『心の灯火』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『心の灯火』(沈黙 -サイレンス-)
本来ならば誰にも侵されることのない信仰の自由を、はるか東に住まう顔も知らぬお殿様は許すことができなかったらしい。
信仰を捨てよという命令に背いた私は、同じように命令に背いた村の同胞たちと共に波打ち際に立てられた十字架に貼り付けられていた。役人たちは命乞いをしない私たちに気味の悪いものを見るような目を向け、信仰を捨てた村人たちはみな一様に目を伏せて、あるいは目に映らぬようにその場から隠れていた。そのうちに十字架のひとつからぽつりと口ずさまれた讃美歌がひとりまたひとりと続いて合唱となっていく。役人たちは黙れと言っていたようだが誰もやめようとはしなかった。
やがて潮が満ちゆき、海が穏やかに私たちに打ち寄せる。合唱はひとり減り、ふたり減り、いつしか独唱となっていた。私たちの信仰は最期まで心に灯って消えることはない。殉じることに恐れはない。神は見ていてくださる。
歌声が途絶えて波の音だけが響く海辺を役人と村人たちはしばらくの間呆然と見つめていた。
どんな惨めな目に遭っても、どれほどの侮辱を受けても。僕は決して引き下がらなかった。
ここで揶揄する連中に背を向けてしまえば、負けを認めて逃げるも同然だと。
連中の思い通りにはならない。僕は強い。
意地汚くてちっぽけなプライドだけを胸に、君の隣を歩んでいた。
世界を敵に回しても、君のそばから決して離れない。
僕の心は炎が燃え上がるように熱くなった。向かう所敵なしだと思っていた。
君がいなくなった日。
燃え上がる炎が跡形もなく消え去った。灰すら残らなかった。
僕の心ごと失った。
『心の灯火』
離れて暮らす子供たちのことを想うと、落ち込む日でも明るく考え直すことができる。
あ 何も出来ないよ
い しなくて良い
あ これじゃ
い しなくて良いの
あ わかったよ
い …
あ …
い ありがと
あ こちらこそ
『心の灯火』
毎日の仕事、なんかイイ感じで進む時もあれば、
ことごとく悪いことが重なる時もある。
イイときは一瞬、悪いときは連日続く。
仕事はそういうもんと言い聞かせて、
目標の定年退職まであと少し。
子供の成長が心の灯火となって、やってこれた感じ。
で、妻にも感謝。
何で。何でだよ。
勇者だの何だのと、一世一代の大舞台に引っ張り上げられて。
皆のためになるのならと、こうして魔王も打ち倒したのに。
急転直下。青天の霹靂。
故郷へ帰って呆然とした。
大役を終え、いの一番に会いたかった幼馴染みは、とうの昔に亡くなっていたらしい。
僕が旅立ってすぐのこと。急襲した魔物にやられたのだと。
嘘だ。そんな大事な話、どうしてずっと黙っていたんだよ。
世界を救えば、また大切な人と笑って過ごせると信じていたのに。
何ですぐに知らせてくれなかったんだ。
今更になって、こんな裏切り許せない。
些細な願いも叶わない。
君が居ない世界なら、平和な世界に意味もなければ興味もない。
慰めてくれる誰も彼も、何食わぬ顔で僕を騙し続けた嘘つきで、人の面を被った鬼だらけ。
今までなら曇って濁った心でも、君の笑顔で晴れたのに。
いくらあの眩しい笑みを思い描いても、すべて黒い感情に飲み込まれ、奥底の闇へと沈んでいく。
最期に浮かんだ灯火も、虚しく揺らいで消え失せた。
ああ。もう、どうでも良い。
さようなら。僕の愛した美しき世界よ。
これから先は、僕がこの世の魔王となろう。
新たな勇者が顕るその日まで、僕と一緒に戯れようか。
遠慮は要らない、さあ共に。
地獄の扉を開けるとしよう。
(2024/09/02 title:053 心の灯火)
「心の灯火」
自分の心のよりどころ、
的なイメージが多いのかな。
もしくは、
心臓、
とダイレクトに表現もできる。
どちらにしても、自分自身。
きっと実際に見ることはなくて、
感じるもの。
その灯火をどうするかも、自分次第。
仄かに燃えゆく灯火は、いのちの燈を示す
目の前の道を静かに照らし、先へ進む自信となってあらわれる
暗闇での迷子は辛かろう
わたしのいのちを借りて進むがよい
心の灯火
果たしてそれをどう灯そうか。
私が灯しても良いけど、せっかくだし貴方でも良いかもね。
心が暖まる感覚、私は好きだ。
いつ消えてもおかしくない
私の灯火。
けれど、また、灯してくれる貴方がいるなら、
安心できるかな。
いつかは尽きるその時まで
大切に優しく扱ってよね。
「『心の火が燃え上がる』とか『恋心の火が消える』とかは、多分表現としてメジャーだろうな。
……で、それをどう物語に落とし込むって?」
かの有名な『四つの署名』に、「自分の中に秘め持つ小さな不滅の火花」といった趣旨のセリフがあった。
某所在住物書きは自室の本棚を行ったり来たり。
なんとか今回配信分のお題を書き上げようと、ネタ収集に躍起になっている。
きっと上記セリフは「心」そのものに関してのセリフではないだろう。なんなら「心の灯火」のお題にカスリもしていないだろう。
しかしネタとしては頼れるかもしれない。なにせこの物書き、エモいジャンルが不得意なのだ。
「で、そのエモ系お題で何書けって?」
親友と後輩を守るため、ひねくれ者は住み慣れた東京を離れ、ひとり去る決断をしましたとか?
