『安らかな瞳』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【安らかな瞳】
穏やかで、凪のように揺らぎがない、色素の薄いあなたの瞳。
安穏を浮かべて、こちらを見つめている。
あなたの美しい色の瞳を、吸い込まれる様に見詰め返す。
「…見過ぎ。恥ずかしいんですけど。」
視線を逸らす事など出来ずにいると、照れ隠しの様にふいと外方を向かれてしまう。
「あなたの綺麗な瞳に、目も心も奪われてしまったので。」
わざと仰々しく応えると、耳の裏から首元まで真っ赤に染めて、あなたは小さな抗議の声を上げた。
「…恥ずかしいから、止めてくれ。」
懇願に近い掠れた声と、潤んだ瞳が睨んでくるのを心底可愛らしいと思う。
君との遠距離恋愛が長すぎて
元の自分に戻りはじめてる。
私の感情がなくなりはじている。
親友、家族、そして大事な君へごめんね…。
君のこと好きだけど…。
君へLINEする私は空っぽ。
〜安らかな瞳〜
私の名前は、花。18歳
花のように、人々にささやかな喜びを
もたらせられる人になって欲しい
そんな両親の思いから名付けられた。
そんな私には、彼氏がいる。
彼の名前は、樹。同じく18歳。
大樹のように、おおらかで優しい人になって欲しい
というご両親の思いが詰まっている。
「名前が植物」というのが、
私たちの初めての会話の話題だった
そんな出会いからもう3年
私も彼も21歳になった。
しかし、交際3年目にして、
家が隣町であるにもかかわらず
ここ半年は会えていない。
忙しい、と言われるのだ
まぁ、私も大きなプロジェクトがあり忙しかったため
なんとも思っていなかった。
そんなある日、
彼から
メッセージが送られてきた
スマホの画面を見ると、
「ごめん
他に好きな人が出来たから、
別れて欲しい」
そう、書かれていた。
あまりに急な展開に、
私は頭が真っ白になってしまった
別れる?樹と?
……そんなの嫌だ
そう思った私は感情をぶつけるように
返信した
「嫌だ
絶対別れないから」
すぐに既読がついたのに
なかなか返信が来ない
私は痺れを切らして、
家を飛び出し、彼の家に向かった。
インターホンを押す
出てきたのは私の記憶と雰囲気の違う彼の顔。
ちょっと、痩せた?
そんなことが頭によぎりながらも、
ここに来た理由を思い出す
彼の家に入る
彼は、樹はやけに落ち着き払っていて、
一瞬、私が感情的になっているのがばかみたいに思えた
なんだか、すごく安らかなのだ
彼の瞳が。
樹の優しい色をした瞳は、安らかだった。
そこには嬉しそうな表情と、
どこか切なそうな表情が混ざりあっていた
その理由は――――
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『樹side』
僕の名前は樹。21歳。
彼女の花とは同い年で、付き合ってもうすぐ3年になる
今から1年前。
僕は不治の病が見つかった。
といっても進行は遅く、余命宣告もされていなかった。
ところが半年前
病気の発作で僕は倒れ、救急車に運ばれた。
医者の話ではかなり危なかったらしい。
僕はこの時、花に病気のことは黙っていよう
そう決意した。
無駄な気苦労をかけたくなかったし、
何より、僕が見ていないところで
彼女を悲しませることが、嫌だった
入院生活が始まってから、彼女から連絡が来ても、
「忙しいから」
と誤魔化した
幸い、彼女も仕事が立てこもり、
隣町の病院ながら、わざわざ会いに来ることはなかった
そして、その間にも、病気は
僕の体と、心を蝕んでいった
何度も発作が起き、
その度に意識が戻るのに時間がかかる
そうして半年が経ち、うちに帰ることになった。
もう病院でできることは何も無いそうだ
僕は、この世を去る時がきた
そして僕はついに決めた。
彼女と、花と、別れよう
どうやってメッセージを送るべきか
長いこと考えたが、好きな人が出来た
というのが1番マシな気がした。
そうして、ついにメッセージを送った
すぐに「嫌だ」と返信があった
しばらくして、家のインターホンが鳴った
画面には、半年ぶりに見る彼女の顔があった
嬉しい
そう思ってしまった。
ドアを開ける
彼女の表情からは、怒りとほんの少しの困惑が見えた
多分病気のせいで痩せたからだろう。
僕は今から、この人に打ち明けなければならない。
きっと泣かせてしまう。
でも僕は、こんな時でも彼女を愛しく思ってしまう。
もうこれで会うこともないだろうに、
彼女に触れたいと思ってしまう。
緊張して、話をはぐらかしてしまいそうだ
でも、言わなければ
僕の、僕たちのこれからを。
彼女が辿る、辛く悲しい運命を。
……驚いた。
照れくさそうに笑って、ほっとした顔が、見上げるそこにあるではないか。
まさか「先月の『お返し』を一人一人に手渡しして回っているらしい」なんて噂話が、事実だったとは。
ちょっと人が出来すぎな気もするが、彼の日々の誠実さはウソじゃなかったようだ。
これは流石の人たらしスキル。
でも、こういう飾らないところが、多分いろんな人に“刺さる”んだろうね。
きちんと「感謝のカタチ」としては返ってくると分かったのなら、また来年も、とか張り切って作っちゃうんじゃないかな?
