『愛と平和』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
平和の物語にはいつだって悪者がいて
愛の物語にはいつも疑いがあった
そんな物語のハッピーエンドにはいつだって
私の不幸がある。
2人の愛を切り裂こうとする不届ものだから、悪者だから
不幸になった私を見てみんなせいせいする。
そんなくせして目を輝かせてこの物語を
平和や愛だなんだでまとめやがる。
だからこの世界には愛も平和も存在しない。
仕方がない。ほら嫌いなあの子が転んだよ
うれしいね。
けどどこか似てる気がしてなんとなく手を差し伸べるんだ。
誰だっけこんな傷だらけ
何?その顔、助けてもらって愛かなんかでも感じちゃったの?
そんな顔じゃ誰と似てたか思い出せないじゃん
もっと泣いとけよ
愛と平和、って、たいそう壮大なテーマのように思いがちだ。(ボクだけ?)
でもさ、難しく考えなきゃ、あちらこちらに、愛と平和はあるんだ。
まずさ、
朝、目が覚めたこと
おはよう、と言える人がいること。
そんな些細かもしれないことも、
愛と平和、なんだよ。(と、ボクは思うんだ)
道行く子どもたちの元気な笑い声や、
道端の小さな草花たちや、
空を高く飛ぶ鳥たちの様子や、
気持ちよく吹く風や、
ふわふわと浮かぶ雲や、
どこかの家から香る、美味しそうなカレーの匂いや、
仲良く歩く老夫妻の様子や、
世の中には、たくさんたくさん
愛と平和が、あるんだよ。
画面の中で起こっている、悲しい出来事は、今ボクの目の前で起こっていなくて、知ることは必要かもしれないけど、ボクは(ボクたちは)必要以上にその恐怖を受け入れなくていいんだ。
ずっと穏やかでいられたらよいけど、いろんな経験をするのがこの人生。
その中で、愛と平和の世界の方をボクは日々選び続けるんだ。
誰かが懸命に生きて
それを必死で追いかけて
破片を悼む
小さな花束を添えて手を合わせる
あなたはわたしのなかで生きています
_愛と平和 3.11
「_______。」
なんて言ったんだろう
最期の言葉くらいききたかったな…
ばいばい、______。
硝煙の匂いと爆発音が絶えないこの地では
歴史に刻まれるであろう戦いが続いていた。
私も兵士として毎日戦っている。
「___を守るため」
そう言い聞かせて毎日過ごしているけど、
体力も心も疲労が溜まっていた。
だからこそ油断してたのだろう
爆発したときの防御が緩くなってしまった
爆風や飛んできた破片が自分の体にダメージを与えた。
自分の原因で自分が被害を受けるだけならどれほど良かったか。
目を開けた時、目の前には自分に覆い被さる〈大切な君〉がいた
自分を守ってくれていたのだ
〈君〉は息をしていた。
でも、誰が見ても助からないと思うくらいの怪我だった
〈君〉を置いては行けない
そう思っていても現実は…
〈君〉を守りたかったんだ
でも守ってもらってこのザマだ。
〈君〉の脈が弱くなっている
救護をしてもらわないとダメだと動きだす
でも〈君〉は目を少し開けて微笑んだ
あぁ…言いたいことは伝わったよ。
そう思って笑った。
ずっと隣で支え合ってきた〈君〉には伝わっている。
…でも気持ちに反して涙が溢れてきそうになる
ちゃんと笑って送り出そうと思っているのにな、
とびっきりの笑顔をして〈君〉を見た
涙が頬を伝ったそれが最期に感じた熱だった
凪沙レイ
「愛って平和だよね」
君がそう言った。
「まぁね」
なんでそんなことが平気で言えるのだろうか。
嘘をついて私の親友と浮気をした彼への沢山の怒りと愛情は気づかないくせに。
『愛と平和』
愛と平和
大抵の人が求めていそうなのに実現が難しいよね。
世界規模はもちろんのこと、組織内、家庭内、個人の中ですら。
愛と調和ならどうだろう。
少し近づけそう?
平和と調和の間にあるものぞ。
peaceとなると、思い浮かぶのはR.I.P.すなわちRest In Peaceです。
それは実現できてそうだけどどうなんだろ、死後の世界わからんけど、なんか静かそう。
なんかもしかしてあれじゃない、平和って動性と相性悪いんじゃないのもしかして。
そんなこと書いてたら高畑勲監督のかぐや姫思い出しました。
月からのお迎えの音楽が怖すぎて久石譲さん天才すぎて今でもたまに聴きます。
そんで子供たちに「怖いからやめて」って言われます。
本能に訴えかける天上人たちの恐ろしさ。
でもさ、感情も欲望もなくて執着とか勿論争いなんかないだろうし全てが平らか、さらっさらのツルッツル。
それも平和って呼ぶのかね。
愛についてはまた今度!
