『形の無いもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
形の無いもの
言葉は形が無く
相手の受け取り方
発した人の感情などで変化する
皆が平穏な気持ちで言葉を使えれば
平和なのだろうか
嘘も方便
不確かなもので
自分の心を磨いても
尖る一方である
貴女との関係って、何かしら?
ふとそんな事を思ったある休日。机に向かい、宿題を黙々と進めていた。三十分経ったので、休憩をとる。そんな時に、頭を休めることが出来ない考えがよぎった。
〔形が無いもの?でも…。形にしたいもの?〕
一人でブツブツと呟いていると、あっと言う間に休憩時間を過ぎていく。
しかし、今の悩みは眼の前の宿題より大切かも知れない。
〔形に囚われない関係?…でも、そんな簡単なことじゃ、無い関係。〕
口から言葉が流れるように出てくる。その言葉達は、貴女との関係を肯定も否定もしないものばかり。曖昧な物。
〔貴女との関係、私はもっと深くなりたい。でも、
私が望む形と、貴女の望む形と一緒、なのかしら。〕
だんだんとナーバスになってしまう。嗚呼、駄目。
タンブラーを手に取り入れて置いた、
温かいココアを一口、ゆっくりと飲む。
じんわりと甘さと苦さが口に広がる。美味しい。
もう一口飲む。先程よりも、甘く感じた。
はぁ…。ため息をついて、タンブラーを机に置く。
このまま答えの無い考えをしているより、
きっと宿題を進める方が私の為だ。
形の無い関係って、いつか形になる物かしら。
妄想昔話 最終話
声のする後方に身体を向けると
先程まで何もなかった空間に数千もの鳥居が立ち並び、その先の彼方にはお社が見えていました。
お社まで距離がかなりありましたが
天界では身体が浮き上がるほど軽く、スタスタと駆けていくことができました。
お社に着くと、本殿の頭上のしめ縄には紙垂がかかっていて、扉は開かれていました。扉の向こう側に朧げながら誰かいる気配がします。
『よく天界まで参ったな。歓迎するぞ。儂は宇迦之御魂大神と申す』
声が聞こえたとき、紙垂がひらりと揺れました。
『翁狐でなく、そなたがここに参ったからには、儂に何か用があるのだろう?』
霊狐は膝をつき名を名乗ると、宇迦之御魂大神に事の詳細をつぶさに話しました。
人間から迫害をうけていること。
人間と狐族との関係性について。
とてつもない飢饉が迫っていること。
そして、宇迦之御魂大神に豊穣の雨をもたらして欲しいことを。
どれだけ時が経ったか分からないくらい懸命に伝えました。叶わなければ自害するとらいわんばかりにの気迫で伝えました。
『そなたの言いたいことは理解した』
『ただ残念だが、儂は神という立場があるから、私情で生き物の生死に関わる行為をしてはならぬのだ。自然の均衡が崩れるからな』
『だが、そなたの殊勝な心構えが気に入った。儂の使いにならぬか。使いとなれば神の力を分け与えることができる。豊穣の雨をいつでも降らせることができるようになるぞ』
『そなたは神ではないから特別に、村人や狐族のために雨を降らせても目を瞑ってやる』
『ただし…』
宇迦之御魂大神は語気を強めて
『使いになるには肉体を捨てて、魂だけの存在にならねばならぬ』
『魂だけの存在になると、わたしはどうなってしまうのですか?』霊狐は聴きます。
『同じ魂だけの存在である神か死者にしか、そなたの存在を認知できなくなる』
『そなたにできることは2つだけだ。
このまま帰るか、肉体と決別し儂の使いとなるか。さて…どちらを選ぶ?』
霊狐は宙を見上げて哀しげな表情をうかべましたが、答えはすでに決まっていました。
『また離れ離れになってしまうな』
と霊狐はつぶやくと、宇迦之御魂大神に返答をしたのでした。
『使いにしてください』
源蔵は空を見上げていました。
