形の無いもの』の作文集

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形の無いもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

9/24/2023, 8:23:56 PM

目で見て、頭や手を使って、体で覚えろと、師匠は言った。
 その技術をマニュアル化してくれず、形にして残すのは、その作り上げた結果のみしか許してくれなかった。周りのほとんどは、ちゃんと師匠と呼ぶ人から何かしらの書物やら、言語化したものを受け取っていたのに。
 でも、俺はこの人の創り出すその魔法に惚れたんだ。
 だから、俺は形の無いそれを、自分の中に叩き込む。この美しい技術を、師匠から受け継いでみせる。

 最近の師匠は体を崩しがちだ。
 もう永くないかもしれないと、いつもより弱々しい声で呟き出す。
 師匠にもっと長生きしてほしい。
 それでも、もし、本当に師匠の命が失われてしまったとしても。貴方の生み出したものは、俺が未来永劫に渡ってこの体で伝えていくから。これからも紡ぎ続ける。
 形が無くても、いつまでも失われない。


『形の無いもの』

9/24/2023, 7:30:39 PM

「形の無いもの」

人事異動や担当替えに伴う引き継ぎを成功させるためには、如何に業務を可視化できるかにかかっている。

特に既存のマニュアルが無い、もしくは不完全な場合には、形の無いものを言語化する必要があるため、骨が折れる。

引き継ぎ後、自分が同じ部署に残れるとは限らないため、口頭での説明が無くても理解出るよう引継書を作成しなくてはならない。

また、後任者の職務経験や能力が必ずしも高いとは限らないので、誰にでも理解できるよう工夫が求められる。

自分の考えを文字として表現し、言葉の削除、並び替え、言い換えをしながら最適な文章を作り上げる。

なかなか上手くいかないことも多いが、「これだ」と思う文章が完成したときは、パスルのピースがはまった時のような感動がある。

上達する方法は、日頃からの言語化トレーニングしかない。

他人の文章を読んで勉強するのもよいが、自分で文章を書くという訓練を毎日継続していくことが一番の近道だ。

9/24/2023, 7:24:52 PM

昭和のインフルエンサーを多く育てた人が


形在るものは何時かは無くなる


そう言ってたらしいです



無くなって気づくこと沢山ありますね



今度は形を失くしてから


何かを教えてくれる



そんな事もあると思います


職場を退社や配置転換する時の前後とか


愛車を変える前後とか


誰かが嫁ぐ時にとか…



形無い人も何時かは教えてくれる


その悲しみ以外にも


とある突然にそんな日もあります


その笑顔と愛を貴方に教えてくれますよ


今も貴方の胸に在る暖かな意味を


教えてくれますよ


今日も1日が始まります


さぁ!頑張りますか!



誰かの笑顔のために


これからの笑顔のために


愛された意味のために


その愛を伝えて行くために


その笑顔いっぱいのために!!🍀


……


コダックカラーの自転車

スズキの黒いターボのワゴン車

見慣れた緑色の制服と道具箱

離れた土地で除雪する背中

まだ背の低い木々達

芽吹き出しそうな想い



私が残した痛みの時は

痛み抑える事だけでなくて

あなたの背中が地域に

愛を伝えていたんですね

ありがとう


緑色の制服から茶色の作業着に変わった背中と

スコップで除雪しながら遥か雪景色を見ていた貴方


忘れていたと思ってた大事な想いと感覚をありがとう


THANK YOU Google view


私が好きなコメディアンの言葉をGoogleへ…


あんたはえらい!🍀(笑)



さあ…ミーチャン♪幸せになりますか…♪🍀

9/24/2023, 6:45:37 PM

白くてふわふわした
       マシュマロみたいに
       陽だまりに抱かれて
       お昼寝するみたいに
       ゆっくりと健やかに
       呼吸をするみたいに
       柔らかくおだやかに
       
