宝物』の作文集

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宝物』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

11/20/2024, 2:49:36 PM

『宝物』



「隼人、お前の宝物ってなんだ?」

 学校帰り、同じ絵画部の島田に唐突にそう聞かれた。この男はいつも唐突だ。そう親しくもない頃に急に僕のことを隼人と下の名前で呼び始めたのも唐突だったし、この前なんてそんな話はしたこともなかったのに「今日泊まりに行く」なんて言った。
 僕が一人暮らしならまだいいんだけど、まだ高校生の僕は実家暮らしだから家族の都合ってものもある。嫌なら断ればよかったんだけど、僕は人の考えを否定したり断ったりすることが苦手で、頼まれるとなんでも引き受けてしまう。
 さすがに「殴られてくれ」なんて言われたら断ると思うけど、その場になってみないと分からない。

「なあ、聞いてる?」
 僕がなかなか答えないものだから、島田は少し不機嫌な様子でそう言った。
「聞いてるけど、いきなり言われても宝物なんてすぐには思い浮かばない」
 僕がそう答えると、島田は「なーんだ」と言って両手を頭の後ろで組んで、興味なさそうにその辺に落ちていた小さな石を蹴った。

 島田は僕の宝物になんて、大して興味がなかった。それなのに聞いた理由はなんだろう? もしかして自分の宝物を自慢したかったんだろうか?

「島田くんの宝物は何?」
 僕は島田くんの顔色を伺うようにそう問いかけた。この質問、間違っていないよね? そんなの気にすることはないのかもしれないけど、いつも僕は何かを人に問いかけるときに緊張してしまう。質問をするということは、その相手のプライバシーに踏み込むということで、その覚悟があるのかと問われればいつもないんだ。
 質問の意図が上手く伝わらないこともあるし、相手にとって不愉快な質問になってしまうこともある。そして、質問をした時の相手の目が怖いんだ。
「お前は俺のプライバシーに踏み込む覚悟があるのか?」
そう毎回問われている気分になる。

「俺の宝物は隼人」
 島田が言った言葉が理解できず、僕はポカンと口を開けた。聞こえてはいた。だけど、宝物は何かの回答として、僕の名前を挙げるなんて思っていなかった。誰か有名人のサインだったり、思い出の何かだったり、そんなものを挙げると思っていた。やっぱりこの男はいつも唐突だ。

「隼人は俺の宝物だよ。俺の家、あんなんだろ? 大抵の奴は俺を避ける。だけど隼人はちょっと困った顔をすることはあっても、俺のことも俺の家も否定しないし、こうして一緒に帰ってくれる。だから大切な友達。唯一の友達だから宝物だ」

 島田は堂々とそう言った。島田がそんな風に思っていたなんて、僕はちっとも気付かなかった。島田はシングルマザーの家庭で、そんなの今どき珍しくもないんだけど、島田の母親はいつも男を連れている。最初に見た時はスーツを着た真面目そうな人だったけど、次に見た時は金髪を逆立てた金色の鎖のネックレスをしたヤンキーみたいな人だった。その次は太った眼鏡のおじさんだったし、もう色んな相手を見てどれが彼氏なのか分からない。それを快く思わない人は多くて、島田は孤立していた。

 島田は僕のことを一緒に帰ってくれるとか、否定しないと言ったけど、僕は断るのが苦手なだけだ。本当はそんなに優しい人間ではない。間違いは正さなければいけないと思ったのに、僕はそれは間違いだと言えなかった。いや、あえて言わなかったのかもしれない。

 僕は嬉しかったんだ。
 ーー誰かの宝物になれたことが。

 だったら、間違いだと思ったことを間違いではなくすればいい。そんな優しい人間になればいい。世の中全員に優しくしなければならないわけじゃない。僕のことを『宝物』だと言ってくれる島田には、そういうことが苦手だから否定したり断ったりしないんじゃない。大切な友達だからしないんだ。
 僕は自分が弱い人間だと決めつけていた。でも、島田の言葉で救われた。「断れない人間」から「断らない人間」になった。どうせなら島田にはもう一歩だけ近づいてみようと思った。

「島田、名前で呼んでいい?」
 僕は一気に島田のプライバシーに踏み込んだ。
「今更かよ」
「うん、今更だけど、純也って呼びたい」
「いいよ」

 友達だと言ってくれたから、勇気が出た。彼のプライバシーに踏み込む勇気。
 それは彼の『宝物』という言葉がきっかけで、そして彼は僕の宝物になった。


(完)

