『忘れられない、いつまでも。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
くしゃみと
しゃっくりと
げっぷと
おならが
同時に出た日は、死ぬかと思った。
※お食事中のかた、すみません。
たまには、笑いに走りたくて…
クスっと、笑って頂ければ幸いです。
本日も乗り切りましょう。
頑張ってるから、頑張りません。
【お題:忘れられない、いつまでも】
天気が良い今日
兄弟そろって食べる朝食
この暖かくて落ち着く場所に
あとどのくらい居れるだろうか
家族のありがたみを知った。
忘れられないこと。
いっぱいあるはずなのに、
言葉にできないから
きっと私は結構忘れているのだろう。
でも、それがなんだ。
思い出なんて、これから作りあげれば良い。
人生、楽しもうぜ。
忘れられない、いつまでも。
君と過ごした時間を。
あなたとの距離はまだよくわからなくて
お互いに敬語のLINEの会話
「こんばんは。今お時間いいですか?」
「こんばんは。どうしました?」
「今度の飲み会、行きますか?」
「いいえ、別の予定があって」
「そうなんですか。」
「あなたは?」
「じゃあ、やめようかな」
「え?どうしてですか?」
「あなたが来ないのなら意味がない」
「そんなこと言わずに。
行ったら楽しいと思いますよ?」
「いいえ、やめときます」
「気を遣わなくていいのに。」
「来週の土曜、予定ありますか?」
「午前中の仕事以外は特に。」
「では食事でもいかがですか?」
あなたとの会話の履歴
まるで指と指を絡ませるような濃密で
私を甘やかしてくれる文字たち
言葉を交わすたび自覚してゆく
あなたの存在が私の心の中心になってゆく
私を認めてくれたこととか
私を尊重してくれたこととか
私を求めてくれたこととか
私のことを思う時間をくれたこととか
それが とてつもなく嬉しくて
そんなありがたいひとつひとつに
どれだけ力をもらえたことか。
どれほどあなたに恋したことか
あなたが私に与えてくれたものは
たいせつで たいせつな たからもの。
いつまでも消せないLINEの会話履歴
あなたとは最後まで敬語で話す間柄
会う理由の見つからない今となっても
話しかける理由のない関係になっても
世界のどこにいたって
あなたの幸せを祈っている。
だって私は まだこんなにも
忘れられない、いつまでも。
お題「忘れられない、いつまでも」
「ちゃんと荷物まとめたの?」
お母さんの声に
「あと少しで終わる」
少し大きめな声でそう返した。
今日でこの家とお別れなんて信じられない。
お父さんの仕事の都合で引越しをすることになった。
少し寂しい気持ちで
最後に部屋を見てまわることにした。
ここで遊んだとか、壁に落書きして怒られたとか
たくさんの思い出があった。
私たちがここを離れても
きっとここの思い出は忘れられない、いつまでも。
新しい場所でも、忘れられない色んな思い出が
作れるといいな。
─────『忘れられない、いつまでも。』
あの日世界はこう映ってた。
地元の観光地だなんて思えないほど
広大な土地にたくさんのお花畑で。
別の国に来たんじゃないかって
本気で思えるほどだった。
大人になって訪れたそこは
すでに閉鎖されて荒地になってた。
思い出とはまるで違う場所。
「こんなだったっけ?」
よく思えばあれは私の体が
小さかったからそう見えたのかもしれない。
でもいつまでもその感覚と記憶が
鈍らないので、
わたしの中でここは別世界の場所。
–忘れられない、いつまでも–
●噂話し●
「久しぶり」
『久しぶり』
「元気にしてた?相変わらず変わらないね」
『元気も何も、こんなんだし。
…貴方はまた、年を取ったね』
「失礼な。まぁ、生きてるからね。年も取るよ」
『生きるって楽しい?』
「…何?突然」
『楽しい?』
「楽しいより、辛い事の方が多いかなー」
『そう…』
「何しょぼくれてるの。
少なくともここで、
あんたと喋ってる今は楽しいよ」
『…そっかぁ』
「そういえば、まだ続けてるの?
