『星が溢れる』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
星が溢れる
そして
消える
私の人生も
星のように溢れて
星のように消えてくれればいいのに
黄昏に 夜が息吹く
波のよせるように
暗やみが そらを 満たし
あふれる
星がふる
いやおうなく こぼれ落ちる
いくつもの光のすじが
黒い 海へしたたかに
叩きつけられては
薄氷のきしむ 音をたてた
星がふりやむ頃
波はうすく光り
浮かびあがったなき骸を
白い砂上へいざなう
硝子色からひょうはくされていくかがやきは
砕かれ ひと匙の砂に変わる
君は 黒と白の境界を
透ける 白いドレスのすそを濡らしながら歩いている
夜ごとひろがりつづける浜辺に
まだ息のあるものをさがしている
『星が溢れる』
透明な瓶に詰められた
たくさんの星達
溢れるのはいつだろう
いつかそれは
人々を照らす星となる
【星が溢れる】
夜空を見ていたら何故だか君を思い出した
手の届かない貴方にもう一度会いたくなってしまった
今日の夜空の星のように
僕は涙を溢れさせてしまう
「失恋て、つらいなあ……」
見上げる夜空に、ぼんやりと。
星が溢れる。
真っ暗な所にいると、周りが見えなくなる。誰かが手を差し伸べてくれていても分からないし、誰かが助けを求めているかも知れない。
でも、きっとどこかに光がある。きらきら光る星は、下ばかり向いていた顔を、上に向かせてくれる。上が向けたのなら、もう大丈夫。空の無数の星が、真っ暗なところにも、見えなくてもきっと誰かがいることを教えてくれるはず。星があればあるほど、みんなが上を向けるから。
歪んだ愛を押し付けないでください
形をかければいいとか
安易な考えは通用しない
近寄らないで
星が溢れる
夜空の星が私たちを案内している。かっては三博士を
馬小屋へと導いた。私たちはそれぞれの使命をもって生まれてきた。生きるのは難しいものではないと思う。必ず誰かが導いてくれるものだ。ただそこには自由意思もあるから少しは迷うかもしれない。
星を一掬い
君の夢にそっとこぼす
君の夢がどうかどうか
幸せなものでありますように
彼はまるでスノードームのようだ
溢れるほどいっぱいに詰まっている
星のような、
どんなプラネタリウムでもわからない
どんな望遠鏡でもわからない
星が溢れる瞬間を静かに待っている
停電が長引いている。明るいうちに復旧する見込みが、夜までずれ込んだ。暇なのでもう寝ようかと思っていたとき、玄関のチャイムが鳴った。
「これ、おすそ分け。いる?」
お隣さんが、両腕に溢れんばかりの星を抱えている。
「ありがとうございます!」
と、それを受け取り部屋に戻ると、たちまち部屋は明るくなった。一つでじゅうぶんなので、他の星は空に投げる。空が瞬くと、誰もが窓から顔を出した。
電気のいらない夜だ。
星が溢れる。今日も今日とて、なにやら難しそうなお題ですね。
困った時の、童話頼みなおはなしです。「都内にそんな神社無いよ」は気にしない構えのおはなしです。
最近最近、都内某所の稲荷神社に、不思議なお餅を売り歩く、不思議な子狐が住んでおりました。
稲荷神社は森の中。あっちこっちに木が生えて、あっちこっちに花が咲き、あっちこっちで山菜や、キノコがポコポコ出てきます。
そんな稲荷神社の中に、春一番、フクジュソウの大きな花畑が、パッとできあがる場所があります。
これは、そのフクジュソウの早起き組、フライングチームが、花を咲かせた時期のおはなしです。
「咲いた、咲いた!今年もさいた!」
稲荷神社の社殿のそば、正面向かって斜め右よりの、お日様がポカポカ当たる広場で、
今年も春の妖精が、春の儚い告知花が、20も30もある黄色い花びらを、傘かパラボラアンテナのように、力いっぱい数輪だけ、綺麗に広げておりました。
「おっきなお星さま、あぁ、キレイだなぁ!」
これから顔を出すであろう、いろんな色や形のフクジュソウを、子狐は思い出し、跳ねまわります。
今年も春が、始まるのです。
今年もあの花畑が、去年より少し大きくなって、この場所に現れるのです。
