『微熱』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
近頃、私は気付いた事柄があった。其れを今から記していきたい。
まず、馬鹿にされたくないからといって、尊大な態度をとるべきではない。己の能力・知力・才能の低度を、それによって実際よりも強大なものとして見せるのは、まさに虚勢である。そうするのではなく、まずは己の程度の低さを清く認め、反省するべきである。そして、周囲の人間を認めるべきである。周りが小人だからとて(それが事実、そうだとしても)、彼等を認めるべきだ。確かに、自己よりも卑賎な人間、愚鈍な人間には腰を低くするのが難しい。然し、自己の下らないプライドが邪魔して素直になれないでいるのは、彼等よりも鈍物に過ぎない。他者を馬鹿にして自らを驕るよりも、腰を低くして自らを磨く方が、余程も優れているに違いない。端から相手にしなかった彼等も、自分が知らないだけで、(或る分野においては)誰よりも光るものを持っているのではないか。その事に思い及ぶこと無く、端から相手にしない方が、かっこ悪いのではないか。よく知りもしないで、歯牙にもかけない事を問題にしない方が、目に余るのではないか。
そしてもう一つ、私は、自分の情けない姿を他者に見せるのを、極度に嫌う傾向があるようだ。そんな人間であるために、心を許せる友人にも(意識的に)見せた事は更々ない(これも傲慢な自負心の所為に違いない)。そんな私が、人が変わったかのように、自身の未熟な箇所を見せることに、躊躇いがなかった事があった。その事についても考え、解った事がある。これは少し具体的な所を触れるのだが、自分が知らない分野を、恰も知っているように振る舞う事がある。「そんな程度で?」と、余り重大に思われないかもしれないが、知らない事を恥ずかしいと思う自分にとっては、恥ずべき点に変わりない(それでいて、不遜な態度をとるものだから、呆れたものなのだが)。このような態度をとっている事こそ、私が最も恥ずべき部分ではないのか?という点である。同じ事の繰り返しとなるが、己の程度を知り、周囲の人間を認め、反省と研鑽の反復をする事こそが、今の自分が為すべき事なのであるように思う。そして、これらの行為を根本から邪魔する、このプライドを捨ててしまうのが、良いのだろう。
(これは別に読まなくてもいい。
…人は老いるにつれて、その身に気品を纏うのだが、幼少期から落ち着いた様子でいると、周囲からは子供気のない様に見られるらしい。日が経つにつれて「気品がある」だの、「賢そうに見える」だの、を周囲の人間から言われると、私のように「事実、賢くなければいけない」と呪縛を掛けられてしまうような人もいるのだろうか?)
微熱が出たなら休んでいいよ。
体が発する『休め』のサイン。
無理して無茶して[いいこと]ないよ?
コロナがくれた一つの教訓。
微熱が出たなら休んでください。
気合い?根性?いや病気だし(笑)。
あなたがいなくて終わる世界なら
今の世界はもう何周目?
病んでるキミより元気なキミを
人も世界も待っている。
気だるくて、喉が痛い。風邪の引き始めはいつもそうだ。体温計を見下ろして、ため息をつく。今日も37.2未満。平熱ではないけど、即決で休むほどではない。37.2で出勤不可のルールすら、今はないのだから余計に。昨日は人が少ない日だから薬だけ飲んで出勤したけれど、今日はどうしようか。悩みながらも、無意識に朝の支度を済ませていた。
身体が芯から冷えてくる。マフラーをしていても口元も凍えるような寒さの中、君はそっとコーヒーを差し出してきた。
仕事終わりで辺りはもう暗い、寒いのはお互い様だというのに君は真っ先にこちらにコーヒーを渡してくる。
君の方が寒そうな格好してるのに、そう思いつつその好意に甘えた。口内まで冷えてたせいか少し火傷しそうになり思わず身が震える。
大丈夫?そう笑う君を見て恥ずかしくなってくる。
同じように隣でコーヒーを啜る君の頬はほんのり赤く染まってるように見えた。
あぁ、風邪でも引いたかな。
寒い筈なのにどうしてこんなにも暑さを感じてしまうのか。
君が隣に居るから、なんて自覚したらきっともっと熱に浮かされるんだろう。
どうかこの微熱に気付きませんように。
・・・
上着のポケットに手を突っ込んでずっと鼻を啜ってる彼を見ていたら勝手に手が動いていた。
一瞬驚いた顔をしていたけれどすぐにコーヒーを受け取ってくれた、本当は猫舌だって事も知っていたけれどほんの少しの出来心で渡したらちゃんと飲んでくれて案の定熱くて反応していたね。
そんな姿を見てつい笑ったら君は僅かに眉間に皺を寄せて目を逸らしてしまった、耳まで赤く染まった君から目が離せなくなりそうだった。
……本当は、私が出てくるまで外で待っててくれた事知ってたよ。
あまり多くは語ってくれない君に何かしてあげたくなっちゃう、そんな気持ちを抱く度に私の体温も僅かに上昇してしまう。
これはきっと風邪じゃないんだよね?
