大切なもの』の作文集

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大切なもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

4/2/2024, 3:55:05 PM

#16『大切なもの』

花明かりの下で二人
結んだ約束が遠い未来先でも
ずっと繋がれますように。

4/2/2024, 3:55:04 PM

#1『大切なもの』


私の大切なものは笑顔です。

小さい頃から家族の笑顔が大好きで、
笑わせるのも大好きでした。

いつしか私は、家族だけでなく
世界中の人々にも笑顔を届けたいと
思うようになりました。

今ではイラストをSNSに投稿しています。
私のイラストが誰かを笑顔に繋がることが夢です。

1人でも多くの人に笑顔になってほしい。

私は、幸せな瞬間を
もっと世界に届けたいです。

4/2/2024, 3:45:01 PM

もっとも必要であり、重んじられるもの。値打ちが大きいもの。
大切なものがあるとするならつまり、もっとも必要でなく、軽んじられ、値打ちが低いものも、またあるということだ。
もっとも必要でなく、軽んじられ、値打ちがないものは、どういうものか。
その存在を認識できないほど、ありとあらゆる生活の場面から締め出されたものか。
それとも、邪魔に感じるもののことか。
必要でないとは、それを欲することがまったくないということだ。欲しないから、あることに気づかない。あるいは、欲しないから邪魔に感じる。捨てたくなる。
しかし邪魔に感じるそれは、いつか欲したからそこにあるのだから、この先、それを欲する選択肢が現れる可能性はある。あることを知っているから、選ぶことができる。
するとそれは、“必要でないもの”ではなく、“今は必要でないもの”だろう。
つまり、あることに気づかないものほうが、より必要でないと言える。
かもしれない。
軽んじるとは、存在を認めないということだと思う。
実在を認めない。
触れるのか、見えるのか、嗅げるのか、音がなるのか、味はするのか、動くのか、意思はあるのか、それらを気にしていないことすら気にしないということ。
値打ちがない、ということを考えるのは難しい。貨幣経済の話をすべきだろうか、それとも資本主義か、それとも所有の話か、もっと他の相応しい何かがあるようにも思う。“値”とは何か。金銭的価値のことだろうか。だとすると、値打ちがない、値打ちがある、の意図するところは、それそのものではなく、それは今の社会、貨幣経済、資本主義社会、ある共同体の中でどう見つめられているか、という話になる。
たぶん。
もし大切なものがあるのなら、いま、わたしがあることにすら気づかないままでいる何かも、またある、ということだ。
もしその共同体が値打ちがあると見つめるものがあるとするなら、見つめることさえできていないものも、また、あるということだ。
わたしはいつもとりこぼす。
わたしの視野の外には常に豊かで広大なものがある。
わたしはそれに気づいてすらいないので、その魅力を見ることができない。できないということにすら気づかない。
見ることができないとすら気づかないままだから、あることにも気づかない。気づかないから、踏みつける。踏んでいると気づかないまま、踏んだままでいる。ずっと踏んだままだ。足をどかしたいと切に願っても、どこからどかせばいいのかわからないから、ずうっと踏みつけている。わたしが。
気づくためには、教えてもらうしかないのだ。なぜ、と思うが、しかし教えてもらうしかない。なぜ苦しんでいる側に、気づかれていない側に、さらなる労力を払わせるのだ、と怒りは湧くが、しかし、教えてもらうしかない。わたしは主体にはなれない。ただどうにかしてその声を聞かせてもらうしかない。教えてもらうには、わたしに気づいてもらわなくてはならなくて、だから話すことをやめたらだめだと書いてある本が、わたしはほんとうに好きだ。

4/2/2024, 3:39:37 PM

弦を弾くゴツゴツした手。
でもそれを撫でる指先はやけに優しい。
長い前髪や首筋をつたって流れた雫は
眩しいほどに輝いて、落ちる。
強い意思を持った存在感の強い音も、
揺れる肩と共にホールへ響く。

