『手を繋いで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
手を繋いで
そっちじゃないよって小さい手をぎゅっと握る
そっちじゃない、こっちだ。
いつの間にかどんどん強くなっていて
痛いよーって泣いていたんじゃないのか。
嫌いと言いながら泣いている姿を見た。
その自分を悪だと決めつけた。
だからパッと手を離した。
きっとそれは間違い。
力を入れないように
ふわっと手を繋げばいい
それでも時には強くなる
でもそれでいい。
【後で書きます…!】
2025/3/20 「手を繋いで」
《手を繋いで》
また後日!
2025.3.20《手を繋いで》
途中書きです。すみません。
私事ですが、大学の進学先が決まりました。
工学部で勉強頑張ります。
「手を繋いで」
手を繋いで
また同じ夢から醒めた。
見知らぬ青年に手を繋ぎ、歩く夢を見た。
君は逃げろと言われた時とは違う、温かくて優しくて
でも、もうきっと二度と戻れない悲しい夢。
「大丈夫?あなた誰って叫んでいたよ」
同じ部屋で寝る仲間に話しかけられた。
「また夢を見たの。見知らぬ青年と手を繋いで春の道を歩いていて。温かいのに、とても悲しくなる夢を見た。」
息を整えて夢を見た話をした。
「前に話した人?」
たぶんと小さく呟いた。
そんな私の手を、彼女はそっと繋いでくれた。夢で見た手とは違う、白くて柔らかな手。
「何回も同じ夢を見ると不安になるよね。まだ起きる時間じゃないから私と手を繋いで寝よう?」
目の前にいる彼女は、もう家族に近い。おかあさんやおねえさんがいたらこんな感じなのかなってなんだか温かい気持ちになった。
「ありがとう」
彼女と手を繋ぎ、布団にもう一度潜る。
「おやすみなさい。よい夢を」
互いに幸せな夢を見られるよう祈りながら、再び眠りの中に旅立っていった。
手を繋いで
久しぶりの、デート。
あなたと手を繋いで商店街へ散歩。
変わらずあなたは私の手を取り、並んで歩く。
そんな、何気ないことが私にとっては宝物のように心に刻まれた。
時々ふと、多分一生、このときこの感情を忘れることがないと思えるような瞬間がある。
あなたと出会って、
「今が1番幸せかも」と何度思ったかな。
たぶん、数え切れないほど。
知れば知るほどあなたが愛しくて
もっと一緒にいたくて
あなたを知りたくて
愛したくなる。
あなたしか、いらない。
必要ない。
日常を幸せと思える心も、
お金の価値を再び考えることができたのも
信じることができるのも
全部あなたがいたから。
──いなくならないで。
寝言のような、か細い声で君の背中に呟いた。
後ろにふりかえって、見つめ合う。
あなたは何も言わず小指を差し出してくるから、私の小指を絡ませた。
そのときのほほえみが、頭から離れない。
心臓が痛いほど波打つ
自分が誘うのとはワケが違う
動揺につけ込む口は
離したほうがいいなら離すと
優しいのか何なのか、ずる賢い提案を投げる
きっと詐欺師とか上手くやれるよ。
…ほら、手が熱くなってきた。
少しだけ離してほしいな
質問はしないで
慌てると比例して速まる鼓動に
君はまた少し口角を上げる
#3手を繋いで
【手を繋いで】
ふわりと柔らかく笑う姿が忘れられなかった。
「好きです」
空気に溶ける。
手を繋ぐことすらできなかった。
キスなんてなおさら。
あーあ、時間が流れる。
「手を、繋いでほしい要望なのか、既に繋いでる状態を言ってるのか。どっちだろうな」
おそらく類語に、手を「握って」、「掴んで」等があると思われる。それらではなく、敢えて「繋いで」とする狙いはどこだろう。
某所在住物書きは頭をかき、天井を見上げた。
「『手錠で柱に』手を繋いで、とかなら、刑事ネタ行けるだろうけどな。どうだろうな」
ひとつ変わり種を閃くも、物語を書く前に却下。
「……そもそも『人間の手』である必要性は?」
――――――
最近最近の都内某所、某「本物の魔女が切り盛りしている」とウワサの喫茶店。
比較的静かな店内ではアンティークのオルゴールが、タタン、かたん、タタン、かたん。
優しく穏やかに、単調に、振動板をはじいている。
オルゴールに差し込む鍵によって曲が変わるのだ。
その「比較的」静かな店内を、とたたたた、とてててて!走り回って遊ぶ――あるいは逃げる、不思議な子狐と不思議なハムスターがある。
「まて、ネズミ、まてっ」
「ハムスターだってば!」
パタン、たたん、パタン、たたん。
店主の老淑女は伏せたカードをめくっている最中。
4枚がそれぞれ示す絵柄は、
子狐に追いかけ回されているネズミ、
手を繋いで洞窟に入る2人の子供、
互いが互いの背後を指さし合う表紙絵の本、
そしてケージに閉じ込められたキバナノアマナと、竜に噛みつかれている白トリカブト。
1枚目は「今まさに起きていること」。
魔女のカードは直近の出来事であればあるほど、ハッキリとしたイメージで映し出される。
「子狐に追いかけ回されているネズミ」はつまり、店主の目の前で発生している運動会そのもの。
異世界からやってきた言葉を話すハムスターが、稲荷神社に住まう子狐に、遊び相手としてロックオンされてしまったのだ。
詳細は前回投稿分参照だが、気にしない。
2枚目から4枚目は?