       キミが空気を変える
       ただ側にいるだけで

       
        『形の無いもの』

9/24/2023, 6:24:19 PM

【UNDER_TAKER】
※本編のようなもののほんの一部。




親になる、なんて
「僕たち明日死ぬかもしれないのに……」
身勝手すぎやしないか

傷の再生産になるだけじゃないのか
ただのエゴなんじゃないか
それならいっそ──

強ばっていく体。握りしめた拳に爪がくい込んだその時。

く、と袖が引かれた。

僕を見つめる二対の大きな瞳。
幼き赤と青の、あまりにも尊い光。
その瞳が今にも涙で溶けだしてしまいそうなほど不安に揺れていたから。

咄嗟に手を差し出してしまったんだ。

その顔があまりにも輝き出すものだから。
手放すタイミングを失ってしまったんだ。

そうして僕らは小さい手を取った。







「ねえ母さん」
「ん?」
「この前さ、全部のものはいつか終わるって言ってたよね」
「うん、そうだね」
「……全部終わるならさ」
「うん?」
「僕たちの生きてる意味って何だろう」
「……」
「“あの人”よりも母さんの方がいいっていうのも、意味が無いの?無駄なことなの?」

(僕たちの生きてる意味?そんなもの本当は無いんだよ)

全ては消える、いつかは終わる。
皮肉なことに産まれ落ちた時点でそれは全て確定している。
だから、いくら幸せになろうとて。

「そんなこと、無いよ……」

(……どうして、言えないんだ)

その時彼の喉を詰まらせたものが「愛」だと知るのは、もう少し先のお話。

9/24/2023, 6:15:37 PM

「形の無いもので何が欲しい?」
「愛」


これは単純で単調な回答であり質問だ。
私は愛が欲しいと思わない。
愛し愛される日々を手にしたいとも思わない。

何故かって?理由は簡単。

────────────────────────

さて、貴方は愛が欲しいと思う?
簡単に手に入るものなのに。
偽造できるものなのに。
それでも、貴方はまだ形も中身も何も無い愛を追いかけるの?

愛はこの世で一番憎くて残酷よ。
絶望する前に、早く気づいた方がいいわ。


今貴方が追いかけているものは、愛ではなく虚無だということ。

9/24/2023, 5:31:29 PM

子供の頃は物として残る買い物にお小遣いを費やした。
買い食いやジュースに支払うのは無駄に思え、厳選された漫画やゲームを買い漁り、本棚にきれいに列んだタイトル眺めては悦に入る。

働き始めると欲しいと思えば買える余裕からか、しだいに物欲が薄まり無駄遣いが嵩むようになった。

そして遅ればせながら、形の無いものに重要性に気づく。
自己能力を高めて選択肢を増やし、人生をコントロールする。
時間の有限性を感じ、買い戻せないのなら浪費しないよう金銭で処理する。
経験や思い出が原動力となり糧となり人生を豊かにすることを。



形の無いもの

9/24/2023, 5:20:19 PM

形の無いもの

?だとか、!だとか無音で形作られる感情が、とおくで温度を失わないことを願う。

9/24/2023, 5:17:06 PM

歌に形なんて無いよ

だが、伝えたい気持ちがあるのなら

必ず伝わる


言葉に形なんて有るわけねぇ

だがな、かける言葉によっては

人を救うことが出来るんだぜ


貴方の気持ちに形は無いかもしれない

でも、勇気を出せばきっと

形なんかなくたって

伝わるんだよ

# 132

9/24/2023, 5:15:36 PM

~形のないもの~


形の無いものは、意外と記憶に残りやすいと思う。実家の香りとか、お母さんの作ってくれてたお料理の味とか。
ひいおばあちゃんが使ってた顔彩をもらって、独り暮らしのお部屋に持ってきた。箱を開けたときに少し香ったあの畳のような、木のタンスのような香りが懐かしかった。

9/24/2023, 5:01:27 PM

夢を見ていたんだ
貴方が隣に居て優しく髪を撫でてくれる朝
気だるさより幸せを感じるような
白の似合うふたりの朝
カーテンの隙間から覗いた光を
まぶた越しに感じながら
ただその時を味わっていた

