『待ってて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
待って。
その一言が言えなかった。
伸ばしかけた手を握り締め、唇を噛んで俯く。
――待ってて。
いつも言われる言葉。重く苦しいだけの呪い。
後ろを振り向くことのない彼は、気づくことはないのだろう。
待つことの苦しさを、不安を。待たせる側はいつだって気づくことはないのだ。
小さく息を吐いた。
顔を上げれば、彼の姿はもうどこにも見えない。いつもと変わらないこと。そしてこれからも変わることはないのだろう。
潮時なのかもしれない。
待つのは嫌いではなかったはずだった。それなのに、今は彼の姿が見えなくなるだけで息がし難くなっていく。
まるで浜に打ち上げられた魚だ。彼という波がなければ呼吸もままならない。
ぽつり。
不意に雨の滴が頬を濡らした。
見上げた空は、黒い雲に覆われている。見ているうちに、ぽつり、ぽつ、と大粒の雨が落ちてくる。
視線を下ろし、手にしていた傘を広げ差した。
途端にざあざあと勢いを増す雨に隠れるように、踵を返す。
待ってて。
その言葉を振り切るように、歩き出す。
もう待たない。会うこともこれきりにしよう。潮が満ちるのを待ち続けては、いつか呼吸ができずに死んでしまう。
傘を差し、俯きながら歩いていく。
お気に入りの長靴が、傘の中で降る雨の滴に濡れていた。
会わないと決めてしまえば、幾分か呼吸が楽になった気がした。
日常の中に、彼がいないだけ。最初は苦しかったそれも、次第に慣れて何も感じなくなっていく。
天気予報は今日も快晴。バターを塗った食パンを齧りながら、テレビに映る晴れのマークを見るともなしに見ていた。
彼を待たなかったあの日、夜中に土砂降りの大雨が降った後は雨は降っていない。窓越しに見える澄んだ青空に、今日はどこに行こうかとぼんやり考える。
公園を気ままに散歩してみようか。街に行ってお店を見て回るのでもいい。
それとも今日は、家の中でゆっくり過ごそうか。
一日の予定をいろいろと考えながら食べ終わった皿を片付け、洗い物を済ませていく。
込み上げる寂しさも、じくじくとした胸の痛みも、もう少しすれば気にもならなくなるはずだ。忘れてしまえば、最初からなかったことと同じになる。
呪文のように何度も自分に言い聞かせて、痛みを吐き出すように深く息を吐いた。
不意に玄関のチャイムが鳴った。
「誰だろ?」
首を傾げながら玄関に向かう。心当たりのない来客に、押し売りだったら嫌だなと少し眉が寄った。
「どちらさまですか?」
玄関越しに声をかけるが返事はない。
誰だろうか。どうすればいいのか分からず立ち竦んでいると、微かに音が聞こえた気がした。
そっと扉に近づき、耳を澄ませる。聞こえた啜り泣く声に、咄嗟に扉を開けていた。
「何で……」
呆然と呟く。伸ばされた腕に引き寄せられ、強く抱きしめられても何も反応ができない。
どうして。何で。疑問がぐるぐると頭の中で回り、体が凍り付いたように動かない。
「――のに」
啜り泣きの合間に聞こえた声に、のろのろと顔を上げる。泣き腫らした赤い目と視線が合って、ずきりと胸の痛みを覚えた。
「待っててって、言ったのに」
泣きながら彼は言う。そのか細い声の響きを、どこかで聞いたことがあるような気がした。
幼い頃、よく聞いていたように思う。腕を伸ばし、滔々と流れ落ちる彼の涙を拭いながら記憶を巡らせる。
確かあの時もよく彼は泣いていた。その涙を止めたくて、約束したのではなかっただろうか。
「待ってるって言ったのに。ちゃんとここにいるよ、置いていかないよって、いつも待っててくれたのに」
「あ……」
涙を拭う手を取られ、彼は小指を絡ませた。
その瞬間、思い出す。行きたくない、置いていかれたくないとぐずる彼に、小指を差し出して約束したのは自分だった。
空を見上げる。晴れ渡る空には雨の気配はない。もう何日も雨は降っていなかった。
「雨を……」
「やだ。もう行かない。離れたくない」