伸ばした手を包んでくれた貴方の掌が、ここにある何よりも暖かい。こんな不快な季節に、火に油を注ぐはずの体温がとても心地よくて、早くこのまま眠らせてほしかった。
怒鳴るような蝉の聲と、陰湿な湿気を含んだ森、叩き起こすように震えるスマートフォンが、私に早く戻って来いと引き戻そうとしている。
でももう振り返りたくない。できない。させて欲しくない。頭の中を掻き乱す事実と正論を焼き払う為に、只管に指先に纏う熱だけを考えた。
貴方は前だけを見ている。背を向けている。震える手を確かに掴みながら、絶対に離れぬよう力を込めながら、私を逃すまいとしているはずだった。貴方は今何を考えている?どこを見て、何を思っている?蝉の怒鳴り声も、森の陰口も、暴力的な通知も、貴方の耳にはどう届いているんだろうか?
紅くて、眩しくて、横暴な太陽から身を隠すように扉の奥へ潜り込んだ。ここには貴方と私しか存在を許されない、小さな破綻した生態系を孕んだ世界。
ここには怒鳴る声も陰口も暴力も何もない。貴方が与えてくれる愛情と静寂だけの世界。
日差しに焼かれるよりも早く身を焦がそうとした。
身体から霧散していく赤く光る灰が、蛍のように空を漂った。そんな気がした。
私を叩き起こそうと必死でいた着信音も諦めたようだった。いや、何処かに逃げたか、置いてきたのかもしれない。
しかし今となってはもうそれも大した話では無い。
お題:愛と平和
『愛と平和』
目を覚まして最初に視界に入ったのは、ベッドの中で電子マンガを読み耽っている彼女の姿である。
寝室に携帯電話は持ち込まない主義の彼女だ。
手にしているのは、おそらく俺の携帯電話だろう。
当たり前のようにパスコードを解除され、悪びれることなく画面を指でスワイプさせていた。
ずいぶんと太々しくなった小さな背中に、そっと頬を寄せる。
「こんな時間まで寝ているなんて、珍しいこともあるんですね?」
ピクリと小さく肩が跳ねたが、思いのほか、彼女はマンガに夢中になっているようだ。
振り返らないまま、彼女は傲慢に鼻を鳴らす。
「失礼な。朝食とかストレッチとかシャワーとかで何回か起きてますー」
怠惰に休日を過ごす彼女なんてめったにないのだ。
このあと急転直下、天気が崩れて雪が降るに違いない。
「二度寝なんて、それこそなかなかないことじゃないですか」
「洗濯はいつも通りしてない」
3月に入り少しずつ暖かくなってきたとはいえ、まだまだ水は冷たいし乾燥も激しいのだ。
あの小さくてかわいらしい爪が傷ついたり、指先が荒れてしまっては大変である。
「それは、本当にしなくていいです」
「んふふ。好きー」
「あの」
せっかくの彼女の告白だというのに、電子書籍を眺めながら言われたせいで、ありがた味が希釈された。
「それは、俺の顔を見てから言ってくれません?」
背後から携帯電話を取りあげて、そのまま彼女を抱きしめる。
「ぐぇ。苦しい」
「好きなクセに」
「うん。好き」
「……」
だから。
さっきから、そのかわいさはなんなんだ。
さっさとそのかわいい顔を見せろ。
「でも、苦しいのは本当」
「しかたのない人ですね?」
望み通り、彼女の腹に回した腕の力を少し緩めた。
ゆっくりと彼女が寝返りを打ち、俺のほうへと向き直る。
ふわりと甘い香りが鼻腔をくすぐった。
一緒に暮らすようになって同じ柔軟剤を使っているのどころか、シャンプーやボディソープまで彼女と合わせているのに、彼女の香りはいつも幸福感を満たしてくれる。
振り返った彼女があまりにも真っすぐ、瑠璃色の澄んだ瞳で、俺を捉えた。
見つめ合う甘やかな休日を楽しむほど、俺は堪え性がない。
彼女に触れたくて手を伸ばしかけたとき、彼女が口を開いた。
「好き」
静かに放った彼女の言葉は、じゃれ合いとして受けとめるには温度が高い。
「俺も、愛していますよ」
だから、俺も彼女と同じ熱と、それ以上の湿度を込めて返した。
「ふふっ」