……君が、この私の微熱にどうか気付いてくれますように。
それなりに大きくなってからの微熱って、身体より心の方がしんどい。
バイト休んだ方がいいよな、シフトやばかったかもな、課題終わるかな、約束してたの断らなきゃ。
動けなくない。働けなくない。行けなくない。
無理したい気持ちを頑張って堪えて、ベッドに留まる。子どものときと真逆だ。心も身体もずっと元気ならいいのに。多少は人に迷惑かけずに生きれるのに。
文字を打たなきゃ、スマホ、あれ、スマホどこだ。
あー起き上がるとちゃんとしんどい。頭痛い。ブルーライトが目に刺さって痛い。やっぱ働くのは無理かもな。薬飲んでも喉痛いし……。
あぁ、謝んなきゃ。
ただでさえ心がしゅんとしてるのに、なんでもっとしゅんとしなきゃいけないんだ。当たり前か、大人だもんな。こんなことで落ち込むなってことだよな。
周りが言う「お大事に」も「無理しないでね」も社交辞令だってわかってる。だから余計にしんどいんだ。誰か本気で心配してくれ。誰でもいいから本当に心配してほしい。
あ、返信きた。「承知しました。お大事に。」って。
ほら。
まぁ、家族でもないのにそんな義理ねぇわな。親みたいに心配されても気味悪いよな。
あ、また来た。今度は誰だろ。
「今から行く。」
まじか。
嬉しい。
とりあえずこれをと差し出されたのは、丁寧にアイロンがけされた真っ白なハンカチ。
礼を言いながらそれを受け取り濡れた顔にあてると、柔軟剤の柔らかな匂いがした。
タオルを持ってこようとしたその執事を引き止め先程の修羅場の一部始終を撮影出来たか問いかけると、映像音声共にとだけ答える。
本当に、優秀な男である。
聞いたこと以上の情報と結果をたった一人で淡々と成し遂げる所は、今も昔も変わらない。
そこが一番好きなところだと彼女は常々思っている。
幼い頃から結婚した今でも愛している彼が、ずっと隣にいてくれる。
それがどれほど尊いことなのか彼女はよく知っている。
だから彼女は結婚した。二番目の男と。
だから彼女は身体を重ねない。一番愛する男と。
いつまでもずっと、微熱に浮かされたようなこの関係で繋がっていたいがために。
「あなたが好きよ。誰よりいちばん」
「存じております」
口付けを受け入れてもそれ以上を求めはしない男を、少しだけ憎たらしく思いながら。
りくが傷つくことがありませんように
幸せにすごしてますように
微熱
心がだめで、わからなくなってる時、
体が、もう休みなよと熱を出す。
微熱の時の、あのふわふわする感じは、
心地よく感じる時がある。
ただ私は彼とたくさん話をしたかったのだ。
黙ったままで本当に大事なことは何一つ言ってくれない。
私もそうなのかもしれない。
「そりゃ、あれだ…」
「あれじゃ分かりませんもん」
頭をかいて、目線をウロウロさせて、なぁなぁで終わらそうとしないで。
彼のひんやりした頬を両手で触れる。
「きっと私達は、分かってくれているはずだからと闇雲に信じて、大事な言葉を避けていたんですね」
一番大切な人にこそ、思いを違えてはいけないはずなのに。
微熱が、私は生きているんだと伝えてる。対して私は死にたいというのに。果たしてこれは、一種の皮肉だろうか
ほのかにあつい肌に手を当てて、もしかしてこれは熱があるんじゃないかと期待する。休日に熱が出たら最悪だが、平日なら基本ハッピーだ。午前いっぱい休めば、午後は部屋でゴロゴロ幸せな時間を過ごせる。体温計もいつもよりヒンヤリしているように感じた。期待に胸ふくらませながら表示を見ると、37.3度。なんだ、これじゃ休めないなあ
塩町 睡( Shiomati Sui )
血液型:B
身長:173cm
体重:64kg
誕生日:1/18
年齢:32
性格:
さっきからゲームセンターの騒音が感じない。
この集中力が勉強に向けることができていたら人生ちょっ
とは変わってたのかなーって今考えることじゃない!今は
一手でも早くこの景品を落とすんだ。100円をいれてクレー
ンを操作するボタンが光る。クレーンに触れた景品が揺
れ、またもう少しで取れそうなところに留まる。あと少し
なのに。体温が上がっているな、って思いながら額の汗を
拭う。次で取れる、次で取れるから、、
ボタンが光り、私はクレーンの動きに集中している。
【微熱】
学校では微熱すら出ないくせに夜になって気分よくゴロゴロしてると何か顔熱いかも?ってなって熱を測ってみると37.4度。
夜に出ても意味無いのに。
微熱
あの子を見たり、想うと、心がドキドキして、顔が熱くなる。
のぼせた僕を心配した友達に、熱を測ってもらうと
これはこれは。微熱があった。
しかし、僕は至って健康だ。
僕はしばらく友達と顔を向け合って考えた。
これは…
「恋だ!」
僕達は声を揃えてそう言った。
僕達は驚いてお互いしばらく無言で顔を合わせた。
しばらくすると、二人の間でドッと大爆笑が起こり、改めて僕達の仲の深さを再確認した。
偶には青春も想い描きたいものですね…
微熱
君がそばにいると、なんだかわたしは変になる。
かすかな熱が体内を駆け巡った。やがて落ち着くと、じんわり広がり溶けていく。木漏れ日に照らされ、心地良さげにまどろむ君から、目が離せない。
君がそばにいると、いつもわたしは熱をだす。
頬に耳元、首筋までもを赤く染めあげる。林檎みたいになったわたしを、ふふっと笑って撫でてくれた。君は涼しい顔をしているのに、わたしだけなんてずるいよ。
この熱に、君も侵食されちゃえばいいのに。ずっと一緒にいられるから、はやくふたりで溶けちゃいたい。
これくらいが一番嫌だ。
仕事を休むほどじゃなく、薬で何とかなりそうだから結果無理をして、その日一日しんどいまま過ごさなきゃいけないから。
そして卑屈な私は、割とすぐ仕事を休む同僚に「ずるくない?」と鬱屈した妬みを募らせる。
そんな事ばかり考えてしまう無限ループ。
あーあ、我ながらめんどくさい性格!