茎を長く出すフクジュソウ、短い花びらのフクジュソウ、長い花びらのフクジュソウ、たまに見つかる白やオレンジのフクジュソウ。
まるで夜のお空のお星さまが、朝昼の間ここに来て、ぎゅうぎゅう、溢れてしまっているような。
あの花畑が、始まるのです。
今年も多くの人間が、パシャパシャいうカメラと一緒に、あるいは同じ音で鳴く板を片手に、この稲荷神社へ来るのでしょう。
今年も多くの人間が、お賽銭して、ガラガラを鳴らして、祈りを願いを嘆きを決意を、稲荷神社に託すのでしょう。
「でも、一番星は、渡さないんだ。一番星は、だれにも、渡さないんだ」
今年最初のお星さまを、フサフサ尻尾で囲い込み、子狐はにんまり幸福に、そこでお昼寝を始めました。
満天の星空が雲から顔を見せる
今日も変わらず輝いている
ある星は、今から一億年も前に
輝いた星なんだそう
まだ人類すら生まれてない時から変わらない姿で居続ける星たち
―あ、流れ星―
私は必然的に自分の欲を
その星にぶつける
こんなにたくさんの星があるのだ
1つや2つ溢れてしまっても
おかしくはないだろう
そんな、他愛もないことを考えながら
星と酒を嗜みながら
大きく欠伸をする
満点の星空の下で僕と彼女は見上げていた。
「流れ星」
彼女はそんな言葉を漏らす。
「何かお願い事でもしたら?」
そんな僕の問いに彼女は呆れたようにため息を漏らす。
「どうして流れ星に未来を願うのか、私にはそれが分かりません」
「願掛けとかじゃないのかな」
「だとしてもです。星の光は過去の残照に過ぎないのに、それに未来を願うのですか? 過去に未来を願うって事自体が矛盾です」
確かにと頷いてしまいそうになるのを堪え、取り繕うように言葉を絞り出す。
「綺麗な物を見たら人は何かを祈りたくなるんだよ…きっと」
「それは無知ですね、いえ思考の放棄とでも言いましょうか、流れ星など星が燃え尽きる最中です、人に例えるなら葬式で手を合わせて幸せになれますように、と願うようなものです」
今日の彼女は機嫌が悪いらしい。
「大体ですね、私は流れ星が流れ切る間に願い事を三回だなんて、そんな迷信がこの世で一番嫌いなんです。知っていますか? 流れ星は0.5秒程で消えるんですよ? 三回なんて時間を止めない限り無理なんですよ」
「何かあったの?」
「自分の胸に聞いてください」
どうやら機嫌を損ねたのは僕らしい。
「何か僕が忘れているならごめん」
「忘れている事に対して怒っているのではなく、忘れられた自分自身に怒っているのです」
「それって僕の胸に聞いてもわからないヤツだね」
「そんな事は…ありませんよ」
彼女は視線を宙に向けたまま、僕の手を握った。
「貴方が気づかないから…私はこうして怒ってるんです。いえ、憤っているという表現が正しいかもしれません」
「僕にはその二つの違いが分からないよ」
「そうですか、そうですよね。でも…これだけは言わせてください」
彼女が手から不安が伝わる。
「過去があるから未来を連想出来るのです、だから…その、過程が重要なのであって、未来がどうなろうとそれは過去の積み重ねから導き出された結果であって…えーと」
「大丈夫、ちゃんと聞くから」
彼女は視線を僕に向けて、手を握る力を強くする。
「貴方が好き…なんです」
満点の星空の下、溢れたのは彼女の気持ちだった。
彼は星に詳しかった。
私は彼に星を教えてもらうのがとても好きだった。
私が
『あれは?あれは?』
と聞くと、少しめんどくさそうに
『あれはな、、、』
と、ひとつひとつ丁寧に教えてくれた。
星を見るのは好きだが、星を教えてくれる彼の横顔も好きだった。
でも、ある日突然彼は星を教えてくれなくなった。
いくら聞いても
『前にも教えたで』と、返すだけだった。
私は我慢できず彼になぜ教えてくれなくなったのか問いただした。
彼は、『俺が知ってる星を全部教えたら、なんかお前がおらんくなる気がする』と頬を少し赤くしながら言った。
その日以降、彼が私に星を教えてくれることは二度となかった。
ねぇ、見て。
空にはまだこんなにも知らない星が溢れてる。
全部教えてないくせに、勝手にいなくならないで、
あの溢れてる星の中に
あなたは、、、、いますか?