満足気に笑みを刻んだ彼女は、足先を俺の足に絡める。
縋るように俺の背中に回された両腕や、乞うように胸元に頬を擦り寄せた彼女に、俺は生唾を飲んだ。
「もしかして、俺、誘われてます?」
「ん」
少しはにかみながら、しかし、しっかりとうなずいあと、彼女は俺の唇に自身の唇を重ねた。
深くはない、リップ音すら立たない、奥ゆかしい口づけを何度も重ねられる。
彼女の唇に熱が籠り、しっとりとした吐息が混ざり、わずかな水音が溢れた。
衣擦れや呼吸とは質の異なるそのリップ音は控えめな音であったはずなのに、やけに耳奥で響いて理性を揺さぶられる。
「ちょっ、と。それは、……さすがに煽りすぎです……」
「ダメなの?」
不満気に尖らせた彼女の唇から目が離せない。
彼女は真面目で高潔だ。
俺なんかを伴侶にするには、もったいないくらいの高嶺の花である。
普段であれば、こんな昼間に俺の爛れた欲を受け入れるようなことはしないはずだ。
それがどうしてか、今日は彼女から俺を求め、率直な言葉を紡ぎ、甘えてくる。
これに抗うとか無理だろっ……!
遮光カーテンで日差しを遮り、寝室の明かりを消して、かけている眼鏡を手放したとしても、昼という時間帯は彼女の輪郭をくっきりと捉える。
そんな彼女に一度でも触れたら、絶対に止まれない確信があった。
だからこそ、どうしようもなく掻き立てられてしまう熱に、素直に身を委ねていいものかためらってしまう。
俺にとっても彼女にとっても、これはある種の予防線でもあった。
人の気も知らず、呑気に拗ね散らかしている彼女の頬を撫でる。
「愛と平和の均衡が崩れます」
さっきまで色めいていた彼女の艶やかな表情が、一気に緩む。
雰囲気も熱もなりを潜め、ポカンと俺を見つめたまま瞬きを繰り返した。
「…………なにそれ?」
「あなたのことが愛おしくて愛おしくてたまらなくて、おかしくなりそうってことです」
彼女の手に俺の指を絡めて、ベッドのシーツに縫いつける。
「大丈夫」
小さく細い指で俺の手を握り返しただけでなく、手の甲に顔を寄せた彼女はそのままキスを落とした。
は?
ツップンと、理性の糸が千切れていくのを自覚する。
「れーじくんの様子がおかしいのはいつものことでしょ?」
彼女は煽惑的に笑みを浮かべながら、俺の手の甲に甘噛みして煽り続ける始末だ。
まったく。
人の気も知らないで、好き勝手してくれる。
腹を括るために大きく息を吐いたあと、彼女を見下ろした。
「……ちゃんと、忠告はしましたからね?」
シーツの上に押し倒した彼女の体の上に体重を乗せて、密着度を上げる。
無防備な耳朶の裏に赤い痕を残せば、艶のある声がベッドに舞った。
「ふっ、かわい」
もうひとつ、今度は首筋に品のない水音を立てる。
そして、先ほどから焦ったくもどかしい刺激を与えてくる薄い桜色の唇を、深くさらっていった。
【愛と平和を守る者】
「待って」
引き止めるために出した言葉は思ったよりも震えていた。
「本当に行っちゃうの?」
彼が振り返る。
「うん、行くよ。これは俺にしか出来ないことだから」
そんなことない!貴方以外でも出来るはず!だから、行かないで……
そんなことを言うつもりだった。貴方に死んでほしくなかったから。でも彼の目に宿っている決意を見ると、そんな言葉たちはするすると私の体の中を下って行った。
私は深く息を吸い、呼吸を整える。
「……そっか。うん、貴方なら出来るよ。誰よりも、愛と平和を望む貴方なら」
涙が滲む。それでも私は笑顔を作り続けた。
「待ってるから!ずっと、ずっと…」
滲んでいる視界の中でも、彼が笑うのが分かった。眉を下げて、目をふっと細める。私が大好きな笑い方だった。
「ありがとう」
そう言い残して彼は歩いていった。この地球を救うために。
涙を滲ませたまま見上げた空は今までにないほど、綺麗な色をしていた。
【愛と平和】
愛は世界に偏りを生む
もちろん平和とは程遠い
だが幸せは愛と共にある
「ところで」
