とらた とらお

Open App

ちっさい頃、大きなあめ玉は
特別な感じがして好きだった。

けれどいざ舐めると違う…。
あめ玉に舌が押さえつけられて
あめ玉を気軽に転がすことができない。

舌を抜き出そうと力一杯引っ張れば
そのままあめ玉が喉に落ちてきそうで
いつも怖かった。
だから慎重に舐めていた。

喉に落ちないように下向きながらとか。
創意工夫が大切だ。
ちなみに、噛もうにも
奥歯で挟めないから噛めない。

近所の駄菓子屋にガチャガチャがあり
手伝いで貯めたお駄賃は
全てそこに投じていた。

貰える景品なんて大したもんではなく
台も2種類しかない。
ただ何が出てくるか楽しみでやっていただけ。

倫理もへったくれもない悪ガキだったから
いらないものが出てきたら
ガチャガチャの後ろの
家とブロック塀の隙間に入れていた。

そのガチャガチャで出した
正方形のケースに入った円形の消しゴム。
オレンジ色をしていてすごく綺麗だった。
当時はまだ字が書けない。
それが消しゴムとは知らなかった。

宝物のまま時が経ち
ひらがなが読めるようになった。
「※たべられません」と書いてある。

わざわざ書くってことは
本当は食べられるのか?
食べられそうには見えないが
恐る恐る前歯で噛んでみる。

あきらかに食べ物じゃない…。
なんだ、本当に食べられないのか…。
歯形がついた消しゴムは
呆気なくゴミ箱に捨てられた。

11/20/2024, 2:42:56 PM