【UNDER_TAKER】
※本編のようなもののほんの一部。
親になる、なんて
「僕たち明日死ぬかもしれないのに……」
身勝手すぎやしないか
傷の再生産になるだけじゃないのか
ただのエゴなんじゃないか
それならいっそ──
強ばっていく体。握りしめた拳に爪がくい込んだその時。
く、と袖が引かれた。
僕を見つめる二対の大きな瞳。
幼き赤と青の、あまりにも尊い光。
その瞳が今にも涙で溶けだしてしまいそうなほど不安に揺れていたから。
咄嗟に手を差し出してしまったんだ。
その顔があまりにも輝き出すものだから。
手放すタイミングを失ってしまったんだ。
そうして僕らは小さい手を取った。
*
「ねえ母さん」
「ん?」
「この前さ、全部のものはいつか終わるって言ってたよね」
「うん、そうだね」
「……全部終わるならさ」
「うん?」
「僕たちの生きてる意味って何だろう」
「……」
「“あの人”よりも母さんの方がいいっていうのも、意味が無いの?無駄なことなの?」
(僕たちの生きてる意味?そんなもの本当は無いんだよ)
全ては消える、いつかは終わる。
皮肉なことに産まれ落ちた時点でそれは全て確定している。
だから、いくら幸せになろうとて。
「そんなこと、無いよ……」
(……どうして、言えないんだ)
その時彼の喉を詰まらせたものが「愛」だと知るのは、もう少し先のお話。
9/24/2023, 6:24:19 PM