変な噂話を流す遊びみたいなの」
『うん。続けてるよ。私の使命だから』
「噂話流して、楽しんでるのが?使命?」
『楽しんではないよ。
この街の噂は、誰かの想いの形だから…。
誰かの噂話しが、
いつか必要としてる人に届くまで、
私は届け続けるよ。誰かの想いは、
誰かの助けになったり、道しるべになるからね』
「相変わらず小難しい…」
『…確かに最初は遊び半分だったかな。
大昔の事だけれど、この街を守る為に、
犠牲になってくれって、埋められた時は、
おばば達連中を呪ってやろうかと思ったけど、
やっぱり、私もこの街が好きで大切だからね』
「呪ってやればよかったじゃん…」
『まぁ、大昔の事だし、こうやって、
怒ってくれる友達もいるしね、
私は私で、この街での役割を見つけたから、
ずっと楽しいよ。
…あ!これって、生きてる事に似てる?』
「…大昔からずっと、あんたは生きてるし、
この街を守ってくれてると思うよ。
少なくともあんたは、
生涯忘れられない、あたしの友達だよ」
『…ありがとう。でも、まだ死なないでね、
寂しいから』
「はいはい」
『でも、貴方が死んだら、
私を覚えててくれる人、居なくなっちゃうな』
「そんな時こそ、噂話しを流せばいいじゃん。
“出会ったら幸せになる
海辺の座敷童の噂!”とか、
そうしたら、
忘れられない存在になるんじゃない?」
『…自分の事を噂に?自分で自分の事を、
噂として流すの?それは何だか恥ずかしい…』
「恥ずかしいなら、あたしが流そうか?
あんたの噂話し」
『んー。一瞬それもいいかなって、思ったけど。
やっぱ、いいや。昔も今も楽しいし、
今後も、一期一会でやっていくよ。
それが私にとっての“楽しい”と思う』
「そっか」
『…うん。ありがとう』
「いえいえ。どーいたしまして。
所で、あんたと初めて会った時に
教えてもらった、
なんちゃらおじさんの噂話しの事だけどさ…」
ーーーーー
浜辺に響く楽しそうな話し声は、
波の音と共に、月が出るまで続いていた。
fin.
#今回のテーマ(お題)は、
【忘れられない、いつまでも。】でした
うん、本当に今までありがとう。
え、いつまでも私の事忘れない?
あのさ、付き合ってる時から言ってたよね。
浮気はしない。
っていう事を証明するには、
浮気するか、あなたが死ぬしかないの。
それと同じ
忘れないを証明するには、
忘れるか、死ぬかだけなの。
忘れないっていう事を証明する・・・
え? じゃあ忘れる。
付き合った期間は2年。割といろいろと思い出もあるよね。
うんそうね。だから簡単に忘れるなんて・・・
忘れられない?
当たり前よ。
私だって、こんなに悲しいのに
後悔とか、トラウマって結構鮮明に覚えてることがほとんど。
ネガティブな内容こそ忘れられない。
そんな中でも唯一私にとって、一生忘れない宝物のようなエピソードがある。
私が中学生のとき。二年生の秋のことだった。
運動系の部活の激励会があって、そこで私は人生初めての一目惚れをする。
一目惚れをした相手は、当時バスケ部の部長をやっていた一つ上の先輩。
中学生だけど、背が高くて、声が優しい低い声。
私は一瞬にして心を奪われてしまった。
激励会が終わっても、何だか先輩のことが気になっていた。
クラスメイトの友達にたまたま先輩と繋がりを持っていた子がいた。
最初はその子に「あの先輩チャラいよ〜」と笑いながら言われた。
でもいつの間にか、私の気持ちに気づいたのか、協力してくれるようになり、ある隙を見て、私の連絡先を書いたメモを先輩に渡してくれて、憧れの先輩と繋がることができた。
大好きな先輩とメールができるなんて!(当時はパカパカ携帯)
それだけでも胸はバクバクして、すごく嬉しかった。
私が部活から帰ると、早速先輩からメールが届いていた。
すごく嬉しかった!
