恋物語』の作文集

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恋物語』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/19/2024, 6:19:36 AM

【恋物語】

急な坂道を300m程登った所にある、とても古い屋敷が僕の家だ。
家は崖っぷちに建っていて2階の僕の部屋からは街の全てが見渡せる。
僕にとってこの景色が全てだ。
小さい頃事故に遭い、目の前で父を失い僕は記憶を失った。
足にも大怪我をし再び歩くのは難しいと言われた。
僕にとってこの家は陸の孤島になった。
2日に1度、家庭教師が来てくれる。
1日の殆どをこの部屋で過ごしている。
くる日もくる日も外を眺めている。
近くに中学校があり、毎朝遅刻ギリギリに走って来る子がいる。
さすがに顔までは見えないが、今日はアウトかセーフか。
毎日の日課になっていた。
帰りはどうなのだろう?
顔がハッキリしないので探せないと思っていたが、授業が終わると真っ先に走って帰る子がいた。
あの子に違いない。
一度でいいからあの子に会って話しをしたい。
何とかしてあの子に会えないだろうか。
この足さえ動けば会いに行けるのに。
僕はとんでもない事を思いついた。
僕は彼女宛に手紙を書いた。
《いつも走っているキミへ
はじめまして、ボクは崖っぷちの家に住んでいます。
ボクの部屋の窓からは街が一望できます。
最初にキミを見かけたのは、小雨の降る朝でした。
傘も差さずに全力で走っていた。
次の日もまた次の日も、朝も帰りもキミは走っていた。
ただそれだけなのに、名前も知らない顔もわからない。
それなのにボクの中でキミが溢れている。
この気持ちがキミに届く事はないだろう。
それでいい》
ボクは手紙で紙飛行機を折り、窓からキミに向けて飛ばした。
奇跡なんて起こりはしない。
それでも紙飛行機は風に乗りボクの想いを運んで行く。

翌朝、いつものように走っているキミを見かけた。
「おはよう。今日も元気そうだね」
あの紙飛行機はどうなったのだろう。そんな事を思いながら下校時刻を迎えた。
校庭を走り校門へ向かうキミ。
校門を出ていつものように右に向かうはずが今日に限って真っ直ぐに進んで行く。
珍しく用事でもあるのかな。

夕食のあと、お母さんが手紙を持ってきた。
切手がないので直接ポストに入れたのだろう。
宛名には ‘窓辺のあなたへ’ と書いてある。
《はじめまして、いつも走っている私です。》
ボクは自分の眼を疑った。
あの子からの手紙だったのだ。
届いたのだ。
《体育の時間に偶然、枝に引っかかっている紙飛行機を見つけました。
あなたからの手紙だと知り驚愕しました。
私は以前からあなたの事を知っています。
もう少し時間があれば、会って謝りたいのに。
私は、明朝母の実家に引っ越す事になりました。
もう二度と会う事はないでしょう。
私がなぜあなたの事を知り、なぜ謝りたいのか。
引っ越し先から一度だけ手紙を書きます。
        サヨウナラ》

ボクはショックのあまり、しばらく動けずにいた。
もう会えないなんて。
彼女はどうして、ボクの事を知っているのだろう?
謝りたいなんて、どうしてだろう。

ボクの恋物語は始まる前に終わってしまった。

           つづく

5/19/2024, 6:18:05 AM

一時的に恋物語を提供するのがこの仕事で
60分から買える恋物語。
明日も明後日も、だれかに届ける
買ってくれた人に届ける恋物語。

その物語が終わって私に残るものは紙
貴重で大切な、生きていくための紙

なんてかなしい世界だろう。

私には恋物語なんていらない、愛物語がある。

5/19/2024, 6:14:08 AM

暑い日差しの中、陽炎揺らめくアスファルトを小走りで駆け抜ける。待ち合わせた駅前の広場に見えた白の日傘。僕は安堵と焦りの混ざった息を吐きながら声をかける。
「おまたせっ!はぁはぁ...ごめん、遅くなった」

