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 忘れたくても忘れられない、俺の脳裏にこびりついて離れない、あの薄曇りの昼の空の下。俺はそこで、貴女の庵が跡形もなく消え去って、小さな碑だけが残されているのを、呆然と目にしました。

 通りがかった貴女の村の者に、貴女が俺を待たずに病で亡くなってしまったと聞いた瞬間の、底無しの喪失感と、悲しみと、絶望。
 もはやそれらから離れて久しいですが、今でも時折それらが心に浮かび、足下が崩れるような不安に襲われることがあります。

 どうか、どうか、幸福に生きてくださいね。
 あのような思いをしたことについて、貴女を責めるつもりは毛頭ありません。けれどどうか、貴女自身、あるいは貴女の周囲の方々に、あんな思いをしてほしくはないのです。

10/17/2024, 3:58:25 PM