メールを交換した初日に、たくさんメールのやり取りをした。
深夜1時くらいまで。
初めてこんな時間まで夜更かしした。
今では普通なのに、当時の中学生だった私は本当に偉くて純粋だったな〜(笑)
連絡先を交換した日は金曜日だったので、土日とやり取りが続いた。
月曜日、学校に行くのが待ち遠しくてしょうがなかった。
一番憂鬱になる月曜日なのに、こんなに月曜日が楽しみになるなんて、思いもしなかった。
そして、待ち遠しかった月曜日。
昼休みに、先輩の教室があるフロアに用事があって、職員室の横にある掲示板に貼られていたポスターを剥がす作業をしていた。
黙々と作業する私の頭の上に大きな手がのった。
慌てて振り返ると、先輩が友達と並んで通り過ぎて行った。
それが初めての先輩との接触だった。
嬉しさと恥ずかしさがごちゃ混ぜになった感情…胸がすごくドキドキした。
漫画や恋愛映画のヒロインみたいな気分だった(笑)
偶然、先輩と私を繋いでくれた友達もその瞬間を見ていた。
友達も何だか嬉しそうで、テンションが高かったのを覚えている。
それから先輩と少しずつ話す機会が増えたりした。
私の気持ちもどんどん舞い上がっていく。
そんな中、ある噂を聞いた。
先輩は中学を卒業したら、バスケの推薦で地方に行ってしまうと…。
私はすごく寂して悲しい気持ちになった。
友達にも何度も何度も確認をした。
卒業したらもう先輩とは会えないかも…と覚悟していた。
先輩にも勇気を出して聞いたら、噂通りだった。
先輩は内緒にしていたみたいだった。
理由はわからないけど、きっと悲しませたくなかったのかなーなんて…。
部活を引退しても、身体作りをして努力している先輩を見て尚更好きな気持ちが大きくなる。
応援したい気持ちと同時に、切なさだけがいつも心には残った。
メールをしていても、先輩と向かい合って話していても、何をしていてもタイムリミットに感じた。
卒業シーズンに入り、合唱の練習や卒業式練習…どんどんお別れの時が近づいていく。
卒業式の前の月、2月…バレンタイン。
私は先輩に渡すことを決めていた。
告白もその時にできれば…と。
バレンタイン当日。
作ったマカロンを学校で先輩に渡そうと持って行ったけど、先輩は人気もので、周りにはいつも人がたくさんいて、呼び出したりなんてとてもできなかった。
結局学校では渡すことができなかった…せっかく作ったのに渡せないのは悲しい。
私の想いも伝えたいのにってすごく悔しかった。
勇気を出して先輩にメールをして、家に届けることにした。
寒い中出てきてくれて、少し二人きりで話すことができた。
「好き」って伝えようと唇が震えた。
先輩の顔を見たら緊張して、結局直接好きって伝えられなかった。
その帰り道…勇気を出してメールで想いを伝えることにした。
その返事が仮にオッケーでも、遠距離になってしまうのは覚悟していたし、断られても好きっていう気持ちが冷めるまでは、先輩のことをとことん好きでいて、たくさん応援しようと思っていた。
メールの返信はいつも早いけど、その時は全然返信がこなかった。
当然そうなると思った…。先輩を困らせてしまったかなと心配にもなった。
夜23時くらいになって、やっと返事がきた。
答えは「ごめんね」だった。
心が痛かった。覚悟していたのに、すごくすごく苦しかった。
でもちゃんと伝えられたことは今になってもよかったなと思う。
結局伝えられずだったらきっと後悔したと思うから。
先輩の返信は「ごめんね」だけでなく、フォローの言葉もたくさん綴られていた。
私にとってはフォローの言葉も最初は受け入れ難かった。
友達にも報告して、たくさん慰めてもらった。
卒業式の前日、何だか涙が止まらなくなった。
単純に、学校で先輩の姿が見れなくなるのがすごく寂しかった。
片想いで、一方的にうきうきしていた、あの楽しかった日々がもうなくなってしまうと思うと、すごくすごく悲しかった。
卒業式で先輩がステージで卒業証書を貰う姿を目に焼き付けて、退場して行く姿を見たのが最後。
そこからしばらく先輩の姿を見ることはなかった。
私が高校一年生になって先輩と再会した。
先輩は変わらずかっこよかった。
あの、私が一目惚れした先輩は変わらずかっこよかった。