「どうだ、アンゴラ。結果は」
店主の手元を見ていたのは、たったひとり来店していた男性客。名前をルリビタキという。
「何か変化は。どうなんだ」
カードの意味を早く解説してほしいルリビタキは、店主にただ質問に質問を重ねている。
「どうしたも、こうしたも」
何も変わってないわよ。店主の老魔女は長い、小さなため息を吐いて、揃え直したカードを再度4枚。
「なんにも、変わってないわ」
並べて、ひっくり返して、結果も見ない。
今回も最初と同じ絵柄が、同じ順で並ぶばかり。
「このまま信頼を構築できなければ、『機構』に誘われて、手を繋いで一緒に行くでしょうし、
互いが互いに相手の価値観に触れて、相手の方が良いと思うでしょうし、
結果として、あなたは以下略。逮捕と執行」
2枚目と4枚目は未来の速報値。
条志が店主に予知を頼んだのだ。
「誰」の、「何」の予知を頼んだかはナイショ。
今後のお題次第である。
「誘われていく未来が変わらんなら、監視を付けるだけだ。カナリアに監視と評価を頼む」
「あなたはどうするの」
「俺よりカナリアの方が潜り込みやすい」
「そうかしら?私には、カナリアよりあなたの方が、懐きやすいと思うけれど」
ありえない。
ルリビタキは店主の言葉に首を振って、店を出る。
「監視より、信頼とか、人間関係とか、そっちの方を優先させるべきだと、私は思うけれどねぇ……」
これから先、どう「物語」が進んでいくやら。
店主は再度ため息を吐いて、カードを片付ける。
「ほら、そろそろ許しておやりなさい」
丁度ハムスターを追いかける子狐が足元を通過したところで、子狐の前足もとい、おててを確保。
お手手をつないで、あんよはブラーン。
コンコン子狐はじたじた、バタバタ。
しばらくハムスターが逃げていった先を見ていたものの、店主の老魔女からクッキーを貰って、
遊び気から食い気に、すぐシフトしたとさ。
手を繋いで
先生の手は、私の手よりも随分大きくてやけに熱を持っていた。私なんかよりもずっと長く生きているのに繋ぎ方がぎこちない。それがあまりにもかわいらしくて思わず口角があがった。
「…はい、これで満足?」
「まだです。」
「……はぁー、さすがに見つかったらまずいからさ。そろそろいいでしょ?」
「まだ。」
口元のニヤけを隠しきれない私とは違い、先生は辺りをずっとキョロキョロしながら不安そうな表情を浮かべている。私とて好きな先生に職を失ってほしいとは思っているほど歪んではいない。こんな時間にこんな教室に誰も来る訳は無いと分かっているから実行に移しているのに、本当に先生は心配性だ。慎重派で真面目。民衆が想像する模範の教師像そのままのような人。なのに、細かいところが抜けてて詰めが甘い。だから、こういう人間に足元を掬われてしまうのだ。弱みともいえないような弱みだが、先生にとっては他の人に知られてほしくないことだったらしい。なんでもするから黙っててほしいと懇願する先生の表情はすごくかわいかったなー。でもなんでもするなんてあんまりペラペラ言うもんじゃないですよ。私以外だったら何をさせられてたか分かったもんじゃないでしょう。そう考えたら私のお願いなんてかわいいものでしょう?ねぇ、先生。
手を繋いで
手を繋ぎ一緒の道を歩みたいです。
同じ歩幅で歩く時もあれば、引っ張り連れて行ってくれることも、その逆もあるでしょう。もしかしたら、別々の方向へ行きたいときもあるかもしれません。
それでも、私が選びそして貴方も選んでくれたのです。できれば、いつまでも手を繋いで行きたいのです。
手を繋いで
