生きている人間の瞳が、安らかさを湛える瞬間というのはあるのだろうか。
たいていの瞳は情熱に燃え、悲しみに澱み、虚無に染まっているのではないか。
では、人はいつ安らかな瞳を見せるのだろうと考えると、やはり今際の際なのではないかと思う。
走馬灯を見ながら、我が人生に一変の悔い無しと思えた瞬間。もはやこの世に未練は無しと思えた瞬間。
安らかな眠りに入る直前、瞳もまた安らぐのではないか。
安らかな瞳というのは、浮世を必死に生きた人間が最期に辿り着く境地なのかもしれない。
3/14/2024, 1:16:34 PM