5/19/2024, 6:09:54 AM

「めでたし、めでたし」
 眠りに落ちる寸前。柔らかな母の声が紡ぐ物語の締めの言葉。何度も何度も同じ物語をせがむ私に、ちょっと困った顔をしていたことをなんとなく覚えている。
 お姫様が王子様と出会って幸せになる。私にとってはまだ恋というものが物語の中でキラキラと輝くだけものだった頃の話だ。
 あれから何年も経ち、恋というものがただ綺麗なだけのものではないことを知った。通話越しに涙を流す友人の話を夜通し聞いたこともある。
 必ずしもめでたしで締めくくられるものでも、喜びだけが存在するものでもない。寧ろ友人の声に滲んでいた悲しさや苦しさが、恋の本質なのではとすら思ってしまう。
 そんなことを考えるようになり、お気に入りだった物語のお姫様が眠ってしまう年も過ぎた。けれども私にとって恋というものはどこか物語の中にあるものだったように思う。


 まだ蕾すら膨らんでいない桜の木の下で、手のひらに乗った第2ボタンを握りしめる。
 部室棟の近くにある裏庭には意外なことに人がいなかった。校舎側から聞こえる3年生との別れを惜しむ声だけが微かに聞こえてくる。
 今頃はもう、このボタンと共に3年間を過ごした持ち主は、友人の輪の中に戻っているのだろう。
 近づいてくる足音がどこにもないことを確認して、私は木の根元にしゃがみ込んだ。
 告白されたのなんて初めてだ。耳を真っ赤に染め上げたその人は戸惑って何も言えない私に、返事はいらないから、と言ってくれたが、何も考えないなんてことは到底できない。
 付き合うか付き合わないか。そもそも私はあの人のことが好きなのかどうか。様々な感情が混じって何も分からなくなりそうだ。
 好きか嫌いかならもちろん好きだ。
 部活の始めの頃、何もわからない私に優しく根気強く教えてくれた。うまくいかずに落ち込んでいれば励ましてくれた。
 もちろん私一人にだけという訳ではなかったが、初心者だった私には特別目をかけてくれていたように思う。
 そのうち部活以外のことも沢山話すようになって、憧れはそのままに気安い関係になっていった。
 そうして2年間をともに過ごした。
 もう会えなくなってしまうのは寂しい。
 そこではたと気づく。卒業式の後に部活の三送会があることに。
 スカートのポケットからスマートフォンを取り出し、メッセージアプリを開く。三送会の出欠を確認すれば、当然のように出席のところに先輩の名前があった。
 これで会えるのが最後だから、なんて言っていたが三送会のことを忘れていたのだろうか。忘れていたのだろうな。
 誰もいないのをいいことに、込み上げてくる笑いをそのまま音に乗せる。
 しっかりしていると思っていた先輩は、意外なことに、抜けている面を見せることが多々あった。そういう一面を知るごとに親しみやすさが湧き、こっそりとかわいいなとすら思っていた。
 スマートフォンを仕舞い立ち上がる。スカートの皺を整えるついでに、縮こまっていた体をぐっと伸ばした。
 大切なのはきっと向き合うことだ。物語の中のものとして遠ざけないで、自分のものとしてこの絡まった感情を見つめていこう。
 知らないのなら知っていけばいい。分からないなら分からないなりに答えを探していけばいい。
 その結果めでたしで終わらなかったら、そのときは友人に泣きながら話そう。
 すっかりと体温が移ってしまったボタンをブレザーのポケットへと滑り込ませ、確認するように上から触れる。
 大きく息を吸い込み一歩を踏み出せば、硬い蕾の中から春の匂いがした気がした。

5/19/2024, 6:05:22 AM

好きな人ができる前は恋愛ソングとか恋愛ドラマとか全然

興味ないのに、好きな人ができたら今度はそればっか見

て振り向いて貰いたくてどうすればいいか調べる。

けど、なんて話しかければいいのか分からなくて結局何も

できない。恋物語はだいたい結ばれるか結ばれないかのど

ちらがだけど、自分の恋物語はなにも始まらない白紙のま

まなのかな。

5/19/2024, 5:44:14 AM

登場人物はわたしとあなた
たったそれだけ

たったそれだけでできている世界

なのに

おまえもおまえもおまえもおまえも!!!
誰なんだよ!?
帰ってくれ!!!