なんていうか、完敗かもしれない。
いつの間にか面倒事に引っかからないよう気をつけて欲しいとか、勝手ながらも思っちゃうよなぁ。
【安らかな瞳】
安らかな瞳
母親の瞳のようなもの。
非常に有り難く、あまり経験がないようなもの。
愛されてなくては、ありえないもの。
そういう瞳で見守れていたならば、なんでもできたかもしれないと思う反面、何もできないかもしれない。
失敗しても、それがあるということを強みにして、
思い切りやり切るという姿勢が大事だろう。
失敗しても、そこに帰ればいいのだから。
背水の陣を引いて、思い切りやって、失敗しても帰るところがあるのだから、やるしかない。
笑って帰ろう、安らかな瞳へ。
(私)
あなたの瞳には、大きな月があって、その周りに小さな星が輝いている。
上をむく度にキラキラして、まるで、瞳の中に空が広がってるみたいだった。
海のように深くて、水面のように透明で透き通っていた。あなたのきれいで、真っ黒な瞳のせいで、あなたを好きになってしまったんだ。
(君へ)
君の瞳は、とても綺麗だった。
太陽と、その太陽に反射して眩しい雲のように煌めいていた。
涙を流した時も、雨が降ってキラキラしている花びらみたいだった。
眩しすぎて、目を逸らしたくなった。
空のように広くて、入道雲のように永遠に続く瞳のせいで、君のことが気になってしまった。
『鏡の少年』なんて陳腐な渾名が世に知れ渡った頃だ。
当人である青年は学生服に身を包み、鏡を見る自分をその目に映している。鏡を見ると不思議な気分になる。何もない僕を映して、僕がその真似をすると、自然と棒立ちで5分ほど佇んでしまう。
「準備できた?」
僕の希少性で稼いだお金で買った家は広い。デパコスブランドの名前は『映す』のに必要だから全部覚えた。
「できた! 行こっか」
『鏡の少年』…目の色素が極端に薄く涙の分泌量が多いため、目に映した景色が『鏡』のように瞳孔に反射することと、相手の行動や思考、話し方などをそっくり真似することをテレビで紹介され、そのときのキャッチコピーが『鏡の少年』であった。今は一般学生である。
「カガミ! カラオケいかね?」
「え、いくいく! 俺あれ歌うわ。ーーの」
「カガミくん、ちょ、ちょっと良いかな。ぶ部活の」
「あああっ、あれね、僕その、まだ出来てなくて自分でやっておくよ、ごめんね」
カガミカガミカガミ。鏡鏡、鏡。
「カガミ、また保健室か?」
「最近寝不足で」
「カガミ、ボウリング――」
「ごめん今日は予定が」
保健室のベッドで横たわる。
何してるんだろ。
寝不足? 予定? 鏡にキャラクターがつくのは望ましくない。キャラクターがつかないのがキャラクターなのだ。僕の母親はそう言って、僕に他人の真似を強いてきた。
どうも疲れる。
寝返りを打ったカーテンが少し開いていて中が見えた。女の子と目が合う。
「……かぜ?」
「え?」
「……きょうしついやだよね」
いっしょ、と拙く発音して微笑む。
真似をしないと。何を考えてるんだろう。共感できないと真似できない。
「めをとじてはなすといいよ」
僕のことを知ってる? どういうつもりで?
