やなまか

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ただ私は彼とたくさん話をしたかったのだ。
黙ったままで本当に大事なことは何一つ言ってくれない。
私もそうなのかもしれない。
 
「そりゃ、あれだ…」
「あれじゃ分かりませんもん」

頭をかいて、目線をウロウロさせて、なぁなぁで終わらそうとしないで。
彼のひんやりした頬を両手で触れる。
「きっと私達は、分かってくれているはずだからと闇雲に信じて、大事な言葉を避けていたんですね」

一番大切な人にこそ、思いを違えてはいけないはずなのに。

11/26/2023, 4:48:58 PM