白いスニーカー汚れてしまっても
また歩き出せると知ってる
自分がいるから

夢の中のふたりには遠く及ばない今
もう少しもう少し続いたら良かったのに
幸せになりたいの願いは叶ったのかな

わからない
ただ少し自分を持てた気がする
新しいスニーカー真っ白のスニーカー
履き替えて歩きたい気分なの

9/24/2023, 4:57:17 PM

《形ないもの》

いつ壊れるかも分からないもの。

いつ忘れるかも分からないもの。

ただ心の中に眠っているもの。

それが何かは自分でも分からないけれど

きっと何よりも大切なもの。

9/24/2023, 4:50:30 PM

形の無いもの

形はあるけど形が変わっていく
その道中でなら
あるようでないかも

形の無いようなものでも
離れれば形は見えてくると思う
距離と捉え方の問題

形が判らないものが
そこから見た形の無いもの

形はないが捉え方はある
それが形なんじゃないかと

気持ちとか記憶なんかはそうじゃない
その時には形はないんだけど
後で形にしている

ああそうだったんだなって腑に落ちる

そうなってからは形ではなくなる
解けて何処かに行ってしまう
もうどんな形だったのか判らなくなって
たまに現れたりする

ずっと同じ形を保つことは大変で
必要になるか気がつくまでは
本来は形はないのかもしれない

形にしたとたんに不自由になるものは
形に囚われていて呪っているのかも

形とは捉え方なんだと思いましたとさ

9/24/2023, 4:46:26 PM

形の無いもの

学歴
外見

こころ
気遣い
気配り

形ないものが評価されることはない
ヒトは殆ど上っ面しか見ていない

でもそういうヒトの方が幸せになる
この世に希望はない

9/24/2023, 4:43:42 PM

『シューゲイザー』
朝は途中でやめた塗り絵のようで 不完全な灰色だ    
灰色を纏って街を歩くんだ 鞄の中身はLOVELESS
轟音の中に静けさをみた 嫌なことはね特に無いんだ
下を向いてるのは落ち着くからだよ 交差点を行く
相変わらず自分の足下を眺めながら

9/24/2023, 3:58:28 PM

繋がり、縁、etc……

 女は、それらが何よりも、嫌いだった。

 なにせ、それらに常に振り回されてきたからだ。

 ただ、生きているだけ。ただ、少々他者より秀でたものがあるだけ。

 それだけで、命を狙われた。

 だから、努めた。自分の持つ、全てを……。嫌っていた、それらまでも。

 
 しかし、それはもう……『わたし』では無かった。 

 動物を愛していた…、民を愛していた…、親しき人々を愛していた…、

 この国を愛して……やまなかった、

 『わたし』は、もう……居なかった。


 そこに居たのは、……薬を手放せない、常に仮面を被り……役を演じ続け

 ……他者の隙に漬け込み、他者を操り、利用し、切り捨て続けた、

 空虚で、哀れで、滑稽な女だった。


 そして、気付いた。

 わたしの器では……、わたしのような者は……、

 この地位は……、この権力は……、持たぬ方が良いことを……。

 このように、成り果てた。

 それは、何よりの証拠だと云うことを。

 だから、愛しき……あの子に譲ろうと思った。

 あの子なら、きっと……大丈夫。

 あの子なら、この地位を……、この資産を……、この権力を……、

 わたしの名を……、わたしの全てを……、有するに相応しい。

 私とは違い、あの子は芯がある。

 竹のように靭やかで、睡蓮のように泥の中でも咲き誇れる。

 そんな人に、きっと成れるだろう。

9/24/2023, 3:55:46 PM

形の無いもの
やっぱり形のないものって言われたら愛とか友情とか命とか?くらいしか思いつかへん。恋愛体質の私からしたら愛がやっぱ最初にでてくるかなー。愛ってでも確かに見えへんけど言動とか行動でほぼ見えてるんちゃうかなーって思う。ほんまに愛があったら自分が会いに行くし雑に扱ったりもしやんし相手に合わせることもあると思うねん。でもなかったらわざわざ自分からなんか会いに行かへんしそんな丁寧にも扱わへんし向こうが自分に合わせてーて感じやと思う。言動でもだいすきとかいつもありがととかいっぱい言ったりでも時には間違い指摘してみたりアドバイスできたりっていうのが愛かなーて。よく彼氏と私のほうが愛でかいし!いや俺のほうがやろどう考えてもとかいう会話してたけどその時考えても今思い返しても言動も行動も全部ぜっっったい私のほうが愛溢れてたなって。好きならもっと大事にしてよ、もっと会いにきてよ、もっと愛伝えてよってずっと思ってたから私がめっちゃ重い人なんやろなって思ってたけど向こうの愛が小さかったんやろうな。彼女だろもっと愛せよ幸せにしろよ

