『愛言葉』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「 」
-なにも、返事は返ってこない
「また無茶したねー」
「うるせぇ」
あはは、と軽く笑った男を睨む。
「だいたい、お前の方が無茶してるだろ」
「俺は良いじゃん、子供を守るのは大人の役目だもん」
「年上ヅラすんな」
治療中の腕で振り払うと、傷口にジュッと消毒液をかけられ、痛みで動けないところを捕獲される
「はーい怪我人は大人しくしてようねー」
「チッ」
大人しく座った俺に満足そうに笑った
「リンはもう少し大人を頼ろうなー」
「説教かよ」
「人を頼るのは大切だからな
あっそうだ!」
いきなり大声をだして、んふふ、と気持ちの悪い笑みを浮かべた
「なんだよ」
「合言葉を作ろう」
「合言葉ぁ?」
「そう!リンが俺に助けをもとめるときにつかう合言葉!良いでしょ」
「ガキかよ」
「いーじゃんつくろーよー、はい決定!なんにする?」
「勝手にやっとけ」
「え〜なにがいいかなぁ?うーん・・・あっそうだ!」
「 」
「この合言葉を言えば、俺が必ず駆けつけるからね」
嘘つき
(ごめんね)
【愛言葉】
言葉足らずなあなただから、期待なんてちっともしてないです。
髪に触れる指先とか
柔いだ目尻とか
無防備に開いた口元とか
何気ない仕草にこそ愛は宿るものでしょう。
だからね、慣れないことなんてしないで
そういうひとつひとつを大切にしてくれればいいんです。
今さら好きだなんて言われても困っちゃいますし
僕たちは、僕たちらしく、やっていきましょうよ。
「そんなところも愛してる」
はい、僕もです。
愛言葉
「好きだ」「愛してる」そんな言葉がうれしかったりする。
『やわらかな光』
やわらかい光はいつまでも遠くに届いて
まっくらなわたしの心臓さえもあたたかいそれに照らされた
覆い隠された黒い霧は晴れて
わたしの心臓は動き始めたばかりだった
ーー
『忘れたくても忘れられない』
「残念ながら、あの人は死にました」
項垂れて言うその人は、彼の部下だった。
「そうでしたか」
人は呆気なく死んでしまうものだな、と幾度となく誰かの死を間近で見てきたというのに人の死に直面する度にそう思う。
「彼のことは残念ですが、忘れてしまわれた方が……」
忘れるなんて到底無理な話だ。
あの人は素敵だった。誰がなんと言おうと、私の計画を邪魔する邪な人であっても、私の恋人であることには間違いはなかった。
ネクタイの仕方を忘れてしまった。あなたが結んでくれていたせいで。
車の運転も忘れてしまった。あなたがいつもどこかに連れていってくれるせいで。
全部全部あなたのせい。できないことをさせないで、できることを奪うのなら、私が死ぬまでずっとそばにいてよ。
そんなわがままを押し込んで、
「そうですね」と部下に口角を上げた。
ーー
『秋晴れ』
「見てくださいあれ」
彼の言った「あれ」を探す。指された「あれ」は真っ赤に燃える紅葉だった。
「きれいですね」と返すと、何を思ったか彼はその近くまで走り出した。俺も続けて後を追う。
「こんなに綺麗に色づくんですね」と近くに来てもなお見惚れている様子だった。無理もない、やっと彼の目に「色」が付いたのだから。
彼は先天的に色彩を感じ取れない病気にかかっていた。それが今の医療の進歩で見えるようになったのだった。今日は手術が成功して退院してから初めての外出だった。
彼は全てのものに感動した。「色が見える」と。色が感じとれないから「赤色」と言われても分からなかったのである。
白と黒の世界だけで生きてきた20年間はどれだけ辛いものだったか、容易には想像できない。しかし、彼の喜びようを見るに、色が分かることは彼にとって感動的なものなのだろう。
「あ、もみじ」
そう言って足元に落ちていた葉を1枚拾い上げた。
「これが赤色」
俺はしみじみと呟く彼の横顔を見ていた。
この先、白黒の世界から抜け出して色づいた世界を、同じ目線で見る事が出来ることは幸せだ。彩られた世界の中で、ずっと一緒にいたい。
ーー
『すれ違い』
「何度も言ってるじゃありませんか。この任務は私ひとりに任せてください」
「あなたは何も分かってませんよ、社長。この人たちがどれだけ危険か分からないんですか?」
