【愛と平和を守る者】
「待って」
引き止めるために出した言葉は思ったよりも震えていた。
「本当に行っちゃうの?」
彼が振り返る。
「うん、行くよ。これは俺にしか出来ないことだから」
そんなことない!貴方以外でも出来るはず!だから、行かないで……
そんなことを言うつもりだった。貴方に死んでほしくなかったから。でも彼の目に宿っている決意を見ると、そんな言葉たちはするすると私の体の中を下って行った。
私は深く息を吸い、呼吸を整える。
「……そっか。うん、貴方なら出来るよ。誰よりも、愛と平和を望む貴方なら」
涙が滲む。それでも私は笑顔を作り続けた。
「待ってるから!ずっと、ずっと…」
滲んでいる視界の中でも、彼が笑うのが分かった。眉を下げて、目をふっと細める。私が大好きな笑い方だった。
「ありがとう」
そう言い残して彼は歩いていった。この地球を救うために。
涙を滲ませたまま見上げた空は今までにないほど、綺麗な色をしていた。
【愛と平和】
3/11/2026, 6:26:06 AM