しがみつくように抱き込まれ、息が詰まる。小指が絡んだままの手を解いて彼の胸を叩いて訴えれば、ほんの少し腕の力が緩みほっと息を吐いた。
けれど相変わらず彼が離れていく様子はない。約束を忘れて待たなかった選択を後悔しながら、もう一度彼の頬を伝う涙を拭ってみる。
「ごめん」
彼の目を見ながら謝る。
「約束を忘れてた。だから段々待つのが苦しくなってたの」
一度言葉にしてしまえば、もう止まらない。言いたくて、でも言えなかった思いをぶつけるように言葉が次々と溢れてくる。
「本当は待ってって言いたかった。待っててって言われる度に何も言えなくて、それがとっても寂しかった」
彼は何も言わない。涙はいつの間にか止まり、静かに話を聞いている。
ずっとこのままなら、苦しくも寂しくもないのだろう。ふとそんな滑稽なことを考えてみる。
ただの夢物語。なんだか可笑しくなってきて、小さく笑いながら彼の胸を押した。
「でももう大丈夫。約束を思い出したから、今度はちゃんと待てるよ。だからいってらっしゃい」
けれど彼は離れない。
どうすれば分かってもらえるだろうか。戸惑いながら空を見上げた瞬間、視界が暗転した。
「え……?」
見えない不安に、咄嗟に彼にしがみつく。体の感覚がおかしくなっているのか、やけに体が軽く感じられた。
まるでふわふわとどこかを漂っているみたいだ。それが怖くてさらに強くしがみつけば、彼が小さく笑う気配がした。
「大丈夫。もう目を開けてもいいよ」
言われて、いつの間にか目を閉じていたことに気づいた。だから目の前が暗くなったのだろうか。
そんなことを考えながら、恐る恐る目を開ける。何度か瞬きをして辺りを見回せば、そこは一面真っ白な世界だった。
正確には白というよりも灰色だろうか。困惑して彼を見れば、さっきまでとは違い上機嫌でどこかに向かって進んでいく。
「離れるのは嫌だしね……最初からこうして一緒に行けばよかった」
何も分からない自分を置き去りに、彼はどこまでも進んで行く。鼻歌でも歌い出しそうなほど楽しげで、戸惑うばかりの自分のことなど見えていないようだ。
思わず溜息を吐く。もう一度辺りを見るが、灰色の世界に変化はない。
そっと手を伸ばしてみる。灰色に飲み込まれていく手と触れる冷たい水の感覚に、もう一度溜息が溢れ落ちた。
湿った空気の流れを感じる。よく目を凝らせば、灰色の奥から光が差し込んでいるのが分かる。
ここは雨雲の中だ。
そう理解して、彼の頬に手を伸ばし力任せに抓る。
「痛っ!何、急に」
「急にはこっちのセリフ。待ってるって言ったのに」
「だってもう待たせるのは嫌だし。離れたくないし」
子供のような言い訳に、何度目かの溜息が漏れる。
文句を言いたいが、そうさせたのは自分なのだからあまり強く言うこともできない。
彼に支えられているとはいえ、雲の中にいるという不安が落ち着かなくさせる。きゅっと彼の服を握り締めると、彼が笑う声がした。
――待ってて。絶対に待っててね。ちゃんとここにいてね。
ふと思い出す。彼の最初の待っててという言葉を。
泣きながら何度も繰り返していた。その時の不安そうな声の響きが、さっきの言葉と重なって、ふふと笑みが浮かぶ。
幼い頃、初めて会った時から彼は変わらない。人一倍寂しがりやで泣き虫な、頑固者。
きっとこれから先も、雨が降る時にはこうして連れて行かれることになるのだろう。なるべく早く、彼と自分を安心させる案を考えなければ。
梅雨時が来たら、四六時中彼に連れまわされる未来を予想して、笑みが引きつった。
何があるだろうか。どうすれば待っててという言葉に不安を覚えなくなるだろうか。
考えて、一つだけ思いつく。思いついて、頬が熱くなるのを感じた。
待つ場所を家にすれば。戻ってくる場所を、帰る場所にしてしまえば。
ちらりと彼を見る。上機嫌な彼はまだこちらには気づいていない。
彼はどんな反応をするだろうか。不安と期待を抱きながら、一つ深呼吸をする。
「どうしたの?」
気づいた彼がこちらを向く。
恥ずかしい。けれど言いたい。
もう一度深呼吸をして、彼の服を握り締める。
そして、ゆっくりと口を開いた。
20260213 『待ってて』
