『宝物』
弱虫の私は、好きな人に告白どころか、そんな素振りも見せられない。
窓から見える校庭には、コロコロと落ち葉が追いかけっこをしている。
はぁ…
「今日、元気ないじゃん」
私の好きな人が、何食わぬ顔して私の顔を覗き込む。教室の中は騒がしいのに、一瞬にして二人の世界になった気がした。
急に恥ずかしくなって、目を逸らした。
「秋だから黄昏てるふりしてたの」
「なんだそれ。次、音楽室だって、行こうぜ」
くしゃっとした笑顔で、私を見つめないで。苦しいけど、幸せすぎる。
そんな葛藤を心のなかで繰り返しながら、席を立った。
あなたの笑顔は、私のエネルギー。
あなたの笑顔は、私の宝物。
いつかこのことを伝えられるまで、友達でいさせてね。
11/20/2024, 2:26:49 PM