【待ってて】
【伝えたい】
『今世紀最大のプロポーズ』
「懐かしいね、この場所」
「あぁ…」
3月半ば。最近雨続きだったが、やっと晴れてくれた。暖かい風が吹き、花もそよそよと揺れていた。
私たちが結ばれたこの場所。しばらく来ていなかったが、2人の休みが合ったので久しぶりに来てみた。この場所は昔と変わらず、綺麗なままだった。
「昔ここで告白してくれたよね。あの時、貴方の眼鏡がずり落ちたの面白かったなー」
「え!?まだ覚えてたの!?…ほんとにもう忘れて…」
ガックリと肩を落とす彼。
彼の告白をOKした時に、驚きすぎて彼の眼鏡が落ちたのだ。しっかりカシャンと音を立てて、地面に落ちた。慌てて拾う彼も含め面白かったのだ。
それを思い出しクスクスと笑っていると、彼に名前を呼ばれた。彼の顔を見ると、今までにないほど真剣な目をしていた。場所も相まって告白のことを思い出し、胸がドキッと高なった。
「俺は、あんたと会えてから毎日が幸せだった。付き合う前も、付き合った後も。こんなに幸せでいいのかって怖くなるぐらい。…でも、同時にあんたを幸せに出来てるか不安だった。俺は趣味に集中しちゃうタイプだし、あんまり素直に気持ちを伝えられるタイプでもない。…彼氏としてはあんまり良い男じゃないかもしれない。」
そこで一旦区切り、大きく息を吸う。
「でも、今更あんたを離してやれない」
私の前にすっと跪いた彼はポケットから小さな箱を出した。そして、蓋を開く。
「愛してる。俺と、結構してください」
中に入っていたのは、指輪だった。
私の目からはポロポロと涙がこぼれる。彼はふっと笑って私の涙を拭ってくれた。
「いきなり言うなんてずるいよ〜…!心の準備してなかった!」
「ははっ、悪い悪い。この場所でプロポーズするって決めてたんだ。そしたら、急にこの場所に行くって言うから。……それで、返事は?」
返事なんて分かりきってる癖に聞くなんて意地悪だ。
勢いよく抱きついて、思いっきり叫ぶ。
「喜んで!!」
あの時の様に鐘の音が聞こえた。
【この場所で】
『正しい選択』
「本当にそれでいいの?」
クスクスと楽しそうな声が聞こえる。俺の前に姿を現したのは、死んだはずの彼女だった。
「皆が幸せになる方法。本当にそれしかないの?ねぇ、天才さん?」
その言葉に目を伏せる。
俺はこの星を救うために、1度この世界を消す。そして、また新しい世界を作り出すんだ。以前の様な平和な世界に。
だから……
「亡霊に構っている暇はないんだ。……消えてくれ」
腕を振るうと彼女の幻影はふっと消えた。彼女が最後に見せた寂しげな笑顔がやけに頭に残った。
【誰もがみな】
『仲直りに必要なもの』
「…ん、これ」
差し出されたのは色とりどりの花束。どこぞのアニメ映画の男の子みたいに、ぶっきらぼうにそれを差し出した彼は相変わらず私と目を合わせない。
「…なに、これ?仲直りのつもり?」
そう問うとモニョモニョと口を動かす彼。はぁと大きくため息をつくと、びくりと身体を震わせた。
「……」
「……」
「…もう、しょーがないなぁ」
彼から花束を受け取る。おそるおそるといった感じに顔を上げた彼の顔が輝いた。
「じゃあ!」
「プリンも買ってきたら許してあげる」
はぁ!?と声を上げた彼に、カラカラと笑った。なんだかんだいって、彼は私に甘いので買ってきてくれるのだ。
玄関に向かう彼の背中に言葉を投げる。
「プリン、2つ買ってきてね!仲直りなんだから、一緒に食べるんだよ!」
【花束】