待ってて
どんなに遠くても、何年経っても俺は君を想い続ける
どうか待ってて。必ず君を見つけ出すから
君と俺の世界を繋ぐ綻びが閉ざされる間際に
願いを込めて
【待ってて】
「あなたはあなたでいい」
そんなこと 今更言われなくたって
昔からよく知ってる
幼い頃から周りと同じじゃいれなくて
「自分は自分、人は人」って
心の中でたくさん唱えて生きてきた
はしゃぎながら隣を過ぎていくあの子たちも
一人が好きと言いながら、
なんだかんだで周りと一緒に遊べる人も
いっそ引き篭もって関係全部断てる人にだって
同じになれないし、ならないだろうけど
羨ましいは捨てられなくて
生きてくための自己肯定と
どこからか湧き起こる自己否定の間で
へらっと笑いながら生きてる
そんな私が"私"を認められる日を
待ってて 未来のわたし
「秘密の味のチョコレート」
2月14日 バレンタイン。
友達も家族も恋人同士もチョコレートという
甘いお菓子を渡しあって楽しむ日。
僕は好きな女の子がいた。
その頃僕らは小学三年生で正しい判断もできないような年頃だった。
女の子はカカオアレルギーでチョコレートが食べられない子だった。
女の子は僕に対してよく言っていた。
「チョコレートが食べたい。」
女の子は生まれた時からアレルギーでチョコレートを食べた記憶がないらしい。
でも甘い香りが鼻を掠める度にお腹が鳴る。
だから食べてみたいそうだ。
でも彼女の母親は駄目だと言う。
彼女の安全のために母親は言っていた。
けれど昔の僕らにはそれが理解できなかった。
「今度のバレンタイン。僕がチョコレートあげる。」
幼いながらバレンタインのチョコレートが特別な意味を持っていると知っていた。
だから渡したかったんだ。
バレンタインの前日。
当時中学2年生だった姉とバレンタインチョコをつくった。姉にはからかわれたけど僕は頑張ってつくったんだ。ついに完成して渡す日になった。
僕は女の子に作ったチョコレートを「秘密だよ」
と言って渡した。
心臓が強く波打ち緊張でどうにかなりそうだった。
彼女は頬をゆるまして言った。
「秘密だね」
その後彼女がチョコレートを食べて倒れたそうだ。
その後彼女は引っ越してしまった。
しばらく会えていなかったがこの間久しぶりにあって話をした。
彼女はあの頃と変わらず元気な笑顔が素敵だった。
僕は彼女にあのときは申し訳なかった。と言う話をした。
そして彼女はあの日と同じように頬をゆるまして言った。
「あの日の秘密のチョコレート。
人生で一番美味しかったよ。」
僕の心臓はあの日と同じように強く波打っていた。
待ってて
『ずっと一緒』
あの日の約束を信じて
どれだけの時間が
流れただろう
『待ってて欲しい』
その言葉に
偽りはないですか?
待ってて
なぁ。そっちが「待っててほしい」言うからこうやってお利口にして待ってんねんで?なぁ。これ、いつまでなん?ため息と共に吐いた煙は空気を苦く変えて消える。癖になってやめられなくなった煙草も電子に変わるぐらい年月が経った。きっと目には見えないけど肺も色が変わってるやろう。十年。いや、十…何年やろ。数えるのもめんどくさくなるぐらいには変わってんねん。なぁ。年号だって変わったわ。こんな滅多にないことでさえ起こるぐらいには時間経ってんねん。なぁ。携帯だって何回変わってん?こちとら全然更新されへんトーク画面引き継ぐために色々頑張ってんねんで?
なぁ、と声をかける前に今日も金色のアルコールを流し込む。催促したらまた困らせんのかな思て余裕ぶってニコニコしてるのあと何年続けたらいい?あんまり嬉しくない笑い皺も刻まれるぐらいには俺も老いてきたで?なぁ。俺が犬ならどうしててん?十何年なんて、犬にとっては時間軸が違うねんで?「待て」されすぎてだんだん弱ってくの放っとかれへんやろ?なぁ、じゃあ、なんでこんなに待たされてんの?犬には程遠いでかい人間やから?人間だってこんな待たされたら、さすがにくたびれるて。一度堰を切ってしまえば止まらない想いを、何年切らんように頑張ってると思う?