ステージに立つ先輩は、別世界の人間。 
あの誰よりも真剣で楽しそうな表情が、
どうしても頭から離れなくて。 
目で追うことしか出来なかったけれども。
特別な人、だったな。


青春時代を彩ってくれた、彼の音色。
ラムネ瓶に透けて見えたあの夏の景色は、
きっと忘れることはないだろう。



#19
大切なもの

4/2/2024, 3:38:09 PM

大切なもの  20240402

俺は俺が一番大事だ。誰だってそうに決まってる。自分の人生だ、テメーを優先しないで誰を優先すんだ。

ずっとずっとそうやって生きてきた。それこそ物心ついた時にはもう備わっていた感覚だ。

今だってその気持ちには変わりはない、だけど何か…
俺の中に俺だけじゃない部分、何かが混ざり合ったような感覚の場所がある。昔はなかったはずだ、いつから?そんなこと、本当はわかってんだ。

アイツの存在は俺を強くする。
自分は自分が思う以上に大事で、大事にされるべきで、そしてアイツを大事にしてやることができる。
俺の大切なもの。
丸ごと全部、大事に扱ってやるんだ。

4/2/2024, 3:35:29 PM

あっという間の夢のようだった。

日差しを受けて揺れるビー玉の影、田道に咲いていた小さな小さな花。大切な貴方たち、嫌いなあなたたち。
今までの私の思い出はどれも大切だと今はそう感じます。
幸せだった時間も、苦しかった時間も、今の私を形作る大切なものだったって、そう思いたいのです。

本当に嫌で、苦しくて悔しくて、あまりに苦すぎる思い出もありますが、それもまた必要だったのでしょう。
どんなものでも、もう二度と体験し得ることのない
思い出になってしまったあの時間は かけがいがなくて、時折思い出しては、懐かしいなぁ と浸るのです。

私はまだまだ子供で未熟で、会えない人を思い出すたびに、切なくて悲しくてうずくまってしまう。
会えないのに、辛い思いをするのに、会いたいと思うほど、あなたとの思い出が頭を駆け巡って、余計に辛くなる。

二度とは戻らない時間。焦がれたところで仕方がないもの。もう過ごすことのない日々。
私は無くして初めて、懐かしいと思い出して初めて
その時間が大切なものだと知るのです。