大切なひとに危害は加えさせぬ、ひねくれ者の心の灯火は十数年ぶり、ごうと燃え盛りましたとか?
物書きは物語を仮組みし、その書きづらさに敗北して、ため息をひとつ。やはりエモはムズい。
――――――
童話風の神秘7割増しなおはなしです。トンデモ設定てんこ盛り、去年の今頃のおはなしです。
都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が暮らしておりまして、
そのうち末っ子の子狐は、善き化け狐、偉大な御狐となるべく、稲荷神社のご利益豊かで不思議なお餅を作って売って、絶賛修行の真っ最中。
1週間に1〜2回の訪問販売。1個200円で高コスパ。ひとくち食べればストレスやら、疲れやらで溜まった汚毒にひっつき、落として、心の灯火の保守保全をしてくれます。
たったひとり、唯一の固定客、お得意様もできまして、3月3日のファーストコンタクトから2023年9月時点で早くも6ヶ月。
長く長く、お付き合いが続いておりました。
「おとくいさん、心のおかげん、わるい」
「何故そう思う」
「キツネわかる。キツネ、うそつかない」
「だから、何故私の精神状態が悪いと思う」
さて。
その日もやって来ました。不思議なお餅の訪問販売。
しっかり人間の子供に化けて、葛のカゴと透かしホオズキの明かりを担ぎ、
アパートの一室から親友の一軒家に諸事情でお引っ越し避難中の、唯一のお得意様のところへ向かいます。
避難理由は割愛です。なんせ去年の8月28日投稿分のハナシなのです。
要するにこのお得意様は去年のこの頃、昔々の初恋相手に付きまとわれ、大騒動勃発中だったのです。
人界のあれやこれや、常識や仕組みなんかは、まだまだ勉強中のコンコン子狐。おヨメかおムコか知らないけど、お得意様は結婚して、「家庭に入る」をしたに違いないと、トンデモ解釈をしております。
ゆえに神前結婚式のパンフレットを見せては、お得意様をチガウ・ソウジャナイさせておったのでした。
「おとくいさん、前のアパートに居たときと、『家庭に入る』した後で、ニオイちがう」
「何度も言っているが、親友の家に一時的に身を寄せることを『家庭に入る』とは言わない」
「おとくいさん、疲れちゃったんだ。おとくいさん、イロイロあって、心にススとか汚れとか付いちゃって、灯火がちゃんと燃えてないんだ」
「『灯火』?」
「だからおとくいさん、おもち、どうぞ。
スス落とし、汚れ落とし。心の灯火のホシュホゼン。ご利益ゆたかなおもちどうぞ」
「あのな子狐?」
「心の灯火」のお題に従い、問答無用で不思議なお餅を食わせにかかる子狐と、
子狐によって、そこそこのデカさのお餅を1個、口の中に押し込められるお得意様。
噛んで飲み込もうにも口内にスペースが足らぬ。
お茶淹れて、唇に両手を重ねて当てて、モゴモゴ、ちゃむちゃむ、もっちゃもっちゃ。
なんとかお得意様が不思議なお餅を食べ終わったのは、それから10分後のことでしたとさ。
「おとくいさん、まだ、魂が曇ってる。まだ心にススがついてる。稲荷のおもちどうぞ」
「もう十分だ。もういい。ありがとう子狐」
「ダメ!心の灯火のホシュホゼン、おもちどうぞ」
「子狐待て。よせ。ほんとうに、もういい。
子狐、こぎッ……ステイ!」
心の灯火を癒やす子狐のお餅と、そのお餅に四苦八苦させられる人間のおはなしでした。
おしまい、おしまい。
心の灯火
灯火とは周りを明るくするために灯した火、ということです。
この灯火ってよく耳にする言葉だしなんとなく意味はわかるけど正確な意味を知らない言葉だったりする。なので調べたら上記の意味だったという話。
そのことを踏まえた上で心の灯火とはどういう意味か。
考えたけどいまいちしっくりくる言葉が出てこなかった。ま、人生は心持ち次第だから明るくいきましょう。くらいの気持ちでいいんじゃないですかね。