いつもと変わることなく、空は隅々まで青く晴れ渡っていましたが、1つだけ大きく変わったことがありました。
雲一つない空なのに突然雨が降る、"狐の嫁入り"がなぜか頻発したのです。
翌年は西日本全体で大飢饉が起きましたが、この村周辺だけは狐の嫁入りのおかげで作物は枯れずに実ったため、飢饉を乗り越えることができたのです。
村長である源蔵は、稲荷様の使いである狐が、村の現状を稲荷様に報告したから、もたらされた雨であると村人たちに伝えました。
源蔵のあまりの変貌ぶりに、村人は戸惑っておりましたが、雨が降る奇跡を何度も目の当たりにしたこともあり、信じるようになっていきました。
こうして狐の嫁入りは、農作物を豊かに実らせる縁起のいいものとして。狐は稲荷様の使いとして、村人に敬われる存在になったのでした。
余談ですが、奇跡が起こるようになってから40年余りが経ったころ、源蔵は村人に見守られながら、臨終の時を迎えていました。その時にも狐の嫁入りが降ったそうな。
源蔵は雨が降る空が見える方向へ
顔を向けると『やっと会えるね』と
つぶやき微笑みを浮かべて
静かに息を引き取ったそうです。
太陽の反対側の方角に
七色の虹が淡く輝いておりました。
おしまい
"形の無いもの、存在"
きっと私が欲しいものとか、探しているもの。
「形の無いもの」
僕らはいつも形のないものを贈りあっていたな、と君が亡くなってから気付いた。
君の亡骸が手に入らないなら思い出に浸ろうと、君との写真などを見返していたけれど、写真数枚と手紙数通しか君との思い出はなかった。
あぁ、お互い愛の言葉はよく贈りあっていた。
これは期待込みだけれど、そこに愛情も含めてくれていたと思う。
あとは、実際二人で密会ばかりしていたもんだから、一般の恋仲が贈り合うような花束や小物入れなどの贈り物やメールのやり取りはほとんど無かった。
まぁその点で言えば、時間はお互い贈り合っていたのかもしれない。
君がそんなに機械に詳しくないもんだから、電話をするならスマフォなんか使わないで黒電話でしていた。
それも形の無いものだ。
この時はこんな電話をしたな、なんて浸りたいもんだけれど、何せ履歴なんて残らない。
あぁ、駆け落ちの様な関係で出会ったから、君との思い出しか手元には残らない。
僕がずっと生きていけば、頭の中の君は段々と色褪せていくんだろうか。
それは嫌だ。
ずっと心の中にいて欲しい。
1番に君を思い浮かべたい。
この形の無いものが、形になる時代まで、忘れたくない。
今すぐ、君のもとへ行こう。
#形の無いもの
題.形の無いもの
輪郭があることに価値があるのですか
カタチないものを求めることは罪ですか
形のないもの
「正しい言葉がなんだよ、国語の教師かよ」
うっぜえ、と言って上司は立ち去った。
周囲から笑い声が漏れ聞こえる。
僕はぶちまけられた書類を拾い集めてデスクに戻った。
昔から人に嫌われる。理由は分からない。
推察するに、なんとなく気に入らない、なんとなく気持ち悪い、なんとなく弱そうで弄りやすい。
そして、皆がそうしているから関わらない。こうした負のサイクルに陥っているのだろう。
改善の努力をした時期もあった。
容姿を磨き、話し方の講座を受講したり、心療内科に通ったりもした。
とくに容姿が少し整うと、同性からも異性からも話しかけられることが増えた。
しかし、深い仲になる人は増えず、いつしか「社会人デビュー」と揶揄されるだけになった。
いつしか、僕は周囲の人々に対して何も感じなくなっていった。
仕事だけが支えになった。書類を作って商品を売って利益を得る毎日はそれなりに充実している。
数字が物語る。これがお前の生きた証だ。
だから、どんなにバカにされようと怒鳴られようと心は揺らがない。
その言葉は金になるのか?
