停電が長引いている。明るいうちに復旧する見込みが、夜までずれ込んだ。暇なのでもう寝ようかと思っていたとき、玄関のチャイムが鳴った。「これ、おすそ分け。いる?」お隣さんが、両腕に溢れんばかりの星を抱えている。「ありがとうございます!」と、それを受け取り部屋に戻ると、たちまち部屋は明るくなった。一つでじゅうぶんなので、他の星は空に投げる。空が瞬くと、誰もが窓から顔を出した。電気のいらない夜だ。
3/15/2023, 11:57:27 AM