『快晴』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【快晴】
気象って
客観的事実のはずなのに
「快い」なんて
主観的な言葉が入っている
「快晴」って
変だよね
…というふうに、蛙が鳴いている。
晴れた空は真っ青で
あぁ
と思う
難しい言葉は知らないけど
風がきもちい
鳥が鳴いている
子どもたちの笑い声
歩く音
日常の騒音すべてが
わたしに
生きていると感じさせる
そして今日もわたしは生きている
「快晴」
今日は太陽の恵みをたくさん受けるから。
たっぷりの水分補給と日焼け止めを忘れずにね。
「ね、今日の空飛べそう!」
真夏の暑い教室で、前の席の彼女がそう楽しそうに笑ってこちらを振り返る。卒業までずっとクラス替えも席替えもなければいいと思った。
"快晴"
「快晴」
春も終わりに近ずいて
暖かい日差しが桜から葉桜に変えつつ
冷たい風がまだ春一番のように強くふいている
空を見ると
春の水色の空から
夏の青色の空へ
変わりつつある
私は心に雲がかかっているような
梅雨の少しジメジメとした感覚
曇り⇒雨⇒曇り⇒雨
繰り返しの天気
曇りは曇りの楽しみ方
雨は雨の楽しみ方
考えようでいくらでも変わる
そんな気持ちや考え方になりたい
画布の先 筆を構えて見た瞳が
ぼくを置き去るように細むので
この絵はお終いなんだと悟った
夢の当て事のように君に問うて
穂先は酸欠のようにふらついて
終に思いがけず落とした筆洗に
円く咲いた水縹
天を衝く君の恋
――――
(快晴)
地面や建物に大量の水滴が落ちる音、水面に雨が落ちる音、冷えた空気。学校の玄関で傘を忘れたことに気づいた半袖半ズボンの少年は庇の下で立ち往生していた。
家から学校は近くはないが遠すぎるわけでもなく、徒歩で行き来しようと思えば多少時間はかかるにせよ小学生でもできる程度だ。それ故少年はバス代やタクシー代などを持たされていない。少年の両親は共働きで、母は夕方の6時を過ぎなければ家に帰ってこない。必然的に傘を忘れたからといって迎えが来るわけでもない。そして少年の学校には共働きの子供を一時的においておく場所はない。自力で帰る以外手段はないのだ。
しかし仮に学校から家への最短ルートを全力疾走したとしても、この雨とこの気温では風邪を引くは必至だろう。だがそれ以外に手立てがあるわけでもない。
十分近く悩んだ後、少年は意を決して走り出した。庇から出た途端に大量の雨水によって着ている服が冷たく黒くなっていく。学校の玄関先から校門を出る所までで衣服はすべて水を吸いきり冷却機関と化した。全身が水気と風で冷やされていく中、少年は家路を急ぐ。
おおよそ40分程度走り続けたところで少年はやっと家の近辺まで来た。単なる通り雨だったのかその頃には雨は止みかけていた。
それからすこしで少年は漸く家に着く。見上げた空には雲一つ残っておらず、夕刻に差し掛かる前の西日が水気と水溜りの残る住宅街を照らしていた。
散々雨に打たれた後で今更快晴になったのが少年は憎らしかった。
快晴
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幼い頃から空と鳥が好きだった。学校からの帰り道はいつも空を見ながら帰っていた。周りを殆ど見ず、足元も見ていなかったので、今にして思えば随分危なっかしい子供だったと思う。
私がパイロットを目指したきっかけは祖父の話だった。祖父は昔複葉機のパイロットをしていたそうで、一度だけその時の話をしてくれた。祖父が初めて飛行機に乗って空を飛んだ時の話だった。祖父の語る空はとても爽やかで開放感に満ち、聞くだけでも胸が踊るようであった。その話をしていた時の祖父はとても楽しそうな、まるで少年のような表情で語っていた。だからこそ話を終え口を閉じた後、どこか傷ついたような物悲しい顔をしていたのが当時の私には不思議だった。その祖父は私が15歳の終わり頃に死んだ。私が軍の航空学校に入学することが決まってすぐだった。
学業は知ることがとても楽しかったので然程難しくはなかった。それより自分は人付き合いに慣れるほうが難しかった。自分は周囲とはどうにも感性がズレていたのか、小さい頃から仲の良い友達というのが殆どいなかった。それ故他者との距離感が掴みづらく、年齢が上がれば上がる程苦手意識が増していた。それでも人間関係を上手く出来ないのは、就こうとしている職務上相当な欠点だったので可能な限り努力した。結果として友人は多数とは言えないが数人は出来た。
