好きな色』の作文集

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好きな色』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

6/23/2024, 2:20:48 PM

2024/06/22


『毛染めの話』
宮沢 碧

※動物に対して、虐待表現ともとれる表現があります。でも、そういうつもりではありません。どうぞあしからずお願い致します。



「あのさー、変えたい」
「なにを」

 コーラのペットボトルに蓋をしながら真純が言った。

「ペット?」
「……はぁ。好きなの選べばいいでしょう?だからゼロカロのものやめておきなよって言ったのに。パァンタグレープでよければ私の残りあげるけど」

 イチはゼロカロリーの炭酸飲料を指さしてから自分の残りのペットボトルを真純に差し出した。

 優等生のイチは、席替えで隣になってからというもの、校則ギリギリの茶髪に染めた真澄から放課後共に過ごすことを最近のブームのように感じられていた。一方的に机を寄せてきては、塾までの間、放課後本を読むイチに話かけるのだ。イチも不思議とそれを受け入れていた。人のペースを乱す、そんな魅力が真純にはあった。不思議と愛される素養というか。

 そんな真純は今日はいつになく真剣な顔をしている。

「違うよ。チャチャ。ペットの色を変えたいの」
「はぁ?なにを言ってるのよ」
 
 思わずイチは本から視線を外して真純を見る。真純は片方だけ頬杖をつきながら、イチと目を合わせる。

「うん……」
「うん、じゃないわ。……だいたいチャチャって毛の色から名前とったよね?」
「うん! 覚えてくれてたんだ!うれしい!」
「そうじゃなくて。それが一体なぜ突然どうしたのよ」

 好きな色で部屋をコーデしていると犬の色まで変えたくなった。そういうことらしい。

「好きな色に染めたいっていうか、愛してるからこそ染めたいっていうか。愛を込めてるんだよ」

 イチは本を閉じた。

「極論だけど、毛染めしたら?ペットサロンでやってくれると思うわ」
「その手があったかぁ!さすが!おすすめのところある?あんまり負担がない感じの」

 相談した甲斐があったらしく、真純はハーフアップにした髪を揺らしながらとても頷いて、すぐさま左手に持っている端末で調べ始めようとする。

「人間と同じでもしかしたらそういうところもあるかもしれないわね。調べてもいいけれどひとつ言ってもいい?」

 一呼吸置くことで真純の視線を集めるとイチはゆっくり口を開いて言った。

「チャチャが話せたらこういうと思うわ。ご主人、それらエゴというものです」
「えっ、なんでエゴ!?」
「そ。彼氏に髪の毛の好みがピンクだから、ピンクに染める為に最高級の美容院予約しておいたって言われるようなものよ。真純はどう?」
「あたしはうれしいかも」

 イチは思わず目を見開く。瞠った目を元に戻してからなんだか真純らしいなと笑った。

「そうだったわ。あなたはそういうタイプだったわね。でもね、私はそう言われたら急に目が醒めると思う」


 今度は真純が驚く番だった。真純は頬杖をついていた手を机に下ろした。

「なんで?」
「自分でいる意味がないから」

 イチの口からは自分が思った以上に冷たく、力のこもった声が出ていた。

「なんで?」
 
 真純は心から不思議そうだ。

「そういう人は他のところも色々変えたくなる、そしたら私というアイデンティティが消えていく気がする。自分が望んでするならいいけれど、自分が否定されていくのが嫌なのかもしれない」
「そうなんだ。……あたしは、好きな人の好みになれるならどんどん自分を変えたいかも」

 真純には真純の考えがある。ふっと自分に返ったようにイチは目元を緩めて目の前の友に対して口調を和らげてみせた。

「好みの違いだと思う。チャチャに聞いてみたらどう? 答えてくれるかわからないけれど」
「そっか!写真撮って上から塗ってみたらっぽいのわかるよね。ピンクにした毛のチャチャと今のままのチャチャ。どっちの写真も見せて自分で選んでもらお!」
「個人的には、反対だから。毛染めの話。そのまま好きと愛の話に似てる。この本、貸してあげるわ。あなたには難しいと思うけれど、読んでから決めても遅くないと思う」