酸素、栄養、消耗品。
地球の環境を犠牲にしてでも生きる人間の意味なんて周囲は考えたこともないだろう。
僕にもそれは分からない。
分からないが何かに貢献できた証が、生きても良いと言ってくれる気がするのだ。
「―――さんが、君の勤務態度に問題があると指摘しています」
人事から退職を促され、静謐な日常は崩れ去った。
瞬間「おぞましい」という感想だけが浮かびあがった。
僕は何も望まず、業務の遂行に集中してきた。
何も生まない時間を過ごしたのは奴らの方だ。
お言葉ですが、と声が漏れた。
「僕は成果を出しています」
「だが一緒に仕事をすることはできないと言われているのです」
皆が言っているのです、と続く。
皆とは誰なのか。一緒に居られないとはなんなのか。
僕は利益を生んでいる。
報酬に見合わない仕事を行う者がどちらなのか、それは声の大きさで決まるのだろうか。
その後の話し合いは良く覚えていないが「顔色が悪い」と指摘されて、気がつけば会社を早退していた。
コンビニでビール缶を買い、会社から少し離れた公園へ向かった。
公園に着いた途端、立ったままビールを喉に流し込みタクシーを拾って家路に急いだ。
タクシーの車窓の景色を呆然と眺めるうちに、涙が込み上げてくる。
ここにきて、会社から捨てられるのだと理解できた。
僕は言葉に傷つかない人になったわけではなかった。
言葉は形のない火花のように、一瞬はじけて心を焼いていた。
形のないもので身近なものというと、言葉が思い浮かぶ。
どうしてもモノにはできないその音の、微細なニュアンスや声色の違いからも変容するそれは人の心を巧みに操り、救いにもなったり時には言葉のナイフとして突き刺さる。
その形のないもので、人の心は動かせる。
だから、私は小説を書くのが好きなのだと思う。
形の無いものは沢山あるけど
それを実物としてあるものだと表現するのはなかなか難しいとは思う。
主に感情とか愛情とか友情とかになるけど
誠の感情としても嘘もつけるので
中々難しいとは思う
そういう感情を一気に無くして「無」になれば1番楽だとは思うけどそれも難しいので人間の人生ってハードモードかなって毎日思う。
貴方のくれる小さな優しさが積もり
貴方にしか出来ない形の大きな愛を
今僕が 大切に受け取ってるよ
形の無いもの
形がないものは空気
酸素 二酸化炭素 窒素
でも表せれるね
他に何かあるのかな?
形が無いもの
形のないもの。まず空気が思い浮かぶわな。次に水。情報なんかもそうだな。情報というと今日はジャンプの発売日だな。じゃあ感想でも書くか。
今週というより先週か。ちょっと前に呪術の早バレがあってネットが荒れてたな。でそれを俺も踏んでたから今日はまず呪術を読んだ。
まぁ感想としてはネットで言われてるほどひどいとは思わなかったな。でも時間がたって色々考えるとうーんって感じの出来に思える。なんか呪術の作者ってセンスあるのにセンスが悪いように思えるな。
今週の呪術は読者の予想を外して期待もすかしたって感じかな。そもそも五条対すくなだったのにふたを開けてみればすくなじゃなくてまとらがメインで戦ってたし。
正直もうポケモンマスターすくなはさっさと退場していいと思う。キャラの魅力が完全に消えたし。でも呪術が完結してまとめて読めばまた違う感想になるのかもね。まぁなんだかんだこの後どうするのか期待してるのはあるからこれからも読むけど。
次は魔々勇々か。先週の引きから助けがきて主人公がなにもしないというのはたまにある展開だけど正直がっかりしたかな。ちょっと展開がなと思ってしまう。
それでも好きだから読むけどジャンプでこれは生き残れるのかちょっと心配になる。頼むから続いてほしいものだ。
鵺の陰陽師はバトル回。鵺がちょっとピンチでさてどうなる。キャラ的に一人でなんとかしそうだけど主人公がどうにかする展開もあるもかな。来週に期待。
ワンピースは相変わらずごちゃごちゃしてて読みにくい。キルアオ結構好きになってきた。来週どうなるか楽しみ。
カグラバチはまだ評価しづらいけど最後の顔が刀に映るシーン好き。なんかカグラバチがやたら海外で人気あるらしい。どうでもいいけど。
新連載のスケート?はスポーツ物だし人気でそう。でもスポーツとか格闘技はジャンルとして興味ないから読まないかな。
それにスポーツはタッチ、格闘技はバキを読んでもう飽きたってのもある。スポーツと格闘技はリアルでも興味ないから漫画のジャンルとしても興味ないんだよな。
しかしジャンプの感想を書くと長くなるのがあれだな。まぁ日記だし長くてもいいか。
【お題:形の無いもの】
物価高の今、衣食住