待っててなんて無責任やんな。あ、せめて番号札でも出してくれん?いや、こんなに待たされて一番ちゃうかったらさすがにへこむけど。何番目でもいいから、最後は自分のとこに来たらいい、なんてそんな謙虚な考えはできひんねん。ごめんな。好きやねんもん。絶対一番が良い。それか、あれか。最近はアプリとかサイトであなたは何番目で何分ほどお待ちくださいって出るよな。ほら、病院とかでも何番前にはもう着いといてくださいね〜言うやつ。いや、別に他のとこに行きたいわけちゃうで。あと何年って分かったら、それまで生きようって思えるやん?いや、こんなんであと五十年とか言われたらどうしよ。そんなに待たせて、どんな準備してくれてんのやろう。ハードル上がってんで?ほら、今ならまだ大丈夫やから。なぁ。ICOCA押し当ててちゃんと音鳴るか確認する前に出ようとして引っ掛かるぐらい、何回押したって変わらんって分かってるけど早なる気がして横断歩道のボタンを連打するぐらい、せっかちな自分がこんなに待ってるんやから。いい加減この関係変えさせてくれへん?
こりずにびーえる。
「はっぴぃばれんたいん!」
そんな声と同時に現れた彼は大きなバラの花束を抱えて入って来た。
「はい、俺の気持ちだよ」
渡されたその花束のバラの本数は33本だった。
“何があっても変わらない愛”
それを意味している。
この前は11本。あなたひとりだけ。
その前は1本。あなただけ。
どんどん増えていく。
その意味はちゃんと理解している。
だけど素知らぬふりで受け止める。
知らないふり。
気付かないふり。
「ありがとう。おれ食べ物がよかったなー」
なんて目を合わさないでいると不意に手首を掴まれて顔を覗かれる。
「俺には?俺にはなんかないの?」
思わず意識してしまいそうなのを知られないように咄嗟にその手を振り解く。
「あ、あるよあるある!」
ほらこれ。なんて彼の目の前に差し出したそれ。
「これなに?」
目の前に突然差し出された箱を不審げに見つめている彼に。
「開けてみてよ」
丁寧にその箱を開ける彼は、そこから出て来たものを不思議そうに見た。
「これなに…アップルパイ?」
「そう、それ!俺が作った!」
「お前が!?何これ食べれんの?」
「お前何気に失礼だな!!」
「うそうそ。嬉しいありがと」
決して上手に作れてないそのアップルパイと言い張っているそれを目の前の彼は嬉しそうに見つめる。
「これ食べてみてもいい?」
「どーぞどーぞ」
味に保証は出来ないけど。
彼はあらかじめ食べやすくカットしてたアップルパイをひとつ摘んで口に入れる。
それを心配そうに見つめて様子を伺っていると。
彼は味わうように咀嚼してひとつ頷いて笑った。
「美味しいよ。君も食べて」
そのひと口かじったアップルパイをおれの口元に運んでくる。
少したじろいで後ずさるけど追いかけて来るから諦めてそのままかじった。
さくり。
見た目は悪いけど味は成功したみたいだ。
安心してるおれに向かって突如伸びて来た手に驚いて身を引く。
「口の端。付いてる」
そのままなおも伸びて来た手に口の端を軽く拭かれた。
「ありがと」
お礼を言うとにっこり笑われた。
「でも何でアップルパイ?俺好きって言ったっけ?」
「それともこれもなんか意味があったりする?」
「いや別に」
「ふぅん」と何やら納得してない様子でスマホを取り出す。
「何してんの?」
「いや。アップルパイの意味調べようと思って…」
「別に調べなくていいよ!!これと言って意味なんてないから」
慌てて彼の手からスマホをひったくる。
スマホを取り返すべく伸びて来た手に取られまいと必死でスマホを遠ざける。
後ろ手に隠したスマホ。
取り返すその手。
図らずしも抱き付かれるカタチになった。
「絶対何か意味あるでしょ」
近くで見つめられて必死で目を逸らす。
「円周率!!」
「…は?」
必死で叫んだおれの言葉が理解出来なくて彼は間抜けな声を出した。
「円周率ってなにそれ」
「円周率は円周率だよ。π(パイ)!」
「もしかしてパイってあのπ?」
やや間をあけて呆れたように聞き返す。
「駄洒落かよー」
