『小さな命』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
アラームの音、お母さんが私を呼ぶ声
いつもと変わらない朝の始まり
朝の支度を済ませ、行ってきます、
と言い、家を出て、学校へ行く道を歩く
今日は、一段と冷え込み、体が震える
息を吐くと、白い息がフーっと出る
それが、少し嬉しくて、ワクワクする
私の通学路には、湖の近くを歩くところがあり
いつもその景色を見ては、綺麗だなぁ
としみじみ思う
でも、湖の近くなだけあって、冬の季節になると
本当に寒い。手がかじかんで、日も当たらないから
余計に寒く感じる
でも、そんな通学路が、意外と好きだったりする
気持ちがスーッと晴れていくような感じがするからだ
「今日も一日がんばろう」
そんな気持ちを抱いて、学校へ行く道を歩く。
一日の始まり
『小さな命』
・鳳上征(ほうじょうまさし)
・鳳上薫(ほうじょうかおる)
・小柳想太(こやなぎそうた)
・小柳優(こやなぎゆう)
*気がついて下さった方がいらっしゃるかもしれませんが、僕の書くものは、偶に以前書いたものと少しだけお話が繋がっているものがあります。
「こんにちは征さん、薫さん! あれ、その子は……?」
十一月のもう下旬、そろそろ肌寒くなってきた頃、想太は部活帰りに自宅付近の公園で鳳上夫妻と出会った。
この二人はご近所さんで、想太も、十一歳差の弟の優も良くしてもらっている。特に優はよく可愛がってもらっているらしい。薫さんは子供ができない体質だそうで、それも小柳兄弟に優しくしてくれる理由になっているのだろう。
この二人が公園だなんて珍しいな、そう思い想太は話しかけたのだが、今日は鳳上夫妻以外にももう一人、見知らぬ子供が居た。
「ああ、小柳兄か」
「あらまあ、こんにちは想太くん。あと、おかえりなさい」
「あ、はい! こんにちは、帰りました!」
薫さんがうふふと笑い挨拶をしてくれる。想太もそれに元気よく応え、ぺこりと頭を下げた。
顔を上げた際に、想太が気にしていた子供とぱっちり目が合った。
「…………」
思わず息が止まる。
驚いた。
その子供──少年は陰湿な雰囲気を放っていて、目に光は宿っておらず、表情も恐ろしいまでの無であった。頭には包帯が丁寧に巻かれ、顔にはいくつものガーゼが貼られている。見ているこちらが息苦しくなるほどに、痛々しい姿をしていた。
そして少年は、まだ幼い……きっと優と同い年くらいだと考えられるが、非常に整った顔立ちをしている。それと同時に、どこかで見たことのある顔つきだった。それがどこだったか、いつ見たのかは思い出せない。この少年の美しさといえば、それは言葉では表せない程だった。人形のような顔、童話から出てきたような、なんてものじゃない。強いて言うなら、凄まじい、だろうか。
あまりにも長い間じっと見続けていたからか、少年は征さんの背中へと隠れてしまった。彼の服を掴む少年の手は激しく震えている。
「この子はつい先月うちに来たんだが……まあ、色々とワケがあってだな」
征さんは少し言いにくそうに言葉を濁し、薫さんも神妙な表情で頷いた。
「そう、なんですね……」
この子はどうしてこんなにも怯えているのか、大体は予想がついた。
こんなにも怪我を負っていて人に恐怖してしまうのだ。誰かから何かしらの、手酷い仕打ちを受けていたのだろう。鳳上夫妻に引き取られたのならば、その相手は親か。虐待を受けていたのかもしれない、それを一番に思いついた。
薫さんは少年と自宅に帰り、征さんは想太にあの子についてを少しだけ教えてくれた。
「親から虐待を受けていたらしくてな。その内容は酷いものだった。引き取った当初は私たちにも怯えていて、食事も取ろうとしなかったんだ。それでも最近ようやく食べるようになった。でもあの子は、一言も喋らない。あの子が何かものを喋っただけで、叱られていたのかもな」
想太は何も言うことが出来なかった。ただどうしようもない怒りが湧いて、涙が出そうになった。
その日は家に帰って、次の日学校に行ってからも少年の暗くて、奇麗な顔が頭から離れることは無かった。
* * *