 イチは真純に一言だけ言葉をつぐんで、自分が読んでいた本を手渡した。

「ありのままの私を愛してあげてほしい」

 そう言いたいのは誰にだったのか。イチは『もう行くわ』と帰る支度を始めた。

お題 好きな色

6/22/2024, 3:53:25 PM

赤。青。黄色。緑。白。
硝子の瓶を満たす、色鮮やかな何か。

「あげる」

柔らかな笑みと共に渡された、きらきらとした瓶の中身。
初めて見る、それ。
綺麗だけれど何に使うものか分からず首を傾げれば、目の前の彼は驚いたように眼を瞬かせた。

「飴。食べた事ないの?」
「食べれるの、これ?」

疑問に疑問で返せば小さく笑われ、その手が瓶の蓋へと伸びる。ぽんっ、と軽い音を立て蓋を外すと、中の小さな粒を一つ摘み上げた。

「はい。あーん」

促されるままに開いた口に入れられる粒。途端に口の中に広がる甘さに、思わず頬が緩んだ。

「甘いっ!クロノ、これすっごく甘くて美味しいよ!」
「気に入った?」
「うんっ!とっても!」

飴、は固く噛む事が難しい。代わりに舐めて転がせば、その甘さが口いっぱいに広がって何だか幸せな気持ちになってくる。

「それ、色ごとに味が違うんだ。シロは何味…何色が好き?」

好きな色を尋ねられ、瓶を見ながら考える。
好きな色。好きなもの。
からころ、と飴を転がしながら。
それはやっぱり、と胸中で付け加えながら呟いた。

「ん…と。青、とか…空色、かな」

写真の中で見る、あのどこまでも澄んだ空の青は好きだ。これからもきっと変わらない。

「そっか。青、だとソーダ味かな。これも甘いから気にいると思うよ」

くすくすと笑い、彼は瓶の中の空色を指さす。
初めから答えが分かっていたようなその態度に、少しだけ気分を損ねながらも。
でも、と言葉にはせずに付け加えた。

空を思わせる青は好きだ。
けれど。それよりも。
楽し気に笑う彼のその、夜を溶かしたような紺青が。優しい彼の艶やかな髪色が。

今は他の何よりも大好きなのだと。

心の内に留めながら。
にやり、と彼に笑い返してみせた。



20240622 『好きな色』

6/22/2024, 2:52:40 PM

「ねぇ、なんで彩人はさ、私を好きになったの?」
今まで聴きたくても結局、寸前のところであと一歩の勇気が出せなくて飲み込んできた言葉。
無駄に広い割にきちんとした清掃が施されているこの公園は朝のランニングスポットとして人気があるが、敷地の大きさに対して街灯の数が少なすぎるが為に真っ暗で夜はあまり寄りつく人間もいない。
私と彩人はその公園の数少ない遊具の一つであるブランコに乗って、特有のキィキィという鈍い音を2人で、少し変なリズムで鳴らしていた。この季節は突っ立ってるだけでも体を丸めてしまうような寒さなのにも関わらず、ブランコで空中の大気を切り分け、それを水のように浴びる感覚が私を夢中にさせて、寒さなんてどうでもよかった。というよりは、忘れていたに等しい。
「えー、、、うーん、波澄が俺にも教えてくれるんだったらさ、俺答えるけど」
彩人は普段からあまり驚かない人間だ、顔も大体基本は無表情、今だって、私が体が熱を帯びるほどの後遺症を残すまでの思い切った質問をしてこの反応だ。
「勿論だよ」
わかってるよ、ちゃんと用意してる
「一学期の後半にさ、咲さんが女子グループからいじめを受けてた時期があったでしょ?あれさ、言ってなかったけど俺が原因だったらしくてさ」
「えっ⁈彩人が?」
「うん、クラシック音楽が好きっていう共通点があってさ、前々から親しくしてたんだけど、話が盛り上がってるところを見られてたらしくて、、、グループの中のえっと、真矢さんだっけ?その人が俺のこと好きだったらしくてさ」
「へぇ、真矢さん彩人のこと好きだったんだ」
