忘れられない、いつまでも。』の作文集

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忘れられない、いつまでも。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/9/2024, 2:10:35 PM

「いつかふたり離れる日を」


こんなにうまくいってるのに、いつか離れる日が来ることを想像してしまう。

「恋愛において、男は名前をつけて保存、女は上書き保存」などと言われるが、もしも君と別れたら俺は何重にもバックアップを取って永久保存するだろう。


君と手を繋ぎながら考えることじゃないけど、いつか君が俺の手を振り解く日が来ることを想像してしまう。
そして、他の誰かのものになってしまうところまで。

いまだに君が俺を選んだことが信じられなくて、これは現実ではないのかもしれない、と時々本気で思う。

君が微笑むたび、あとどれくらいこの笑顔を独り占めできるのだろうか、なんて考えてしまう。


いつか別々の道へ進むことになっても、俺は驚かない。
君が俺のことを忘れてしまったとしても、俺が覚えているからいいんだ。

ただ、欲を言えば、最期のときに「もしもあの人と一緒になっていたら、今ごろどうなっていたかな」と、俺のことを一瞬でも思い出してくれたら、それでいい。





────忘れられない、いつまでも。

5/9/2024, 2:08:41 PM

忘れられない、いつまでも。




少し肌寒い10月の秋の夜

コンビニの駐車場で、車のなか。
告白してくれた。もう、3年も前だっけ?

こくりと頷いた私の手をとって、

「ここ数年で1番どきどきした」なんて、照れながら言うもんだから、、歳上なのに、可愛いな、なんて。

あの日のことは、きっといつまでも、忘れることなんてできないと思う。

5/9/2024, 2:07:26 PM

16才
大好きなあの人にであって
17才
仲良くなった
18才
彼は卒業して東京へ行った

ずっと一緒にいると思ってた
どんなことあっても好きだと思ってた
それぞれの道を歩いていても
忘れられない いつまでも
きっと今でも好きな人

5/9/2024, 2:06:13 PM

春の風が優しく吹いている頃、私は揺籠の中で揺れていた。特にやる事もなくそれが暇という事を知らない私は不快と感じる事なく来る日も来る日も寝て起きて食べてまた寝るというサイクルを繰り返していた。
ずっとこのままでいいなと思い始めた頃、私は己の身長くらいもある大きい腕に抱き抱えられた。
このままだと連れ去られてしまうかもしれない。
そう思った私は堪らず大声をあげて泣いた。
すると大きい腕の男はワタワタと忙しなく顔を変え奇声を発してあやそうとして来た。
それがより一層不気味に思えてまた泣き出して、するとあやすことを諦めた男は急いで目的地らしい場所へ向かって駆けていった。
しばらくすると私の視界はいつも見た色の乏しい空間ではなく様々な色に富んだ空間を映していた。
それだけでなく知らぬ音、少し湿っている空気、見たことのない動物。
その全てが私を感動へと導いた。
声も出さず涙を流す私を胸に男は
「お前にこれが見せたかったんだ」と言い聞かせて言った。
その美しき光景は私はその男が父と知り自分で歩み言葉を発して1人で生きていける年になってもまだ鮮烈に一つの大切なフィルムの様に脳裏に焼き付いていた。
故郷を離れ、仕事に行っていた私は再び故郷に帰って今度は自分の足で歩いてその光景を見て息を吸った。

お題忘れられない、いつまでも
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
更新がかなり遅れてしまって申し訳ありませんでした。これからもまだまだ半人前ですが私の作品に目を通していただけるとありがたいです。

5/9/2024, 2:05:36 PM

忘れられない母の優しさ、
いつまでも僕の中で生き続けている。

5/9/2024, 2:03:47 PM

【24日目】忘れられない、いつまでも

17歳だった
プロになるために
上京した彼と
プロの夢を挫折して
病んでしまった私

別れの言葉も言えずに
二度と会えなくなった

彼はその後 努力とチャンスを掴み
世界的に有名になった

私は小さな田舎町で
夢を追いかける少女達を
指導している

あの日あの時のわたしのように
ならないために
プロになれなくても
納得できる人生に
なって欲しいと思う

だけどあの日あの時
わたしがそのまま夢を
追いかけられていたら
今ごろは彼と並んで
共に人生を歩んでいたかも

メディアで見る彼は
あの頃と変わらない

今でも大好きでいていいですか?