たくさんエピソードがあって、書ききれなかったけど、漫画みたいな、恋愛映画のヒロインみたいな、楽しくて切ない恋をしたエピソードでした。
今でも、鮮明に記憶に残っていて、思い出すたびにドキドキしてしまうくらい、人生で最初で最後のように思えるくらいドキドキした片想いでした。
とても短かったけど、こんな楽しくて素敵な中学二年生の日々に感謝しています。
今は先輩がどこで何をしているのか全くわかりませんが、先輩に出会えたこと、今でも宝物です。
会えなくなってもう15年以上。
元気にしてるかな…。
カラオケでよくオールしたね。
お酒飲みながら女子トークもいっぱいした。
くだらない事で喧嘩もしたし、
悩みや愚痴もたくさん言い合ったね。
会えなくなってから、家族が1人増えたよ。
ダイエットも頑張って、10kg痩せました(笑)。
ほんとは実際に見てほしいけどね、出来ないもんね…。
二度と会えないのは分かってるから。
だからこそ、忘れないよ、いつまでも。
忘れられない、いつまでも。
過去の苦しみと悲しみは忘れられない。でもこれからのことを考えると、明るく、楽しく生きたいと思う。過ぎたことに意味があるとしたら、あれで罪滅しをしたのかな?と思う。これからはどのように生きていこう。呼吸は吐いてから吸う。ジャンプは縮んでから飛ぶ。日々の暮らしは休んでから動く。これからの人生も楽しいことばかりではないと思うが、幸せになる仕組みが少し分かってきたような気がする。人生には波がある。この波をどのようなものにするかは、その人の自由に任されている。そしてその結果がその人を美しい姿に創り変えていく。
『落下』
カラスに見つかってしまった。
私はモンシロ蝶の幼虫ですけど、家庭菜園のキャベツをかじってましたら、その家のガキに捕まって風船にくくりつけられて大空に飛ばされました。
私の周りを飛ぶカラス。
ガキは、良かれと思ってやったらしいんです。芋虫ちゃんも空を飛びたいでしょ、って。そんなことしなきゃ、そのうち飛べたんだよ、蝶なんだから。
お願いします。見逃してください。こんなめにあった上に食べられてしまうなんて。不幸すぎる。
私は必死に頼んだ。
「お前じゃ無くて風船が欲しいんだよね。巣作りによさそう」
カラスはそう言って、風船を掴もうとする。私の事はどうでもいいらしい。
ふ、風船が割れる。割れた、落ちるうぅ。
落ちて行く。元々、幼虫のうちに死ぬ方が多い。成虫になるまで生き延びた時点で、子孫を残してよい子は優秀だ。私なんて、成虫になっても結婚など興味をもたず、飛び回っているだけだろう。
だって私は空を飛ぶのが夢なんだもの。恋愛も出産も興味ない。モンシロ蝶としての義務を果たさない私は成虫になる資格は無かった。
地面が私を引き付けている。土になってもよい。
生まれたからには、いろんな使命もあるもんだ。
大きな西洋風の館を想像する。二階建ての本館には幾つもの部屋が並んでいる。
そのうちの一つ、五番と書かれた部屋に入ってみよう。中に踏み入ってみると、壁の四面が扉の位置を除いて収納棚になっている。想像上の物の多さに眩惑されることなく、試しに一つ抽斗を開けてみよう。中から出て来たのはノートや鉛筆だ。
あなたがお探しの品はこれではありませんね――目隠しをした状態で指示通り想像を巡らせていた私へ訊ねたのは、わざわざ往診に来てくれた記憶術師の男だ。日本では、というより今や世界においてもほとんど生き残っていない記憶術の専門家として、伝統ある(らしい)シェンケリウスの流脈を継ぐと自称する、些か胡散臭い見た目の彼は、穏やかな声色で指示を続けた。
次の抽斗を開けると、そのまた次の抽斗を開ける。中から現れるのはどこかに見覚えのある玩具やガラクタばかりで、私の想像の中ではいずれも曖昧な輪郭で、床へ落とすと俄に液状化して消え失せた。
私の探している品は、確かに私の記憶の中にこびりついて消えないのにも関わらず、今こうしてその在り処を求めると何処にも見つからないのである。
諦めて次の部屋へ行こうとした瞬間だった。隅の方にあった抽斗がようやくそれらしき物が出て来たのである。それは一個の古びた鍵で、私がそのことを記憶術師の彼に告げると、その鍵の合う部屋を探すよう言われた。