「それで咲さんをいじめたんだよ。俺、助けようとしたんだけど、咲さんに俺が動くと余計に状況が悪化するし、これくらいすぐに収まるから大丈夫って言われたんだ。だから、どうすればいいかわからなくて何もできなかった。」
「でも、状況は一向に良くならないどころか、いじめはエスカレートしていった。そういうことだったんだ」
「うん、波澄はコンクールでずっと学校来れてなかった時だったからね」
「久しぶりに登校したら教室の隅で咲ちゃんが真矢さん達に取り囲まれて、とても汚い言葉を浴びせられてたの、咲ちゃん上履きを履いてなくて、前より少し痩せてた。」
ふと、隣を見ると薄暗くてはっきり見えないが、彩人は俯いていたのがわかった。
「彩人のせいじゃないよ、咲ちゃん言ってたもん、何度も彩人が助けようとしてくれたって、でも、大事になるのが嫌で、自分がいじめられてるってことも受け止められないでいたんだって」
「、、、でも、波澄は咲さんを救った。なら俺だって出来ないことでもなかったはず。心の中ではあまり関わりたくないってそう思ってたから、咲さんの言葉に甘えた。」
「考えすぎだぞ、彩人。彩人の言い方だとね、まるで私が正義の味方みたいになってるんだけど、咲ちゃんは私の数少ないお友達なの。だから、我を忘れてあんならしくもないことを、、、あぁ自分があまりにも居た堪れない。」
あの光景を見て怒りで冷静さを忘れてしまった私は、学年で噂になるほどの正義の味方ぶりを披露した。
「(クスッと笑う)波澄さ、真矢さんにビンタされそうになってさ、俺急いで止めようとしたら真矢さんの腕をつかんで後片方の手でビンタしちゃうんだもん。「正当防衛ですけど、何か?それよりも、ピアニストにとって何よりも大切な手を痛めたんですが、どうしてくれましょうか?真矢さん?」ってさ」
「後悔は、、、してない」
「その時ね、「今までの選択は全てこの瞬間とこの人と出会うためにしてきたのかも」って思った。
それまで、沢山の人の中から好きな人を見つけることと沢山の色の中から好きな色を見つけることの違いがわからなかったけど、波澄が教えてくれたんだ。」
「その答えは?」
「好きな色は比べて見つけるけど、好きな人はこの世に1人だけだから比べるも何もないんだ。」

6/22/2024, 1:06:22 PM

【 好きな色】

私が人生で最初に好きになった色はピンク色だった。
プリキュアを見てもピンク色の子に憧れてた。
そこからピンクは少し子供っぽいという謎の風潮に流されて
人に何色が好きかと聞かれれば、水色を好きと答えるようになった。
ほんとはまだピンクが好きだったと思う。
それでも6年間ピンク色のランドセルを背負った。

大人になって、着る服はほぼ白と黒のモノクロになった。
それは何にでも合わせやすくて楽だからっていう理由だったけれど、持ち物は何故かピンク色ばかり増えていった。

もっと大人になって私は好きな人が出来たけれど
その人はピンクが似合うようなとても可愛らしい人だった。

子供の頃に好きだったことは回帰するのかもしれない。

これからも私はきっと死ぬまでピンク色が好きだし、可愛らしいものや人が好きで、ずっと自分の傍におきたいと思う。

6/22/2024, 12:01:50 PM

「好きな色」

「好きな色」というテーマの思い出をひとつ。
ちなみに私は「聴色(ゆるしいろ)」のような薄いピンクが好きです。

*.。+o●*.。+o○*.。+o●*.。+o○*.。+o●*.。+o○*.。+o●*+.。o○

私の通っていた高校には藤棚がありました。
入学したばかりの頃にはまだ花をつけていなかったので、「何色の藤なんだろう」くらいにしか思っていませんでした。

藤の花が咲き始める頃、ふと色づき始めた藤棚の方を見ました。
その時ふと気付きました。
この藤、普通の藤よりもピンクだ!