14歳の彼とわたしの物語〜その後

5/9/2024, 2:02:50 PM

「忘れられない、いつまでも」
あの本の、最後にある一文を読んだ衝撃は
今でも思い出せる。

まさかそんな、でも、これって。

すべてはあの一文に集約されるなんて、
何年経っても読み返しちゃうわけね。

5/9/2024, 2:01:43 PM

「忘れられない、いつまでも。」
作¦村村真琴

君と歩いた並木道にとまる蝉の鳴き声が五月蝿かった。でも今はそこの鳴き声が喚き声になって。蝉の声なんかには聞こえやしなかった。夏至の日差しが肌を刺激して肌にシミが増えて美しさなんて言葉は似合わなくなって行った。彼に振られてから私は日に日に弱っていった。痩せ細り、髪は白髪だらけ、彼を無くしただけでこんなにもなる自分が嫌だ。彼の事はきっと忘れられない、いつまでも。

5/9/2024, 2:01:30 PM

忘れられない、いつまでも

初めて君が笑ったんだ、僕の言葉で笑ってくれた。
『表情筋が痛い』なんて言ってた。
そんな君の言葉に僕は腹筋が痛いよ

5/9/2024, 2:00:51 PM

忘れられない。いつまでも
あなたの髪
あなたの真っ赤に染った頬
全てが儚くて
でも
あなたの記憶だけは鮮明で
ふしぎなかんじ
何を話したのかは覚えていない
ただあなたの笑った顔が大好きだった
口角が上がる度にできるえくぼが可愛かった
でも今ではただの思い出
あなたは溺れてしまった
夢を追いかけたのだ
この選択が間違っていたのかそれは分からない
私は落ちたあなたを助けず見守ることしか出来なかった
あの感覚はもう二度と感じることは無い
記憶でしかないのに
どこか切なくて
情けない
こんな私をあなたは覚えてくれているのでしょうか

5/9/2024, 2:00:17 PM

手を離した…

雪の降る深夜に…

降り積もり足跡を消してく…

何でもなかったみたいに…

まっさらに白く真っ白に…

消えて…


何故か…

思いは…

この胸の思いは…

どうしても消えなくて…

知ってるか…

俺は…

あれから…

君へ…

5/9/2024, 1:59:54 PM

"忘れられない、いつまでも。"

 あの頃より、幻聴幻覚は減った。夢に見る事も減った。だいぶ減った。
 『減った』のだ。完全には消えていない。
 今でもたまに見るし、聞こえる。
 長い長い年月を経てようやく耐性がついて、取り乱したり過呼吸を起こしたりしなくなった。
 幻覚、幻聴、悪夢は《あの日の記憶》と《あの日以前の記憶》をまざまざと叩きつけてくる。
 そんなものが無くたって、忘れるわけが無い。
 《あの記憶》を忘れたくない。
 忘れてはいけない。
 忘れるなど許されない。
 無関係の人間に生まれ変わっても、この記憶は忘れてはならない。
 俺の贖罪で、俺を縛る十字架で、俺を生かしているもので、俺の運命。
 それが無くなったら、俺が俺じゃなくなる。
 だから、何度でも戦いに赴く。
 どんなに僅かでも可能性があるなら、何度でもかざす。手を伸ばし続ける。
 俺のできる事を精一杯。この身が滅ぼうともやり遂げる。
 俺のような思いを、何人《なんぴと》もさせない為に。皆のあるべき未来を取り戻す為に。

5/9/2024, 1:58:42 PM

忘れられない、いつまでも。
忘れたくない、いつまでも。

でも、どんな素敵な思い出も時間が経てば色褪せていく。

いつかは互いに新たな人に出会う。
新たな思い出で、あなたとの思い出はさらに色褪せていく。

2人では掴めなかった幸せを、お互い別々の道で掴む。
あなたが今幸せなら私も嬉しい。

でも、本当は少し悲しい。

5/9/2024, 1:56:17 PM

忘れられない、いつまでも。


昔は、悪意のあることを言われたら〝へびのように〟覚えていたのだけど、
最近は、1週間くらいで忘れるようになった。

覚えないといけない事がたくさんあって、嫌な事を覚えておく余裕がなくなった。

5/9/2024, 1:54:08 PM

忘れられない いつまでも。


 

