側に居て、誰よりも長く。
手を離さないで、私を見ていて、すぐに行かないで。
愛して、想って、じゃなきゃ、私は生きていけないの。
ねえ、貴方、私を愛してくれるのなら、私を見て。
その優しい眼差しを、あの人たちに向けないで。
しっとにくるってしまうから。
お願いよ、貴方。
誰よりも愛しているから、私だけを見て。
去らないで、行かないで。
約束して、また会えると。
斜陽とは美しい。
皆、薄々気が付いている。
かつての栄華は、これから沈むのだ。
影は濃く、日は眩しい。
酷なものだ、新しい時代とは。
我らの富すら、これから奪うのだから。
さらば、エデン。
我らが楽園よ。
嗚呼、全てに呑まれたい。
深淵にこのまま、沈み、溶けたい。
光とは、時に眩し過ぎる。
このまま、光に溶け、闇と共に消えたいものだ。
星とは上手く言ったものだ。
夜空に浮かぶ、光の粒。
それを星、晶に生きると書いたのだから。
闇夜に紛れ、晶のように輝きたいものだ。
日の元では、私は消え、忘れ去られて、しまうのだから。
貴方に会いたい。
そう何度、願ったことか。
世とは厳しいものだ。
何故、いつも惜しい人ばかりを奪うのだろう。
解無き、問いばがりが渦中に積もる。
しかし、それでも生きていくしか無い。
貴方から、生きる事を望まれてしまったのだから。
それならば、生きたいと思った。
きっと、先祖もまた、そうして生きてきた。
きっと、そうして、後世へ繋げてきた。
白く濁る、吐息。
寒中の空から、晴天が昇る。
貴方よ、さらば。
どうか、安らかに。
言葉を重んじるふりをしてきました。
言葉の虚構に耐えて、生きました。
母の蜜を煮詰めたような濃厚な甘さを含んだ声色、言葉が苦手でした。
どうしようも無く、虫酸が走りましたから。
父の研ぎ澄ました剣のような冷たさを含んだ声色、言葉が嫌いでした。
只管に強くあろうと、固められた言葉だと分かっていましたから。
両親の異質さは、御覧の通りです。
まるで、言葉が通じませんでした。
完璧さに囚われた人。
現実の見方を忘れた人。
それが、私の両親でした。
今にして見れば、分かります。
彼らは、唯、必死に生きていただけなのだと。
しかし、彼らの生前には分かりませんでした。
それで良かったと思います。
本当ですよ。
やっと、気持ちと事実が整理出来たのですから。