maria

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あなたとの距離はまだよくわからなくて
お互いに敬語のLINEの会話

「こんばんは。今お時間いいですか?」

   「こんばんは。どうしました?」

「今度の飲み会、行きますか?」

   「いいえ、別の予定があって」

「そうなんですか。」

   「あなたは?」

「じゃあ、やめようかな」

   「え?どうしてですか?」

「あなたが来ないのなら意味がない」

   「そんなこと言わずに。                  
    行ったら楽しいと思いますよ?」

「いいえ、やめときます」 

   「気を遣わなくていいのに。」

「来週の土曜、予定ありますか?」

   「午前中の仕事以外は特に。」

「では食事でもいかがですか?」


あなたとの会話の履歴
まるで指と指を絡ませるような濃密で
私を甘やかしてくれる文字たち
言葉を交わすたび自覚してゆく
あなたの存在が私の心の中心になってゆく

私を認めてくれたこととか
私を尊重してくれたこととか
私を求めてくれたこととか
私のことを思う時間をくれたこととか

    それが とてつもなく嬉しくて

そんなありがたいひとつひとつに
どれだけ力をもらえたことか。

    どれほどあなたに恋したことか

あなたが私に与えてくれたものは
たいせつで たいせつな たからもの。


いつまでも消せないLINEの会話履歴
あなたとは最後まで敬語で話す間柄
会う理由の見つからない今となっても
話しかける理由のない関係になっても


世界のどこにいたって
あなたの幸せを祈っている。

だって私は まだこんなにも

     忘れられない、いつまでも。



お題「忘れられない、いつまでも」

5/9/2023, 9:56:42 PM