 宮本くんは、私の初めての彼氏だった。


 高校2年の夏から、付き合い始めた。

 

 初めてのデートは宮本君の家から近い神社の夏祭り。

 一回200円の射的が思いの外、とても上手で可愛いウサギのぬいぐるみをゲットして、私にプレゼントしてくれたっけ。

 その後も2人で海に行ったり、一緒に映画を見たり、カラオケで歌ったり、ショッピングモールでお買い物したり。

 門限ギリギリまで駅でベンチに座って、イルミネーションを見ながら話したり…。

 たった一年の付き合いだったけど、宮本くんはたくさんの思い出をくれた。


 私より、3センチほど背が高い宮本くんは、

『俺はまだまだこれから背が伸びるから!』

と笑っていたけど、1年経ってもその差は縮まらなかった。


 宮本くんは目が細くて吊り上がっていて、見た目は怖い感じの男子だった。

 私の友人たちからはあまり評判は良くなかったけど。

 でも、宮本くんが笑った時には、顔がぱぁっと明るくなって、私にはその笑顔がとても魅力的に見えた。

 私は宮本くんの笑顔を見るのがとても好きだった。


 2人になると特に、宮本くんはとても優しかったんだ。

 
 
 付き合い始めて半年。

 
 季節は冬になり。空を覆う大きな灰色の雲から、白い雪が降ってきた。

 
 その日は通学前は、チラホラと雪が降っていたけれど、じきに止むと思った私たちは自転車で学校に向かった。

 でも雪はやむどころが本格的に降り始め、授業も中止。

 1時限目が終わると同時に、全クラス下校することが決まった。

 私と宮本くんは、自転車を学校の駐輪場に置いて帰ることにした。

 2人でコンビニで買った一本の透明の傘を差して、たわいのない話をしながらバス停に向かって歩いていった。

 
 雪はどんどん降ってきた。

 
 横から吹く風のせいで、傘を差してても身体に雪が張り付いて、黒い制服がみるみるうちに真っ白になっていく。

 
 宮本くんは急に歩みを止めると笑いながら言った。


『シロクマみたいになってるよ』

 そう言って、私の制服についた雪を手で軽く払ってくれた。


 そして自分についた雪を払うと、ふと顔を上げて私を見つめた。


『髪の毛にも…』そう呟いて、私の髪についた雪を優しく払った後、ちょっと戸惑ったように手を止めてから、ゆっくりと私の頬に触れた。

 『こんなに寒い中なのに、お前の頬は柔らかそうだなぁ…』

と、つぶやいた。

 その時、宮本くんは手袋をしてなくて、氷のように冷たい手だった。

 それでも、私はその指の冷たさを不快に思わず、温めてあげたくなって、その彼の手をとって握りしめた。

『あっ、ごめんごめん。冷たかったよな』

 宮本くんは困ったように私の手から逃げると、

『さ、早く帰ろうぜ。風呂に入って温まらないと!』

 それだけ言うと、顔を赤くしながら私の肩を抱いて引き寄せた。


 本当に寒い、寒い冬の記憶だ。

 
 その雪の日から半年後。


 突然の別れがきた。

 
 朝、学校に行ってみると、宮本くんは登校してこなかった。

 寝坊でもしたのかと、特に気にしてなかったのだが、1時限目の国語の授業が終わろうとした時、担任の先生が顔色を変えてクラスに入ってきて、国語の女の先生と何やら小声で話した。
 国語の先生はみるみる顔色が変わり、片手で口を押さえると大きく目を見開いて、とても信じられない、というような顔をして、クラスのみんなを見渡した。

 その異様な雰囲気に、クラス中が静まり返る。


 私は、なにかとても嫌な予感がして、緊張の中、ゴクリ、と唾を呑む。

 自分の喉が大きく鳴るのが聞こえた。

 
 担任の先生が、こわばった顔したまま、静かに喋り出した。





『今朝、宮本が登校途中、事故にあってー……』





 