(星が溢れる)
暗がりの空の下、僕と君はどうでもいい話に花を咲
かせる。ふと突然に、何故今言おうと思ったかは分
からないが、僕は君に告白する。多分満天の星の下
で、ロマンティックなムードに呑まれて居たのだろ
う。僕は君に「ずっと前から、君が最初に話しかけ
てくれた時から好きでした。」なんてテンプレのよ
うな告白をした。すると君は目を大きく見開いてか
ら「私も、貴方が私に笑いかけてくれた時から、好
きでした。」と目から星のような涙を溢れさせる。
まるで純愛もののラブストーリーみたいだ。
クラスで端っこの、僕ら。でもその時はモブなんか
じゃなく。確かに僕らが主役だった。
【星が溢れる】
星が溢れる。
この言葉を見た時涙が溢れる。と似ていると思った。
星=涙だという仮説を立ててみよう。
星は沢山ある。涙も沢山出る。
星は光ったら美しい。涙を流してる心は美しい。
黒く冷たく
染まったキャンパスに
金の絵の具が
飛び散って
キラキラ輝く
星が溢れる
お題
星が溢れる より
ある日の朝……。父親の伸二が出入口に貼った紙を見て、娘の由香は目を丸くした。
『誠に申し訳ございませんが、本日臨時休業とさせて頂きます』
由香の家は銭湯で、一人娘の由香はあとを継いで女将さんとなる。現在中学二年生で、クラスメートには贔屓にして貰っている。ただ……、男子の中には。
「クラスメートだから、コーヒー牛乳タダ……な」
そう言ってくる輩もいる。
材料費や燃料費の高騰が、かなり痛手になっている。しかし……。廃業だけは、なんとしても避けたい。組合で話し合った結果、持ち回りで営業してみようとなった。週に二日の休みでローテーションを組んだのである。
「悪いな。由香」
詫びた父親に、由香は笑顔で返す。
「ううん。気にしないで。私だって、今のご時世大変なの、分かっているから。じゃあ。今日は、念入りに浴場の
お掃除出来るね」
「ハハハッ。それは、お父さんとお母さんでやっておく。たまには……。放課後、思い切り遊んでこい」
「えっ! いいの?」
目を丸くして訊いた由香に、伸二は笑顔で頷く。
「もちろんだ。由香は、まだ中学生なんだ。デートくらい、してこい」
その言葉に、由香は真っ赤になって返す。
「そんな人、まだ居ないよ!」
学校に行き、由香の家の事情を知ったクラスメート。その中のひとりの女子生徒が、よく由香の家の銭湯を利用する男女を集めた。そこで、由香に感謝しようという話が出た。
「い……、いいわよ。みんな。そんなこと、してくれなくても」
照れ臭そうに訴えた由香だが、女子は全員賛成。しかも……。
「男子! 分かっているわよね?」
そう、しっかりと釘を差した。コースは、スイーツを満喫して、営業している銭湯へ……となった。スイーツの代金は女子持ちで、銭湯の料金は男子持ち。おまけに、由香の鞄も男子が持つ。
放課後……。街に繰り出した一同。スイーツ店で話が弾む女子たち。コーヒー、冷めちゃうぞ。要らぬ心配をする男子だが、由香があまりにも楽しそうなので、何も言えない。
「まあ。いいか」
目線でそんなやり取りをして、笑みを見せた。
銭湯では、出る時間を示し合わせて利用した。
銭湯を出たときには、夜になっていて、星空が満天を覆っていた。
「客として銭湯を利用するのも、いいだろ?」
「たまには……ね」
男子の言葉に、笑って返した由香。夜の空気が、風呂上がりの肌に心地好く感じられる。
「おーい! 由香! 見てみろよ! おまえの家の煙筒」
ひとりの男子の言葉に、由香も含めた誰もが前方を見た。
「すっげえ! 由香の家の煙筒から、星が溢れているみたいだ」
「綺麗……」
前方に見える、由香の家の煙筒。その筒先と天の川が、上手い具合に重なっている。まさに……。煙筒が、たくさんの星を吐き出しているようである。
お父さん! サイコーのご褒美、ありがとう! 由香は、何だか嬉しくなった。
お題《星が溢れる》
紺碧の空彩る星の花。
咲いて、流れて、また咲いて。
星の海、星の花畑。
小瓶に詰めて、空白の部屋に咲かせるんだ。
その瞳に、星の花が溢れるように。