「ところで?」
「愛とか平和とかなんかを見ると、生物的にはとか思ってしまう」
「なるほど?」
「どちらにしろ生存に有利だからでしかないからね」
「なるほど、その心は?」
「多数派になると強い、個では弱いので集団になると強いのに対抗しやすい」
「その結果が平和でみたいな。ドーキンスぽいねー」
「ドーキンスぽいしね」
「ねー」
お題『愛と平和』
愛と平和
言葉にすれば
簡単だけれど
それを全うするのは
大変なこと
自分の中の弱さを
いつも戒めていかなければ
愛も平和もするりと
この胸の中からすり抜けてしまう
見失わないで
いつも当たり前にあると思わないで
失くしたらまたこの手に取り戻すのは
大変なことなのだから
あのね。いつもありがとう。いつも感謝。いつも大好き。いつもの毎日。家族に大事な時間を。それが愛と平和。 3月11日 晴れ のん
愛と平和/恋と愛の宝もの
ありきたりの出会いに
遠距離恋愛を経て
遠い彼の地に引っ越してきた
言葉も違うし
難しいと思ったけど
、
隣の奥さんは明るくて
向かいの旦那さんは
無口だけど挨拶は出来たし
裏のお宅のお婆さんは
いつのまにか知っていて
それでも変な噂話もない
居心地のいい土地だった
夏祭りさえ珍しく感じ
楽しい生活
言葉が通じる
出身地を褒められる
暑さ寒さは違うけど
苦に思う程でない
恋人と同居して
しばらくしたら
赤ちゃんが出来て
バツイチ同士の結婚は
結婚指輪と婚姻届の
簡単さ
でもねあなたの赤ちゃんが
欲しかったの
子どもがいなかったあなたに
大きな夢を2人で叶えたね
私
本当は家庭から逃げてきた
毎日叱られ落ち込む日々から
自分を取り戻す為に
元夫は逃すまいとしたけれど
やっと、やっと離れられた
ホッとした生活に現れた
遠くからの呼び声は
ネットの波から聞こえた
戸惑いと
こんな私が恋できる幸福感
は迎えにきた彼の手が
引き上げてくれた光
に感じたものだ
今
2人の間に
柔らかくて小さな
幸せがやってきた
喧嘩も圧迫もない
平和な毎日
夫の目もキラキラしている
愛と平和
果たして、それは一致するのだろうか?
愛と平和
映画を見た。普段は微塵の興味もないラブストーリーだったのだが、相方がどうしても見たいとせがむので、同席した形だった。
これが存外面白い。
大好きな君に。
午前7時45分。
駐車場でサバトラ猫が背中を向けて行儀よく座っている。😺
僕はホテルから飛び出し、サバトラ猫の元に向かった。
サバトラ猫は近くの車の下に隠る。
そして、僕も車の下に潜ってエサを差し出した。
僕がゆっくり瞬きをすると、サバトラ猫も瞬きを返してくれた。
とても嬉しかった。
僕を仲間として認めてくれたのだ。
サバトラ猫は僕の目の前ではエサを食べないし、仕事があるので早々に立ち去った。
仕事を終えてその場所に行くとなぜかエサが残ったままだった。
なぜエサを食べない?警戒しているのなら僕がいない時に食べればいいのに?
僕は釈然としなかったが、エサを置いていると、以前他の野良猫がやってきて喧嘩になったし、虫もたかるので、猫ならすぐに分かる場所に移動した。
数分だが、朝にサバトラ猫と会うのが1日の楽しみだった。
だが、ある日、近所で道路工事が始まった。
我々は家の中にいれば問題ないが、野良猫には騒音が恐怖に感じる。
それが原因でサバトラ猫は姿を見せなくなった。
道路工事は1週間程で終了したが、サバトラ猫はいつもの時間になっても現れない。
その後、3ヶ月経過したが戻って来なかった。
なぜだ?一体何があったのだ?
可能性として。
1.運悪く車に轢かれてしまった?
彼は警戒心が高く、賢いのでそれはない!
2.人懐っこい性格なので猫好きな人に保護された。
それがベストだと思うがどうだろう?
3.他所へ移動した。
多分この選択だろう。
どうやら身の危険を感じて何処かに行ってしまったのだ。
突然いなくなるなんて寂しい限りだ!