11/20/2024, 2:46:21 PM

夏に実家帰省した時に、クローゼットの整理をした。なんでこんなに溜め込んだんだと思いながら渋々手をつけた。でも、一個一個を見てみれば、昔の私の宝物がたくさん詰まっているのだと理解した。描いた絵、友達にもらったキーホルダーにかわいい付箋とペン、プリクラ、好きだったアイドルのグッズ。昔の私がうきうきしながら箱に詰めたものばかりで、いざ捨てようとすると迷ってなかなか進まなかった。


思い出の宝達をしまいなおして、最近は大切をしまう事が減ったなぁと思った。もちろん大切なものはたくさんある。でも昔のように箱につめこむのではなく、身近に置いておきたいと思うようになった。いつからそう思うようになったのか分からないけれど。友達からもらった櫛で髪をといて、友達からもらったポーチにお気に入りのリップを入れて、悩み抜いて作った香水をつけて、彼氏からもらったネックレスはつけっぱなし。

しまったものを覗き込んで楽しむのも良かったけど、周りに宝物を散りばめて楽しむ今もすごく好き。

これからも少しずつ宝物を増やしていきたいな。

11/20/2024, 2:45:28 PM

くたびれた朝の空気が気持ち悪く感じられる。
 覚めた瞼はどこか朦朧としたまま、体を前日の余韻が纏わりつくようだった。
─────────────────────────     
≪ ryuto     

『ごめん…』0時13分
              
        既読『謝らないでよ』
       0時14分  
          
       1時43分『もっと違う未来もあったのかな』──────────────────────────
枕の傍ら、無造作に置かれたスマホに手が伸びて、無意識にいつもの画面を開いてしまう。

 「あっ、本当に終わっちゃったんだな」

 いつも早起きな彼が、10時を回っても既読すら付けないこと。
 いつも惰性で開いていた画面を、明日からは開かなくてよくなること。
 そんな些細な事実が、どうしようもなく私とあなたの終わりを告げていた。

 「ふっ、ふふ」

しかし、こみ上げてくるのは笑いだった。
今もすごく辛いし、恋なんてしなきゃよかったと思う。
 
でもこの半年間を捨ててやらない。忘れてやらない。
 いつか私の宝物にしてやる。
───────────────────      
≪ ryuto     

『ごめん…』0時13分
              
        既読『謝らないでよ』
       0時14分  
          
       1時43分『もっと違う未来もあったのかな』
 
       10時36分『ありがと』
──────────────────
 そう思うことがあなたへの最大限の感謝だと気付いたらから、今は笑いたいと思う。

11/20/2024, 2:42:56 PM

ちっさい頃、大きなあめ玉は
特別な感じがして好きだった。

けれどいざ舐めると違う…。
あめ玉に舌が押さえつけられて
あめ玉を気軽に転がすことができない。

舌を抜き出そうと力一杯引っ張れば
そのままあめ玉が喉に落ちてきそうで
いつも怖かった。
だから慎重に舐めていた。

喉に落ちないように下向きながらとか。
創意工夫が大切だ。
ちなみに、噛もうにも
奥歯で挟めないから噛めない。

近所の駄菓子屋にガチャガチャがあり
手伝いで貯めたお駄賃は
全てそこに投じていた。

貰える景品なんて大したもんではなく
台も2種類しかない。
ただ何が出てくるか楽しみでやっていただけ。

倫理もへったくれもない悪ガキだったから
いらないものが出てきたら
ガチャガチャの後ろの
家とブロック塀の隙間に入れていた。

そのガチャガチャで出した
正方形のケースに入った円形の消しゴム。
オレンジ色をしていてすごく綺麗だった。
当時はまだ字が書けない。
それが消しゴムとは知らなかった。

宝物のまま時が経ち
ひらがなが読めるようになった。
「※たべられません」と書いてある。

わざわざ書くってことは
本当は食べられるのか?
食べられそうには見えないが
恐る恐る前歯で噛んでみる。

あきらかに食べ物じゃない…。
なんだ、本当に食べられないのか…。
歯形がついた消しゴムは
呆気なくゴミ箱に捨てられた。

11/20/2024, 2:41:33 PM

【宝物】

小さな箱の中に

かき集めた大事なカケラを詰め込む

それは自分だったものもあるし

新しくきみと見つけた自分もある

無くしたくない大切なものを

形のないものに昇華して

いつでも共にあれるように

輝いているものもあれば

もう色を失ったものもあるけど

自分の宝物だと誇れるように



2024-11-20

11/20/2024, 2:41:03 PM

宝物


どこかへ連れて行ってくれた記憶も小遣いをくれた記憶も一度としてない父。

そんな父が唯一私にくれたものがある。

無垢の木で作られた宝石箱型のオルゴールだ。

子どもの両手でようやく持てる重さのそれは、大人になった私からしてみても、そこそこ大きく立派な代物だ。

裏を見ると、消えかけた金文字でおたんじょうびおめでとう○○(私の名)と、生年月日が書かれてある。

これは物心つく前からすでに私の手元にあり、子ども心に大切にしなければならないものだと分かっていた。

時々、そっと裏のネジを巻いては、蓋を開け、七つの子を響かせてみるものの、それはいつ聴いても物悲しいメロディーだった。

金額的なことだけで言えば、大人になった私はこのオルゴールよりも高価なジュエリーやバッグをいくつも持っている。

けれど、宝物は?と問われると私にとっては父がくれたオルゴールがそれにあたる。

そんな父も、昨年ついに鬼籍に入った。

オルゴールは正真正銘、私の宝物になった。



お題
宝物

11/20/2024, 2:36:29 PM

"宝物"
    