好きな色がピンクの私はとても嬉しかったです。
ですが、それに気付いている人は先生・生徒ともにいないようでした。

どうやら、こんなにも綺麗なのに、誰も藤には興味がないみたいです。

なので私はこっそり決めました。
この学校藤が珍しい色であることを、敢えて誰にも言わないでおこうと。

なんだか素敵な秘密ができたと思って、それ以来は毎年藤の咲く時期がとても楽しみになりました。

所謂藤色の藤と白藤しか知らなかった私が、その藤を「紅藤」と呼ぶことを知る前のお話でした。

今でも5月になると、あの紅藤のことを思い出します。

6/22/2024, 10:17:13 AM

「好きな色」

会社は違うけど 同じ建物で仕事をしている人に
たまにトイレとかで会って
話をするようになった
きっかけは その人が亡くなった私の上司と
仲が良かったから

思い出語りをしている時は
彼女が近くに来て聞いているんだよと
その人は言ったのだ
だから時々 話しましょうねと
頷きあった

全然関係ない話だけの時もある
近所の歯医者さんの事とか
でも 二人で話しているだけで
脳裏にはチラッと
今も会いたくてたまらない人の顔が浮かぶ

私は今 自分を立て直しているのだ

彼女が好きだった色のボールペン
黒よりも濃い青の方が見やすいと
特注で私が注文していた

今でも皆 その色のボールペンを使っている
もしかしたら私が此処からいなくなっても
うちの部署だけは
代々その色を使い続けるかもしれない
そこに彼女は居るのだ

私が好きな色は空と海の青
それから桜色と日に透ける緑の葉
好きな色に助けられながら
今 自分を立て直している

6/22/2024, 10:07:04 AM

好きな色

 好きな色と言われると難しい。「何のための色か」によって答えが変わる。

 見るための色なら、青緑が好きだ。澄み切った深い海の色、透明感がありまろやかでありながら、芯のある美しい色。濃い水色も好きだけど、理由はきっと青緑と同じだろう。
 身につけるための色なら、えんじ色。闇夜のような落ち着きと炎のような情熱を併せ持つ力強い色。紺色も好き。揺るがない強さを感じるから。
 描くための色なら赤色だろうか。私たちの体内を巡る生命の色。この色を足すだけで無機物も人工物も呼吸を始めるんだ。

 あぁ、私は生命の力強さを感じる色が好きなのかもしれないな。私の好きな色は「生命の色」です。

6/22/2024, 10:06:56 AM

好きな色は、「なりたい自分」なのかもしれない。

子どもの頃は
「可愛い」が恥ずかしかったり
「かっこいい」に憧れて
モノクロや寒色系。

若い頃は原色系。

今はピンクやパステルカラー。

昔も今もずっと好きなのは「緑」
自分にとって、癒しの色であり、元気をもらえる色。

周りの人にとっての「緑」な自分でいたいなと思う。



#好きな色

6/22/2024, 10:05:08 AM

お題:好きな色
 それはやっぱり瑞々しさのある色だろう。例えば君が子供の頃、新しいものに触れるたび、初めてのイベントに出会うたび、世界が輝いて見えたはずさ。だから喜びを纏う輝きに満ちた色をおすすめするよ。

 いいや、やはり黒と白だ。希望も優しさも、雀の涙ほどしかない汚れたこの世界。君はそれを知っただろう? その怒りは正しいさ。だから全てに黒白をつけ、正義と悪を決めるべきだ。グレーなんて許されない。そうだろう?

 言いたいことはわかるけれど、君は自分がそれほど強くないと知っている。深い悲しみのどん底では、無気力に侵食され、脳裏に死が過るだろう。けれど、禍も福も役も厄も、代る代るその身に与えられる。だからグレーでもいいのさ。悲しみに耐えられるなら。

 さて、ここまでくれば、私よりも君は君のことを知っている。だって人生を謳歌したのだから。だから、きっと選べるはずさ。君の喜怒哀楽に満ちた思い出たちは、セピア色に褪せただろう。けれどキラキラと輝いてもいる。そう信じているよ。だから君の答えが知りたいな。
 君の好きな色は、なに?

