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手を繋いで


宇宙船の壁に開いた穴から宇宙に吸い込まれていく彼女の夢を見る。
敵の砲撃が運悪く近くに着弾し、衝撃と爆風の中でのことだった。
宇宙空間にポツリと漂っているであろう宇宙服の中の彼女を思う。
あの一瞬、差し伸べられた手を掴めなかったせいでもう永久にさよならだ。


破損箇所から侵入してくる敵との戦いに熱中するあまり、ついつい無茶をするようになっていたのかもしれない。
船外での戦闘中、あっと思ったときにはジェットパックを破壊され、宇宙空間に放り出されていた。
これまでかと観念したとき、手を取って救助しようとしてくる敵兵がいる。
混乱しつつヘルメットを覗き込むと、突如大爆発する敵艦の光に照らし出されて再会にはにかむ彼女の顔が見えた。
あとで聞いたところ、宇宙を漂っていたら敵に回収されたので寝返ったふりをして爆破してやったのだそうだ。
ナイス。

3/21/2025, 9:07:57 AM