9/24/2023, 3:50:26 PM

形の無いものを、私は愛している。
例えば、誰かの声だったり。

人間を忘れる時、人は声から忘れると昔何かで読んだことがある。それを読んだ時、私は言葉に出来ない気持ちに息を奪われていった。
私は自分の声が嫌いだ。いいや、声と言うよりも喋り方だろうか。滑舌が悪く、どこか駆け足気味に息が先に出る、吐息厨と言うのとは少し違う、調子に乗ったような喋り方なのだ。喋る相手によっては多少変化はあるけれど、それでもどこか調子に乗っている雰囲気は残ってしまう。よく裏返るし、変な笑い声もだす。本当に嫌いだ。
そんな、私の大嫌いな声を、人は一番最初に忘れてしまうらしい。こんなにも、私の心を煩わす大嫌いな存在は、人にとって一番最初に消えてしまうような、ちっぽけなものなのだと。
羨ましいと思った。それと同時に、許せないとも思った。


人は他人を見る時に、自分がコンプレックスに思っている部分をよく見るらしい。
私も、相手の声や喋り方をよく見ていた。多少の見下し、馬鹿にした瞬間、お世辞、そういうちょっとした当たり前に隠す感情や、大好きだなとか、尊敬とか、本心みたいな、隠さなくてもいい感情も、全て声や喋り方に出る。
人の本心や本質というのは、大体は声や喋り方に出ているのだと私は思った。
話が面白くない人は、大抵同じトーンで、間で、喋るように、どこか共通した何かがあるのだ。
人間の、そのちょっとした不完全さも私は好きだと思った。


だから、胡散臭い声を、喋り方をしたあの人や、人を常日頃から馬鹿にして、見下して、だけども人との関わりを心から楽しんでいるあの人や、機嫌が悪くなると一気に声質が変わるあの人や、喋る人全てに楽しんで貰おうと、孤独を感じさせたくないと強く思うあの人の、声や喋り方、全てが私は好きなのだ。
見た目じゃない、あの人たちの本質を見るのがとても楽しいのだ。
きっと、この人たちも私と同じくらい自分の声を不愉快に思っているかもしれない。だけど、心が籠っているからこそ、誰かの心に響くんだろう。
その事実が、何よりも愛おしかったし、私の救いでもあった。



人は、人を忘れる時に、声から忘れる。
やはり、羨ましいと思った。許せないとも思った。勿体ないとも、思った。相手の本心や本質を、喜怒哀楽を感じられた声を忘れていくのは。心の籠った、声から忘れていくのは。
人は、私が死にたくなる程、体の感覚が無くなるほど、悩んだ声を、いとも簡単に忘れていく。



私は、今でも沢山の人の声を覚えている。顔も匂いも殆ど覚えていないような人達の、声だけを。
その中には、深夜ラジオから流れるような声で、桜の似合う春のような穏やかな喋り方をした彼もいた。
私を精一杯見下して、馬鹿にした人もいたし、私に対して何も思っていないような人もいた。
それが大好きだった。頭の中の中まで覗けている気がしたから。


顔や匂いとか、そんな自分の綺麗な想像や思い出で補える部分ばかりを人は覚えていくのだと思った。
改善できるような、形のあるものばかりを覚えていくのだと思った。
人の本心や本質は変えられない様な大きなもので、それは目には見えない。形の無いものだと思った。
顔や匂い、そんなものではなくて、掴むことすら、二度と同じものを見つけることすら出来ない、とても大きく苦しいものなのだ。
だから、私は形の無い、唯一無二の人の声を愛している。







───────────

コンプレックスは、良く言うと、個性です。
他の誰も持っていない自分の、自分だけの証。
私もきっと、もっと上手くやればこの声も使い物になるのだと思います。でも、話が下手で、調子に乗っているので、だめかもしれませんが。