あなたと離れるのは寂しいから離れられないように手を繋いでいたい
▶136.「手を繋いで」
135.「大好き」「どこ?」
:
1.「永遠に」近い時を生きる人形✕✕✕
---
夜中から降り始めた雨が、まだ続いている翌朝。
「おう、今日はずいぶん冷えるな。話はまとまったか?」
「まだだ。ナナホシの威嚇行動を止められはしたが」
「プンプン」
ナナホシの活動への悪影響を減らすために別行動を取りたい人形と、
マスターと長期間離れることを拒否しているナナホシ。
対等な立場であると契約を結び手を繋いだメカ同士であるからこそ、お互い譲ることができずにいた。
「折衷案とかねぇのか?」
「私もナナホシも設定されたルールの中で活動している。そこから外れるには特定の条件が揃えることが必要だ」
「そういうもんなんだな」
「ああ、一晩世話になった」
「おう、礼なら要らねぇと言いてぇところだがな、✕✕✕。クロアの買い物に付き合ってくれるか?エスコートと荷物持ちをして欲しいんだ」
「荷物持ちは良いが、エスコートとは?」
「雨で道が悪いからな。簡単にいやぁ手を繋いで歩くってこった」
人形たちは風呂屋で体を洗い流しナナホシも清潔な布で拭き磨きをしてから、
シブの家へと戻ってきた。
「おーい、クロア。帰ったぞ」
「ツヤツヤ」
「シブは器用だな。ではナナホシ、しばらく隠れててくれ」
「おかえりなさい、シブ。✕✕✕さんもいらっしゃい。ありがとう、お風呂屋さんに行ってくださったのね、まだ髪が濡れてるわ。こちらへどうぞ」
クロアに通されたのは台所で、かまどにはまだ火が残っていた。
それを見たシブがすぐに動いて薪を足し始める。
「✕✕✕さん、こちらで髪を拭いてくださいな。良かったら座ってらしてね」
布を渡し椅子をすすめたクロアは、かまどに小鍋を乗せて中をかき混ぜ始めた。
「簡単なものですけれども、召し上がって」
「ありがとう。いただくよ」
人形は、言葉の柔らかさを少し調整し、
運ばれてきたスープの入った椀を手に取る。
「あー、うめー」
「うふふ、良かったわ。ねえ雨は止んでた?」
「まだ降ってたが、じき止むだろうな。買い物だろ?そろそろだと思ってな。✕✕✕に頼んだぞ」
「もう、心配症なんだから。ゆっくり歩けば大丈夫よ」
「シブはあなたと離れることが不安なのだろ」
「おまっ、そうじゃねぇよ」
人形の差し込んだ言葉にシブが焦って否定しようとするが、
それはもう肯定と同じだ。
聞いたクロアは、ニコリと笑って態度を変えた。
「シブが安心するというなら、そうしてあげるわ。✕✕✕さん、お願いしてもいいかしら?」
「もちろんだ」
「ではお言葉に甘えてよろしくお願いしますわ。シブ、行ってくるわね」
「おう」
外に出ると、雨は止んでいた。
この町の道は水はけが良くできているが、歩いていれば所々ぬかるみもあるだろう。
人形なら手を繋がずとも反応できるが、できるだけ衝撃は少ない方がいい。
クロアと✕✕✕は軽く手を繋いで、喋りながら市場へと向かうのであった。
「いずれ店に人を雇いたいと思っていて。誰か良い人いるかしら」
「裁縫の腕なら、自分の服を仕立てたり毛皮も縫える人間を子どもの頃から知っている」
「まぁ!そんな方なら、店の方が放っておかないでしょうね」
クロアはコロコロと笑った。
「いつ頃から旅を?それとも、ご実家が近かったのかしら」
「その頃には旅をしていたよ。…私はこの国とは違う血が入っているらしくてな。若年期が長いんだ」
「そうだったの!若い時が長いだなんて、だから手も滑らかなのかしら?