しかし昨日の夜は涼しかった。朝もまあまあ涼しかったからこれはもう今日はエアコンなしでいけそうだな。
そう思ってたら普通に暑くて結局エアコンをつけてしまった。なんだかんだまだまだ夏だね。
心の灯火
暗いと不平を言うより、進んで灯りをつけましょう。
調べたらカトリックの言葉だったんですね。
良い言葉。
俺もお小遣いが安いと不平を言う前に、進んで仕事を頑張ろー
ボロボロのセーターはあたたかい。
「母さん」
このセーターを着ていれば、いつか母に会えるような気がした。あの日、俺を置いて出ていった母親。寒くないようにと着せてくれた女物のセーターはいつしか伸びきって今の俺が着ても少しぶかぶかで。
「スナック朝霧。電話番号は」
毎日の日課だ。忘れないよう、その言葉を呟いている。
綺麗なワンピースに身を包んだ母の姿。夜に家を抜け出して、重いドアを開けるとこんな場所に来るなと叱られた。それでもオレンジジュースを1杯だけ飲ませてくれた。あれは、思い出の味。
「あの、すみません」
ふと顔をあげると、上下ジャージに身を包んだ同年代くらいの男が俺を見下ろしていた。
「はい?」
「実は僕、ここへ来たばかりで……その、ルールとか、教えて貰えないかなと」
男をまじまじと見た。髭はきちんと剃られているし、髪も短い。ジャージもヨレてはいるが穴は無い。大きなリュックだけが彼の荷物なのだろう。
「構わないけど、どうしてここへ?」
「家賃とか諸々を滞納しちゃって、逃げてきたんです。あはは、情けないですよね」
「いや、そんな人はいっぱいいるよ」
それから俺はその新参者にこの公園でのルールを教えた。まず、長老と呼ばれている爺さんに挨拶に行くこと。それから寝る場所は極力隅を選ぶこと。近くのホームセンターやスーパーなども案内した。
「あと、炊き出しが来るけど新入りは最後に並ぶのと……それから」
「親切にありがとうございます。あの、僕、お礼できるようなもの何もなくて」
「いや、いいよ。ここでは助け合いの精神が大事なんだ」
「あっそうだ」
そう言うと男はポケットに手を突っ込み、スマートフォンを取り出した。
「まだ使えるんです。もし電話したい相手とかいれば、良ければ」
電話。そう聞いて真っ先に浮かんだのは母の顔だ。
何年も前の話だ。きっともう働いてはいないだろう。それでも、俺が知る唯一の手がかりがあの店だ。スナック朝霧。何度か店の前まで行ったけど、入る勇気が持てなかったあの店。いつしか店の前へ行くことすらやめてしまった。
「それなら……」
俺は新入りからスマホを借りた。
かじかんだ手では少し扱いにくい。それでも俺は必死に記憶に留めていたあの番号を押した。冷たい風が吹き抜ける。ボロボロのセーターはもう役目を果たしていない。でも、あたたかい。この服がいちばん。
何度か呼出音が鳴った。店は営業している時間帯のはずだ。
でも、繋がらない。
「ありがとう。返すよ」
「いいんですか?」
「繋がらないから、多分」
「あ、それなら。パーカー持ってるんです。それあげますよ」
「いいよ。君が着た方がいい。ジャージじゃ寒いだろうから」
「でも」
「ここでのルールだよ。干渉しすぎもダメなんだ」
そう言うと新入りは黙った。これでいい。
母さんも、思い出の店も、とっくに失っていた。俺にはあたたかなセーターがある。思い出も、ある。それさえあれば充分だった。
小さな思い出だ。でも、その灯火さえあれば生きていけるから。これで良かった。火が消えない限り、これで。
なんて鬱陶しいんでしょ心の灯火。
指針になりましょう?すがったらどうです?
心を許せばどうせ私はまた闇夜にこぼれ落ちる。
落ちた闇夜にまた心の灯火らしきもの。
もういいから!もうウンザリ!
