星が溢れるように偽物の空から降ってくる。プラネタリウムの座席に背中を預けてじっと宇宙を見過ごせないかと眺めていた子供のころを思い出しながらいまもまた天を見る。作り物の空は当時よりももっと精巧で美しさを増すようになっている。眺める自分はずいぶん変わってしまったと星の光の下で影の中で思う。解説の声に耳をすませながら本物よりも美しく見える星空は滲むようにぼやけて見える。寄りにもよって眼鏡を忘れるなんてと頭をよぎる老化の文字もぼやけている気がしてため息が出る。星の美しさに感嘆したかのように聴こえるその息は人工の夜空に滲んでいった。
3/15/2024, 2:52:40 PM