『忘れたくても忘れられない』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【忘れたくても忘れられない】
例えば、キッチン。
慣れない手つきで、それでも私の手を借りずにどうにか料理を完成させようと頑張っていたあの顔。
例えば、リビング。
テレビでお笑い番組を見て笑う姿。映画を真剣に見る顔。動物のノンフィクションのドラマに感動したと泣きそうになっている表情。
例えば、アクセサリー。
1周年記念日に一緒にお店に行って選んだ指輪。着けない時はいつも彼と同じ場所に仕舞っていたのに、今は一つだけ、悲しくシルバーがコロンと転がっている。
例えば、玄関。
行ってきます、と少し眠そうな声。ただいま、と少し疲れた声。
早く早く、と楽しそうに出かけるのを急かす声。
もう、ぜんぶ全部見られない光景。
確かにその光景は自分の目で見たもののはずなのに、温度感のない部屋はそのことは本当だったのか、都合の良い妄想なのではと疑問に思わせてくる。
場所はあるのに、そこにいてほしい人だけいないくて。
忘れたいのに、忘れられない。
忘れさせてくれない、あの声を、あの顔を、あの姿を。
忘れたくても忘れられない
成人式を終えたあと、私は田舎の実家に帰った。
成人を家族親戚と祝いそして、儀式を行うため。
時代を逆行したような私の田舎ではこんな風習がある。
「生まれた子どものお参りで、山の神様の祠に入り、神職が祝詞を唱える。二十歳になってから再びお参りをする。何事もなく終われば幸せになれる。」
私は子どもの頃の儀式の事を何となく覚えていて、そこで神様の名前を聞いた。
幼少期に一度しか聞いたことがなかったのに、なぜか忘れたくても忘れられない名前だった。
祠に行き、祈祷をしてもらい、お参りをした。
私はその時、忘れられない神様の名前をぼそっと呟いた。呟いてしまった。
その瞬間、沈黙が流れ、その後神職の読み上げる祝詞が変わったように感じた。
違和感に気づいて後ろを向くと家族や親戚、知り合いがみんなこちらを見ている。感情の分からない顔で。
「おめでとう」
みなが口角をあげて笑った。後ろに気配がする。
早く教えてよ。この神様の名前を覚えていて祠の前で呼んでしまったら、婚姻の生け贄として捧げられるなんて。
わたしは彼に最後まで片思いだった。
学校へ行くときはいつも彼に会えるのがうれしくて。
街中でもわたしたちは偶然会うことが多かった。
本屋に電器屋、CDショップ。
すれ違ってしまいそうなどこかの通りとか。
気楽な友だちづきあいだったから、出会うと、
「なんだー、またお前かよー。」
と悪態をつかれる。
「こっちこそだし。」
と軽く肩にグーパン。
そんな仲だった。
進路を違えて、わたしたちの生活圏が変わってしまった。
学校はもちろん、街中でももう会わない。
それでもわたしは、あいつと会ったそこかしこで彼の姿を探し、
似た人を見るとドキリとし、
いないと確認してはがっかりとする。
いつまでも いつまでも…
忘れられるわけがない…
「忘れたくても忘れられない」
忘れたくても忘れられない
元彼は、親に喜んで紹介するようなタイプの男ではなかった。どこか、サブカルチャーの匂いとアンダーグラウンドさがあった。いわゆる資本社会の、メインストリートを歩んでいない雰囲気を醸し出しながら、人並み以上の知識と教養の深さが余計に魅力を引き立てていた。そして作家志望ということで、いつも創作活動を嬉々としていた。かなり良い言い方をすれば、リリーフランキーから才能を幾分か抜いて、それっぽいリリーフランキーを作り出したような人だった。私はかなり彼に惚れていた。かなり。だって、リリーフランキーを例えに出してる時点であまりにもいい男だと言っているようなものだ。
当時の私としては、とにかくせっかちで自己中心的な女であった。金に対して興味関心が高く、せこせことどうでもいいことを忙しく予定を立てていた。そして色々と残念な女でもあった。例えば、デート中の食事で食べたいものの意見が割れれば、「じゃあ、それぞれ各自好きなもの食べて、30分後集合ね」で解決するじゃん、といつも考えていた。そこまではっきりと言うことはなかったものの、実際元彼とのデートで食事の意見が割れたとき「じゃあ各自で…」と言いかけたところで、今まで見たことがない形相で驚かれたので、二度とそのようなことを言うのはやめた。