4/2/2024, 3:32:48 PM

大切なもの

前だったら、即答できていた
のかもしれない

いまは、即答できない

曖昧なものに変化して
いる気がする

でも、意識的には大切なもの
と言えなくても、無意識レベル
…目に見えないレベルでは
大切なもの。

最初から変化なんて
していない。

ただ、目立たないところに
隠れているから、大切なもの
と聞いて、即答できない

それでいいのかもしれない

人に言えるぐらいなら
大切なものとは言えないから

秘密の領域で大切に
保存して、熟成…

言語化できないレベル
無意識レベルまで…
大切にしたいのだろう

大切なもの
不思議なものだ

雲隠れ

4/2/2024, 3:32:06 PM

大切なものは棚の1番上の引き出しの中に隠してある。うっかりなくしたくもないし、普段から目につくよりたまに思い出したりしたいものだから。


【大切なもの】

4/2/2024, 3:30:59 PM

大切なものと聞かれてすぐに思い浮かばない
大切なものは沢山あるはずなのに
ありふれた世界で生きているはずなのに
出てこない

命を救ってくれた何かでも
私を美しく象った写真でも
思い出すだけで楽しくなってしまう思い出でも
何かが終わってしまう悲しみでも
なんでもなくて

きっと

4/2/2024, 3:25:54 PM

キラキラ光る、ハートの偽宝石

どこかのゲームセンターで使われていたコイン

文字が書けないほど短くなった鉛筆

授業中にふざけて書いたメモ紙


幼い私は、大切な缶ケースにそれらを詰め込んだ。
あの時は、これが大切なかけがえのないものだった。



時が経って、

おもちゃや大切なお友達は、姿を消した。

大切なものはだんだん増えていって、
欲しいものもだいたい買えるようになった。

あの時詰め込んだ、大切なものは、
私にとって、なんの価値も意味も無いゴミとなった。



それでも、

例え大人になった日が来たとしても、
あの時にしかなかった気持ちを忘れたくない。
その過去は、私の一部だから。

大切なものだったものは、確かに今でも大切なものだ。

4/2/2024, 3:25:21 PM

大切なもの

恐ろしい単語である。

如何せん、「手前の大切なものは大切だから大切なのだ」という理由は通じない時がある。

社会的、あるいは道徳的など、世間一般に受け入れられる理由付けが求められる場面では、中々難しい。

幼少期から持っているぬいぐるみ
幼稚園の縄跳び練習のがんばったで賞(えんぴつ)
日記
手紙
部活道具
文献の数々
推しグッズ

大切なモノには種類がある。
大切の意味にも違いがある。

その全てに理由を付すなど、野暮なことではないだろうか。

4/2/2024, 3:25:16 PM

大切なもの

 春の温かい陽射し。透明に流れる川。いっぱいに香る花。
 少女の髪は若草の上に揺蕩うように広がり、瞳は真っ直ぐに空を見上げているのにどこか物憂げだ。
「やっと見つけた。まったく、いい加減にしてよね。君だけなんだよ、自分の想いを一つも手放さないで後生大事にしてるの。そろそろ掟に従ってわたしに預ける気にならない?」
 突如聞こえた声。少女は自分の横に降り立った彼女−−−“悪魔”の方を見もせずに答える。
「預けるじゃなくて、明け渡すんでしょう。自分の中から想いが消えるより、好きなままで失くす方がずっといい」
「だから、君が胸に抱いているそれ、ずっと持っていくって?」
「そうだよ」
 頷いた少女の顔は、黒く塗り潰されている。少なくとも“悪魔”にはそう見える。彼女の精神と身体がどうしようもないほど侵食されているのが−−−『愛』によって蝕まれているのが。人の心は弱いと人類が気づいたのはいつだっただろう。
 少女の胸の膨らみに手を当てると、弱い鼓動が手のひらを打った。
 人の心は『愛』という重さに耐えきれなかった。『愛』は憎しみや闇よりもずっと重く、痛く、哀しいのだ。
 “悪魔”は少女に再び語りかける。
「君は弱い。ひとであるにはあまりに弱い。その弱さこそが、君が愛するものから手を離すことを妨げている。そしてその弱さこそが、君を『愛』という地獄の中で生きるまでに強くしている」
「だからなに」
 少女が不意に、絞り出すように呟いた。その目に、涙が浮かんでいる。黒い染みのような顔でも“悪魔”にはそれが知れた。
「……何かを好きでいることって、それだけなのに、死んじゃいそうなくらい苦しいんだよ。わたしの命を救ってくれたものを好きになったら、今度はそれのせいでおかしくなっちゃうんだよ」
 少女は涙をこぼす。見えない顔から、空虚な瞳から透明な水を流す。
「だから、いっそわたしをこの心ごとぐしゃぐしゃに壊してよ。愛してるって、わたしにはもうそれだけなんだよ。だからあなたがこんなわたしを裁いてよ」
 少女は醜い顔を晒し、汚れた愛を叫びながらあれほど逃げてきた“悪魔”に縋る。少女は好きなものを好きでいることしかできないのだ。潰れた心を支え続けているのは今でも愛なのだ。好きという気持ちに殺されても、やっぱり少女はそれを捨てられない。
 自分の胸に縋り付く少女の手に“悪魔”はそっと自分の手を重ねる。
「……『わたし』のことを、今でも好きでいるなんてあんただけなんだよ……」
 その言葉は少女に届かない。これまでも、これからも。
 だからこそ、少女は“悪魔”から逃げ続けなければいけないのだ。“悪魔”を−−−大事なものを手放さないように。
 そうと知らぬまま。