「想太さん、大好き。付き合おうよ」
「あーごめんね。ちょっとドライヤーの音で聞こえなかった」
彼の軽口は本当は聞こえていたが、想太は誤魔化した。
美容師として働きだした想太には、既に顧客がいる。高校入学後に染めた校則違反であろう白髪、傷一つない滑らかな肌。初めて出会ったあの頃の彼とは、全くもって見違えった。変化していないところがあるとすれば、顔の美しさ。相変わらずの眉目秀麗だ。
ああそういえば、もう一つ変わったことがある。彼は異常な程に肉体的な愛を求めるようになった。先輩、後輩、同級生、知らない大人──彼は色んな相手に股を開いていると、優から聞いた事がある。彼は所謂、『ビッチ』というものになってしまったのだろう。
「嘘、絶対聞こえてるでしょ。付き合うのがだめなら、一回くらい抱いてよ」
「はいはい、これでも読んでなさいね」
「もう、はぐらかさないで!」
ぷりぷりと腹を立てているフリをしている彼の前に、想太はいくつかの雑誌を置く。
彼が尻軽だのと呼ばれるようになってしまったのも、幼少期の傷が原因なのだろうと想太は思っている。
「……うん? どうかした?」
想太が鏡を見ると、彼の表情が見えた。冷めきった目で、開かれた雑誌を見下ろしている。唇は固く結ばれ、若干震えているようだった。
彼はハッと我に返ったのか、鏡の中の想太を見て再び愛らしい笑顔を作る。
「ううん、なんでもないよ」
しかし彼はそれ以上その雑誌を読もうとはしない。
想太が不思議に思いその頁を覗き見ると、かなり前に一躍大人気となった俳優と女優の特集が載っていた。二人は結婚しており、一人息子も居るらしい。息子はモデルとして活動しており、その顔立ちは両親似で抜群に優れていた。
「そういえば、この俳優さんと君って、似てるよね。でもちょっと君の方が中性的な顔つきというか……それこそこの女優さんみたいに鼻筋すーってしてるよね」
想太はそう笑いかけ、ドライヤーのスイッチに親指をかける。すると彼はいきなり振り返り、ぼそりと言った。
「だからなんなの」
聞いたこともないくらい低い声で話した美少年に驚いて顔を見ると、いつかの小さかった彼が想太をじぃっと見つめて捉えて、決して離さなかった。
涙が、こぼれた。
幼い頃から一緒に遊んだ友人で、共に過ごしてきた家族が、ひとりの親になった瞬間だった。
歯がゆく見守る時間を超えて、やっと取り上げることが出来た“その子”は、まだまだ手のひらに乗ってしまうほどの大きさで。
渡したい喜びが山ほどある。
ひと鳴きした友にも、この子にも、まずは伝えたい。
おめでとう。がんばったね。
元気になったら、今度は三人で遊ぼう。
これからも、よろしくね。
【小さな命】
僕たちにとって、初めて、小さな命が
誕生したとき、この腕の中に抱いたとき、
嬉しさと、無事に生まれてくれた喜びが
あふれた。
ありがとう、僕たちの元に、こんなに小さいのに
大きな存在。
ずっとずっと、大切にする。
限りあるもの。
永久にあることは許されず、その時間さえもひとつひとつ同じではない。
私の腕の中にいるこの子も、私からみれば小さないのち。
私よりも後に産まれ、私よりも先にその灯火は消える。
ねぇ、本当はもっと遊びたかった?
もっといっぱい甘えたい?
それとも、ひとりの時間がもっとあればよかった?
会えない時間を沢山作ってごめんね。
記憶が薄れてしまうまで離れてごめんね。
最後の瞬間まで寄り添えなくてごめんね。
もうこの子のいのちとは会えない。
私の思い出の中で、あの子の姿はいきている。
可愛くて、愛しい私の小さな小さな弟。
限りある命。
この世界は、そんな命で溢れている。
そして、ちいさな命は今もどこかで産声をあげている。
叶うなら、もう一度あの子のいのちと巡り会いたい。
私の命を分けて、もう一度。
叶わない願いを胸に、思い出の中のこの子をそっと抱き、
どうか幸せに、と叶えたい願いを呟く。
小さな命
今日も小さな命が誕生した。
産まれてきてくれてありがとう。
小さな命、可愛い命、だけど
顔の上で寝るのはやめてくれー!重いー!
小さな命
それは物理的な大きさか。
それとも尊さか。
【小さな命】
バキィ!