5/19/2024, 5:41:23 AM

曲がり角は注意してまがる
転校はしない
成績は中の上
体育祭では目立たない
クラスで友人は少なくないが中心人物ではない

常に目立たず
浮かず
輝かず

ゲームで言うならいわゆるモブオブモブ
略してMOB(同じだ)

そんな僕に恋物語は始まらない

そう思っていた


ーー彼女に会うまでは






……と書けばいかにも何か始まりそうだが
残念ながら別に物語が始める訳ではない
そうモブオブモブなのだから

でも僕は気がついた

そうか、片想いでも
「恋物語」は始まるのか

5/19/2024, 5:40:24 AM

恋物語


きっかけは幼少時代
私は〈あの人〉に魅せられた
初めて心を動かされた
やりたいことなんて他になかったから
〈あの人〉と同じ道を歩んだ

けれど中学生になった時
「好き」というより「嫌いじゃない」
それだけの理由で《彼》の手を取った
どう考えても〈あの人〉の代わりを
探した結果なのに
それでも毎日愛を持って接した
一日中《彼》のことを考えたし
良い関係になれるように、
悩んで、ひたすら努力した
私の一番の自信になった

高校に入って、〈あの人〉に会えた
でも私は《彼》と上手く付き合えていた
周りにだって、
高校でも付き合うんでしょ?と
よく言われていた
どうしよう…。

だから私は前例のない無謀な策に出た
両方と付き合うこと
最低で馬鹿な考えだったけど
本気で両方と付き合えると思っていたから
本気でずっと愛せると思っていたから
私の愛は、誰にも負けていないと思う
でも…

「で?それを今『辞めたい』って思ってるんだ?」
「そう…。本当にごめんね、身勝手で。」
「まぁ、アンタ程の実力者が辞めたら部活的にはめっちゃ困るんだけど、1年間2つの【週5部活】を兼部したのはすごいって。」
「あはは…。出来れば今年もコンクール乗りたかったんだけどね。大会の日が重なっちゃって。」
「で?《吹奏楽》と〈合唱〉、どっちを退部するのさ?」

5/19/2024, 5:39:34 AM

恋物語

昔、漫画雑誌の中に「きになるあの人の愛は」などというページがあって、「きになるあの人」も居なかった私は、自分自身のデータが出す結果を見てみた。

曰く、「この人から本当の愛を得ることは非常に難しいでしょう」と。…おい、なんだって…? 続けて「この人はよほどのことがなければ人を愛しません。貴女が泣くだけの結果になりがちなので、やめておいたほうが良いでしょう」…ちょっと、これ自分の生年月日データで見てるんだけど。私がそんな奴だと言ってるのだよね…? 解せぬ。しかも、ほかの結果文はどれもみな「お花畑でキャッキャウフフ」な内容なのだ。解せぬ。ほとんどディスりではないか。このコーナーを書いた人はどこか虫の居所が悪かったのだろうか? だいたいそこに書かれている「本当の愛」って、どんな定義で書かれているんだろう? うむ、解せぬ。

そんなものを見たのも今は昔の35年ほど前だ。

で、実際どうだったんだ、というと、恋はした。そのとき自分の近くにその人が居なくて本当によかったと考えている。まるで満水のダムが一気に決壊するように、津波じみたエネルギーの心だったから。何もかもを圧倒的に押し流して、誰かを巻き込んではひどく傷つけることまで容易に想像がつく。少なくとも、勢いが時間のなかに落ち着いて、穏やかで絶えない流れになるまでは、近付くわけにはいかない…制御も不可能な自分自身の心のエネルギーを心底恐れた。執着心が植物の蔓のようにものすごい勢いでその人に向かって行くのを、全て焼き払った。何度でも、何十回でも、何百出たって全部焼き払う決意を通した。自分から出た執着の蔓がその人を縛るとかぞっとするし、自分自身を殺したくなることウケアイの想念だなんて冗談じゃない。愛するひとよ自由に飛べ。…しかしそのせいか、心が伝わってない気もするのだ…人は、静かだけど力強い心の響きでは「ちがう、コレじゃない。自分は失恋したんだ」と思い込んでしまうのだろうか……まあ、それでも私の心は変わらぬのだけどね。これはもう恋じゃない。愛だ、愛。釜爺(映画『千と千尋の神隠し』より)に加勢してもらいたいくらいだ。「わからんのか、愛だ、愛ッ!」