    宝物は、美しさや貴重さで価値が
   決まる物ではない。
    持ち主がどれだけ大切にしているか、
    自分にとってどれだけ大切か、
    それによって価値は決まる。

11/20/2024, 2:35:53 PM

宝物
人からみれば佇んでるものかもしれないけれど
私からしたら知らないまま人生が終わらなくてよかった
後ろを振り向かないで走らないといけない時に手の届く距離にあればと考えてしまう
最優先事項なくらい熱中している
その内心臓になる
それを見て息をしている

11/20/2024, 2:35:16 PM

あまりにも生きる気力がないですね
相対的に今の暮らしを良く思うためだけに自殺未遂とかしてやりたいです。
まあ完遂できたらそれはそれってことで

11/20/2024, 2:34:21 PM

2024.11.20(wed) No.2【宝物】

——宝物

光り輝く宝石?
友達や家族からのプレゼント?
小さい頃の思い出?

“宝物”という1つの単語から
こんなにも溢れてくる宝物

大人になっても
忘れないで——

11/20/2024, 2:33:43 PM

私の宝物は毎日増えていく
どうかなくならないで
宝物が増えるとちょっぴり臆病になる。

11/20/2024, 2:33:15 PM

宝物
メッキが禿げたよくわからないメダル
アメジスト
駄菓子の偉人シール
今宝箱に入れるとしたら何を入れる?

11/20/2024, 2:31:23 PM

宝物

その手をとってどこまでも一緒に歩いて行きたいけれど、それは叶わない
期限付きの宝物を、愛する為に生まれたみたいだ

どうしていいかわからないけれど、
たったひとつ出来ることはわかっている

まっすぐあなたを見つめるだけだ

まっすぐ、でも縛りつけず自由に、目を閉じて見つめる

あきらめながら大切に 空に虹をゆだねるように

11/20/2024, 2:28:16 PM

「それって、本当に宝物だったの?」
乾いた笑いが出る。何故だか肯定ができなかった。

「何が欲しいの?」
子供の頃から、こう聞かれると黙ってしまった。何を選べば良いのか、全然分からないんだ。だから、笑って言うんだ。
「何もいらないよ。」
何も要らない。その代わりに、与える事を望んでいた。

「掃除やっといてくれない?」
「もちろん。」
「これ買ってきてよ。」
「良いよ。」
クラスの雑用は私の役目。そう思っていた。それが一番の幸せだと思ってきた。

最近、クラスメイトの女子からの扱いが酷くなってきた気がする。勝手に机を荒らされたり、かなりの量の使いをさせられたり。でも、すぐ良くなるよ。きっと。
「何これ、きったな。」
放課後、彼女達が私の机を囲んでいた。その中央には、私の鞄ー小さなクマのぬいぐるみが置かれていた。それは私の唯一の宝物だ。
「塵じゃん。」
そう言って彼女達は、可笑しそうにクマを千切っていった。私は何故か止める事が出来なかった。

彼女達が帰った後、ようやく動けるようになった。ぬいぐるみは原型を留めていなかった。
「大丈夫?」
不意に後ろから気配を感じた。そこにはクラスメイトの男子。無口な子だから、印象は薄い。
「大丈夫だよ。慣れてるから。」
「それ、宝物なんじゃないの?」
何で知ってるんだ?でも、もう良いや。宝物じゃなくなったし。そんな私の様子を察したのか、彼は真剣な眼差しで言った。
「それってさ、本当に宝物だったの?無くなっても何とも思わないなんて、以外と薄情なんだね。」
彼の言葉で気付いた。私は、与えたいんじゃないんだ。大切にしたかったんだ。
「そうだね。私は嘘付きの薄情者だ。」
彼は、私の言葉を聞いて、少し頬を緩ませた。

私はこれから何を大切にしていくんだろう。何の為に時間を浪費していけば良いのだろう。まだ、分からない。でも、まだわからなくたって良い。
「ねぇ、宝物を探すの手伝ってくれない?」

11/20/2024, 2:26:49 PM

『宝物』(創作)