18になるかどうかといった頃、私は航空学校を成績上位で卒業し軍に入隊。部隊に配属され、初めて飛行機に乗って空を飛んだ。その時の感慨はとても筆舌に尽くしがたい。こんなにも空が近い、空を飛ぶ、あの鳥と同じところに来たのだと。
その1年後に隣国との戦争が起きた。私は航空兵であったので、当然作戦にあたり出撃した。その後それほどしないうちに敵軍の飛行隊とかち合った。私は敵機もいくつも撃墜した。敵を撃ち墜としたことについては、当時は何を思うこともなかったか、或いは何も思わないようにしていた。
その戦争は6年続いた。最初の一年か二年ほどは戦争の空気も強くはなかった。街中はそれまでと然程変わらず賑わっていたし、その頃は快進撃という様だったので皆大して戦争の先行きを悲観していなかった。しかし三年目の一つの作戦を境に戦況が悪化し始めた。それまでの快進撃により戦線を大いに広げた結果、防衛するに必要な兵力が分散。そのうえ今となっては私ですら失策と断言しえる無謀な攻略戦を開始し、その作戦は大敗を喫した。五年目の半ばを過ぎる頃には兵站は枯渇し、戦線は本土の目前と言えるところまで下がり、その年の暮には本土の一部を喪失した。私が飛行機の操縦席から降りることになったのはその頃のことだった。
戦闘中、不思議なことに私は聞こえるはずのない断末魔を聞いた。その断末魔はひどく壮絶としか言いようがないもので、瞬間的に私の心に埋めようの無い風穴を開け、私はそれに不運にも気づいてしまった。断末魔に取り乱した私は操縦を誤り、左翼に被弾。機体は制御を失い墜落した。
奇跡的に私は死ななかった。だが私はその時の怪我で視力が落ちた。視力の低下によりパイロットには不適合になったと知った時、私は安堵と同時に愕然とした。何があってももう飛ばない、もう飛べないのだと。視力の良さは軍に限らず、すべての航空操縦士の必須能力だった。
6年間戦場で飛行機に乗り続け、生き残った私は相当幸運だった。しかし死に際の断末魔に取り乱してしまった私は、おそらくそもそも軍人には向いていなかったのだろう。
間もなく私は仕事中の事故で重傷を負い、左半身が完全とまではいかないにせよ不自由になった。だが末期戦で人手不足だったためか本土での勤務に切り替わるだけですぐには除隊にはならなかった。
それから少しして国は終戦を迎えた。首都防衛戦とまではいかずとも、国土の大部分を喪失した状態での終戦だった。
それから私は後処理のもので一部任された仕事を終え除隊し、故郷に帰った。親は私が生きて帰ってきたことを喜んでくれた。それから私は公務員職についた。左半身の問題があったので書類関係の仕事だ。元からその類の仕事が得意だったのもある。2年後には良い縁があって結婚、翌年には子供も生まれた。
仕事や子供やで忙しくしているうちに随分と時間が経った。子供が成人した頃、私の父親が死んだ。それから半年たたず後を追うように母も死んだ。その後両親の遺品を整理する中で祖父の遺品類を見つけ、いくつか見た。その中に書かれていたこと、あったもの、そして私自身のの経験から、昔見た祖父の物悲しげな顔の理由がわかった気がした。
遠くの空へ
お題更新までに書ききれなかったため供養がてら抱き合わせ候
快晴
青い空、唄う鳥
風に身を任せて
羽を持った者が私を空に運んでくれる
数週間前の日付が載る新聞をガサリと広げる。
一度は紐でまとめた中から避難させておいた目的も、すぐさま見つかった。
それは実際の空を見て判断するという、生身の人間が持つアナログ感覚に基づいた「使い分け」が失われたといった見出しの記事である。
情報番組の進行役や、お偉い専門家の方のような詳しい知識でする話題の広げ方なんてものは、一般人の極みたる自分には出来などしない。
それでも個人的な範囲だけで話すのであれば案外なにも感じなかったわけではなく、こうして紙束から弾く程度には気にもなっていたらしい。
耳へ入る単語から、ぼんやりと頭に浮かんだのは「夏休みの宿題」。
なかでも“お約束”として出されもした絵日記の存在と、その悩ましき失態の数々を思えばこそ、ちょっとだけ物寂しさを覚えてしまったのだ。
本日の青い空には、一つの雲も流れていない。
【快晴】
どうせ楽しくない。分かっている。外に出たって何もいいことはない。