 いつまでも続くと思っていた時間が、ある日突然途切れて、永遠に失ってしまうという体験を

 
 18年生きてきて、その時、私は初めて体験したのだった。


 一緒にいられたのは、たった一年だったけれど、私の中に宮本君と過ごした沢山の思い出があって。

 

 宮本くんがこの世界のどこにもいなくなった後も、その思い出たちは、いつまでも輝いて私の中に存在してきた。

 
 
 2人で過ごした時間は嬉しい事も楽しい事も、沢山あったのに、私の中で1番強く、残っている記憶は


 
 何故なんだろう?

 

 あの、大雪の中で、一本の傘をふたりでさして帰った時の。


私の頬に触れた、とても冷たい宮本くんの指の感触なのだ。
 
 
 

 あの冷たかった宮本くんの指を、今思い出しても、温めてあげたい、と…


もう叶わない事だけれど、強く強く、思ってしまうのだ。


 

 どれだけ時間が経っても。

 

 忘れない

 
 忘れられない  いつまでも。

5/9/2024, 1:53:07 PM

君との物語、忘れることが出来ない。
楽しかった物語は、おとぎ話みたいに心に残ってる。
心の絵本に、綺麗な挿絵つきで描かれている。
なのに、今は悲劇の連続で、扉を開く時、前みたいな、絵本を開く時や本を開く時みたいな、楽しみや、ワクワクが消えていた。
その思い出も、私の物語として、今も心のペンは止まっていない。

5/9/2024, 1:52:53 PM

俺の名前はバン。
 以前は名の知れた冒険者だったのだが、仲間からの手ひどい裏切りでトラウマになり、ダンジョンに潜れなくなってしまった。
 ダンジョンに潜れない冒険者なんて価値は無い。
 冒険以外に何もできない俺は、恋人のクレアの勧めで故郷に戻っていた。

 十年近く帰っていなかったのだが、家族や友人からは熱烈な歓迎を受けた。
 帰ってからというもの様々なトラブルに見舞われたが、おおむね平和に過ごしていた。
 冒険者に復帰せず、クレアと一緒にのんびり故郷で暮らすのもいいな。

 そんなことをぼんやりと思っていた頃、クレアからあるお願いをされたのだった。

 ◆

「誰も使ってない家を借りたい、という事だったが何をするんだ?」
「今から神に祈ろうと思ってます」
「なるほど」

 クレアは聖女である。
 この世界には数多の神がおり、それぞれの神に選ばれた女性が聖女となる。
 彼女たちは、自らの神に信仰を捧げ、世界に教えを広げ、時として神の奇跡を体現する、神の代行者である。
 時には人々を救うため、神の加護を受け危険な場所にも進んで赴く……
 クレアは、そんな使命を負った一人なのだ。
 そして神の力を行使するためには、神への祈りは欠かせないらしいのだが――

「お前が祈るなんて初めて見るよ」
 クレアは、『おや』とでも言いたげな顔で、俺を見る。
「言ってませんでしたか?
 私が信仰する神は、年に一回だけ祈りを捧げることになっているのです」
「ふーん、コスパのいい神様な事だ」
「バンも今からでも改宗しませんか?」
「いやいい」

 クレアは見るからに落ち込むそぶりを見せるが、すぐに切り替えて祈りの準備をする。
 恋人がきっかけで改宗することは珍しくないのだが、俺に関しては改宗する予定はない。
 というのも、俺はクレアの信じる神が、邪神の類ではないかと疑っているのだ。
 クレアを見る限り、神の加護は強力なのは間違いないのだが、強力過ぎて何かと引き換えに力を得ているのではないかと思っている。
 本人は否定しているし、実際クレアにも害はなさそうなのだが、恐いものは怖い。
 触らぬ神にたたりなし、である。

「準備出来ました」
 そんな事を考えている間、クレアは部屋の机を並べ替え、簡単な神殿を作り上げていた。
 神殿、と言っても机を固めて並べて、中央に神をかたどったと思わしき小さな像が置いてあるだけであった。
 クレアの信じる神は、必要最低限の信仰さえあればいいと言う性格なのかもしれない。
 俺の中で、ちょっとだけ邪神に対する好感度が上がる。