もの は大事で
ものがなければ
生きられないと実感する
でも、
王子さまは
本当に大切なものは目に見えない
と言った
聖★おにいさん風に言えば
いぇっさ は
人はパンのみにて 生くるにあらず
と言った
マリラはアンに
容姿より もっと大事なものがある
と言った
しかし アンのように
とくに若い頃は
物や見た目は
非常に大事なのだった
手で触れ、目を向ければ
すぐ 存在を確認できるような
簡単に その魅力に触れられるものには
心を動かされやすい
一方、形の無いものは
かたちがないから
簡単には わからず
肉体や感性や時間を
フルに使ってようやく
育ったり、つかめたり
感じられたりすることも多い
人間生活も長くなると
なぜだか知らないが
お金を出せば手に入るような
物理的なものだけでは
心の満足や慰めが
得られないことが増えてくる
楽しいことだけでなく
辛いことや苦しいことも
数多く経験し
心も一筋縄では
いかなくなるからだろうか
右と左、
形のあるもの 形の無いもの
この両方で私たちはできている
2つの間を揺れつづけ
今日も私は
物価高のスーパーへ
出かけることにする
『形の無いもの』
形の無いものを写真に収めたい、というのは写真部部員として颯斗が今最も興味を持っていることである。
たった五人しかいない写真部では皆で活動するのは週末だけで、平日は各自好き勝手に写真を撮るばかりである。憧れの先輩目当てで入部した颯斗としては少し思っていたものと違う所もあるが、入部して二ヶ月、なんだかんだ写真の世界にはまりつつある。ある程度の基礎知識は先輩達から教わったのであとはひたすら撮り続けて上達するしかない。
授業終わりのHRの後、部活に向かう生徒達の波から外れて、颯斗は一人西の芸術棟へ続く階段を上る。本館の喧騒が嘘のような芸術棟の静けさが、ドアの開閉音を虚しく響かせる。ドアの内側、写真部の部室には誰もいなかった。あるのは幾つものホワイトボードと、それに貼られた過去の入賞作たちである。
颯斗にとって、歴代写真部の先輩達が生み出したこれらの作品を眺めるのは勉強のようなものだ。入賞作だけあってどれも美しく洗練された写真なのだが、その中でも颯斗が一番好きなのは、やはり現部長の葵先輩の作品である。この学校の渡り廊下を我が物顔で歩く野良猫と、それを眺める生徒達の写真だ。 生徒は足しか写っていないのに、皆が猫を見ていることは分かるのが不思議で仕方ない。校内に猫、というイレギュラーを楽しむ葵先輩の様子も伝わってくるようで、凄く好きだ。
その時、突然背後でパシャとシャッター音が高らかに鳴る。驚いて振り向くと、心底楽しそうに笑う葵先輩がいた。
「なんで急に撮るんすか」と尋ねると
「いやー、私の写真を熱心に見てる後輩が可愛いなーって思って」と悪びれる様子もなく答える。呆れた顔をしてみせる颯斗に、先輩はカメラの画面を向けた。
その写真を見て、画面に映る自分の表情に驚いた。自分はこんな顔で先輩の写真を見ていたのか、と少し恥ずかしくなる。斜め後ろから颯斗の視線をなぞるような構図となっているその写真は、被写体である颯斗の感情を包み隠さず表現している。形の無いもの、例えば感情だったり空気感だったりを撮る技術はまだ颯斗には無い。その点、この葵という先輩はそういった目に見えない何かを写し出すのがとても上手い。だからこそ、颯斗はこの人を尊敬し特別に想うのだ。
「ところでさ」と葵先輩が口を開く。颯斗が目で続きを促すと、葵先輩はにやりと笑って言う。
「颯斗君は本当に私のこと大好きだよねー」
一瞬声にならない声を出してしまった颯斗は、すぐさま「うるせー、ばーか」と返したのだった。
『形のないもの』
「形のないもの」。言葉。人間の感情。
これらは、私の嫌いなもの。
大切にしたいと思っているもの。強いこだわりがあるもの。
だからこそ、避けてしまうもの。
相手が発する言葉には、たくさんの、その人の感情が入り込んでいる。私はそれを、想像で補いたくはない。でも、私は超能力者では無いから、相手の気持ちはお見通しとはいかない。やっぱり想像で補うことしかできないから、自分が考えられるだけのパターンをいくつも想像して、行動する。相手を傷つけないよう、慎重に。
それが、とても疲れる。
形の無いもの
探す
形
ここ数ヶ月神社を訪れる機会がなぜか多く
つい昨日も行ってきた
もともと 神社仏閣は好きな私
神社には 鳥居をはじめ狛犬 拝殿 御本殿がある
その神社ゆかりの人物の歴史を表すものも
それぞれ 特有の
二礼ニ拍手一礼
形あるものと頭に描き 必死にお願いをする
でも 私が頭に描いてるのは…本当は?