ぎゅっと抱きしめられた。
「もっと深い意味であってくれよー」
ため息をついてさらに力を込めて抱きしめる。
「深い意味って何だよ」
笑いながら答えるけど心は乱れてる。必死だ。
「そりゃあ、好きとか。死ぬほど愛してるとか?」
「馬鹿じゃないのお前」
「ひどい」
「お前こそ頭おかしいんじゃないのか?」
「俺はいつでも本気だよー。あいしてるー」
なおも一層ぎゅうぎゅうと抱きしめられた。
「はいはい」
適当に返事してその背中を軽くポンポンと叩く。
「俺はいつでも待ってるからなー」
耳元で聞こえた声は聞こえないふりした。
アップルパイの贈り物の意味は永遠に続く愛。
その意味を彼は知らなくていい。
まだ彼の想いには応えられないから。
でもいつか。
いつかちゃんと言うから待ってて。
おれも、お前が好きだよ。
(待ってて)
『待ってて』
バス停で待つ
運命の出会いを待つ
声をかけられるのを待つ
仲良くなるタイミングを待つ
LINEを待つ
隙を待つ
初デートで待つ
次会える日を待つ
じれったいけど……待つ
好きを待つ
手をつないでくれるのを待つ
「寒いから」と抱き寄せてくれるのを待つ
遊園地の観覧車を待つ
口づけで世界が止まる瞬間を待つ
終電で帰れない夜を待つ
シャワーから出てくるのを待つ
耳元で「おはよう」と言ってくれるのを待つ
桜が舞う春を待つ
汗ばむ夏の夕立を待つ
山並みが秋に染まるのを待つ
冬のクリスマスを待つ
好きが愛に変わるのを待つ
また記念日を待つ
愛が永遠に変わる日を待つ
言われなくてもずっと……待ってるから
……早くしてよね
🌿みなさん、こんにちは🌿
本日は、過去に体験した不思議な体験を詩に認めましたのでお届けいたします。皆様の自由に感じ取り、噛み砕いて頂けましたら幸いに存じます🍊
ーーでは、どうぞ📖´-
『触れて、なお在らず』
細く重なる吐息を横に
宵の街への言が鳴れば
片手に掴んだ手荷物を
肌身に置いて勇み発つ
鉄の唸りが鮮緑の
肌を叩いて跳ね踊り
灯らぬ道をゆき進む
眩る灯りが黒を抉る
けたたむ中に声は揺れ
投げも落とすも言の葉は
揉まれ飲まれて対を得ず
闇魔に佇む赤い袖
深崖を跨いで広げる大手
気まぐれに
駆けて抜ける冷風が
袖裾を掻くると
僅かな鉄の呻き声
鉄馬を手繰る人の横顔に
写るいささか戦慄の相
隣に俯く若人の
頬を撫でる悲しみの泡沫
なにゆえの悲哀か
問えどもわからず
鼻すする
家路も重ねど
不条の涙は
いまはなし
眠る枕に寂相の影
夢湖に手向いて
逢いみては
届かぬ葉擦れの
若い囁き
なにゆえの縁か因果か
応えなく、
暫しの時経て
肩に触れる
空虚の熱
無責任かもしれない。
それがどう出るかなんて、
本人ですら予想できない領域だ。
それでもこんなワガママな願いが届くのなら、
あの日と同じ、
あの場所で落ち合おう
そう、締め括られた文を
私は未練がましくも
捨てられずにいるのです。
待っていて欲しいと、
そう言って帰ることのなかったあなた。
今も尚、お慕いしておりますよ。
私がそちらへ向かうまでは、
待っていてくれませんか?
君がいない世界は真っ暗で
だから君がいる明るい方へいこう
待っててね、すぐそっちにいくから
#25 待ってて
待ってて
「キミが来るまで待ってるよ」
その言葉を残し、海外へと旅立った彼。
同じ部署で優秀な彼は、海外事業部への転勤が決まったのだ。
「離れるのは辛いけど、あっちでキミが来るまで頑張るよ。けど、長くは待てないから早く来てくれよな」
「うん。1日でも早くそっちに行けるように頑張るよ。だから、私が行くまで待ってて」
空港で抱きしめ合って、彼が乗る飛行機を見送る。
「頑張ろう」
彼がいない淋しさを紛らわせるように、私は仕事を頑張るのだった。
【待ってて】
いつもと変わり映えしない車両、景色、同じ立ち位置ー
僕は今、希望が見えない。
自分の将来、というか1年後、明日の事すら曖昧でモヤがかかっている。
君もそう思うことがないだろうか。
自分は何も成し遂げていないちっぽけな人間に思えたり、(まぁ、実際そうなのだが
自分以外の人が優秀に見えたり等....