「かんがえないで」
彼女がそうしたので目を閉じた。
あ、ああ。
「おやすみ、ハヤシ君」
そういえば俺の名前はハヤシだった。
それを最後に意識が落ちた。人生で一番安らかな眠りだった。
【安らかな瞳】2024/03/14
瞳が安らかになるまでに
いろいろな事が あっただろう
必死に生きて 信じて 裏切られ
怒って 赦して 立ち直って また挫折して
楽しい時も 苦しい時もあって
大切な人との別れに
心の底から悲しんで たくさんの涙を流し
そして、
長い年月が経って
すべてを受け入れた時に
安らかな瞳になるのだろう
手に入るのだろうか いつか 私にも。
#安らかな瞳
凪の呪い/安らかな瞳
僕の姉は魔女のような人だった。
安らかな瞳というのは、姉の瞳のためにある言葉なのかもしれない。
姉はどんな時も、優しく穏やかな笑みを浮かべていた。
どんな時でも、だ。
育てていた花が枯れた時、飼っていたペットが死んだ時、親友が行方不明になった時でさえ。
どんな時でも安らかでいる姉のことが、正直僕にはおぞましく思えた。
泣き顔、怒った顔、大笑いしている時の顔。
見た記憶が無かった。
僕が姉の目の前で車に撥ねられた時も、姉はいつもの薄い笑みをたたえながら、血溜まりに沈む僕の顔を覗き込んでいた。
霧が立ち込める薄暗い湖畔のような、冷たい静けさのある瞳。それが、血塗れの歪な僕の姿を映すと、姉の唇が薄く開き、泡沫のような儚い声が零れ落ちた。
「きれいだね」
それが、酷く美しかった、ああ畜生、やっぱりこいつは魔女だ。
題 安らかな瞳
君を初めて見た時、高校の中庭の芝生に寝転んで目を閉じて寝ていたね。
僕は入学したてで、何も知らなくて、中庭で迷っていたから。
チャイムがなって、みんなが自分の校舎へと戻る中どうしていいかわからず立ちすくんでいた。
君の頬や髪にヒラヒラと桜の花びらが舞うのがキレイで、寝顔が安らかで・・・。
何だか、本当に意識を失っているか死んでしまっているんじゃないかとふと思ったんだ。
だって桜の木の下には何とかが埋まっているとか聞くから・・・。
「君、大丈夫?生きてる?」
おずおずと呼びかけると、彼女のまぶたが動いた。
「うーん、今何時?」
君は目を開けて僕に尋ねた。
「1時過ぎだと思うけど。さっきチャイム鳴ったから」
僕が周りに時計が無いため、勘で話すと、君は小さく欠伸をした。
「あ、そう。どしたの?君も寝過ごした?」
呑気に起き上がると、ふわふわしたウェーブヘアの髪を整える女の子。
起き上がった拍子に、顔や髪についてた桜の花びらも落ちていった。
「寝過ごしてはないけど、迷っちゃって・・・」
僕が情けなくもそう言うと、その子はクスッと笑った。
「迷子かぁ。この学校広いからね。仕方ない、連れてってあげるよ。何年何組?」
「1年C組」
僕が言うと、先輩は、立ち上がって歩き出す。
「じゃあこっちだ。私は3年A組、よろしくね、もう会うことはないかもしれないけどね」
そうしてクスッとまた笑う。その姿がまるで天使のように見えて、僕はドキッとした。それに・・・。
「3年だったんですね!タメ語ですみませんっ」
失礼だけど、背が小さいから1年生だと思っていた。
「いいよ、気にしないで。別にタメ語でもなんでも」
そう気さくに笑うと、先輩は、僕をちゃんとクラスまで送り届けてくれたんだ。
そして半年後・・・。
「先輩ってば!もう起きてくださいよっ」
相変わらず同じ場所で寝過ごす先輩を見つけてしまう僕。
すっかりアラーム代わりの役目をさせられている。
「う〜ん、もうそんな時間?」
先輩はいつも眠そうに目をこすりながら、覚醒までの時間はボーッとしている。
「もうそんな時間です。早く教室に行きましょう」
もう会わないかもと言っていた言葉はどこへやら。
僕は先輩がいつも寝過ごしてしまうのを見過ごせず、毎日のように一緒に教室に戻ってる。
「いやーでも徹くんがいるから助かってるよ〜」
先輩がそう言ってくれると、僕はドキッとする。
先輩の為になるのなら、感謝されるのなら、アラーム役でも別に構わないと思っている自分もいる。
「あっ、もう遅刻になりますっ」
校舎に入って時計を確認した僕は、先輩の手を掴む。
「行きますよ、早く!」
「あっ、待ってよ!」
こんな役得もある。僕は少しの嬉しさと大いに焦りを感じながら教室へと先輩と一緒に駆け出していた。
それは安らかな瞳だった。
3ヶ月前まではあんなに元気で、毎朝元気に「いってらっしゃい」。帰ってくるとにこやかな表情で「おかえり」。でも俺は反抗期だったから必要最低限の会話しかしなかった。
でも、3ヶ月前のあの日、俺がいつも通り帰ってくるとお袋が倒れてた。末期癌だった。