6/22/2024, 10:03:51 AM

私の好きな色は、ピンクとシルバーです。どうして、この2色が好きかというとピンクは、可愛い色だからでシルバーは、私のラッキーカラーだからです。
 上の服は、基本、ピンク色を選び買います。かばん、スマホケース、ポーチは、自分を高めたいので絶対にシルバーを選びます。

6/22/2024, 10:00:04 AM

「ねえ、どの色がいいかな?」
「うーん、どれも似合ってるから決められないな」

 きみが好きな色でいいんじゃない?

 優しい言葉と甘い笑顔。

 仕事で使うボールペンの軸色。バスルームのタオル。旅行に着ていくワンピース。新しいルージュ。

 ねえ、どうして。
 あの子に訊かれたときは即答したくせに。

 なんでわたしにはそんな、ひたすらに優しくておざなりな言葉だけ、投げて寄越すの。



(好きな色)

6/22/2024, 9:58:32 AM

好きな色…めっちゃあるけど…やっぱり1番は…緑!!

6/22/2024, 9:57:36 AM

僕がいちばん好きな色は、ピンクだ。
でも、それを言うと、ぶりっ子だとか可愛子ぶってるだけだとか言われる。
だから、大体「白と黒が好きです。」って言ってる。

6/22/2024, 9:52:41 AM

その子の名前を知らなかったから、僕の中では勝手に“きいろちゃん”と名付けていた。何故なら、いつも身につけるもの全てが黄色で統一されていたからだ。だから当然イジメの標的にされていた。“男のくせにフザけた色着てんじゃねーよ”って、集団の男子に囲まれていた現場を見たことがあった。見ただけで、僕は何をするわけでもなかった。

あれから10年以上が経って、僕は上京して都内の美容専門学校へ進学した。夢は美容師になること。ゆくゆくは自分の店を持つこと。期待と希望で胸を膨らませた最初の登校の日。学内の掲示板を眺めている生徒を見つけた。男か女かを判断するより先に髪色の派手さに目がいってしまった。金髪というよりも黄色に近い色に染められていたのだ。見れば、着ているシャツもパンツもほぼ同系色のもの。でも上手くまとまっている。どんなヤツだろうと回り込んで顔を覗いてみた。
「……きいろちゃんだ」
「は?」
彼は、僕の独り言にきちんと反応した。何だよお前、という顔つきで僕のことを見ている。それはほとんど睨みつけているというような視線だった。
「や、ごめんいきなり。とっても綺麗に黄色にまとまってたから。好きなの?黄色」
「じゃなきゃ纏ったりしねーよ」
まるで僕のことなんか歯牙にもかけず、彼は校舎の方へ歩いてゆこうとする。きっと別人だろう。僕の記憶では、“きいろちゃん”はいつも泣いていた。虐められて無視されて、男だけど毎日泣いていた。今みたいにガンを飛ばすようなイメージは皆無だ。だからきっと、彼とあの子はなんの関係もないんだろう。
「俺のこと、覚えてるのか?」
「へ」
足を止めた彼がいま一度僕のほうへ振り向き、そう問いかけてきた。蛇に睨まれた蛙のように僕は動くことができなかった。何も言わない僕を見て肯定と捉えた彼は、小馬鹿にしたように鼻で笑った。
「あの時お前も影で俺のこと馬鹿にしてたんだろ。男のくせにって、軽蔑してたんだろ」
「な、違うよ僕は別に、」
「何もせずただ静観してるのはな、寄って集って虐める人間と同類だ」
「そんな、つもり……ない」
「嘘だね。男のくせに黄色が好きなんて気持ち悪いとでも思ってたんだろ、どうせ。腹の中で笑って見下してたんだろ。サイテーだよお前も、アイツらも」
吐き捨てるように彼は言ってまた歩き出した。違う、断じてそんなふうには思っちゃいない。でももう、僕が何を言っても彼は聞く耳を持たなかった。僕から遠ざかってゆく彼の姿。見えなくなる前に、渾身の力で叫んだ。
「僕も――……私も黄色が好きだからっ」
彼は凄い速さでこっちを振り向く。さっきとまた違う顔だった。私を凝視し、私の次の言葉を待っている。
「私も黄色が好きで、あの頃君がいっぱい黄色を身につけてたのが可愛いなって思ったの。……あの時、黙っててごめん、助けてあげられなくてごめん」
「お前……」
「私もあの頃生き辛くて、一生懸命“男の子”を演じてた。じゃないと君みたいにいじめられるから。ちょっとでもみんなと一緒じゃないことをすると、すぐ標的にされるから。でも、君は凄いと思った。怖がらずに堂々と全身黄色になれて、私にとって君は憧れだった」
思えば、小学校というあんな小さな組織の中で何を怯えていたんだろうと思う。大きくなれば視野も世界も広がって、あの頃なんて全然大した事ないと思える。でもあの時は必死だった。いかにみんなと同色になるか。それだけを考えて、生きていた。
「私はもう胸を張って黄色が好きだし、“私”で生きるようになれた。君のようにあの頃からできてれば良かったけど……私にはできなかった。勇気がなかった」
「あんなもん、勇気でもなんでもねーよ」
「……どういう意味?」
「周りのことなんて気にならねーほど、ただ馬鹿みたいに好きな色だけ追い求めてただけだからさ。別に勇気を出したわけじゃない」
彼はフッと笑った。黄色い色のおかげでとても優しく見えた。そして右手を差し出してきた。
「今日からよろしく。クラスメイト」
「……よろしく!」
私は思い切りその手を掴んだ。思わず両手で握ったら、大袈裟だな、と笑われた。眩しくて可愛い黄色い笑顔だった。君らしくて私らしい黄色が、これからも大好き。