こんなこと失礼かもしれないけど、羨ましく感じちゃうわ」
「滑らかさは気にしたことがないな。けど、怪我に強いのは確かだ」
「まぁー、シブが聞いたら驚くわねぇ」
「いらっしゃい。おやっ、今日は見慣れない人を連れてるねえ」
「ええ、旅の途中で寄ってくださったシブのお友達なの」
✕✕✕と手を繋いで尽きない話を続けながら、クロアは次々買い物を済ませていく。
「クロアは意見が対立した時、どう対処するんだ?」
「お客さまとだったら、まず相手の話をたくさん聞くわね。どうかしたの?」
「初めて旅仲間ができたのだが、旅の途中で彼の体には合わない地域があって。先に行って道を探してくると言ったのだが拒否されてしまってな」
「あらあら、その方とは今?」
「ひとまず話を保留にして、彼は自分の拠点で休んでいる」
「そう、そうなのね。早く仲直りできるといいわね…友達とか家族、仲がいい人とけんかになると辛いもの」
「家族とも?そうなった時はどうしているんだ?」
「シブや子供たちとは…うふふ、ケンカした時は手を繋いで話すようにしているわね」
最後を少し照れくさそうに言ったクロアは、繋いでいない方の手を火照りを冷ますように顔に当てていた。
「手を?」
「ええ、手を繋ぐと温かいでしょう?家族だと、もっと心地いいの。それに小さな傷を見つけたり、子供も大きくなったなぁって感じたり。そうすると気持ちが穏やかになってくるの」
人形から見たクロアは、誇らしげにも見える表情をしていた。
それを自慢というよりも家族への愛情故だろうと人形は分析する。
それに、買い物の途中で人形の手の温度をクロアのそれに合わせると、
明らかにクロアの緊張が解れた。
手を繋いで伝わるものは、生理的な温度だけではないのだ。
「そういえば旅の途中に、手を繋いで冬越えの無事を祈る村があった」
「冬の厳しい村なのね。もっと聞かせて?」
「ああ。あれは…」
話と話は手を繋いで、家に戻るまで延々と続いた。
手を繋いで。
ついこの間まで、世界は一つの輪になるように手を繋いで「へいわー」と言っていたと思う。
多様性とか、包括的とか、DEIとか。
けど、昨今のトランプの戦況を見てみるに、せっかく手を繋いだのに、それをちょん切っているようだ。
手を繋ぐまでは協力的だったけど、繋いだままとなると話は別。ずっと握りしめると手に汗握る。汗をかきっぱなしだと汗臭くなる。不愉快。でもみんな、そのことを隠したまま、顔に笑みの仮面をつけて、ニコニコ。
それが無理が祟った。なかなかのエリート層はそのほうが良いと思っている。けど、国連加盟国全員がそう思っていたわけではない。
こちらはこちらでやりますから、あとのことは知りませんと。
アメリカの方針転換に対して「むっ」となるのは致し方ない。そういえば、GHQだってそんなことをやっていたではないか。日本占領中に財閥解体をしようとしたのに、朝鮮戦争が勃発したので方針転換。通称逆ルート。
4年後、また大統領が代われば、「なかまー」ってなるのかな。そうはならないだろうと思うのだが……。
経済制裁、したままだよね?