窓の外は快晴。憎らしいくらい。隣の公園は桜が見頃で、なんとも楽しげな笑い声が聞こえる。
卒業式に出られず、入学式へ出る予定もなく、宙ぶらりんのまま親と目を合わせることもできない私には、遮るもののない春の日差しはまぶしすぎる。
風が吹く。桜吹雪が舞い上がる。
開けていた窓の隙間から、花びらが一枚舞い込んできた。
春の日差しをたっぷり浴びたそれは小さな陽だまりのようで。
暗い部屋に、私と、花びら一枚。
風が吹き、花びらは踊るように私を外へ誘う。
【お題:快晴】
快晴
群青に染まる空は眩しくて、眩しすぎて
上を見られない。幸せな時、空は晴れる
そんな物語だらけの世界だけど。
上なんて見られないじゃないか眩しすぎて
自分が虚しくなる
灰色に染まる空は薄暗くて、その暗さが
安堵を降り注がせて上を向かす。
辛い時、空は曇る。そんな物語だらけの世界
だけど上くらい見られるじゃないか。
不思議なほどぼんやり空を見る。
眩しい快晴が愛おしく思うのは不幸なとき。
明るい奴が回りにいたら。皆同じように、
下を見る。だから僕も気にせず下を見る。
眩しい快晴を愛おしく思うのは不幸なとき。
明るい奴が回りにいたら。皆僕を忘れて、
微笑み合う。だから僕は気にせず下を見る。
群青色の空の下、君のうつむきを
僕と重ねて思い出す。
あーしたなーみだふーれ―
空は青く、緑は美しく、私は贅沢な時間を過ごしている。
家の窓から太陽を浴びながらストレッチ。久々の休暇を自分のためにつぎ込んでいるとてもよくできた人だ。朝から散歩、帰ってきてから白湯を飲み、ストレッチ終わりには玄米を食べる。どこぞのモデルかのように過ごして午後は貯めていたテレビを消化する。お風呂からあがれば美容に命をかけて顔の下ごしらえをする。明日は会社だからできる人とアピールしなければ。自分は1人で生きるんだ。
あの太陽が1人で、月が1人のように、自分の心も1人と決めたのだ。 それの方が晴れわたり、美しいと感じたから。 『快晴』
お題 快晴
か 髪がなびく
い いつかの晴れの日
せ 成長して
い 生きていく
身の丈に合わない服を着て
大人になったフリ
少しでも近づきたくてたくさん背伸びした
あの頃の私をもう思い出せない
だけれど心のどこかにまだあの頃の自分がいる
ほら あなたに会うためにまた少し背伸び
「空が青い日に迎えに行くね」
妊娠した浮気相手の椿を、やっぱり責任取れないからと適当に捨てた時に言われた言葉だ。
その時は意味がわからなかったのと、大きなお腹をした椿の異様な雰囲気に気圧されて、俺は逃げるようにその場を立ち去った。
そこから5年が過ぎた今日。
あの時の本命の彼女、美春との結婚式が行われる。
あれから椿と適当に遊んだことを後悔した俺は、美春に殊更愛情を注いだ。
椿の言葉を受けてしばらくは、晴れた日を特に警戒して過ごしていた。
だが、不思議なほど何も起こらず、次第に椿への恐怖感も薄らいでいった。
椿と別れてから4年目、流石にもう大丈夫だろうと思い、美春にプロポーズした。
十分時間も経ったし、椿もきっと、どこかで幸せになってくれているはずだ。
曇天の空の下、もう絶対に浮気はしないと固く心に誓い、結婚式に臨む。
今日の俺は、最高に幸せ者だ。
結婚式が始まり、教会の中で新婦である美春の入場を待つ。
雲が切れ、快晴となった空から教会に光が降り注ぎ、神秘的な空気を醸し出す。
その時だった。
招待客の一人が立ち上がり、俺に向かって走ってきた。
あんな男、俺達の知り合いにいただろうか。
そんなことを思いながら固まってしまった瞬間、腹に衝撃が走った。
痛い、痛い、痛い。
刺された俺は床に倒れ伏した。
周囲から悲鳴が上がる。
他の招待客に取り押さえられた男が叫ぶ。
「死ね、この屑が!お前のせいで娘は…椿は死んだ!」
嘘だろ。椿が死んでいたなんて。
あまりの痛みと驚きで言葉を発せられない。
男は鬼のような形相で叫び続ける。
「子どもを堕ろせなくなっていた椿は心を病んで、お前の人生最高の日、晴れの日に復讐してやるとずっと言っていた。だが、復讐する前に出産で椿は子どもと共に死んでしまった!お前が殺したんだ!」
「…!」
「娘の仇は父親の俺が取る!娘を返せこの外道が!お前が幸せになるなんて絶対に許さない!そのまま床に転がって死んでしまえ!」
椿の父親が泣き叫ぶのを、周囲が必死で取り押さえている。