大好きな君に言いたい。
人に飼われる事になったのか?縄張りを変える事にしたのか知らないが、散々世話したのだから、せめて挨拶してから行きなさい!!(無茶ぶり?)
続く????
※サバトラ猫は去勢された保護猫です。
近隣の方々のご迷惑にならないように少量のエサしか与えていません。
愛と平和
3月11日水曜日
まず、私にとっての「愛」は、太陽。いつもあるけど、いたずらに見え隠れして、その原因は大抵自分にある。あまり注視していると、どこかが傷ついて、取り返しが付かなくなるんだ。そう思った。だけど君は、ここに生きていること、それこそが「愛」の存ずる証左だと、言い切った。考え方の系統が全然違う。
次に、私がいちご牛乳を飲む時、あなたはめっぽう濃い色をした麦茶を、好さそうに飲んでいた。借りて飲むと、それは信じられない渋さをしてる。舌のざらつきが、いちご牛乳じゃ治まらないほどだった。だから、味の好みはあまりに違う。
あと、借り物競争の練習で「長いもの」と聞いて身の長い君を選んだ私だけど、君は付き合いが長いからって私を運んだ。失格を喰らって、不服そうにしていたから、真面目にやってこうだったのかとやっと気付いた。言葉の受け取り方も結構違う。全然違うじゃんって声を掛けたら、しかめっ面が嘘みたいに口角が上がった。言動は似ない私達だけど、口角だけはいつも連動するんだった。平均身長に毛が生えた程度の私と、それより30cmは背の高い君、こうして並んで笑えている。
君はどうだろうかって言うけれど、これを平和と呼ぶんだ。
前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
都内在住の稲荷子狐が今月から、ここに週休完全2日制で修行に来ておりました。
「世界線管理局は、世界の安全安定に関する様々な仕事をしているメ」
その日、コンコン子狐は、局内の環境整備部・空間管理課なる部署を見学中。
「世界と世界を繋ぐ航路を作ったり、作った航路の見回りとか取り締まりとかをしたり、
それから、滅んだ世界からこぼれ落ちた生命体とか、アイテムとかを、回収する仕事もしてるメ」
コーロとかセーメータイとか、子狐には少し難しい言葉が乱立しますが、まぁまぁ、気にしません。
ビジネスネーム・アルパイン、通称「白ヤギ」と
同じくアングロヌビアン、通称「黒ヤギ」に、
あっちの部署、そっちのブースを軽く回りながら、子狐は環境整備部の案内を受けておりました。
「メ。白ヤギ、良い加減にするメ。子狐くんにも、ちゃんと自分の足で、歩かせるメ」
「Oh, マイスィート!マイラブ!!
このモフモフ、小さきモノ、たまりまセーン。黒ヤギも、抱っこしてみれば分かりマース!」
マイエンジェル!私の愛!私の平和!
白ヤギはまさしく今回のお題、愛と平和とを連呼して、愛らしい子狐を撫で回します。
愛と平和の象徴にされた稲荷子狐は、最初こそ大人しく抱っこされて、ラブ&ピースのキュートラッシュを受けておりましたが、
途中から自分で歩きたくなってきまして、うんうんうん、えいえいえい。
白ヤギの抱っこから脱出して、とてとてチテチテ、自分で歩き始めました。
「Oh マイラブ、マイピース……」
「子狐は、歩きたいんだメ。歩かせてやるメ」
さて。
愛&平和ラッシュから脱して、自分で歩き始めた稲荷子狐と、子狐を先導する白黒タッグは、
ひととおりの環境整備部巡回を終えて、最後の案内場所に到着しました。
とても広い部屋の中で、無機質ながらもシンプルに洗練されたデザインの大きな機械が、
静かに、ただただ静かに、稼働しておりました。
「これは、保存空間発生装置という、自由に自分の好きな空間を生成して保存できる装置だメ」
黒ヤギが言いました。
「去年ようやく最終試作機から、セキュリティーの問題が解決して、正式運用が始まったメ」
設定次第でどんな空間も、「本当」に「どんな空間」も生成できてしまうから、
使用者には、必ず平和的な目的で生成するように、最初に契約が結ばれるんだメ。
黒ヤギはこの機械の責任者なので、自信と誇りをもって説明しますが、
サイシューシサクキだのセーシキウンヨだの、
やっぱりコンコン子狐には、言葉が難しくてよく分かりませんから、気にしません。
「子狐、公開が許可されてる空間、見てみるメ?」
「コーカイガキョカって、なぁに」
「ナルホドそこからだメ。よしわかったメ。
子狐、ひとまず子狐用にサンプル空間を作っといてたから、そこを紹介するメ。
油揚げとお餅で満たされたグルメ空間だメ」
「おあげさん!おあげさん!」
はやく!はやく!おもち!おあげさん!