手を繋いで
幼いころは
いつでも誰かと手を繋いでいたのに
大人になると
ほんの少し触れることさえ憚られる
ましてや興味のない女性から触れられることは
成就しなかった片想いの記憶
「馬鹿が。もう一度言うぞ。馬鹿が、馬鹿のてっぺんだこの馬鹿が。馬鹿キング。キングオブ馬鹿。恥を知れよ馬鹿野郎」
「お前にはオレを罵る権利が多分にあるさ。でもあまり言われるとこちらとしても反省の気持ちと同時に腹立たしさも覚えるわけよ」
「覚える権利ないんだよお前は」
己を睨む親友の目は見るからに怒りに燃えている。顔が赤いのは酒を飲んだからだけではないだろう。親友という間柄故、怒りを示す態度にはこれっぽっちの遠慮もない。
太一は己のしでかした、酷くくだらない悪戯を心から悔やんでいた。脳内に浮かんでいた、酒は飲んでも飲まれるなという言葉が酒気で沈む程に飲んだ阿呆の末路だった。
「馬鹿!ど阿呆!どうしてお前はいつもそうなんだ!いい歳こいてやる悪戯か!だからお前はモテないんだよ!」
「酒飲むと楽しくなっちゃうんだよ!長い付き合いで知ってるお前がオレを御さないのが悪い!」
「自制出来ないやつが酒を飲むな馬鹿!」
反省の心はあるものの、親友である孝高の矢継ぎ早の文句に太一は思わず応戦してしまった。
言い合いをしているというのに、二人の右手はしっかりと握手をしている。喧嘩するほど仲がいい…という訳では無い。物理的にくっついているのである。
幼馴染みであり親友である二人は家族か恋人の様な頻度で顔を合わせては、一緒に遊びに出かけたり互いの家で遊んだり酒を飲んだりする間柄である。飽きるとか倦怠期とか、そんな余地などほとほと無い程の仲だった。
だからといって、酔った挙句に床に転がる瞬間接着剤のチューブを見つけて己の右手に絞り出し「シェイクハーンド」などと言い親友の右手を握るという愚行は許されない。親しき仲にも礼儀ありという言葉を百回噛み締めるべきである。
どちらかと言えば厳つい顔に分類される孝高は、なんと首から下も恵まれた厳つい体躯をしている。その孝高の自由な左手の拳は怒りで固く握り締められており、半袖から見える腕の筋肉が盛り上がっている。太一はどうか孝高が右手に力を込めない様にと祈った。
「お前、俺の名前と職業を言ってみろ」
「白城孝高、小説家」
「お前の名前と職業は」
「樋口太一、漫画家」
「俺とお前の利き手は」
「右手です」
「馬鹿が!」
本日最大大音声の馬鹿とともに、孝高の左手が太一の頬を張り倒した。
手を繋いで
繋がなければいなくなる。
繋いだら痛い!!やめてー!と大げさに大騒ぎ。
もちろんカートにも乗らない。
これが魔の3歳児。
斑
雪
野
や
す
つ
と
ピ
|
ス
の
嵌
ま
る
朝
手を繋いで
宇宙船の壁に開いた穴から宇宙に吸い込まれていく彼女の夢を見る。
敵の砲撃が運悪く近くに着弾し、衝撃と爆風の中でのことだった。
宇宙空間にポツリと漂っているであろう宇宙服の中の彼女を思う。
あの一瞬、差し伸べられた手を掴めなかったせいでもう永久にさよならだ。
破損箇所から侵入してくる敵との戦いに熱中するあまり、ついつい無茶をするようになっていたのかもしれない。
船外での戦闘中、あっと思ったときにはジェットパックを破壊され、宇宙空間に放り出されていた。
これまでかと観念したとき、手を取って救助しようとしてくる敵兵がいる。
混乱しつつヘルメットを覗き込むと、突如大爆発する敵艦の光に照らし出されて再会にはにかむ彼女の顔が見えた。
あとで聞いたところ、宇宙を漂っていたら敵に回収されたので寝返ったふりをして爆破してやったのだそうだ。
ナイス。
ㅤどこかから、洗濯機の回るぐわんぐわんという音がする。
ㅤまだ見慣れない天井に、もやのかかった光がプールから見た水面のようにゆらゆらと揺れている。
ㅤ微かに子どもの明るい話し声が聞こえるから、近所に小学校でもあるのかもしれない。
ㅤ隣には、すうすうと寝息を立てる幼い顔。小さなその指をキュッと握りしめる。
ㅤ今日と明日、何をして過ごそうか。しばらくはそれだけを考えようと決めた。仕事も住居も少し先でいい。ワーカーさんもそう言ってくれたのだから。
ㅤ目を覚ましたら、ゆうべもらったおにぎりを食べて、このあたりを歩いてみよう。
ㅤ今日からは二人。いまは誇らしい気持ち。この愛しい手を繋いでいられるなら、私はなんだってできる気がする。
『手を繋いで』