閑話休題。
自分が自分ではないような...。これを*解離障害などと言うらしい。だが、僕に当てはまっているかと言われても医療機関で検査はしていないので分からない。
そんな何物でもないような感覚を持ち続けながらも自分から動けないのは.....動かないでいるのはやはり希望という光をもう見ることができないからなのだろうか。
そんなことを思いながら今日も満員電車に揺られている。電車の吊り広告に目をやると今季のアニメ広告がある。
皆スマホの画面に夢中で吊り広告が変わったことも気づかないんだろうな、なんて皮肉りながらも自分を振り返る。
最近は、忙しさに新しいアニメや曲を聴くことを躊躇い見たことがあるものや聞いたことがあるものばかり触れていた気がする。広告に背中を押されたような気がして、動画サイトをクリックし広告のアニメを見る。
日々仕事と家の往復で、新しいアニメを見る余裕すらなかった自分。けれど新しく一歩を踏み出せた気がした。
いや、変わらなかったのは自分なのかもしれない。いつもと同じ車両、菜の花畑、同じ立ち位置。明日の朝はこのアニメの続きを見よう。
ー待っててー
モヤがかかっていたはずの明日が楽しみになった。
ーーーーーーーーー
*解離障害: つらい出来事から心を守るために、
「現実感がなくなる」「記憶が抜ける」などの状態が起こること(諸説あり)
待ってて。
早朝。
僕はリュックサックを背負って歩く。
徒歩で通勤している。
途中、お弁当を買いにス−パ−に立ち寄った。
突然の、ニャー、ニャーという猫の鳴き声が駐車場から響いてきた。
猫はガリガリな痩せ細り、傷だらけだ。
どうやら、縄張り争いに負けてここに辿り着いたのだろう。
僕はス−パ−で弁当と鮭を買い、鮭を猫にあげた。
猫は鮭にがっついた。
「君は行く当てがないのか…。可哀想に…。今から仕事があるからここで待ってて、そしたら、病院に連れててやるから…」
僕は足早に職場へ向かった。
夕方。
仕事が終わりス−パ−の駐車場に戻った。
猫の姿を探すが見当たらない。
どこかに行ってしまったのか…。
待っててっと言ったのに…。
僕は諦められず、しやがんで駐車している車の下を覗いた。
すると、猫はタイヤの裏側に隠れていた。
「なんだ、そんなところにいたのか」
僕はほっとした。
猫の隙をみて首根っこを掴み、リュックサックに入れた。
呆気なく捕まえる事が出来た。
それほど衰弱していたのだ。
一ヶ月後、猫は元気になり去勢手術を終えた。
そして猫は僕の家族になった。
野良猫として、平均寿命3〜5歳の過酷で自由な生活がいいのか?
それとも、家猫として、食と住居と医療が保証された安全で不自由な生活がいいのか?
その猫に聞いてみないと分からない。
待っててね。
私があなたの隣に並べるくらいに
立派になるまで。
いつか、二人並んで対等な関係で
お出かけしようね。
お互いの欲しいもの買って
プレゼント交換みたいなことしたり、
どこか遠いところに行って
二人だけの思い出つくったり。
いつか、他愛もない話をしながら
ご飯食べたいな。
好みが違っても
お互いの好きなものを尊重する関係がいいな。
幸せな毎日をあなたと過ごせるように。
今、私頑張るから。
もう少し。もう少しだけ待ってて。
もう少しで、この想いをあなたに伝えるから。
誰かのところに行かないで。
お願い。あなたのために頑張るから。
《待ってて》
すっごい書きたい!!!
2026.2.13《待ってて》
もうすぐで君がいなくなって3年が経つ
今どうしてるのかな、
そっちは寂しくない?苦しくない?