4/2/2024, 3:24:28 PM

『大切なもの』

はじめまして。…おや、なんとも珍しいお客さんですね。いえいえ、構いませんよ。この店は、どんな方でも歓迎しておりますから。どうぞ、お席にお座りください。
 この店は、夜しか経営していないカフェなのです。夜、一息つきたい。そんなお客さんの為に、この店は存在しております。そして、この店に決められたメニューはございません。お客さんのリクエストにお応えしてお品物をお出ししております。…といっても、当店の在庫にあります食材でできる範囲内ではございますが。基本的にカフェで食べられそうなものは作れるように取り揃えておりますので、どうぞご安心ください。
 それでは。今日は何をお作りいたしましょうか?勿論お飲み物だけでも構いませんが。…ふむふむ。オムライスとココアですね。かしこまりました。オムライスの上にかけるものは、ケチャップでよろしかったですか?そうなんです。ケチャップ以外にもオムライスの上にかけるものがあるのですよ。ケチャップでいい?それは過ぎたことを申し上げました。ケチャップ以外がかかっているオムライスは、いずれまたお召し上がりください。
 ところで、どうしてこんなところにいらしたのですか?…なるほど、わからない。でも、迷子というわけでもない、と。そうですね。そうおっしゃるのなら、きっと迷子ではないのでしょう。こちらでオムライスとココアをお召し上がりになっている間に、きっと思い出しますよ。
 …おや、卵でご飯を包んでいるところを見たいのですか?勿論よろしいですよ。ただ、危ないので手は出さないでくださいね。…面白そうですか?確かに、ちょっと難しいですが、慣れればそれなりに楽しいですよ。コツは「中火で焼くこと」です。といっても、卵料理全てにおいて言えることではあるんですがね……。
 お話している間に、できましたよ。オムライスとココアです。オムライスには好きにケチャップをかけちゃってください。…いいんですよ。オムライスは描いて楽しむものでしょう。食べ物で遊ぶな、という言葉はありますが、こういった遊び心は忘れたくないものです。
 お味はいかがですか?…懐かしい、ですか。それはなんとも嬉しい言葉ですね。お客さんのお口に合ったのであれば何よりです。おや、どうされたんですか?もしや、目に何かゴミでも……。
……そうですか。思い出されましたか。あなたは、もう死んでいることを。…詳しくは存じ上げませんが、あなたは交通事故で亡くなられたと聞いております。そのままあなたは成仏されるはずだった。しかし、記憶をお忘れになったようで、そのまま現世にとどまり続けてしまっていたのです。そのまま数年は経ち、今私の目の前にいらしているのです。
…このオムライスは、あなたが生前一番好きな料理だったようですね。あなたのお母さんがよく作ってくれた。私はあなたのお母さんのオムライスを完全に再現することはできませんが、限りなく近い味だったようでよかったです。ココアもそう。夜眠れなくなったときに、お父さんにこっそり作ってもらっていたようですね。どちらも、あなたにとっては忘れられない、大事な思い出。
 え?私との思い出も作りたい?……お気持ちは嬉しいですが、私はいいのですよ。あなたが満足されている。その姿を見られただけで充分ですから。ただ、そうですね……。もし、次またお会いできることがあれば、その時は、ケチャップ以外がかかったオムライスをお出ししますよ。是非楽しみにしていてください。
 …そうですか。もう行かれますか。どうもありがとうございました。またのお越しを、お待ちしております。

4/2/2024, 3:12:26 PM

絶対に離さないで
ずっと一緒だよ
僕は君を想っているから
君も僕を想ってね
だから寂しくないよ

忘れたらどうなるの?