俺は自分に腹が立った。俺がもっとお袋のそばにいてあげてれば、お袋ともっと会話してあげてれば、お袋の変化に気づけてたかもしれない。でも、そんなタラレバ今更遅いんだよ。
今まで女手一つで俺の事を育ててくれたお袋に恩を仇で返すような真似をした。お袋はこんな薄情な息子で幻滅してるだろうな。
ベッドに寝ているお袋の手は俺よりも小さく、細く、青白かった。こんなになるまで俺は気づけなかった。そう思うと自然と涙が流れた。やっぱり俺にはお袋しかいなかったんだ。お袋の小さな手を強く握りしめるとお袋は目をゆっくりと開けた。
「なに泣いてんのよ」と言いながら優しく微笑んだ。そう言うとお袋は静かにまた眠りについた。
俺が最後に見たのはお袋の安らかな瞳だった。
安らかな瞳
見た事ないはず
直ぐに浮かんだのは
安らかなに眠るご遺体
清らな、熱意など
瞳は色々と表現されてる
わからなくもない
瞳は泉
心の鏡
その時々に映る
安らかさを感じたなら
それ以外の感じを知ってる
そのはずで
瞳を見ているんだね
人間を見る時
瞳を中心に見てない
瞳に目が行く時は
何かしらが見えてるその確認
容姿を気にするのは
最低限で良いはず
それよりは
振る舞いや言動
姿をぼんやりと全体像に
何が見えてるかは言えない
だけどその何かを見てる
焦点が合わないと
誰だか判らないことが多々
瞳に映る何かは
その様に映ってる
それくらいで
気にしないようにしてる
風景の一部ではあるが
いちいち気にしてられない
どの様に見ようと自由
それはそれとして
滅多に見られたりはしない
時折
何かしらを
ぶつけられたり
覗こうとされたり
無いこともないけど
会話はない
瞳で判るとしたら
状況込みでだと思う
会話にすらならない
そんな相手もいる
相手をするまでもない
多分言葉が通じない
私のこの瞳は
それほど見ていない
姿はだけど
集めてないけど
色々な状況
色々な言動
色々な人々が見えていて
それとなく全体を捉えてて
区別しないまま
それなりに把握している
何故だかは不明
だけど昔からみたい
把握しても
ほぼ何もしないのに
不思議なんだよね
我ながら
安らかな瞳
ベッドの枕元にイエス様の写真(絵画)が飾ってあります。
その瞳は安らかで上目使い。
天におられる神を探すような瞳なの。
クリスチャンでもプロテスタントでもないわたし‥毎晩その瞳に癒されてます。
安らかな瞳に、安らぎを感じてます。
生きている人間の瞳が、安らかさを湛える瞬間というのはあるのだろうか。
たいていの瞳は情熱に燃え、悲しみに澱み、虚無に染まっているのではないか。
では、人はいつ安らかな瞳を見せるのだろうと考えると、やはり今際の際なのではないかと思う。
走馬灯を見ながら、我が人生に一変の悔い無しと思えた瞬間。もはやこの世に未練は無しと思えた瞬間。
安らかな眠りに入る直前、瞳もまた安らぐのではないか。
安らかな瞳というのは、浮世を必死に生きた人間が最期に辿り着く境地なのかもしれない。
安らかな瞳でわたしに微笑みかける君はひらひらと飛んできた蝶を優しく捕まえて
小さなかごの中に入れた。
わたしに向けていたものとそっくりの安らかな瞳で。
この蝶は、死ぬまで君の腕の中でいきていくのだろう。
いいな、と思った。うらやましい、と思った。
きみの瞳に刺されて殺されたい。しぬまで君の腕の中でいたい。
そんな気持ちを隠しながら君の隣を歩く。
きみの腕の中のわたし以外のいきものを見つめながら。
安らかな死を望んでいます…、そしたら、安らかな瞳を人に見てもらえるからです、
君がその目で見てくる
僕には持っていない目で見てくる
純粋で
安らかで
憂いなど何もないその瞳で
僕を全て見透かしてくるように
君は僕を見てくるんだ
お題『安らかな瞳』
祖母が危篤だと連絡があったのは
夜の9時過ぎだった
眠る子供を主人に託して
慌ててタクシーに飛び乗り病院を目指す
病室に駆け込むと、従姉妹のえっちゃんの潤んだ瞳と目が合った
着いたのは私が最後だった
私を待っていたかの様に
祖母は静かに息を引き取った
最後の瞬間、祖母は私たちを順番に見つめた
安らかな瞳だった
子供3人、孫7人、ひ孫は6人
92歳なら大往生だろう
葬儀ではみんな泣いていた
棺の中の祖母は
少し笑っている様に見えた
あんまり笑わないところが好き
表情がかたいっていうのかな
感情を表に出すのが苦手なぶん
目がやさしいというか
きっと 視線がやさしい
ちょっとツリ目のあんた
でも たまに笑うと
ほんとに顔がくしゃってなる
な
かわええな
安らかな瞳
心穏やかに…
清らかな水のように…
透明なあなたの…
安らかな瞳
何故か…
涙が溢れて
止まらない