じっとしてるなら
あんたなんかいらないから。
心の灯火に背を向ける。
ほら目が慣れてきた。
ここにいる。もう知らない。
もうこれ以上わたしの心を動かすな!
(心の灯火)
【お題:心の灯火 20240902】
あなたがくれた心の灯火を
私は失うことなくこの先も生きていく
やがてあなたに会えた時
胸を張って伝えたいから
あなたがくれた灯火は
私が歩む道標として
時に明るく、時に頼りなく
ずっとこのでこぼこ道を
照らし続けてくれる
酷く疲れて一歩も歩けなくても
灯火は常にゆらゆらと揺らめいて
私が向かうべき方向を
静かに教えていてくれる
哀しみにのみこまれ
俯くことしかできず
右も左も上下も前後も分からない闇の中
自分を見失いそうになっても
灯火は静かに光り
優しい灯りで照らしてくれる
あなたは私に言いました
辛いなら逃げたって良いのだと
あなたは私にくれました
逃げるための勇気を
あなたがくれた言葉は
もう一度前を向く気持ちを
あなたがくれた勇気は
私に心のゆとりをくれた
いつかあなたに出逢えたら
私はあなたに伝えたい
『ありがとう』の5つの文字に
心からの感謝の気持ちを乗せて
━━━━━━━━━
(´-ι_-`) 難しいお題デスネ。
心の灯火
心奥底にある希望や願望、頑張ろうとする力。
私の場合、人のために役に立ちたいという願望がある。子どもの頃から誰かに何かをして喜んでもらうのが好きだった。
自分より気が利いて役に立つ人が羨ましかった。そんな人間にないたい、その人を越えたいと常日頃思っている。
しかし人間なので怠けたいときもある。疲れてしまい気力が失せるときもある。そんなときも心の灯火だけは消さずに落ち込んだ気持ちを奮い立たせ努力したいものだ。
心の灯火とはいきる活力となるものすごいパワーを持つもの。例え小さくなろうとも心の灯火を絶やさないことが生きることそのものなのではないかと思う。
→短編・日々の隙間、ワンクッション。
真夜中、ワンルールの小さな部屋から逃げるように外に出た。
夏が終わりに近づいている。絡みつくような湿気を伴った暑さはどこにもなく、静かな住宅街に涼しいと感じるくらいの風が通り抜けた。
普段は歩かない方面へと、ポツポツ灯る街灯をナビゲーションに進んだ先に、一件のコンビニがあった。
まるで街灯の親玉みたいに、眩いばかりの明るさで周囲を煌々と照らしている。
駐車場に車とトラックが1台ずつ。表の灰皿で煙草を喫いながらスマホを見る人。カウンター越しの店員は何やら作業中。品物を物色する客が、雑誌コーナーとドリンクコーナーに居た。
夜中にもかかわらず、昼間と同じような日常がそこにあった。
振り切れない日常、逃れられない生活、潰えていく夢、日々浅くなる自己肯定感。
コンビニのゴミ箱に全部突っ込んで、やり直せたらいいのにな。そしたら、別れた彼女ともやり直せたりすんのかな? 同期との飲み会も参加できたり?
そんな自分を想像してみて、それはもはや他人だな、と笑いがこみ上げる。
結局のところ自分で納得する道にしか進めない不器用人間ということだ。ムリだ、粘れる を繰り返すしかないんだろう。
「よし!! ペン入れ、残り3ページ!」
紙パックの珈琲牛乳を飲みながら、再び街灯を渡るように進む。
こんな夜があるから、何とか生きている。
テーマ; 心の灯火
「もう無理」
それが彼から聞いた最後の言葉だった
「わかった」なんて言えるほどいい女な訳でも、
「なんで?」と聞けるほど気の強い女でも
「ごめんね。私はまだ好きよ待ってる」なんて言えるほど可愛らしい素直な女じゃなかった私は
「だと思った!ありがと!」くらいしか言え無かった。
なんて可愛げのない文章……笑っちゃう
彼からは「ごめん」と一件。
頑張ってはいたけどすがりつく元気のなかった私を誰か慰めてくれるかな
そう思い友達に1件の電話を入れた
「失恋した。はなそーよ」勿論返信は無い
「と言うことは自分で自分の心に火を灯すしかないようね。
と一言呟いた」
友達にも彼氏にも振られた。でも私は生きていた。
心の灯火
君は暖かい光
君を想うと暖まる
君は何もしないのに
ただそこにいるだけなのに
なぜこんなにも
私に灯りをくれるのか
「ではいきますね」
扉がしめられ、小部屋には私一人になった。
【お題:心の灯火】