「俺は離れた方がいいのか?」
「いてください。 あなたにも関係ある事なので……」
「俺は信徒じゃないぞ」
「構いません、私がいて欲しいから

 そう言うと、クレアは神の像に向き直る。
「主よ、おいでください」
 クレアが小さく呟くと、外は明るいと言うのに、部屋は暗闇に包まれる。
 冒険者時代に培った警戒センサーが、危険だと警告を発する。
 やっぱり邪神の類じゃないか!

 しかし警戒こそするが、剣は抜かない。
 この邪神は聖女であるクレアが呼んだのだ。
 こちらから何かをしない限り、俺には興味すら持たないだろう。
 多分。

「我を呼んだのは貴様か!」
 目の前の暗闇に、強烈な存在感を感じる。
 およそ生物の放つ存在感ではない。
 この気配がクレアの言う『神』なのだろう。

 俺はその『神』に対して恐怖しか感じなかった。
 きっと人間には、とうてい敵わぬ格上の存在。
 そんな存在を前にして、クレアは笑みを浮かべていた。
 これだけを見れば、邪神に従う狂信者とう思うだろう。
 だが、クレアが神に向けるその視線は――
 母親が子供に向ける慈しみの目であった。
 どういうこと?

 『神』はクレアに気づいたのか、急激に存在感を小さくしていく。
 さきほどの嵐のような感覚が嘘のように静かになり、俺の危険センサーも安全だと判断した。

「うむ、クレアか。 我の教えの通り、世界に愛と平和を広めているようだな」
「はい、主の言われた通りに教えを広めております」
「すばらしい、このまま行けば我の教えも世界に広まる事であろう」
 愛と平和を広めるってマジだったのか。
「では、かあ――クレアには新しい加護をくれてやろう」

 今、母さんって言おうとしなかった?
 思わず飛び出そうになった言葉を何とか飲み込む。
 さすがに親子ではないと思うが、本当に親子だとしたら水を差すことになる。
 となると年一回の祈りというのは、感動の再会と言うやつだ
 邪魔することはな――
「うう、あの子がこんなに立派になって」
 クレアが目に涙をためながら、ぼそりとつぶやく
 本当に親子かあ……

「ところで主よ。お聞きしたいことが……」
「なんだ?」
 俺が衝撃の事実に打ちのめされている間も、会話は続けられていた。

「ちゃんとご飯は食べていますか?」
 はい、オカンが子供に言うセリフNo.1ですね。
「食べてる」
 そして素っ気ない子供の返答。
 だがクレアは気にせずに質問を重ねていく。

「ちゃんとお風呂入ってる?」
「だから、風呂に入らなくても臭くならないんだって」
「信徒は出来た?」
「うん、まあまあ」
「そう、ならよかった」

 これは出来の悪い息子を、母親が心配して行われる質問攻めだ。
 もしかしてだが、この年一回の祈りって、『母親の心配から来る頻繁な連絡(祈り)に辟易して、親子喧嘩し、最終的に落とし所として年一回の連絡になった』ってやつなのだろうか。
 俺も故郷に帰ってから、母親に毎日質問責めをされているから気持ちはわかる。
 連絡しなかった俺が悪いので、甘んじて受け入れているが。

 俺がいろいろ邪推している間にも、親子の会話は進んでいく。
「気が済んだ? もう聞きたいことないよね」
「うーん」
 質問責めで疲れた息子が、無理矢理切り上げようとしているヤツだ。
 どこの世界でも同じなんだな。

「そうね、質問は無いわ。 元気そうで安心した」
「じゃあ、僕は帰るから。 また一年後に――」
「あっ待って、私からも伝えたいことがあるの」
「まだ何かあるの?母さん」
 母さん言っちゃったよ。
 と思わず突っ込みそうになるが、出来なかった。
 クレアが俺の腕をひいて、神に見せつけるように俺を引き寄せたからだ。