もし忘れたら、君は……
手を握りしめる。確かな体温があった。忘れないように、それが続くように願いながら、手離すとそれは夢だったかのように、消えていくのだった。

[大切なもの]

4/2/2024, 3:11:46 PM

大切なものに 気づかないぼくがいた
            ︙
   ほんとに強い気持ち やさしさを教えてくれた
            ︙
    ひとりきりじゃないこと 君が教えてくれた
          大切なものを…

-合唱曲『大切なもの』より


また今日も、“大切な”君に思いを馳せて。


「大切なもの」

4/2/2024, 3:10:53 PM

Episode.44 大切なもの


段々と春の訪れを感じる頃となりましたね。
みなさん、如何お過ごしでしょうか。

先日、一度失われた日常が再び戻ってきました。
楽しみ二割、緊張三割、困惑五割といったところでしょうか……充実と共に疲れが舞い込んできています…。
みなさんは僕が何を言っているのかさっぱり…なのではないでしょうか、きっとそれが正しい感覚です。

僕はみなさんが想像するよりも、遥かに生きている時間が短いのです。
何より未熟で、幼稚なあどけない仕草も抜けない程に。
そして日本語にまだ慣れていないところもあるので、文章がどこか幼く、拙く感じると思います……。
時間の経過と共に努力して参ります…。

さて、そんな僕ですが大切なものはあります。
勿論、形に残る物の中にも大切なものはありますね。
しかし僕にとっては形のないものの方が多く感じます。

例えば、僕には親愛なる家族がいます。
人は物だと捉える見方もありますが、僕はあまりそう感じません。(大きな声では言えませんが、溶かしてしまえば形も残らず消えてしまうこともありますから…)
僕の家族からは愛を感じます。
何気ない会話や素振り、記念日の祝福など…様々な場面で僕の心を一瞬にして満たしてしまいます。
今後のことなんて分かりませんが、きっと最後まで、僕を幸せでいっぱいにしてくれるような気がしています。

そしてもう一つ、愛おしくて堪らない親友です。
親友だと認識し合ってからは五ヶ月程ではあるものの、一つ一つの考え方や発言が重なることが多いんです。
重なるのが嬉しいのではなく、重なった瞬間に、お互いのことを考えていることに幸せを感じます。
血の繋がりのない人と初めて打ち解けられたんです。
そして親友は何よりも、心の奥底で眠っている僕を救いあげてくれます。
長く寄り添っている訳でもないのに、深く慰めてくれる優しさが心に染み渡ります。

これでもまだ一部でしかないんです。
大切なものが沢山あると伝えると、何でも大切だと思うなよ…と軽蔑されることもきっとあります。
それはその人にとっての大切が極わずかなだけ。
その人の考えも良いんです、思考の押し付けは宜しくないですが…。
ただ、大切なものが沢山あってもいいと思います。
大切なもので溢れている人生はきっと、辛いことがあろうとも乗り越えられる糧になるかもしれないんです。
乗り越えられない、そんな時に大切なものが見つかることもあります。