私が彼のどこを好きだったのか、当時は誰に聞かれても答えられなかった。その場の答えとしては、「いやー、あのタレ目の顔にやられたわぁ」と言っていた。正直なところ、金も払わなければ社会性のかけらもない部分に腹が立っていたし喧嘩もそれなりにしていた。だが、私は彼と同じような人はもう現れないだろうなと今でも思うのである。彼にとって私のような女はいくらでもいるし、彼以上の「いい彼氏」になってくれる人はたくさんいると思うけど。
別れて数年経った今更、彼の魅力に気付かされるばかりである。冒頭もその一部である。
また、教えてもらったこともたくさんあった。
SF映画でしか言わなそうなセリフだが、彼は情緒的な楽しみや、無駄なことの大切さを教えてくれた。また、女性として生まれてきたことの喜びも気づかせてくれたなと思う。本心であるが、かなりセリフ感が強く書いていてあまりにも恥ずかしい限りである。
正直、かなり悔しい。別れてから元恋人のことを振り返ったことも後悔したこともなかったが、人生で初めてこんなに執着を重ねている。情けない女だと自覚しながら、なかなかに空虚なのである。
5.6年付き合った中で思い出はたくさんある。
もちろん、彼自身の魅力はある。
けど、なんとなくいつも彼と別れたことを後悔するのは、B'zのイチブトゼンブを聞いたときなのだ。なぜここでB'zなのか。いや、B'zは最高なんだけど。ラブファントムのイントロで収まるぐらいの長さで説明すると、下記の通りである。
私が小言を言って小さな喧嘩が続いていた時、いきなりLINEでB'zのイチブトゼンブの冒頭の歌詞を送ってきた。「俺の気持ち」とだけ添えてあり、その時の私はブチギレていたが、爆笑した記憶がある。
確かに私は、彼の全てを知りたがって、それでいて私の全てを知って欲しがった。
どうして恋愛の文章って少し書くだけでこんなにポエミー感が強くなるのか。
正直、この思い出が強烈でそれだけで別れたくなかった。こんなこと?って感じだけど、案外離れたくない理由ってそんなもんかもね。
世界一かっこいいと思ってたけど、
まぁ今冷静に思い返してみれば、NHKの深夜番組で見たトビハゼみたいな顔している。23時55分に放送してたやつ。いやでも、私はその番組のトビハゼが結構すきだった。映画の話とかするし。
私がかつて愛したトビハゼは、あるところにいつもブログを書いていた。
未練がましいわたしは一読者としてたまに読んでいる。
一向に更新がないのは、今いる生活に満足しているからなんだろうか。
心のコップから溢れ出すような気持ちに収拾がついたのだろうか。文章を書かずとも生きていけるようになったんだろうか。人を満たし、人から満たされたのだろうか。
一方、私は抱えきれない思いを毎日文にしている。
SNSや誰も見ないノートに不安で仕方がない気持ちを書き殴っている。いろんな感情が溢れて仕方ないのに、心は常に枯渇している。
私はまだ、ヤドカリのように殻の中に隠れながら、ひとり燻っている。
きっと私の殻の色はあまり綺麗じゃないだろう。
まだ、忘れたくても忘れられない気持ちがぐるぐると戸愚呂を巻いて、柄になっているはずだから。
忘れられるほどの想いならば
とっくの昔に忘れたのに
_忘れたくても忘れられない
忘れたくても忘れられない
あなたの声も、顔も、後ろ姿も全部
やばいなって思う
先輩に恋しちゃってるかなって思う
でもそこに下心しかないのに僕はきずいてるから
どうしようもできない
でも触りたい
手を繋ぎたい、ハグしたい、キスしたい、
肩と背骨と喉仏を指でなぞりたい
あ〜
変態でも愛してくれるかなあ
今の関係のまま手を繋いだり(中略)なぞったりさせてくれないかなあ
うーん
恥ずかしくなってきちゃった笑//。
(忘れたくても忘れられない)
これは呪いだ
貴方よりクズで
貴方より馬鹿で
貴方より魅力的な男に出会えない
どんなに恨んで呪うような事をされようが
貴方は私の目を盗んだらしい
何故か惹きつけられる
逃げたいのに逃げれない
呪いという名の鎖
貴方何かと出会わなかったら良かった
何度そう思ったか、
大嫌い、
貴方なんか大嫌い
許さないから
別れて、
彼氏を作って
デートして
楽しく過ごした
ソウイウ行為もした。
貴方の失敗を生かして真面目そうな人にした
勿論楽しかった。
なのに
なのに、
満たされない
なんで?
なんで?
