『夢が醒める前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#夢が醒める前に_傷ついた君へ送る
24時間365日 君の連絡なら受付ます
リターンは後日の出世払いでOK
いつでもどこでも案じてる
何も考えず寄りかかってくれて構わない
今なら君より強いから
会いに行ってもいい?って聞いた時
イヤだと言わなかったよね
甘えるのが下手な君からのヘルプだと思った
勘違いして怒られてもいい
独りぼっちにしたくない
夢から醒めたら真っ先に会いに行くね
夢が醒める前に
「メレメレ、愛してる。」
愛しのロイドフォージャーがメレメレに顎クイをする。
「だっ、だめよ!ロイドゥ!貴方にはヨルさんという女性がいるでしょう!?」
メレメレの倫理観は十分に養われていた。
「実はヨルさんと俺は偽装夫婦なんだ。俺は君を愛してる!」
「な、なんですと!?!?!?だめよロイドゥ!そんなに顔を近づけたら…だ、だめー!!!!」
「メレメレー!早く起きんかー!!!遅刻するで!!!」
……夢か。夢が醒める前にロイドと濃厚なキスの一つや二つしとけばよかった。メレメレ、かなりショック。二度寝しよ。
「メレメレー!!!!!」
空を飛んでる時点で、薄々思ってはいたけれど。
「うん、これ夢だな」
高校の同級生がどっかの国の王様になって、カップラーメン1日1食法案を通そうとしたり。冷蔵庫の中から手が出てきて引きずり込まれ、その先が天国みたいな場所だったり。自分の想像力って豊かだったんだなぁと他人事のように思う。
「夢の中で意識があるって、いわゆる明晰夢ってやつ……?」
それなら、やりたいことやるか。
空を走って、校舎裏で告白を受けて、アイドルになったり消防士になったり。忙しい日々が、一瞬で過ぎていく。
やがて、世界の輪郭が歪み始めた。
夢が終わるようだ。
「じゃあ、起きる前に最後の無茶しとくか」
おれは、足に力を込めてあらゆる建物の壁を走った。
途中で壁が崩れて、地面に真っ逆さまに落ちていく。
「いっっっったっっ!!」
ベッドから落ちて、おれは涙目になった。
きっとこれは夢なんだ。だってそうでしょう?土曜日は貴方は私に会いに来てくれるはずがないもの。土曜日の貴方は、あの子のもの。それをちゃんと分かってるから会いたいなんて言わないし、変に連絡送ったりしない。ちゃんと聞き分けいい女でいたいから。じゃなきゃ貴方にいつ捨てられちゃうか分からない。それだけは、絶対に嫌だから。
なのに今日、あり得ないのに貴方が私のアパートのドアの前にいる。インターフォンが鳴って、モニターで確認した時は心底びっくりした。本当は嬉しいはずなのに、なんでどうしてとか、きっとこれは夢なんだとか、否定的な気持ちが先走る。普段起こらない出来事が起こるとどういうわけか胸騒ぎがしてしまう。でも、このまま突っ立っていても仕方ないから私は扉の鍵とチェーンを外した。
「やぁ」
知ってる笑顔と声がそこにあった。
「どうしたの?」
「なんとなく、君に会いたくなって」
思いきり抱きつきたかった。だって私に会いに来てくれたんだから。もうこの際どういう経緯でここに来られるようになったかなんてどうでもいい。貴方が私に会うことを選んでくれただけでもの凄く嬉しい。そう思っても、それでも身を委ねようとしなかったのは1つだけ違うものを発見してしまったから。笑い方も落ち着いた声もいつもと変わらない。けれど纏う香りが違った。石鹸のようなその香りは私も彼も持っていない。こんなに清楚で無垢な香水を纏わない。
「今日はなんだか疲れたよ」
彼は言いながら私の家に上がりこむ。もう勝手を知りつくしたこの1LDKの間取りの、洗面所のほうへと足を進める。
「シャワー借りるね」
「……うん」
ここに来る前にあの子と居て、どんな理由か知らないけれど追い出されでもしたのだろう。だから私のもとへ来た。相変わらず都合のいい女にされていると思った。でも、そんなの今に始まったことじゃない。この人のことを好きになってしまった瞬間から、私はただの都合のいい女なんだ。辞められるものならとっくに辞めている。でもできない。あの日から私は、醒めない夢をずっと見続けている。
