だったものの欠片がぽろぽろと溢れている。
この宇宙のなかで、私は一等醜い。
ああどうか、私を見つけたら笑ってほしい。
決して叶うことの無い夢に縋り続け、終わりを貪る、この滑稽な穴のことを。
☆星が溢れる☆
大きな籠の中に
光輝く星がいっぱいで
ひとつだけ溢れたのか?逃げたのか?
籠の外で光輝いている
今の世の縮図のようだ
ひとりひとりそれぞれが
違う光を放ち輝いているにもかかわらず
集団でしか生きていけない
ひとつひとつの輝きが同化してしまい
個性を殺してしまう
一方 溢れた星は
自分の力で光輝き個性的で
自立しているように思える
きっと籠の外の星は
溢れたのでも 逃げたのでもなく
自分の意思で集団から抜け出した
ように思える