コンコン稲荷子狐は、尻尾を振って大興奮!
難しい言葉は知りませんが、要するに美味しいお揚げさんとお餅さんは、ラブ&ピースなのです。
「おもち、おもち、おあげさん」
「はいはい。ちょっと待つメ。まず必要書類だメ」
それからコンコン子狐は、なんやかんやドンドコドン、同意確認だの合意書だのを通り抜けて、
じっくり1時間、めくるめくグルメの愛空間を、平和に堪能しましたとさ。
夢のはなし
もう二度と試験は受けたくないけれど、会場から出て顔を上げた瞬間の空ががあまりにも澄んでいたのを覚えている。多分あの時の好きな人もそうだった。きっと彼も私と同じ空を見上げて他のことなんて考えず解放されていたのだ。ロイヤルブルーの空は貴方によく似合う。小学生の頃の話だ。今思えば、あの恋がゆるやかにゼロに向かっていったと共に私の中での何かが変わったと思う。それは小学生というあまりに幼い時から、高校生という子供の余韻を残した日々に移り変わるには必然だったのかも知れない。
恋の話をしよう。小学校の頃の私は輝いていたもので、テストでは100点を取り跳び箱を飛べば10段というような日々だった。もう何年生の話かは覚えていない。プライドが高かった。というより、無邪気に自分はなんでも出来ると思っていたから毎日を光るように過ごした。光るように人を好きになった。同じクラスの、塾も同じ男の子。なぜだかその人の笑顔が好きで、訳もわからず掃除の時間に話しかけてもらうように近くにいた。それも確かコツがあって、床拭きのタイミングを合わせる事で雑巾絞りの時同じバケツの近くに居るようにしていたのだ。その時私が図々しく下の名前を呼んだものだから、ちょっと驚かれてそれがもっと好きにさせた。
悲劇は起こらなかったが、変化は起こる。私が塾を休み始めたのだ。次第には学校も行かなくなった。なんでだろうな、多分受験になんだか疲れちゃったのだと思う。今も疲れている。彼との思い出もそこら辺の時期が最後だった。正確に言えば、卒業式でも少し話した気がしなくも無いのだがなんだか私にとって残っているのはそこら辺であった。
不登校になってから半年後くらいのこと。運動会の見学でもう一人学校にあまり通っていない、後の親友と保護者席に座っていた。必死で準備体操をする同級生を目に入れて変な気持ちになっていたものだ。自分がそっちに居ない事が、必然だけれど不思議だったから。そんな私を置いて皆んなは走る。校庭を2周するのが懐かしい。6年生の男子は3周するからちょっと大変だった。もう私はずっと好きな人を眺めることしかできなくて、それがある種の幸せを感じさせた。そんな時、好きな人が手を振ってくれたのだ。私に向かって。どうして嬉しいって言葉が出なかったんだろう。多分小学生の私の気持ちが言葉を追い越していた。それが1番最後の記憶で、大切な思い出。それから先は私の未練のような彼の残像のような記憶でしかなくて、なんだか悔しくさせるのだ。といってもその後5年ほどは出会いも無くやっぱりその人を思い続けていたので、随分とまあ、陰湿な女になったものだ。私も。
光るように人を好きになったあの時の私はもう居ない。それが意味するのは恋だけでなくあの無邪気な日々も思い出させた。思い出は美化されると誰かに言ってもらいたいものだ。もう少し悪い記憶でないと今の自分が悲しく思えてしまうから。でもやっぱりあの時の自分は眩しいもので、良いところだけ見ていたい気もした。複雑な乙女心である。
今も小学生の好きな人を思い出す。笑った時の目が眼鏡とよく似合っていた男の子。小学生の彼を高校生の私が引きずっているとしたら心底気持ち悪い話である。もう恋では無い。全く恋心は無いのだ。きっと彼は私の小学校時代の象徴だった。あの輝かしい日々の。彼を思い出す度恋心がなくなっていく度、憧れがどんどん捩れていったような感情が積もっていく。醜い話である。そうして出来た高校生の私がまた彼を思い出す。あの時、手を振ってくれてありがとう。