恋は大波、津波のよう。
愛は静かな流れのよう。

5/19/2024, 5:39:16 AM

恋物語

        「すきだよ」○

〇「僕も大好き」

        「私も大好き」○

〇「僕も愛してる大好き」

初めは、こんな会話が愛おしくて、好きで好きでたまらなくて、気づかなかったこのままじゃだめなんだと

        「すきだよ」○

〇「僕も大好き」

        「私も大好き」○

〇「僕も愛してる大好き」

いつからかな…こんな会話が当たり前で
同じ会話しかしなくて、帰ってくる言葉の予想がつくぐらい…繰り返して繰り返して……
AIと付き合ってるように思えて
言葉に感情を感じられなくなって

最後に好きだと言ってさよならをした

5/19/2024, 5:31:44 AM

恋物語
恋なんてしない実際そう思って生きてきた。

いつも一緒にいて楽しく話して気づいたら手離したくないって思い始めてて毎日が楽しかった。

でも、ある日そいつに相手ができてそのまま結婚していった。

交際2年で結婚していった。

そんな短い期間で結婚したもんだから離婚も早かった。

そんな馬鹿なやつに近づいてこう言う『付き合って』と

そんなはずい言葉を並べ私たちは末永く幸せになった

5/19/2024, 5:31:12 AM

春なのに毛穴という毛穴から何もかもが溶けだしてしまうほど暑い日。
「なぁ、だめ?俺じゃダメ?」
『だから、ダメではないけど嫌だ。』
「なんでよ。」
今私は告白されていた。
『…伯とは友達でいたいから。』
「……。」
「俺の何がダメなの?」
「俺、友達としてしか見られてないのか?」
「ダメなところ全部治す。」
「だから頼むよ。」
『無理。』
「なぁぁぁぁんでだよぉおぉ!」
『……』
『そういう所嫌い。』
「え?」
『え?じゃない。そういう所嫌いなの。』
「な、治す!治すから!」
『だめ。』
「悲しッ」

そのまま解散し家へ帰る。帰り道には小さな駄菓子屋がある。いつも寄っていく。

「おかえり。りおちゃん。」
『ただいま。』
優しいおばあちゃんがいつもおかえりと言ってくれる。
伯のことは私は好きだ。でも、友達という関係から外れるともっと気を使わなければならなくなってしまう気がする。
本当は好きと言いたい。でも言えない。
弱虫じゃん?

5/19/2024, 5:30:39 AM

関係なのですか 今日でやめますいままで ありがとうございました
さよなら

5/19/2024, 5:30:29 AM

恋物語

俺の恋物語は1ページで始まり、1ページで終わる。
恋をして、そして散っていった。
一目惚れと同時に、もう1つの事実に気付いて。
結末が全てわかってしまった。

本を後ろから読むのと同じことだ。
シナリオ通りになるように、恋路を進まなきゃいけないなんて。
君はわからなくていい。この苦しさなど。
君の物語は全て白紙になるから。

────────────────

自創作 赤い祝日 より

5/19/2024, 5:25:03 AM

初めての キスがレモンの 味なのは 顔をしかめる 思い出だから

お題「恋物語」

5/19/2024, 5:22:17 AM

夢で逢えても仕方がないと言うけれど。
貴方の微笑みや、絡めた指先の温度だけでも。
愛おしいと感じたあの頃の感情を今でも鮮明に憶えている。
夢でよかった。
夢がよかった。
本当の貴方と逢ってしまえば。
一度沈んだ想いが溢れ出して収拾がつかなくなりそうだもの。
涙で枕が濡れてしまったことは秘密にしなくちゃ。
「寂しかったんだろ、お前」なんて。
貴方の掠れたその低い声に言われてしまえばもう。
私はきっと貴方から抜け出せなくなる。