可笑しいよ。
浮気される心配も、
ヒモになる心配も、
無理やりヤられる心配も無いのに
貴方との恋は、
強烈な記憶として残ってる
はじけるような恋だった
虜にされた。
目が離せなくなって
気づいたら言いなり
でも、幸せだった。
今の彼氏とは結局別れた。
私のせいで
貴方が忘れられないから。
貴方なんかに、、、 いいや、やめよう
もう、やめよう
私に残る忘れたくても忘れられないコレを私は許さない。
けれど私は、
貴方が今でも好き
片手間で見た進撃の巨人。全ての記憶を消してもう一度最初から丁寧に見たい。なんてことをしてしまったんだ。何年経っても完全には消えない気がする。あーーー
忘れたくても忘れられない、俺の脳裏にこびりついて離れない、あの薄曇りの昼の空の下。俺はそこで、貴女の庵が跡形もなく消え去って、小さな碑だけが残されているのを、呆然と目にしました。
通りがかった貴女の村の者に、貴女が俺を待たずに病で亡くなってしまったと聞いた瞬間の、底無しの喪失感と、悲しみと、絶望。
もはやそれらから離れて久しいですが、今でも時折それらが心に浮かび、足下が崩れるような不安に襲われることがあります。
どうか、どうか、幸福に生きてくださいね。
あのような思いをしたことについて、貴女を責めるつもりは毛頭ありません。けれどどうか、貴女自身、あるいは貴女の周囲の方々に、あんな思いをしてほしくはないのです。
忘れたくても忘れられない出来事は1日じゃ語れないくらい沢山ある。楽しいことも辛いこともある。いい思い出として残っているモノ、悪い思い出として残っているモノ、どちらとも言えないモノの3種類かな?
いつか、全部の思い出をアルバムとかにまとめたい!いつか大人になって、今の気持ちを忘れないように。境界でアルバムを見て、安らかに逝っていきたい。
おじいちゃんが結構前に亡くなった
いまでもあの小さい頃作ってくれた甘い卵焼きの味や、
声、見た目、性格
今でも忘れられない
お葬式で何回も泣いたよ
そしてお父さんもお母さんと離婚して今は会えない
辛くて思い出すだけで泣いちゃうよ
忘れたくても忘れられないよ
名前も声も顔も全部覚えてる
※ほんとのはなし
【忘れたくても忘れられない】
大切にしているものは奪われるものだし
汚されたくない想いは貶されるものだから
本当に本当に好きになってしまったきみのことも
きみがくれたあのユメの様な時間も
誰かに見つかってしまう前に
忘れなくちゃいけない
だからずっと必死にあれから何年も
頭を振って消そうとしているのに
瞼の裏に焼き付いて忘れたくても忘れられないの
2024-10-18
忘れたくても忘れられない
君の笑顔も歩き方も声も何もかも。
忘れるべきなのは、自分が一番分かってるのに。
忘れたくない、全部大好きだから。
もっと知りたかったな。
生きていると、まるで映画のワンシーンかのような、演出がかった場面に出会すことがある。
その日、わたしは祖父が横たわる棺を前に、それを感じていた。
菊を育てることに余生の意義を見出していた人だった。誰の提案かは知らないが、お別れのときに、白い菊で棺を満たす段取りとなっていた。
大量に用意された菊の頭を、親族一同で次々と祖父のからだに盛り付けていく。まず足元、そして膝上、お腹、胸の上で組まれた手のあたり。それまで顔も知らなかった親戚たちの、涙交じりの声が音として耳に入ってくる。
顔まわりは、同居していたわたしたちに任された。両手で掬った菊の花はまだ瑞々しく、溢れんばかりの花片からは、仄かに植物の青い匂いがした。雛鳥をおろすかのように、おそるおそる顔の横に花を添える。
わたしの手の甲が、祖父の頬にすこし触れた。
その瞬間、時が止まったかのように感じた。周りを取り囲む喪服の群れは、輪郭を失って混ざり合い、ただの黒い影となった。その中で、白一色に包まれた祖父だけが、ぼうっとした光の塊のように浮かび上がる。
祖父の頬は、すでに人間の感触ではなくなっていた。ウレタンか何かのようで、完全に無機質で、物質だった。その変容が本当に恐ろしく、わたしの中のなにかのスイッチに作用したのだと思う。
わたしは泣いていた。顔中の筋肉をぐしゃぐしゃに歪めて泣いていた。報せを受けたときも、病院で対面したときも、読経中も、ひとしずくさえ落ちる気配が無かったのに。横隔膜が痙攣を起こしたかのように、ひっきりなしにしゃくり上げ、喉を引き攣らせて泣いていた。その時まで、自分はいつ泣くのだろうかと、他人事のようにハンカチを持て余していたのに。ここだった。