ドガッ
暗く小さな路地裏に、骨と血肉の擦れる生々しい音がする。
『おらぁっ!!』
バキッ
ドサリ、、
相手が倒れ、立っている1人の男は荒い息を整えながら倒れた男を見下ろす。
『ッチ、、母ちゃんに怒られるじゃねえかよ。クソが。』
血のついた服を見ながら舌打ちをし、倒れている男を蹴飛ばす。
『テメェ、、覚えてろ、アニキが来ればお前なんか、、』
顔面を腫らした男は去って行こうとするヤンキーに苦し紛れの言葉を吐く。
男はピタリと立ち止まり、鋭く刺すような眼光を向ける。
『おい、、他人頼みかよ?みっともねぇなぁ。おい?』
男の髪の毛を掴み、顔を上げさせる。
『ぐっ、、コイツなんか、』
バキィ
『みっともねぇ。アニキ頼みなんか。』
ヤンキーは今度こそ気絶した男を一瞥し去った。
ーーー
『ただいま。』
ヤンキーが家に帰る。
『おかえり〜。』
パタパタとスリッパの音を響かせて出迎えるのはお腹を大きくしたヤンキーの母親。
手にはオタマを持っている。
『ッチ。おい、何料理してんだよ。休んでろよバカが。』
ヤンキーは母親のエプロン姿を見た瞬間、彼女からオタマを奪ってドスドスと家に上がる。
『あらぁ〜、、ありがとねー。』
そんなヤンキーを慈愛の目で見ながら、お腹の子をさする。
『ったく、、もうすぐ産まれるってのに。』
膨れっ面のままシチューかき混ぜる。
彼の名は眉坂黄麻。
ヤンキーのくせに道路に捨ててある猫を拾ってきてしまうという典型的な少女漫画でよく見るタイプの人間である。
『、、、明日か?』
『そうねぇ、、』
夜ご飯を食べた2人は、父の帰りを待ちながらお腹の中の子に話しかけている。
『明日産まれてくるか?あ?』
恐ろしい声だが、お腹の中の子を見つめる顔はもうお兄ちゃんだ。
『あら、、こうちゃん、今日もケンカしてきたの?』
『げっ、、』
母親が血のついた彼の服を見て尋ねる。
『、、、だってアイツらが先に、その、、』
『ダメだって言ってるじゃない。』
母親の今まで柔和だった顔が、途端に鬼のような形相になる。
『ひっ、、ごめんなさい、、』
『この前洗濯した制服なのよ?まったく、、』
母親が心配していたのは服だった。
ガチャ、
『ただいまー。』
サラリーマンの父親がリビングへ入ってくる。
『おかえり。あなた。』
『ああ。』
あと1日。
彼の妹が生まれるまで、あの1日。
ーーーー
オギャア!オギャア!!
俺は今日、小さな命と立ち会っている。
お母さんが頑張って産んだ、小さな小さな命。
俺は昔から一重で、何故か目つきが悪かった。
だから誤解されることも多くて、舐められないように荒れていた。
でも、今この瞬間だけは、舐められないようにもっと鋭くしていた目つきが、柔らかくなっていた。
指を差し出すと反射で握ってくる強くてふくふくとした小さな手。
俺の中に命がある。
産まれた時からずっと、死ぬまで俺が妹を守ろう。
妹の手を握りながらそう思った。
ーーーー
『お兄ちゃん!今日暇ー?』
『あ?おお。暇だ。』
『ちょっとショッピング付き合って?』
『何処まで?』
俺は妹のためなら何でもできる。
だってこんなに可愛いのだから。
あの日。
俺は小さな命を見た。
小さかった命は段々大きくなり
ずっと先へ進もうとしている
止まって欲しいのに止まってくれない
勉強の鎖から解放されるまであと少し
それが寂しいことだなんて
前までは考えられなかったのに
動物の子供
人間の赤子
成体の小動物
群れる虫けら
『でも君達は わたしたちを
ソレに数えてはくれないね』
手の中で押し潰された
名も知らぬ雑草の蕾
受粉を終えて
成熟を待つのみだった種子
嘯くような風と共に
綿毛が遠く旅立ち行く
<小さな命>
好きな動物がいる
とてもおめでたいことに、今年国内某所にて赤ちゃんが産まれた
小さな命は無事に大きくなって次の世代へ命を繋いでくれたらなあ
小さな命は簡単になくすことができてしまう。
赤子なんてものは放っておいたら命は無くなってしまう。
小さな命。定義はなんだろうか。
それはみじんこ?ありんこ?
否!!!
否否否!!!