地面を歩いているのに
歩いてるように思えない
ふわふわとして
何も考えられない
そんな今日の私
微熱が出ている。
熱とはすなわちエネルギー(厳密には移動形態)であるので、私はいつもよりエネルギッシュであると考えられるかもしれない。
しかし、この熱エネルギーは生体の免疫によって生じた再利用不可能なエネルギーであり、つまりは高エントロピーな廃熱だ。エネルギーは量ではなく、その質が重要であると再確認させられる。
いつも浴びているシャワーの温度が少し温いなと感じた時、微熱があることを悟った。測ってみれば案の定、三十七.一度というなんとも言えない数字が出てきた。トーストも緑茶も問題なく喉を通ったけれど、親と相談した結果、大事を取って高校は欠席することになった。
制服からスウェットに着替え、共働きの親をそれぞれ見送る。平日の家に一人でいる違和感が、足元を少し揺らした。
せっかくの機会だと思いテレビを点けてみたけれど、朝の情報番組ばかりが流れていて男子高校生には退屈な内容だった。学校を休んで観るテレビは面白いと聞いていたのに、全くもって期待外れだ。テレビは音量を絞って流しっぱなしにしたまま、結局スマホを起動させる。
動画投稿アプリを惰性で流し見ていたけれど、面白かったのは一時間ほどだった。次第に時計が気になり始め、学校に行ってれば今はこれこれの授業を受けているとか、そういうことばかりが頭をよぎる。
これではいけないと思い、昼飯を作ることにした。どうせなら手間のかかるものをと考え、メニューは餃子に決まった。
足りない具材は近くのスーパーで買い足した。いつもみている街並みが心臓に牙を立てた感覚がした。
家に戻り、手洗いうがいを済ませてキッチンに立つ。スマホで調べた手順を拙く真似しながら餃子を作っていく。分量を間違い四十個を焼き終えたところで、時刻は十三時に迫っていた。
食べる前に片してしまおうとフライパンやらを洗っていると、食卓に置いていたスマホに着信があった。
『もしもーし。生きてる?』
着信は級友の一人からだった。ビデオ通話になっていて、そいつだけではなく何人かが思い思いの面白いポーズを取っている。向こうも丁度、昼休憩に入ったようだ。
「スマホ取られるぞ」
『大丈夫、弁当箱で隠してっから』
大丈夫というなら止めはしない。サプライズ的な嬉しさを感じたのも確かだった。
食卓に餃子と白飯を、奴らは机に弁当を並べ、いただきますを合唱する。通話によるズレはご愛嬌といったところだ。あとは各々の昼ご飯を食べながら、ズル休みに違いないとか暇すぎて餃子を作り始めたとか、とてもくだらない話をした。
昼休みも終盤に差し掛かった頃、運悪く担任が教室を訪ねてきた。いかに隠しているとはいえ違和感は残る。スマホを使っているのがバレてしまった。
何事かが遠く知らないところで言い争われ、先生が『ここに俺も映ってるのか?』と画面を指さした。
「見えてますよー」
声をかけると、先生は嬉しそうに手を振った。
『ちゃんと水分取ってるかー?』
教室中に響き渡る大きな声で訊かれる。
「取ってますよ。身体は全然平気です」
先生は『そうかそうか』と鷹揚に頷いた。
『早く治して学校ちゃんと来いよ』
「明日はちゃんと行きます」
嵐のように訪れ、嵐のように先生は去っていった。去り際に『次は普通に没収するから、これが普通だと思うなよ?』と釘を刺すのも忘れなかった。
『じゃ、そろそろ昼休み終わるから切るな』
「おう、ありがと」
通話が終わってからは、時間割に合わせてその教科の勉強をした。いつもは退屈なテキストが案外面白く、スマホを触っているより胸が踊った。
翌日の朝、浴びたシャワーは肌に温かく刺さり、制服の袖に勢いよく腕を通した。心なしか、昨日着たそれよりも軽くなっていた気がした。