私が代わりに逝けば良かった
一緒に逝けたら良かった
ずっとそう考えて、未だにそう思ってる
誰と出会ってどこに行って何をしても
それが頭の中でまとわりついて離れない
幸せになんてなっちゃいけないんだ
生きる権利も死に方を選ぶ権利も幸せになる資格も
本当は全部私にはない
分かってるだよ、
それでも死に方だけは選びたかったの
それだけなら選んでも許される気がして
早く死なせてほしい
全部全部消えてほしい
あと一年半、頑張るから
待っててね。
君に会いに逝くよ
もうこれ以上無駄に孤独を味わう必要なんてないの
ごめんね、
ちゃんと死ぬから、死ねるようにするから
《待ってて》#11 2026/02/14
「どうしても、行っちゃうの?」
「うん…ごめんね、瞬くん」
僕を安心させたいのか、鏡子さんは穏やかに応えた。
「そんなの、他の人たちに任せておけば良いじゃん!」
もうじき、中学生になるというのに、小さい子のように駄々をこねてみせる。嫌だ!行っちゃやだ!
「ううん…これは私じゃなきゃ、駄目なの」
ほんの少しだけ、悲しげな表情をした鏡子さんから、強い決意を秘めているのが伝わってきて、僕は項垂れるしかなかった。
どこかの悪い大人達が行なった実験の結果、世の中に魔物達が解き放たれてから、一年。警察や軍隊では刃が立たなかった魔物達を倒してきたのは、どこからともなく現れた"魔法少女"たちだった。
そして、その魔法少女の一人が、鏡子さんだったんだ。鏡子さんの話によると、魔法少女としての力を使えるのは18歳までで、17歳の鏡子さんが戦えるのは、あと少しの間だけ。
「でもね、もうこれで最後だから」
この、最後の戦いに勝てば魔物を封印出来て、世界に平和が戻るらしい。
「本当に?」
「ええ」
僕の家の向かいに住むこの鏡子さんは、小さい頃から仲良くしてくれた憧れのお姉さんで、僕の…
「絶対、帰ってきて」
「うん」
「怪我とかしちゃダメだよ」
「気をつけるね」
「それで…僕と、結婚して!」
「解ったわ」
「え?」
「あら、本当よ」
びっくりしている僕を、可笑しそうに笑ったこの笑顔は、いつもの明るい鏡子さんのそれだった。
「まあ、すぐには無理だけど。そうだ、これを持ってて」
渡されたのは、女子がよく持っている折りたたみ式の鏡。
「私だと思って大切にしてね。持っててくれれば、瞬くんがどこにいても、帰って来れるから」
「本当に」
「本当よ。瞬くんに、嘘ついたことある?」
僕が首を振ると、鏡子さんが優しく抱きしめてくれた。こんなことされるの、幼稚園以来のことで…突然のことに頭の中が真っ白になって、僕の額に素早く口づけされたのを、身体が離れて少し経ってから気付いたくらいだった。
「じゃあ!元気で待っててね」
夕方、家の前でバイバイするみたいに、いつも通りの声を残して、次の瞬間には鏡子さんの姿は目の前から掻き消えていた。まるで、最初から、そこに居なかったみたいに。
あれから、10年ちょっと。
平和が戻った街で僕は大人になり、市役所の職員になっていた。
まるで何事も無かったような日々の生活の中で、いつも持ち歩いている鏡だけが、あの時のことは事実だったと僕に語りかけてくる。
鏡子さん…僕はもう大人になりましたよ。
そろそろ窓口が終了する時間だ。机の片隅に置いていた鏡をいつものように胸ポケットに入れ、終業の前準備をしようとしたその時。
「あの…婚姻届はどちらで貰えますか?」
柔らかな、そして、どこか聞き覚えのある声。
「あ、ご結婚ですか。おめでとうございます。婚姻届ならこちらではなくて…」
席を立ち、相手の方の顔を見た時、一瞬、自分の見ている光景を疑いました。まさか、幻でも見ているのか?
でも、そこに立っている女性の方が、確かに僕が待ちわびていた人だということを、頬を伝う涙が教えてくれました。
「瞬くん、ただいま」
スペース確保
前日の【伝えたい】は一応投稿しました
題材【待ってて】より
【待ってて】
言わないなぁ…
勝手に待たれるのは仕方ないとして
自分からの待ってては
お互いにとって負担になる気がするから
まぁ…待たせる時点で
迷いがあったり
今ではないって思ってるってことだもんね
私は、
迷いのないその時の気持ちを大事にしたい