6/22/2024, 9:40:14 AM

1話から16話を見たこと無い方は1話から!!
創作)17話    あなたがいたから(後編)/好きな色

八木千尋:誕生日…?…うん、ありがとう……?
前古望叶:(思ってた反応の違う……!!)
前古志音織:え、もしかして違うかった…?
千尋:いや、そうじゃなくて、忘れてた、、
鈴岡莉音:え…
千尋:えっと、皆を集めてくれたのって相田さんだよね…
相田京:…ぅえ?
千尋:だって皆に誕生日なんて言ったこと無いし、、相田さんに好きな色聞かれた時に金茶色って言ったんだよね
京:は、はい、合ってます…「多分誕生日色だったから」って
千尋:ありがとうね!あと、集まってくれた皆も本当にありがとう
--P.M.8:00--
千尋:相田さん、家って何処らへん?時間大丈夫?
京:あ…歩いて15分位ですけど、もうそろそろ…
千尋:そっか、送ってくよ…会長、相田さん送ってくるね
莉音:うん、了解、気をつけてね
--相田さんを送り届けた帰り道--
千尋:あの、望叶さん、何でついてきたんですか…?
望叶:いやー、女の子1人じゃ危ないじゃん?…あとさ、俺千尋ちゃんの事好きになっちゃったかも…
千尋:あの、すみません、僕、男と言うか…
望叶:え?!?!ちょっと待ってよー!めっちゃ萌える♡
千尋:それは良かったです、でも彼女居るんで…
望叶:そっかー、けど、初恋だから諦められないね!!、まぁ、男なら納得かなー…志音織ちゃんって、その、同性愛者と言うか…?だから異性の親しいんだって思ってたけどね
千尋:あ、驚く事があり過ぎます…あの、親御さんは居ないんですか?
望叶:海外に住んでるよ、、14歳の時、志音織が0歳で、親が旅行に行ってたの、でもその時にお父さんが事故でね…で、お母さんがお父さんにめっちゃ依存してて、お父さんが亡くなったとこに住んで居たいって言って、それっきり帰ってないの、、中学と高校の学費は口座にあったから、、大学は…1つ目が親戚から集めさせて貰ってー、バイトも!、2つ目も同じ感じかな、お母さんが謝罪って事で結構な大金送ってくれて、前の家がボロボロだったから、引っ越してきたの!志音織は親の顔とか知らないし、僕がずっと一緒に居たから、男性に安心感を覚えて同性愛者なんだよね、多分
千尋:え…あ、そうだったんですね…大変
望叶:前は隣の県に住んでて、そこからこの県の高校に言ってたの、今はこの高校で教師やってるよ
千尋:あ、すみません、プライベートな事色々聞いちゃって…
望叶:いや、大丈夫だよ、僕らの事沢山知って欲しいしね!!
千尋:ありがとうございます!
望叶:うん♡

(nononeです!!今回めっちゃ長くなりましたね…すいません、私も千尋くんみたいに自分の誕生日色好きです!!皆さんの誕生日色はどんなのですかー?)

