手を繋いで
また同じ夢から醒めた。
見知らぬ青年に手を繋ぎ、歩く夢を見た。
君は逃げろと言われた時とは違う、温かくて優しくて
でも、もうきっと二度と戻れない悲しい夢。
「大丈夫?あなた誰って叫んでいたよ」
同じ部屋で寝る仲間に話しかけられた。
「また夢を見たの。見知らぬ青年と手を繋いで春の道を歩いていて。温かいのに、とても悲しくなる夢を見た。」
息を整えて夢を見た話をした。
「前に話した人?」
たぶんと小さく呟いた。
そんな私の手を、彼女はそっと繋いでくれた。夢で見た手とは違う、白くて柔らかな手。
「何回も同じ夢を見ると不安になるよね。まだ起きる時間じゃないから私と手を繋いで寝よう?」
目の前にいる彼女は、もう家族に近い。おかあさんやおねえさんがいたらこんな感じなのかなってなんだか温かい気持ちになった。
「ありがとう」
彼女と手を繋ぎ、布団にもう一度潜る。
「おやすみなさい。よい夢を」
互いに幸せな夢を見られるよう祈りながら、再び眠りの中に旅立っていった。
3/21/2025, 10:18:23 AM