顔も見えない人達の、声で沢山救われてきました。人を馬鹿にしている言葉を吐きながら、人を愛しているような人も沢山居ました。
声には不思議な力があります。
声一つで、何かが変わります。喋り方一つで、何かが変わります。それなのに、人は声から忘れていくのです。
本当に、馬鹿な生き物だと思います。きっと、私も忘れていくのだと思います。綺麗な思い出ばかりに気を取られて、彼らの本質すら見失う。そんな日が来るのだと思います。
人間だからこそ、覚えることが出来る。
そして、また忘れることすらも出来てしまう。
面白いですね。

因みに。単純に私、声フェチなんです

9/24/2023, 3:48:34 PM

題:形の無いもの

水は入れる容器の形によって

水の形も変わっていく。

容器がないと形すら出来ない。

凍らせると形ができる。

でもその形も容器によって変わっていく。

容器無しで凍らせると、

凍るまでどんな形になるのか分からない。


ひとは



一緒にいる人によって自分自身が変わっていく。

隣にいてくれる人が居なければ、

変わることすら出来ない。

1人どん底に落ちると、

自分でも分からないくらいたくさんの黒に包まれて、

心すら見えなくなる。

それはどん底に落ちるまで

どんな心になってしまうのか分からない。

その時にならないと何も分からない。

じゃあ、自分の容器になってくれる人を探そう。

そしたらどんどんその人の形になっていく。

でも思った。

その人の形になるだけって、

それはあなたの形でもなんでもない。

その人の形に無理やりなっているだけ。

水もそうだね、氷の形って言うより、容器の形だよね。

自分の方からいつの間にか

その人と合わさる形になっているのを

望むべき。

芯を持っていかないと、

全てダメなる。

自分自身の形が見えなくなった時、

もう遅いかもしれない。

形を見失わないように、頑張ろうね。

私は、どこかで見失っちゃったから。

9/24/2023, 3:46:37 PM

〝大切なことは目に見えないんだよ〟

フランスの作家。サン=テグジュペリが書いた星の王子さまという小説に出てくる一節。

赤信号になった。

おじいちゃんは助手席に座る私に問いかけた。

「目に見えない大切なものってなんだと思う。」

「…うーん…お金?とか?。。あ、お金は目に見えるか。いや仮想通貨もあるよな。。。友達とか?いや友達だって見えるよな。」

頭で考えていることを全てを口に出してしまう癖がある私は、頭を傾げながらぼそぼそと脳内で浮かんだ考えを口にしてゆく。
おじいちゃんの顔を覗くと、そんな私の目を、おじいちゃんは微笑んで見ていたので私も
「っふふ」と笑ってみた。

信号が青に変わり、アクセルをぎゅんと踏んだ。おじいちゃんに会話を続ける気配はなかった。二人共なにも話さなかった。目の前で沈む、これ以上オレンジ色になれないであろう太陽は、その沈黙した空間に気温では感じられない温かさを照らしている。この時間が一生続けばいいな。そう思ったが、何故かその言葉は口に出せなかった。

「おじいちゃんは目には見えない大切なものが分かるの?」

今度は私が問いかけた。
おじいちゃんはどこか遠くを眺めている気がした。

「いいや。正解は分からない。でも、私には目に見えない大切なものが。見えている気がする。」

独り言か私の問いに答えてるのか一瞬分からなかったから、返しをワンテンポ遅らせてしまう。

「何それ。全然意味分かんないよ。正解が分からないのに見えてるの?でもそれって見えなくて、でもおじいちゃんには見えてて、んん?」

私は頭が混乱した。それもまた全てぼそぼそと口に出す。その姿を見てまたおじいちゃんが微笑む。
また、会話が止まった。

私はその〝目には見えない大切なもの〟の正解を知りたかったが、おじいちゃんにその正解を聞くのをやめた。
聞かない方がいいというより、おじいちゃんとの緩く流れゆく時間が、喉元まで出てきていた「おじいちゃんの見えないものはなに?」という言葉を飲み込ませた。

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