kiliu yoa

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  繋がり、縁、etc……

 女は、それらが何よりも、嫌いだった。

 なにせ、それらに常に振り回されてきたからだ。

 ただ、生きているだけ。ただ、少々他者より秀でたものがあるだけ。

 それだけで、命を狙われた。

 だから、努めた。自分の持つ、全てを……。嫌っていた、それらまでも。

 
 しかし、それはもう……『わたし』では無かった。 

 動物を愛していた…、民を愛していた…、親しき人々を愛していた…、

 この国を愛して……やまなかった、

 『わたし』は、もう……居なかった。


 そこに居たのは、……薬を手放せない、常に仮面を被り……役を演じ続け

 ……他者の隙に漬け込み、他者を操り、利用し、切り捨て続けた、

 空虚で、哀れで、滑稽な女だった。


 そして、気付いた。

 わたしの器では……、わたしのような者は……、

 この地位は……、この権力は……、持たぬ方が良いことを……。

 このように、成り果てた。

 それは、何よりの証拠だと云うことを。

 だから、愛しき……あの子に譲ろうと思った。

 あの子なら、きっと……大丈夫。

 あの子なら、この地位を……、この資産を……、この権力を……、

 わたしの名を……、わたしの全てを……、有するに相応しい。

 私とは違い、あの子は芯がある。

 竹のように靭やかで、睡蓮のように泥の中でも咲き誇れる。

 そんな人に、きっと成れるだろう。
 
 
 

 

 

9/24/2023, 3:58:28 PM