私には心当たりがあった。いよいよ想像力を強く働かせると、急いで館を出た。そして、建物の裏手へ回ると、やはりそこに目的の場所があった。それは小さな小屋であった。
私は今にも崩れそうな小屋へ駆け寄ると、入り口に付けられていた南京錠を開けた。小屋に近づいた時から聞こえていた啜り泣く声――その涙の主が、そこには蹲っていた。泣き腫らした幼き日の私の瞳が、私を見上げた。
それではいきますよ――いつの間にか、記憶術師が私の背後に立っている。振り返る間もなく、指を鳴らす音が響いた。すると、風が吹き始めた。次第に勢いを増す風に、私は慌てて記憶術師にすがり付くと「やめてくれ。やはり忘れたくない」と叫んだ。
私は目隠しを外して、辺りを見回した。誰も居ない。それに、目に見える風景はたった今まで想像の中で見ていたものに酷似していた。
――、小屋の外から私を呼ぶ声がする。それは紛れもなく母の声だった。私は興奮と緊張がない交ぜになった心を落ち着かせるように、ゆっくりと扉を開けた。そこには、眩い陽射しの下、私の手を引いて歩いていく母の姿があった。
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忘れられない、いつまでも。
学生時代。クソみたいな満員電車で私の隣の隣に立っていた女が、私の隣の女性に結構な肘鉄をしまくっていた。マジで意味が分からない。何が気に障ったのか分からんが女曰く、「近い、離れて」らしい。
いやさ、もう150パーくらいの満員電車なんだわ。一歩でも足浮かそうもんなら誰かの足踏むレベルね。痴漢しようにも身動き出来ないレベルね。退けねーのよ。マジで。近いも何もないわけ。右も左も、前も後ろも人なわけ。なのに左隣の女性にだけ。本気で意味分からなかったな。
女性はもう恐怖でなんかがたがたしてて、周りはドン引きした空気が流れて、私は目が点で、そんな時後ろから手が降りてきて「やめなさい」って男性が言った。男性は女の肘掴んで、女はなんかぶつぶつと不平不満をぶちまけだして大分ヤバかった。次の駅で押し出されるように女は降りた。降ろされたの方があってたかも。
「大変でしたね」「変なの多いからね」「何だったんですかね」「今日も頑張りましょ」っていう全然知らない他人共の女性への労いと妙な安堵と団結感のざわざわ。電車で起きるのは痴漢だけじゃねー怖いことがたくさんある。
忘れられない……いつまでも……
忘れることなんて………僕にはできない……
冷蔵庫から……プリンが……なくなっていたことなんて…
僕には……僕には……忘れられない!!……
あぁぁぁぁぁ……あねきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!
ちひろちゃんに告れなかったこと
ともこちゃんに気付けなかったこと
りょうちゃんを引っ張りすぎたこと
ひとつもうまくいかなかったこと
#忘れられない、いつまでも
大好きな彼と夏に遊んだ
あの時の香り
初キスはセミのなく中で
あなたがあの時、気軽に言った言葉
心に残って消えないの
忘れられない、いつまでも……。
/『忘れられない、いつまでも。』
一ヶ月先、なんなら三日先でさえ未来は分からないのに、一年後なんて思い描けるだろうか。
今まで思い描いた一年後なんて、自分の理想の高さに落ち込んでいたものだ。
簡単なことすら、結果的に自分を裏切ってしまうこともある。
誇りなんて殊勝なもの持ってなくてもいい。
一年後も、せめて、明日も生きられると思える自分でありますように。
/『一年後』
“それ”が“そう”だと気づいたのは、10年後だった
感情がこんなに入り乱れるのに
姿を見るだけで幸せになる
あの時は恋なんて知らなかった
誰かと結婚して、子どもの代わりに
あの世へ行ったと聞いた
もう会えない
どこかで生きているという希望も持てない
存在を失くしたことで気づいた
あれは恋をしていたのだと
恋だと分かっていたのなら
自分のものにすることもできたのに
/『初恋の日』
3日文まとめ上げPart2
忘れられない、いつまでも
(同性愛を匂わせる表現があります)
