夜澄

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星が溢れる

「これは星の砂って言うのよ」
「おほしさま?」
「そうよ」
少女はじっと足元の砂を見、母親の方をぎゅっと見上げた。
「おほしさま、もってかえっていい?」
「いいわよ。この瓶に入れなさい」
母親は用意してあったのか小瓶を差し出す。
「ありがとうおかーさん!」
少女は喜び勇んで砂を詰め始める。気づくと溢れるほどに入れている。
「あらあら溢れちゃってるわよ。もっとは入れられないわ」
「えー!おほしさまいっぱいもってかえる!」
「溢れたお星様は空へ帰って輝くわ。ひなちゃんはそれをちょっとだけ貰うの。たくさん持って帰っちゃったらダメよ」
「…分かった」
不貞腐れながらも少女は頷いた。溢れた星が足元へ落ちる。

3/15/2024, 3:11:50 PM