人さがし

Open App

─星が溢れる─

ある小さな町に、ひとつの星が落ちてきた。

それはダイヤのように輝き、吐息が漏れるほど美しかった。

星は博物館に飾られ、町の人々はそれが誇らしかった。

しかし、星が落ちてきた町の何倍も栄えている、

隣国の王様にもその話が届いてしまった。

王様は嫉妬から、その小さな町を襲った。

星は奪われ、大怪我を負った人も少なくなかった。

それをお構い無しに、隣国の王様は綺麗な星を眺めていた。

手で触ると石のように硬く、でも何処にでもある石とはまったく違うモノだった。

その日の夜、寝付けなかった王様は見た。

奪った星が砂のようなモノになってサラサラと消えていくのを。

そしてその奥の窓からは、自分の国に星が降り注いでいるのが見えた。

空から落ちてくる星たちは家を壊し、国を壊し、国民の心をも壊していった。

夜中に響く人々の声。それとは裏腹に美しく降る星たち。

王様は、その光景に小さく吐息を漏らした。


人が亡くなると、夜空の星になって輝くらしい。

昔、星が降り注いだと言い伝えられた国では、

一夜にして美しい星が溢れたらしい。

3/15/2024, 2:50:23 PM