「それも全て承知の上です。私はもう大丈夫ですから。あなたは違う任務をお願いします」
話は終いだ、と言うように社長はオフィスのドアはバタンと閉めた。
1人、誰もいないオフィスに取り残された俺はタバコを咥え火をつけた。
ふうと吐きながら、一息つく。
社長はあの組織の恐ろしさがわかっていないのだ。
俺は、社長と出会った時からずっと社長の部下として従うことを決めた。しかしさっきの任務を1人では難しすぎる。いくら交渉が上手な彼であっても、銃を取り出されれば殺されかねない。
目的のためならどんな犠牲も厭わない組織には交渉などというものでは穏便に帰してはくれないだろう。
それに、俺はどうしても社長を失いたくない。
彼は、家族も身寄りもない捨て犬だった俺に手を差し伸べてくれた光のような人だ。
それまで失い続けるばかりの人生だった。彼まで失うことはもう考えたくもない。
そして彼は健常者ではない。今は重い病気を患いながらも生きている。生きているだけでも奇跡なのに、そんな危ない仕事は任せられなかった。
死なせたくない。その思いは伝わらなかったようだった。
愛と『書くこと』
言わずもがな、いつしか愛楊
葉児な私
が
ん
ば
!
まー
お母さんと喧嘩した。
弟、帰ってこない
「ただいま」
「おかえり弟!入るな!」
「え?」
「合言葉をどうぞ」
「合言葉?」
「当てないと入れません」
「えー、めんどくさい」
「だめ!」
「んー、入りたいです」
「はずれです」
「ヒント言ってよ」
「俺に向けての言葉」
「いつもありがとう?とか?」
「はずれ」
「がんばれ」
「はずれ」
「だいすき」
「おしい」
「愛してる?」
「入ってどうぞ」
「愛してるって言って欲しかったわけ?」
「そーゆーわけ」
「愛たりてないの笑」
「足りてなかった」
「へー」
「愛言葉って言ったのに、なんだよ入りたいですって」
「でも普通にいつも感謝してるよ?ありがとね。まじで愛してるから」
心地よい夜風が
そっとカーテンをゆらして
「今 何してる?」
電話越しに 君の声が聞こえる。
会えない時間の話をして
他愛のない会話をして
くすぐったいくらいの 愛のささやき…
2人だけの甘くて 優しい世界。
「会いたいなぁ…」
ぽつり と君がつぶやく
「会いたいなぁ…」
瞼に君を浮かべて 僕もつぶやく
まるで 2人を繋ぐ 愛言葉…
会いたいなぁ…
溜め息が夜空にとけていく。
- 会いたい… -
想像上の思いやり
なぜか伝わる
声にならないメッセージ
※愛言葉
ベッドに入ると心地よくて幸せになれる
これでりくがいたら何もかも完璧なのに
なんでもう私にはりくがいないんだろう
なんで離れないと幸せになれなかったんだろう
私がいなくてもりくは平気だからしょうがない
私も平気になりたい
今日もがんばった
おやすみなさい
【テーマ:愛言葉】
またスランプ入っちゃったので暇つぶしに。
愛というのはなかなかに不思議なものなのだろう。今までどうとも感じなかったものが急に輝いて見えたり、急に色褪せて見えたり。
そう感じるのはなぜだろうか。そう思えるのはなぜだろうか。
僕はその感じ方は素晴らしいものだと思う。まあ、僕がそう思えるような人にあったことがないからこその思考なのだろうが。
「ごめん、待った?」
「うんん。行こ。」
いつもと同じ、待ち合わせのときの会話だ。キミが先に居て、僕が後。本当は僕が待っているべきなんだろうけど、なんでかどうしてキミを待たせてしまう。
「あれいいじゃん。食べる?」
「並んでるね。」
「じゃあやめよ。」
「あれとかどう?」
「並……んでないね。ならあれがいい。」
「分かった。」
キミはこんなにせっかちなのに僕を待ってくれてるのはなぜなんだろう。僕が提案してキミが選んだ店に入りながら思う。
「……こっち見てないで、さっさと選びなよ。」
「え、見てた?ごめん。キミは決めた?」
「甘口カレーとセットドリンクバー。」
「じゃあ僕は中辛にしようかな。すみませーん。」
人見知りな彼女の代わりに店員さんを呼び、注文を告げる。そしてキミは淡々と「野菜ジュース。なかったら白ぶどうかお茶。」と要望を伝えてきたので、ドリンクバーへと向かう。
この店は野菜ジュースがあったので、コップにアイスを入れてからオレンジジュースより濃い橙色が溜まっていくのを確認する。その後僕のコーヒーがカップに注がれるのを待つ。
