泡になりたい、か…
バブリーだねぇ
泡が消えた汚濁混じりの水の中を生きてきた
その浄化には時間が必要だった
汚濁混じりの世界しか知らない私は
浄化されつつあると信じていいのかな?
【題目しらず】
「明日病院行くの?」
前から走ってくる
自転車に乗った女性から
そう話す声が聞こえた。
歳は2,30代だろうか。
若くてワンピースを着た女性だ。
自転車の後ろは子供が乗せられるようになっている。
子供と何か話しているようだ。
その自転車が私の横を通りすぎようとした時
会話が私の耳に入った。
「明日病院に行くの?」
後ろに子供は乗っていなかった。
彼女は私の横を通る時に言った。
「明日病院に行くの?」と。
彼女は誰に話しかけているのだろう?
【題目しらず】
それは奇妙な植物だった。
桃の形をした葉の先端を少し伸ばしたような葉。
ハートと言ってもいい。
その葉は細長い茎についている。
2本の茎がこれまた細いひげ根から延びていた。
どこが奇妙か?
その植物が奇妙なのではない。
その植物が生えている場所が奇妙なのだ。
私にはそれが目と鼻と口がついているように見える。
そのてっぺんには直径10cmほどの穴が開いていた。
中を覗くと薄ピンク色の培地が見える。
その植物はその培地に根を張り、懸命に生きていた。
風が吹けば簡単に倒れてしまいそうなその草は、世間では薬草として珍重されている。
頭痛にホルモン異常、動悸に不安症とあらゆる症状に効果があるらしい。
丸薬にして飲むのが主流だ。
ただし、どこで採れるか、どう生産されているかは限られた生産者しか知らないという。
今日も向かいに座る禄兵衛さんが笑顔で喋りながら飲んでいる。
全てを飲み込む深淵の中で
光輝くというのはなかなか出来ないだろう
光さえも飲み込む暗黒の中で
光輝けば消耗するだけだ
どんな逆境にも輝くことはできる
でもそれをすると
周りの人が錯覚する
彼のやっていることは大したことないと
彼の努力は時に怠けていると捉えられ
もっと頑張るようにと叱責される
本当の闇に紛れ込んでしまった時
爆発的に輝くことよりも
息を止めて空気を温存するように
体力気力を温存して
活路が見いだせるところまで
進んでいくことが大切だ
闇が晴れだすその瞬間に
爆発的に光輝けば
光が飲み込まれることなく
世に届く
あぁ…落ちていく…
落ちていく…
高く昇った花びらは
ひらりひらひら
落ちていく…
落ちきる前に手のひらで支えたい
でもそれさえもひらりとかわす花びらがある
あぁ…落ちないでくれ…
落ちると苦しい…
周りの酸素がなくなるような
そんな苦しさが私を襲う
でも心配はない
地に落ちた花びらは
その地の肥やしと化すのだから
そう思う他ないだろう…?