同時に、その様を遠くのほうで見ている自分も存在していた。カメラのレンズ越しに、冷静に主演を捉えていた。その涙は決して演技などではなく、むしろ突然すぎる感情の発露に自身でも動揺していたほどだったが、そこから完全に切り離された自分が、その場には居たのだ。それはもうめちゃくちゃな感情だった。
あれからもう十数年と時は経ち、祖父の声も、写真に残っている以外の姿も、匂いも、今やもう確かなものではなくなってしまった。それなのに、ただただ、感触だけが、未だに残っている。左手の甲に感じる。ひんやりとした皮。
これはきっと、一生を共にする記憶だ。人生という物語の中の、ハイライトのひとつ。観客の心を揺さぶるために、丁寧に描写されたシーン。
それを誰が観るか、わたしは知らない。
「やわらかな光」
「忘れたくても忘れられない」
宝石が散りばめられたような空、
月の光が照らしだし、
静けさの中に包まれる
心の中に空いた大きな穴
深い悲しみと寂しさ、
無限の愛と喜びをもたらしてくれた
君はもう土の中
ありがとう
そして、さようなら
彼らと過ごした時間は、
永遠に
私の中で生き続ける
『忘れたくても忘れられない』
早く忘れてしまいたいのに。
忘れられないの、
今でもはっきり覚えてる、あなたの声。
私に向けられた笑顔も、出してくれた手も。
私はあなたが大好きだったよ。ありがとう。
忘れたくても忘れられない
憎めども憎みきれない。
それがあなた。
抑えたくても抑えられない。
それが恋心。
忘れたくても忘れられない。
それが想い出。
生きたくても生きられない。
それが私。
ー忘れたくても忘れられない編ー
私は心の病が
だいぶ良くなりましたね、と言われてからも
だれかの悪口を聞いた時、
だれかの笑い声が聞こえた時など
過去のトラウマを
思い出してしまう時がある。
心の傷を
周りの人たちは触れないことはできても
無くすことはできない。
自分で治そうとすると
さらに傷が深くなることだってある。
治す、忘れることなんて多分無理なんだ。
でもね、あんな過去のストーリーは
大きな傷がトレードマークの主人公の
物語の一部で、一つの佳境だ。
何度負けても
越えられない敵なんて初めからいないんだ。
人生に3度モテ期があるという。ならば、人生を色鮮やかに染める出来事は何度あるのだろうか。
忘れられるわけもない。海馬に色濃く刻みつけられている。
喜怒哀楽のその全てを私はあの日々から教わった。そのどれもが鮮烈で網膜や脊髄の隅々まで焼き尽くすほどの光だ 。
光が濃ければ濃いほど闇は深くなる。あの強烈な日を知ってしまった後では、今という人生は無味乾燥でしかない。
暗いだけの部屋で昨日が終わった。今日もきっとそうなるのだ。無機質でなんの味も手触りもしない、そういう日々を過ごしている。
お題/忘れたくても忘れられない
彼女が僕の首を絞めたのは、仕方の無いことだった。
僕は彼女を虐めていた。今となっては、何故虐めていたのか、何故やめなかったのか、それがわからない。
彼女は自分の事を責めてばかりで、僕の事を責める事は一切なかった。周りはそれを見て、心では僕に批判を送っていただろう。
彼女に首を絞められたのは、暑い夏の日だった。
学校の体育館裏で、いつも見せないクールな表情をした彼女は、僕を壁際まで追い詰めると、首を絞めた。強く、強く、強く。
とても苦しいのに心地良い気がして、僕は抵抗が出来なかった。いつも見ていた彼女とは違う、かっこいい、なんて、やっぱり本心では僕の事を責めたかったんだな、なんて、のんびり思っている僕は最低だ。やがて彼女は、僕が気絶する寸前まで首を絞めると、パッと手を離して立ち去って行った。
翌日、彼女の訃報が耳に届いた。
朝、警察が学校に来ていた。何があったのだろうと単純な疑問を浮かべていた僕は、いつもならこの時間帯には来ている彼女の席を眺めていた。教師が慌ただしく教室を行ったり来たりしていた。
ホームルームで彼女の姿が無いまま始まった話は、僕にとっては必然的だった。訃報と今後の生活について話が進んでいくにつれて、首が痛んでくる。嗚呼、きっと彼女は僕に呪いをかけたんだ、と、その時気付いた。
何年経っても、首にある絞め後は何故か消えなかった。
彼女の10周忌にクラスメイト全員でお墓参りをした。クラスメイトは僕の存在を許してはいなかった。墓参りに来るなとすら言われた。だけど、どれだけ言われてもそれは出来なかった。
夏になると首の痛みが鮮明になる。そうして彼女の事を思い出して、嗚呼、そろそろ彼女の命日だ、と考える。
忘れたくても忘れられないとは、このことなのかもしれない。そう思った、生涯かけられた呪いの話だ。