形は無いものなんだろう
『形のないもの』
よく勘違いされるが、周囲はオレのことを『愛を知らない』だの『愛の持つ力を信じていない』と思っている節があるが、酷い誤解だ。むしろ、オレほど愛のことをよく理解している人間はいない。
愛の力は偉大だ。愛ゆえに人は己の持つ以上の力を発揮できるが、同時に愛ゆえに人は破滅に向かう。
人は愛の力を過信するあまり、何があっても疑問に思わない。目の前に死んだ人間が現れたり、とてもあり得ない事象が起ころうが、愛ゆえに人は盲目となり、勝手に自分を納得させちまう。その結果がさっきの三人だ。
自分が殺した師匠が目の前に現れたというのに。
自分の姉が不自然な形で正体を現したというのに。
自分自身が「兄は死んだ」と認めているというのに。
奴らは疑い、或いはオレの仕業と分かっていたにも拘らず、最終的に愛を忘れられず倒れた。奴らの姿が滑稽で仕方なかった。
それを、目の前のこいつにも教えてやらねばならない。愛も涙も捨てたと言うが、そんな人間がいるはずがない。人は愛を忘れることなどできない。人は愛の奴隷なのだ。
――ほら、やっぱりだ。心の奥底に、封印されたかのように眠る一人の少女。愛を捨てたなど笑わせてくれる。お前も奴らと同じだ。オレの命が尽きる前に、思い知らせてくれる。
オレは嘲り笑いながら立ち上がった。
今、昔のドラマにはまっている。
気がつけば日付が変わっていることも多い。
明日、大切な会議があるのに寝不足だなんて。
会議中に寝てしまったら、どうしよう。
そんな心配はあるものの、見てしまう。
1話から最終話まで一気に。
小学生や中学生の時にはわからなかった大人の恋や事情。今だからこそわかることが面白く、今見るからこそ価値がある。たまには昔のものを見て、時を振り返るのも悪くない。なんだか、明日も頑張ろうと思える。自分の中から元気が湧いてくるのがわかる。
この何とも説明できない気持ち。
時代の流れ。
蘇る思い出の数々。
全て形のないもの。それらは形あるものに引き連れられる。形あるものが必要なのは、形ないものを導くためなんだと思う。
だからいいんだ。自分が元気になるなら。
給料日前だけど、DVDコレクションを買おうっと。
カッコイイもの。
好きなもの。
便利なもの。
流行ってるもの。
高価なもの。
そんなものに憧れては。
手に入れたくて頑張ってみたりもするけれど。
ひとりになった時。
ふと頭が空っぽになって。
心の中も何だか空虚になった時。
そんな時、衝動的に欲しくなるものは。
いつも形の無いものばかりなんだよな。
【形の無いもの】
愛しい貴方にプレゼントを贈った。
色とりどりの花束。
貴方は笑った。
愛しい貴方にプレゼントを贈った。
高級ホテルの高級料理
貴方は笑ってくれたけれど、この前より悲しそうだった。
愛しい貴方にプレゼントを贈った。
月夜に煌めくイヤリング。
貴方は少し小さく笑わっただけだった。
愛しい貴方にプレゼントを贈った。
黒が光るブランドバックと
青く輝くエメラルドグリーンのネックレス。
貴方は笑わなかった。
そして貴方は言った。
要らないよ。
どうして?
私は聞いた。
貴方は言った。
私が欲しいのは物じゃないの。
何が欲しいの?
私は聞いた。
貴方は言った。
貴方の想いが欲しい。形にならないものが欲しい。
私は困った。
私は想いをあげる方法が分からなかった。分からなかったから形にしたけれど、貴方は要らないって言ったから。
どうすればいいの?
私は聞いた。
貴方は言った。
2人で一緒にたくさん話してたくさん笑ってたくさん写真を撮ろう。
私は嬉しかった。形にしない方法を知れたからもう貴方を悲しませないから。
私は言った。
じゃあ、今から写真を撮ろう。明日も写真を撮ろう。毎日撮ろう。それから、毎日笑おう。
貴方は笑った。とびきりの笑顔で。