追記:すいません、すっごく忘れてました!「あなたがいたから」が全然無いですね、、下に書いときます!!
莉音:千尋くんが、いたから、すごく支えられたし、頑張れた!いつもありがとうね!
浅野誠:なんか、毎日知らないヒロが沢山居て混乱してる…
ヒロがいるから毎日楽しい!!ほんとにありがとうな!!
志音織:転校してきて全然 皆と話にくかったけど、あの時話しかけて、それから仲良くしてくれてありがとう!!

6/22/2024, 9:35:00 AM

私の好きな色は、青です。
なぜ好きかというと、きれいな色だからです。
今まで好きな色と聞かれると、必ず青と答えていましたが、改めて理由を考えてみるとなんでかよく分からないんですよね。今回は、きれいな色だからという理由が思いつきましたが、別に青だけがきれいな色ではないですよね。これは人それぞれ違うと思います。
青という色のイメージは、冷静であるとか落ち着いた雰囲気を持っているかなぁと思います。
もしかしたら、そんな人間になりたいとか、そんな雰囲気に憧れを持っているから青色が好きなのかなぁと思ったり、思わなかったり...
でも、最近は緑色も好きです。特に緑と赤の組み合わせが良いですね。これはなぜかというと、私が好きなアニメに関係していると思います。イナズマイレブンというサッカーアニメが小学生の頃から大好きなのですが、その作品の中に帝国学園というチームが出てきます。私の好きなチームです。主人公のライバルチームですが、この帝国学園のユニフォームの色が緑と赤なんですね〜。さらに、帝国学園の好きなキャラクターの髪の色が水色っぽいのでやっぱり青色系好きなんですかね〜。
緑でいえば、最近ヒロアカにハマりましたが、好きなキャラクターの髪の色が緑ですね。名前にまで入っています。
好きな色の話題からちょっと離れちゃいましたが、好きな作品とか、キャラクターのイメージカラーみたいなのがあると、つい自分もその色が好きになっちゃったりしちゃうなって思いました。

6/22/2024, 9:33:40 AM

好きな色

何かと世の中理不尽だ。
誰だか分からない顔写真を気合いをいれて頭に叩き込み、目的地が大学であることに眉を寄せる。

「何したか分かんないけど、恨まれたくないっすよね」

車の鍵をクルクル回して、遊んでいる運転手が言う。
金髪に両耳に大量のピアス。眉毛もないし、明らかにチャラい男だが、非常に優秀な足運転手で、指揮官である。

「お前は沢山恨まれてそうだな」
「そうでも無いっすよ。親方はどうなんです?こんな仕事だし、恨まれてそうですけど」
「お前と違って俺は人と関わりが薄いから恨まれようがない」
「あー、親方は狭く深くの人付き合いですもんね。俺はどうしても広く薄くですもん。親方、ポジション変わりません?オレ、そっちも出来ますよ」
「悪いが俺はそちらは全くできない。適材適所だ」

そもそも記憶力が良くないので、情報収集したところで覚えてられない。

人が人を裁く時代は終わりを告げて、全てはAIによる判別に従うことに法律が変わった。裁判所もなくなり、全てはAI判定に委ねられる。大きな犯罪から、子供同士の小さな喧嘩まで、ありとあらゆるものを仲裁する。
個人情報保護法に基づき、NEWSとして世間に流れることもない。人が人らしく生きるために、ネガティブ報道は封印された。
時代遅れの死刑もなくなり、いい世の中と言える。