「はい、どうぞ。」
「ありがと。」
そうしてキミは一口飲んでから、話しかけてきた。
「何考えてたの?」
「えっと、いつのこと?」
「メニューのとき。」
「ああ……キミって並ぶの嫌いなのに僕を待ってくれてるの、何でかなって。」
ちょうどその時、カレーが来た。「甘口のお客様」で俯きながら小さく手を上げているのが可愛いと思ってしまうのは惚れた弱味だろうか。
「いただきます。」
「……いただきます。」
ワンテンポ遅れたキミが気になったが、カレーを口に頬張って僅かな笑みを浮かべているのが愛らしくて忘れてしまった。
それから、待ち合わせのときの疑問も消えるほど楽しい時間を過ごした後。悲しい時間が訪れるほんの少し前。
「……私がいつも先に待ってるのは、あれが合言葉みたいだから。それだけだから。それじゃ。」
キミはいつもより早口で言い、駅のホームへ向かってしまった。合言葉というのはどういうことだろうか。
家路で考えて、家に帰ってからも考えて、シャワーを浴びた後に漸く辿り着いた。“ああ、合図なのか”と。
彼女は案外はっきり言う性格だ。TPOは弁えるが、僕の前だとそこそこ気が抜けているようで口が滑っていることが多々ある。
つまり、彼女はつまらないと思うことはつまらないと言うのだ。それがないということは、僕と一緒に居るのを存外楽しんでくれているんだろう。そしてその楽しい時間が始まる合図があの会話。合言葉。愛から生まれたのだから、愛言葉とでも言うべきか。
「ふふ。」
“次の愛言葉はいつにしようか”だなんてラインをしながら微笑んだ。
きみを懐かしむために、いくつかの思い出のかけらを拾おうとするならば、まず思いつくのは、旅先のベッドルームでのひとときであろうか。異国にただよう独特の風や運ばれてきたにおいを吸いこんで、何度も眠りを重ねた。ひろびろとした部屋のあちこちでスローダンスをけだるげに踊っていた、そこでは、だれもふたりが愛しあうことを気に留めなかった。そこだけ地球儀からくり抜かれてしまったのではないかと思うほどに、その街は、静かがあふれていた。
ときどき、きみは、わたしの無防備な背中に指をのせて、じっくりと言葉を宛てた。くすぐったい文字が背中であふれ、それはふたりの愛情にくっきりと輪郭をつけてくれた。わたしはその殆どを理解しようとは思わなかった、きみはとくにわたしが理解することを望まなかった。いうなればそれは、ふたりの存在を証明する、ひとつもけがれのないやさしさの行為だった。気恥ずかしさもそっけなさもふくめて、それは愛の言葉そのものであった。
「おはよう」
「いただきます」
「ご馳走様」
「行ってきます」
「ただいま」
「おやすみ」
誰かに向けた言葉?
モノに向けた言葉?
どちらでもあって、どちらでもない。
自分の人生を彩る、あいことば。
まごころだけは、そこにある。
お題:愛言葉
大きな肩にしがみついて、息を細かく吐いていく。内側から熱く一気に破壊されていく。
「もうやめよう苦しいだろ」
気遣う声がさっきよりも切羽詰まってて、私は彼の首を抱き締めた。
「いやです」
怖がりだけど自分で決めたんです。
身体と身体が溶け合って滑らかに落ちていく。こんな優しさを知らなかった。汗で背が冷えて支える腕が熱くて。なんて混乱だろう。
「お前を壊しそうで怖い」
「大丈夫です。壊れませんから」
私達はやっと目線を交わすと、初めてのようなぎこちないキスをした。貴方が怖がるなんて珍しい。
思えば触るのさえ躊躇されてもどかしくて、ずっとやきもきさせられた。私は彼を抱き締める。受け入れたい、怖くないのだと伝えたい。
「愛の言葉で成長するなら今頃天井に頭はついてるよ」
自信満々にわらうきみ。
そうだねともそんなことあるわけないとも言えずに固まってしまった。
何故。愛だと、断言できるのか。
「愛?のことば?へ」
「私が君からの愛言葉を聞き逃すわけないじゃん」
何読んでるのと手元を覗き込む。本は推理小説。丁度山場を迎え犯人を追い詰めている。だがそんなあらすじは私の頭の中から飛んでいってしまった。
「だって、君の言葉はたっぷり愛情の詰まったご馳走だよ」
隠していた合い言葉はしっかり気づかれ愛言葉にされていた。悔し紛れに脇腹を小突いた。
「愛言葉」、とは初めて見る。
愛の言葉ってことだよね…?