あぁ、でも。
貴方のくつくつと喉を鳴らして笑う声だけは。
貴方の隣で聞きたかったと思ってしまうのは。
矛盾しているのかもしれない。

5/19/2024, 4:59:14 AM

「おー!どーだったー!?、ェ?」
驚いた。
だって、、手伝いをしてたはずの彼女は
すごく泣いていたから
すぐ駆け寄ったよさすがにね

「ど、え??どうした???」
「周りの目が怖い..」
事情を聞いて僕は再び驚いた
決して誰もそんな目では見てなかった
言ってしまえば
彼女に感謝してたくらいだ

「そっか、、ボール投げあんがとねー」
涙が無限に出てくるから
ジャージで拭えば
「殴るなーー..w」
「殴ってねーよww」

「あ、でもだめだ目潰ししそう」
「やめろよwww」

【恋物語】【多数の目】

5/19/2024, 4:57:58 AM

「そこ、めちゃくちゃ地元だよ」

 その日。
 いつもは何とはなしに集まってくるはずのサークルの部室には、彼ら二人しかいなかった。


 現代文芸サークル、という名称はあったものの。
 中身は『浅いレベル』で、漫画やゲーム好きが集まっただけのサークルだ。

 最近、サークル内でやっているパソコンのオンラインゲームを二人で軽くプレイしつつ。

 雑談の中で、最近ハマっている漫画はある? という彼の質問に彼女がとあるタイトルを告げた。

「すごく面白い訳じゃないんだけど、絵が好きなんだよね」

「あ〜、○○で連載している漫画だっけ。ちょっと見たことあるな」

 そして。
 その漫画の舞台は自分の地元だと、彼が言った。


「え、本当に!?」

 驚きで、彼女の声が一際大きくなる。

「本当に、あんな防波堤があって?」
「うん。あの道、通学で——チャリで通ってたよ」
「えー、何それ。すっごい青春!」
「一人で通ってただけで何もなかったけど」
「もったいない!」

 ひとしきり、そんな会話が続いて、ふと。


「行って、みる?」
「ん?」
「だから、そこ。——案内しても、いいけど」

 彼の提案に、彼女は一息だけ置いて。

「え、いいの!?」
「うん。今週は、暇だし」

 ちょっと横を向いた彼の顔に、彼女はドキリと心音が高まり。
 それを隠すように、マウスをギュっと握りしめた。

「……じゃあ、お願いしようかな……」


 翌々日。
 彼らは午前の早い時間から待ち合わせをして、電車に乗り込んだ。


 いつもの部室でオンラインゲームをプレイするように。

 軽口を交わしながら、彼の通学路でもあった海岸沿いの道をともに歩いた。

 晴天で、初秋にしては気温が高く。
 海風はベタつくものの、心地良かった。

 ややきつめの長い坂を登って、展望台がある公園にも赴いた。

 金網のフェンスいっぱいに吊り下げられた南京錠にギョッとしつつ、彼女は笑った。


「うわ、本当にあるんだ! すごい数」
「ここいらじゃ、結構有名だからね。漫画には出てこなかった?」
「恋愛漫画じゃないから、いわれまでは出てこなかったね。だから何でだろ、と思ってたの」

 愛にロックをかける、か。
 最初に思いついた人はすごいね、と彼女はまた笑った。

「南京錠は、あんまり可愛くないけどさ」


 展望台に登って、二人してベンチに座り、自販機で購入したジュースを飲む。


「ね——あそこに鍵をかけようって思ったこと、ある?」

 彼女の問いかけに。
 彼は一瞬だけ止まって、首を横に振った。

「いや、ないよ。……まだ」
「……まだ?」

 いつかは、あるかも? とからかうように彼女が尋ねると、彼は頷いた。

「この先は、あるかもしれない」
「そっかぁ」


 その時に流れた空気を。

 多分、彼らは忘れることはないはずだ。


 確かに——同じものを感じたはず、なのに。


 もし違っていたら、と。

 今の関係が失われてしまうかもしれない可能性を、恐れて。


 ただ風に、沈黙を乗せた。



「ポストの鍵、買ってきたよ」

 ホームセンターから戻ってきた連れ合いから、小さな南京錠を受け取る。

 いつか見た、菱型金網のフェンスがひしゃげるほどに取り付けられた南京錠のどれよりも、小さい。

「ありがとう」


 言い、ながら。


 ……もしもあの日。

 南京錠を用意していたら、どんな未来になっていたのだろうかと。

 淡く苦い思いを、笑みで飲み下して。


 新居のポストに、南京錠を取り付けた。

5/19/2024, 4:51:12 AM

『恋物語』

君と僕の恋物語。

君と誰かの恋物語。

君はどっちの方が楽しかったのかな。

君はどっちの方が幸せだったのかな。

僕は幸せだったよ。

だからこそ

君の幸せを願っているよ。

5/19/2024, 4:49:57 AM

今まで様々な恋があったけど
小説にするなら今かな。
題名 『叶わない恋』
そんな恋物語を書きたい

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