だが、犯罪は無くならない。
大小問わず日夜犯罪は起こりうる。
その問題を解決するためにAIが下した方法が、犯罪者の記憶削除からの人格矯正プログラム。

俺たちは写真と名前と居場所だけをAIから教えられ、そいつの記憶削除と人格矯正プログラムを実施に赴く。
対象が何をしたのかすら情報は開示されない。

「それよりも親方、そろそろ黒い服以外も買いません?怪しいんですよ。前回それで逃げ出したヤツいて、追いかけるの大変だったじゃないっすか。せめて、全身真っ黒はやめましょう」
「あれはお前のチャラい格好で逃げられたんだろうが」
「オレは普通です。……ちなみに黒以外持ってます?」

「ないな」
「なんで?」
「好きなんだよ、黒。汚れなくていい」
「……はぁ、今日は逃げられないといいですね」

そうして俺たちは多少暴れた大学生を問題なく確保した。
記憶を消されて、人格矯正されている青年を横目に、「ほら、黒は汚れないだろ」とドヤ顔で男が言った。

6/22/2024, 9:21:13 AM

『好きな色』

好きな色は何ですか。子供のような質問。大人になるにつれこんなことを聞かれることは無くなっていた。それと共に私の目の前にある世界は、色を失って行った。

気づいたら、私の世界はわたしだけが真っ黒になっていた。反対に色づいている人々が私を苦しめた。苦しみながら私は大人になるんだと思っていた。

ある時、色のない現実に疲れてしまった。綺麗な世界に嫌気がさした。私は不意に電車に乗った。窓から見る家々の灯りが思った以上に眩しかった。

私が住む場所よりもこの街はやはり眩しかった。でも、薄暗かった。少し汚い空気を吸うと私は少しだか色を取り戻したような気がした。今なら好きな色を答えられるかもしれない。無駄に明るい街を見て私はそう思っていた。

6/22/2024, 9:03:20 AM

「灰色ってんのは良いもんだ。白黒分けずに済むからな。」
旧友はタバコを喫みながら、こちらに目線を移した。
「なんだ藪から棒に。今更怖気ついたか。」
「だってよ、俺だって根っからの悪人ってわけではないんだぜ?好きで誰がこんな目に遭うかっての。」
煙が立ち込めているなかで私は吸い殻入れに灰を落とした。
「自己弁護などとは物珍しい。その程度の釈明なら言わぬが花だったかもな。」
「手厳しいな。こっちの身にもなってくれよ。」
「断る。」
じりじりと焼きつく音が聞こえれば灰は生まれ、吸い殻入れに落とされていく。煙によって彼と私の間には大きな壁があった。
「運の尽きかな。」
私はその言葉に苛立ちを覚えた。
「悪は常に中途半端だ。」
すると、彼はまるで私を嘲るように笑い出した。
「俺は本当の悪人ってのを見たことあるんだぜ?お前が知らないような極悪人ってやつをよ。」
「どんな悪逆非道な奴だって中途半端だ。」
「違うな。あいつらには罪悪感も迷いもない。」
彼は2本目に火をつけたが、私はしなかった。ただ私は声を荒げ、煙を吸い込んだ。
「愚かな振りをするな。責任から逃れて、甘い蜜だけを吸おうってんだ。これのどこが中途半端じゃないんだ。」
「所詮は責任能力かよ。」
彼は私に背を向けた。しかし、私の喉は開いたままだった。
「自身の行動を自覚しているのならば、なぜわざわざ中途半端でいるのだ。善人気取りも甚だしい。自分と向き合え半端者が。」
「お前は向き合っているって言えるのか。」
彼は振り返りまるで私を責め立てようとしたが、その滑稽さに私は声あげて笑った。
「お生憎様、君よりはな。」
彼は眉を八の字にし大きなため息を吐いた。
「これには言い返せないな。」
そう言うと、吸い殻入れに灰を落として去って行った。

6/22/2024, 8:56:03 AM

『好きな色』

地球には沢山の色がある。
人間が見える範囲に絞っても、沢山。無数に。

小学生の頃。
男がピンク好き!と言えば、「おかしい」と周りに言われていた現場。それを、見ていたのを思い出す。
色に限らず、自分の「好き」がさらけ出せる世界になると良いな。

…私が好きな色は…多過ぎて決められなかったので、偉そうなことを言ってみました。
偶には、こう言うのも良いでしょう。

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