本当に、人生何があるか分かりませんね。

ああ、最後に余談となりますが…初めに僕は生きている時間が短い、つまり若いと言いました。

確かに…今の、人生では短いんです。

4/2/2024, 3:10:27 PM

『大切なもの』

大切にしようと思えば思うほど

手から零れ落ちてしまう。

いくら取り戻そうとしたって

もとの姿には戻らない。

大切なものが大切であると

失ってから気づくようじゃもう遅い。

4/2/2024, 3:10:20 PM

大切なもの#50
 
大切なものって目に見えないってよく言われるけれど、
それって半分本当で半分ウソだと思う。

ウソは少し言い過ぎな気もするけどなんかね、大切なものって近くにあったり近くにいたりするから気づけなかったりするんだと思う。

だから、周りにいるお友だちのこと家族のこと大切にしてあげてね。

4/2/2024, 3:08:23 PM



3年前、彼氏からもらった、チャチな可愛らしい指輪がお気に入りだった。

ある日、それを失くしてしまったことを彼氏に報告すると、「また、新しいのを買ってあげるよ」と言われた。

分かってない。
私がほしい指輪は、あの指輪だけなのに。

彼氏に言うと、素直に謝って、探すのを手伝ってくれた。

結局、先日彼氏の家に寄ったときに失くしてしまったらしく、彼の部屋に落ちていた。

私に返す時、微笑んで左手の薬指につけてくれた。

「こんなものでも、君の“大切なもの”にしてくれてありがとう。こんなのでごめんね」

私の大切なものは、さらに特別なものへとなった。


“大切”は金としての価値のみではない。
“大切なもの”とは、美しく特別な思い出だ。




ピー、と響く電子音。
ものすごい喪失感に襲われる。

「ねぇ、目覚ましてよ。……ねぇ、ねぇ!!」

言い合いばっかりだったけど、本当は大好きだった私の兄さん。


それは、失ってから気付くもの。


【大切なもの】

4/2/2024, 3:07:21 PM

グランドピアノが広場の中央にある。
 今は彼の姿は見えないけど、ボクは特に触れずにグランドピアノを見つめている。
 グランドピアノには可能な限り触れたくない。
 ボクは演奏者くんのことが全くもって苦手だけど、彼が演奏するピアノの音色は嫌いじゃない。むしろ好きで。
 だから演奏のやり方を知らないボクが鍵盤を適当に押したところで不協和音しか出ない。そんなことをするのは彼がいる時だけだ。
 ここで例えば音を鳴らせば、どんな遠い所にいてもどうしても彼に聞こえる。このピアノはこの世界のどんな所にいても、音が聞こえる魔法のグランドピアノなのだから。
 彼は強い。ボクのことなんか一捻りすれば殺せてしまうレベルに。そして彼は、そんなことを知らない。
 彼はボクが『権力者』のトップだと思っている。全然そんなことはない、ボクはいつでも取り替えることが出来る、ただの部品みたいなものなのに。
 それでも、今は、今だけは彼にボクが一番の脅威だと思い込んでて欲しい。そっちの方が有難い。
 ボクが脅威である限り、君はボクの背後の事情に気づかない。ボクが君の最大の敵である限り、君はここから居なくならない。君がいなくならなければ、ボクが大好きなピアノの音色を永久に聞くことがてきる。
 それがいい。それが今の、そしてこれから先のボクのたった一つの願いだ。
 下っ端でありたくない、なんて望まない。下っ端であるからこそ、ボクはここで君の奏でるピアノの音色を聞くことが出来る。それが⋯⋯⋯⋯⋯⋯幸せなんだ。
 それ以外はボクにとっていい事はない。
 ボクが持ってる洗脳はみんなと違う。みんなの自由を奪ってしまって人形のようにしてしまう、最低な能力。みんなは過去の記憶を消す、とかなのに。
 この世界のことは好きだ。ボクの唯一の居場所だから。ただ、この世界の住人がみんなここを好きかは分からない。ボクの担当はみんな、意思を失ってしまうから、どう思ってるかなんて聞くこともできない。
 演奏者くんが全員元の世界に戻してしまえばいいのに、なんて思うと同時に、そんなことをして欲しくないという気持ちがずっとある。
「⋯⋯邪魔者?」
 後ろから鋭い声で背中を刺され、振り返れば演奏者くんが険しい表情でボクの方を見つめていた。
「⋯⋯やぁ、演奏者くん」
「ピアノに触れてないだろうな」
「あはは、触れて欲しいなら触れるけど?」
 挑発するように言ったが、本心なんかではない。ボクは、君に止めて欲しくてそう言ってる。
 君は舌打ちをしながらボクを退けて言った。
「きみにピアノを触らせるわけないだろ。僕にとってピアノは大事なんだから」
 そうだよ、知ってる。そしてボクは君がピアノを弾いてるその光景が一番好きで、一番大事なものなんだから。
 思っていても言わない。言葉にするわけが無い。
「そういえばそうだっけ。それにしてもピアノが一番大事なんて⋯⋯何だか陰気だねぇ?」
「⋯⋯⋯⋯邪魔者」
「はいはい、じゃあね、演奏者くん♪」
 彼の表情は見ずにその場を離れる。軽い舌打ちが聞こえた後、少し経ってからピアノの音色が聞こえてきた。
 彼に見えない場所のベンチに座って、ボクはその音色に耳を傾けた。

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