弱虫の私は、好きな人に告白どころか、そんな素振りも見せられない。

窓から見える校庭には、コロコロと落ち葉が追いかけっこをしている。

はぁ…

「今日、元気ないじゃん」

私の好きな人が、何食わぬ顔して私の顔を覗き込む。教室の中は騒がしいのに、一瞬にして二人の世界になった気がした。


急に恥ずかしくなって、目を逸らした。

「秋だから黄昏てるふりしてたの」

「なんだそれ。次、音楽室だって、行こうぜ」

くしゃっとした笑顔で、私を見つめないで。苦しいけど、幸せすぎる。

そんな葛藤を心のなかで繰り返しながら、席を立った。

あなたの笑顔は、私のエネルギー。
あなたの笑顔は、私の宝物。

いつかこのことを伝えられるまで、友達でいさせてね。

11/20/2024, 2:23:16 PM

「宝物」



お気に入りの箱とか缶に

その時の宝物が入っている

小学生のころ

10代のころ

働いてから

結婚してから

娘が生まれてから


それぞれの時に大切な宝物が

そっとしまわれていて

今も大切にそのまま取ってある


フタをあけると

あっという間に

その時の気持ちにかえることができる

タイムマシーンみたいなもの

11/20/2024, 2:21:37 PM

昔もらったファイヤーキング。
丁寧に使ってたのになぁ。
やっちまったなぁ。
色、形、一緒でも同じではないんだなぁ。

11/20/2024, 2:20:33 PM

先生と生徒の恋って禁断の恋

あと1年ちょっとしたら高校卒業するよ

卒業した後なら付き合える確率あるのかな

ほとんどないよね、

生徒のこと恋愛対象として見るときあるのかな

叶わない恋って分かってても

なんで諦められないんだろう

11/20/2024, 2:18:32 PM

『宝物』

 小さい頃に友達がくれた、赤いリボンのシュシュ。大人になった今も、私の大切な宝物である。
「そんなシュシュ、いつまで持ってんのよ」
「うわ、やばい。そのシュシュ、捨てた方がいいよ」
「そのシュシュ、つけちゃダメ」
 でも、周りは宝物を酷評する。私の大切なものを、冷たく侮辱するのだ。宝物なのに。大事なのに。皆だって、大切なものをバカにされたら、嫌なはずでしょ? どうして、平気な顔で私のシュシュに冷たい態度を取るの?
「……そのシュシュ、やめた方がいいよ」
 今日は、腕に赤いシュシュをつけてデート。それで待ち合わせ場所の駅前に着いたら、待ってた恋人に言われた。ナイフのような、鋭い台詞である。
「どうして。これは、私の宝物なのよ」
「いや、宝物だろうけど……捨てるべきというか……」
「はぁ? ねぇ、聞こえてなかった? これは、私の宝物なの。捨てるわけがないでしょ!」
 赤いシュシュを守るように、私は言った。恋人まで、私の宝物を侮辱するなんて――そんな人だとは思わなかった!
「お願いだよ。そのシュシュを……」
「うるさい! もう帰る! さよなら!」
 気分が悪くなり、私はすぐに家へ帰る。全く、どいつもこいつも、私の宝物をバカにして。皆、最低だわ。
「……とても可愛いのに」
 赤いシュシュを指先で撫でて、呟く。宝物を素敵と言ってくれる人を、私はずっと待っている。

 ――ダメだ、聞いてくれない。
「うがあああぁ……」
 ――聞こえてくる。後ろから、怨霊の恨みの声が。
「殺す……お前、殺してやる……」
 ――このままじゃ、彼女が呪い殺されてしまう。だから、赤いシュシュを捨ててほしいのに。
「うるさい! もう帰る! さよなら!」
 ――あぁ、もうダメだ。彼女に、声が届かない。彼女のご家族と友達が言っても、全く聞かなかったそうだ。
「殺す……殺す殺す殺す……」
 ――周りにははっきりと見えているのに、鈍感な彼女には見えていない。あぁ、苦しい。守れないのがつらい。
「一体、どうしたらいいんだよ……」
 神様。どうか、彼女を救う方法を教えてください――。

11/20/2024, 2:14:04 PM

【書く練習】
 今日はおやすみします
 
 テンションがやけに高くて、調子がいいと思っていたが、
 どうやら躁ぎみだったようだ
 やたらとしゃべるし、今なら誰とでも明るく楽しくお話出来そう!
 何でもできる感とでも云うのかな
 
 かと思ったら、
 不意に昔のことが思い出されて、イライラ、ムカムカして
 押さえられなくなった
 みんなムカつく
 ひどい目にあってしまえばいいと、思ってしまう
 
 なってるときは気づかないんだよな
 自分の感情をコントロールできるようになりたい

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