「お母さんの彼氏です」
「「!?」」
 暗闇の向こうにいる『神』の動揺する気配を感じる。
 そりゃ、突然母親に恋人紹介されたら驚くよな。
 俺も、急に紹介されて困ってる。

「貴様あ、どういうこと――」
「コラ、なんて口の利き方なの! あなたの父親になる人よ!」
「そんなしょぼい人間、父親とは認めない! 殺す!」

 人を殺せるほど強烈な殺気が飛んできて、意識が飛びそうになる。
 俺ここで死ぬかもしれない。
 だが俺は、殺されそうになっているというのに、『コイツも苦労してるのな』と、他人事のように考えていた。
 この『神』に同情してしまったらしい。

「あんまり、わがまま言うとげんこつしますよ」
 と子供を叱るようにクレアが叫ぶと、途端に殺気が収まる。
 『神』でも、クレアのげんこつは怖いらしい。
 気持ちはわかる。
 薄々感づいていたが、加護なしでも『神』相手にダメージを入れられるんだな。
 化け物かよ。

「よろしい」
 俺が呆れていることも知らず、クレアは場が収まったことに満足したように頷いていた。

「母さんがそこまで言うなら見逃してやる」
 と心底納得できないような声色で『神』が言う。
 展開に追いつけないが、命が助かって良かったよ。

「じゃあ、今度こそ僕は帰るから。また一年後に」
「はい、一年後に会いましょう」
 やっと感動的な親子の別れのワンシーンだ。
 安心感から、目が涙がこぼれる。
 と、『神』が自分を見ている気配を感じた。
 なにか呪いでも飛ばされるのかと、身構える。

「一年後も母さんの隣にいるといいな。 背中には気を付けろよ」
「ちょっと、シューちゃん」
 クレアが慌てて止めに入るも、部屋の暗闇が一気に拡散し、『神』が去ったことが分かる。
 捨てセリフそうだが、クレアが『神』をシューちゃんと呼んでいることにも驚く。
 神を『ちゃん』付けかあ。

「こら、シューちゃん、出てきなさい。さっきの事を説明しなさい」
 クレアはというと、神の像に向かって叫んでいた。
 どういう仕組みかは知らないが、クレアが呼んでも出てこないようだ。
 クレアが神の像を叩いているのを見ながら、俺は普通の父親の様に息子の事で頭を悩ます。

「一年後、生きているといいなあ」
 スローライフを送るためには、突然できた息子を何とかしないといけなくなった。
 俺はここにきて、人生設計の修正を余儀なくされたのであった

5/9/2024, 1:52:49 PM

【忘れられない、いつまでも】

少年は発熱し、街のキャンプから早退していた。夕方、母親が帰ってくる。「全く恥ずかしい」
予想外の言葉と表情。少年の心は次第に閉ざされていく。
少年は青年になり、結婚して子どもが生まれた。不器用ながらもなんとか協力しようと子育てに奮闘。
「ほんと、つかえない」
妻の一言。そしてその言葉に同調する義母。嘲笑う表情。青年の心は瞬間、閉ざされていく。
 人間の悍ましさ。青年はさらに歳を重ね,中年になる。人間の繰り出す醜い社会。人間という生き物にほとほと嫌気がさす。かくいう本人が人間であることすら嫌気がさしていた。
 しかし、今、その中年に光が差している。暑くもなく眩しすぎもなく、とても心地よい。中年の心が次第に開かれる。今もなお。
 忘れられない過去の忌々しい記憶。それを打ち消すような忘れたくない今の記憶。中年は今、人間であることを少しずつ受け止めようとしている。

                 flamme jumelle

5/9/2024, 1:51:26 PM

私が嫌いな"私"をあなたは丁寧に拾って

「素敵だよ」「好きだよ」と言って

綺麗に磨いて返してくれるから

私は"私"を前よりも好きになれた。


あなたに貰った美しい言葉の数々を
生涯ずっと大切に抱えて生きていくだろう。

5/9/2024, 1:50:30 PM

忘れられない、いつまでも

最初は全然興味なかったし、話そうとも思わなかったけど

会うたびに君はその気持ちを塗り替えてくれるね。

こんな気持ち、忘れたいのに。

忘れさせてくれないなんて、ひどい人間だね。

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