愛、とひと言で言ってもいろいろあるよな、と思う。なので仏教の表現の「愛」という言葉をつついてみる。この場合の「愛」は、現代で一般的に用いられている意味とは違うそうだ。「愛着」と仏典の中でいうと余りよろしき意味ではないらしい。昔読んだ本に、「愛=love」という概念は、明治期の「文明開化」で外国から入って来たものだということが論じられていたのを思い出した。
日本の「気持のすがたを表す」言葉で聞いたことがあるのは、「懸想」=想いを懸けるとか、「執する」=執着するとか、気持ちの質やベクトルの違いが、はっきりと区別されているものだ。対象となる人をどう思っているのかは、「どうしたいのか」という表現に直截されることも多かったのかもしれない。例えば「添い遂げたい」とか。
誰だったか、戦国時代の武将の中に、「愛」の字形を兜に乗せていた人がいたよね…?
「傾き者(かぶきもの)」が多かった時代、兜に自分の心意気を表現する将も多かった。「愛」の字形はまだ静かなもので、握り拳が兜から生えてたり、極端な将だと兜に卒塔婆を付けていたりしたという。これは「俺は死ぬ事なんざ恐れてないぞ」という、尖ったやる気を示すものだったそうだ。そういう心意気の示しとして「愛」の字。
仏典の中で、「愛」は最上の心ではない。遍く照らす「佛の心」と「愛」とは全く違う、って書かれている。
愛を想うとき、必ず対象がある。
私もそうだが、きっと誰しも「最愛」があると思う。既に見つけているか、これから出会うかは人それぞれとして、その心が芽吹いて咲くための種(ポテンシャル)は必ず内側に持っていると思う。
自分の響きが見つけ出せる「誰かを愛してやまない」という心は、間口なのかもしれない。個人的なものだし、誰も彼もということにはならない。
私は私の最愛の者に愛着する。執着も…ゼロではない。特別な存在。皆同じに遍く照らすなんて、まだまだムリだ。でも、深いこころが自分にもあることを、私の最愛は私に体験させてくれるのだ。
…愛言葉?
もう沢山出しちゃってるから、今日はここまで。
たった2日ぶりの君の声
家族と君しかもう使わない
その呼び方で僕を呼んで
夢に僕が出てきたと教えてくれた
ああ、もう何だかそれで良いや
僕が此処にいる意味はそれで良いや
君の声に耳を傾けながらそんな事を思ったりした
昨日死ぬのをやめて良かった、と思ったりした
君の口から愛の言葉を聞く事はないだろう
もう何となく判っているよ
それでも側に居たいと願ってしまうのは
きっともう僕が此処に存在している事みたいに
どうしようもない事なんだろう
今日は僕の夢に君が来ますように
さよなら おやすみ 大好きな君へ
愛言葉
学校帰り
部活でひたすら疲れていても
「愛言葉」はわすれない
会社帰り
プレゼンで失敗をしても
「愛言葉」を大切に
家事をする
名前があるものから無いものまで
次の家事は「愛言葉」
今日も色んな世界の人々が
口を揃えて言うだろう
『ただいま』『おかえり』
愛言葉
「ひらけごま!!!」
僕たちの秘密基地の合言葉
言わないと入って来れないんだ!
葉っぱと土と木で
2人だけの秘密の場所。
中学生になると関わりも減って、
喋らなくなっていたけど
高校で再開した。
今となっては
「病める時も健やかなる時も愛を誓いますか」
愛言葉を重ねるようになった
「━━━━━━━━。」
愛言葉
二人だけの愛言葉。
――いつもありがとう、大好きだよ。
愛してる、と言うと重いかもしれないけれど、わたしはあの人のことが好き。
確実に知られているのだけれど、いつか直接伝えたい。
#愛言葉