生きとし生けるもの全ての誕生の瞬間である。
であるから、みじんこの誕生、ありんこの誕生と言うならば、それは正しい。
小さく、一番新しい命に乾杯。
小さな命
小さな小さな命を殺した。
もう、辛かったから。
しかたなかった。
もう、いらないから。
男は赤ん坊ができた事を伝えると蒸発。
男も、子供も、もういらないや。
睡眠薬とナツメグでもたべて寝よう。
小さな命…
心音は圧倒的に物語る
小さな命大きな運命
小さな命
私は恵まれている事に
3人のこどもたちをこの世に残す事が出来たのは奇跡だと思う
私自身はこの世に産まれたことを悔やんで生きてきた
自分のことを大切に出来なかった私が唯一、この子達のためなら何でも出来ると思う事が出来たのだ
子宮に出来た小さな命すら愛おしいと思った
都月十日、自分の中で育てた命が誕生する奇跡
子ども嫌いな私が
愛されることを知らなかった私が
初めて、愛おしいと心底思った
自分の何に変えてでも、この子の命を守りたい
これが愛なのだと悟った
これは本来、両親から受けるべき愛だったのだろう
でも、この感覚は子どもを産んで初めて芽生えたものだった
それは即ち
私自身は両親に愛がないことも悟った
どんな小さな命にも
親がいるはずなのに…
申し訳ないことに、夫のせいで、子どもたちは両親共の愛情は与えられなかったかもしれない
だけどこれだけは言える
私は2人分以上の愛を子どもたちにこれからも注ぎ続ける
愛されたことのない私なりの伝え方で…
普通ではないかもしれないが
私なりの精一杯の愛を…
小さな命が
更なる小さな命を繋いでいく
みんな最初は小さな命の奇跡なのだ
私もそうだったはずなのに…
恵まれて産まれてくることの出来なかった小さな命
本来はそんな命などあってはいけない
そのために
唯一人間の赤子は何も出来ない状態で生まれる
かわいい存在で産まれるように出来ているのに…
1人では生きていけないように産まれてくるのに…
もっとちいさな命を大切にすべきなのだ
だから無責任に行為をしてはいけない
するからには、その責任は少なからず伴うことを忘れてはいけない
絶対に安全などないのだ
欲望のまま行為をなすのは身勝手でしかない
だから
せめて私は
いついかなる時も、その責任をもって愛を育む
例え
自分の命と引き換えになろうとも
私は小さな命を産むだろう
そのくらい
愛した人としか本来、行為をするべきではない
恵まれずに
小さな命を誕生させない
それが
恵まれずに産まれた私が出来る
唯一のこと
そして性教育を我が子に伝えるのも
恵まれずに産まれた私の役目である
私は発達障害があるせいか
普通の母の立ち位置ではない
が、
その分フランクに子どもたちと寄り添う事が可能だった
性教育、ジェンダー問題等、小さな頃から伝えてきたおかげか?
子どもらも恥じる事なく伝えてくれる
母からの愛を注いでもらえなかったけれど
私は私なりの方法で
小さな命と向き合ってこられた
小さな命も奇跡であり
愛を知らない小さな命が、更なる小さな命を育てた奇跡
どうか…
これ以上
私と同じ苦しみを受ける
小さな命がありませんように…
小さな命
おばさんちに赤ちゃんが生まれた。お祝いを兼ねて訪れると、赤ちゃんを抱っこさせてもらうことになった。
「…ちっちゃい。あったかい」
「そうよ、赤ちゃんは小さくて温かいの。ちいちゃんもいつかは赤ちゃんを産むかもね」
「…わかんない」
「今は分からなくてもいいの」
おばさんの言ってることはよくわからない。けれど腕の中にある小さな命は確かなものだった。
「小さな命」
思い出すのは歪な深爪、温かい布団、そして母の背。
多分、ずっと昔。けれど、おそらくたかが数年。
——寒い日は人肌が恋しくなる。それはあのたった1日の、夢か現かさえ判断の出来ない朧げな、それでも生きていた中で最も幸福な時間があったからだろうか。
あの時、私は暖房器具の前で眠りこけていた。母のすぐそばで、ふと眠ったまま意識が浮上し、微かに母が優しく声をかけたのを聞いたのだ。贅沢な場所で眠ってる、なんて。意識が落ちる前はなかった温かな布団が、私への愛情を確かに形にしてくれた。
今は、如何なのだろうか。嫌いで、嫌いで、嫌いで、嫌いで、愚かなあの人が居なくとも暖房器具は付き、布団に包まれる。だけど、子供じみた思いが心を冷やしている。いつまでも、いつまでも、この小さいままの命を抱えている。
春になったら 草花たちが芽吹き、やがて 野を潤すでしょう。
“草花よ ぐんぐん伸びろ 明日をみて
いつか必ず 向日葵越えて”
小さな小さな命への応援歌
【小さな命】