この間あった子は、サバサバしてて距離感が男友達みたいだった。ショートカットのよく似合う細身の背の高い彼女は、何食べたい?って聞いたら、ラーメンとか牛丼とか、なんならファミレスで良くね?なんて男まさりな口調で返して大きな声で笑う、朗らかで明るい子。ザ・女の子という感じの子が苦手な俺でも、気負わず話して遊んで、人付き合いの優先順位でも上位にくるような存在だった。
この間も、「ご飯作りすぎたから食べに来ない?」というメッセージを受け取って、俺はいつものテンションで通い慣れた彼女の家を訪れた。迎え入れられた部屋は、いつも通り綺麗に掃除されている、でも物が多くて雑然とした落ち着く空間だったし、何度も口にした彼女の料理も変わらず美味しかった。
缶チューハイをそれぞれ飲みながらだらだらと取り留めのない会話をしていると、不意に彼女がキスをしてきた。驚いた俺は彼女を押し退けて、「なにすんだよ」と睨みつけた。
「何って、わかるでしょ?」
「はぁ?」
「好き」
胸元を掴まれて、縋るように小声で「好きなんだもん」とつぶやかれた。普通なら、悪い気はしないなと思ったり、これはイケると思ったりするんだろうか。ぼうっと一般的な男の反応を想像できるほどに、俺の心は急速に冷えていく。泣き出しそうな彼女を見ても、さっきまでは友人として見ていた彼女であったというのに、今はもう全く違う気持ちの悪いものに見えてしまった。
「帰る」
強引に立ち上がり、振り返ることもなく部屋を後にした。玄関で靴をつっかけた時に、背後から「待って」という悲痛な声が聞こえたけど、俺はついぞ振り返ることをしなかった。
自分勝手であることは重々承知である。
「お前、それもうやめろよ」
「……なんだよ」
「男女の友情とか存在しねえから。何回目だよ、友達だと思ってた女に言い寄られて逃げ出すの」
喫煙スペースで2本目のタバコに火をつける同僚をぼうっと眺めていると、男は呆れ顔でそう言った。男は、俺の学生時代からの友人だ。出勤後、デスクで暗い顔をしていた俺を、昼休憩になるや否や、わざわざ会社外の人が寄りつかない喫煙スペースまで引っ張ってきて、男はタバコを吸いながら「今度はどんな女惚れさせたんだ?」と笑った。俺は舌打ちをして、胸ポケットからまだ中身の詰まったタバコの箱を出し、1本摘み出した。男は自分のタバコを咥えたまま顔を寄せてきて、俺もタバコを咥えて先端同士を近づける。軽く吸い込めば上手く火が移った。
紫煙を深く吸い込んで、俺は頭から説明した。サラサラのショートヘアで、うなじが白くて綺麗で、身長はお前と同じぐらいで、性格は、趣味は、最後はどうだったか。
「まじでやめろって。相手の子がかわいそう」
「別に俺はワンチャン狙って連んでんじゃねえの。出会いはそりゃ、アプリとかで会ったやつもいるけど。でも、友達として接してた奴が勝手に恋してきてるだけ」
「アプリで会う女なんて恋愛目的以外にないだろ。万が一恋愛目的じゃなかったとしても、お前が思わせぶりな態度とってんじゃねえの?マジでイイ性格してるよお前」
うはは、と男は声をあげて笑った。さらっとした細い髪が動作に合わせて揺れる。
「褒めてねえだろ」
「当たり前だろ。クソ野郎じゃねえか」
「お前に言われたかねぇよ」
「おい、俺は何もしてねえよ、奥さん一筋だわバァカ」
睨みつけても笑うばかりで相変わらず捕まえさせてくれない。酷い男だ。捕まえられないうちに別の人に捕まって幸せそうにしているんだからタチが悪い。
「まあ、昼飯ぐらいは奢ってやるよ。ラーメンな」
男はタバコを灰皿に押し付けて、ぽんぽんと俺の頭を撫でた。スキンシップが昔から多くて、なんだかんだ俺を最低だと罵るくせに甘くて、俺の悩みをわかってくれない、優しい男。
「……どーも」
「よし、行こうぜ。昼休み終わっちまうわ」
くるり、俺に背を向けて男は歩き出す。わずかに下に見える白いうなじには、ネックレスの留め具のゴールドがきらりと光っている。このチェーンには、男と、男を捕まえた最高にツイている女愛の証拠がぶら下がっているのだと思うと、口の中がタバコとは違う苦味で満ちる。
俺は男の後ろをついていきながら、しばらく用のなかったマッチングアプリを開いた。ショートカットの、背が高い、細身の女を探しながら、目の前を歩く初恋の男にまた舌打ちをした。