そして俺に突き刺さる心配と軽蔑の混じった視線。
段々意識がぼんやりしてきた。
本当に死んでしまうかもしれない。
嫌だ。
折角結婚できるところだったのに。
椿は死んでしまったが、美春は生きていて、俺が幸せにしなくちゃいけないんだ。
『ひさしぶり、この屑野郎。まだ自分と美春さんのことを考えてるだなんて、余裕だね』
どこからか椿の声がする。
底冷えするような、恐ろしい声。
『私も赤ちゃんも死んで、お父さんの手を汚させて』
どんどん椿の方に引っ張られている気がする。
悪かった、やめてくれ、頼むーーー
『やめるわけないでしょ。これからあんたは罰を受けるの。私たちの気が済むまでね』
心が絶望に染まる。
もう身体の痛みは感じない。
朧げだった椿の人形のような顔がはっきり見える。
椿が赤ん坊を抱え、聖母のように微笑む。
そしてこちらを見て、
『早く死んでこっちにおいで』
俺が苦痛なく正気を保てていたのは、この時が最後だったーーー
テーマ『快晴の空』
憎らしいほどよく晴れた午前10時
駅前で君と待ち合わせ
君はよく待ち合わせに遅刻する
なのに今日は時間ピッタリ
「やればできるじゃん、時間ぴったりよ」
「えへへ、いろいろ運が良かっただけだけどね」
そう言ってへラリと笑う君が愛おしくて口元が緩む
「さ、行こっか!そこのカフェの季節限定パフェ!」
小綺麗なカフェを指差してキラキラした目でこちらを見つめる君
容赦なく照りつける太陽より眩しい視線に目を細める
「うん、パフェ楽しみだね」
「うん!!」
いつまでも君の隣にいたいと思った
わたしの心は大雨が降っていた。でもそれを否定するかのように空は快晴に晴れていた。もういいこの世界が全て嫌になった。気持ちを切り替えようとし外に出た。外はレモンとオレンジが交わったような初夏匂いがした。でも何歩歩いても何分何時間歩いてもわたしの心が快晴に晴れることはなかった。次の日私は電車で実家の長野に帰った。もう全て話そう。死ぬ前に辛い気持ちを少し楽にしてから。
『快晴』
爽やかな朝日が差し込んでくる。
今日も、僕はつまらない日を過ごすと思ったはずなのに、なぜだか気分が良くなっていく。
天気一つでここまで気分が変わるのはチョロすぎるとも思ったが、悪い気はしないのでそう言うことにしておく。
朝食は何を食べようかな。
清澄な空気の中、
五線譜を背景に流れるような動きで、
たんたんとリズムをとって、
自分の体の思うままに自由に踊った。
漆黒の光沢のある薄い髪を、
辺りに振りまきながら。
少しすると、飽きてきてぺたんと、
その場に座り込んだ。
空を見上げ、
一面に広がるみずみずしさを全身で感じていたら、少しかいた汗が乾いていた。
もう居場所に帰る時間だな⋯。
腕と足にはお前は逃げれないと言わんばかりの重々しい金属。
一体、本当の自由ってなんだろうか。
反対に、本当の不自由ってなんだろうか。
正直言うと、もう答えは知っているんだけど、その答えを認めたくない。
,,,君の考えを聞かせてくれないかな。
長いまつ毛で縁取られた目を瞬いて、その缶をまじまじと見つめていた。手に取るのを憚るように、一度は伸ばした腕は、力なく垂れている。当時は輝いていたであろう金色の缶は薄く光を跳ね返し、どこかくすんだ色合いへと変化している。──年季を感じる佇まい。その割に、どこも錆び付いてはいない。
──大切にされていたんだろう。そう、感じた。
しんとした空気が流れている。
長い長い時間、誰も何も言わなかった。もう春だというのに、冷えた風が傍を通り抜けていく。
──最初に沈黙を破ったのは、君だった。
「飴が入っていたんだよ」
すっと手を伸ばし、指が触れる寸前。刹那だけ躊躇した君は。次の瞬間には何事もなかったのように、なんでもないように、缶を掴み、蓋を持ち上げた。
瞬間。感じるはずもないのに。ほんのりと、甘い香りがした気がした。
中身を見た君の顔が、反射した金に照らされ、眩しそうに目を細めて。冷たかった空気に、甘い香りが溶けていく。
空は快晴だった。くすんだ金色の缶の内側が、太陽の光できらきらと輝いていた。
『快晴』
どんよりと曇り空の心は
その上の快晴を知らず
いつもそのまま
だけど快晴はいつだってそこにある
視点を変えるだけなんだ
その力がないんだ
同じ気持ちと同じ視点で
だからいつも
曇り空
快晴ってどんなだったかな
そこにあるはずなんだけどな
曇り空の心の上に
あるはずなんだけどな