「お風呂、一緒に入る?」
シャツを脱ぎながら彼が私に微笑みかける。その顔を見るたび夢から醒めるのがまた遠のいてしまう。貴方がそうやって私に悪夢を与え続けるから、今日も私は貴方の望む女を演じてしまう。本当に、馬鹿だと思う。
「おいで」
差し出された手。何の躊躇も無く掴んだ。上体が裸になった彼に抱き締められて勝手に鼓動が高鳴ってゆく。これは夢だと分かっているのに。
でも分かっているからこそ、いい気分を味わっていたいの。いずれ醒める夢ならば尚更。そうなる前に、私のことをたっぷり甘やかしてほしいの。これが偽りの愛だなんて今はどうでもいいから。見せかけでいいから、夢が醒める前に私にたっぷりの愛と優しさと温もりをください。
「優しいアンタにこれをあげよう。一日一回。
このアメを舐めるといい。舐めてる間は、幸せな夢を見ることができるよ」
そう言って知らない老婆から渡されたのは、小さな小瓶に入った星型のアメ。赤、青、黄、、様々な色をしていてとても綺麗だ。
幸せな夢を見れる?はっ馬鹿馬鹿しい。おあいにく様。
そんなもの、俺は信じてないんでね。変な押し売りにあったものだ。
だがまぁ、一つ試してみるのもいいかもな。気まぐれに、紫色のアメをくちに含んだ、
甘ったるいブドウの味が、口一杯に広がり舌にまとわりつく。
味は他のアメと、変わりない。身体に変わったところもない。やっぱり、ただのアメ玉じゃねぇかよ。なぁにが幸せな夢をみれる、だよ。アホらしい。
なんだかイライラしてガリっ、とアメを噛んだ。
「なーにしてんのっ!アメはかんじゃダメでしょっ!」
「、は?、」
腰に手を当て、怒ったような顔をする目の前の人物は、去年交通事故にあってかえらぬ人と、なった親友だった。
「なん、でお前が、、死んだんじゃねぇのかよ、、」
「はぁ?死んだ?なに寝ぼけてんの?僕はこのとおり、ピンピンしてますけど??」
勝手に殺すなよなーーっ!!と、あの頃と変わらない馬鹿みたいにデケェ声で、アホみたいにけらけらと笑った
なぁ婆さん。このアメは本物なんだな。またコイツと話せるなんて、
ーーなんて幸せな夢なんだろうか
俺はアメを噛むのをやめ、大切に少しずつアメを舐めた
どうか、なくならないでくれ。
この夢が醒める前に
君に
言わなきゃいけないことが
あったんだ
臆病な僕は
君を失うのが怖くて
嘘に嘘を上塗りして
道化を演じてた
本当の僕を曝す自信が無かった
君の傍らに居るには
相応しくないという自覚はあった
でも
この場所を、
君の隣を、
誰かに譲り渡したくはなかったんだ
あまりにも
甘美な夢だった
だからこそ
君に伝えなくては
僕は、
君の大事な家族を
死へと誘った
黄泉の案内役
死神なんだから
『夢が醒める前に』
夢の中でも あのひとは 遠くにいた
喋りかけることもなく 大勢の後ろの方で
夢の中なのに 影は薄く 手は届かない
声を聞きたい 触れ合いたい そばに行きたい
夢の中ですら 叶わない
そんなことなら 夢の中にいないでください
そっとしておいて そしたら忘れられるのに
次はそう頼んでみよう
夢が醒める前に
#夢が醒める前に
もう一度だけ貴女に会いたいと望んでしまう私は罪なのでございます。
貴女は誰のものにもならないということは随分前から分かっていたはずなのに手を伸ばしてしまう私は愚かなのでございます。
ですが貴女が魅せてくれた夢から醒める前にどうか私の声を聞いてはくれませんか?想いを伝える度胸もないのですけれどね。
夢が醒める前
宝くじで高額当選した
普段の景色がキラキラして見える
贅沢な時間を味わう自分がいる
なんとなく夢の中だと気づきはじめる
目をキツく閉じた
もう少しこのままで
「夢が醒める前に」
ねえ、もう一度
もう一度だけ、私の名を呼んで
それ以上は望まないから
あなたとの日々は、まるで夢のように幸せだった。
桜満開の暖かな春の日。新入社員として入社した企業で、あなたと出会った。あなたは私が最初に配属された部署の上司だった。
他の先輩から仕事を教わることが多かったけど、会話がないわけではなかった。同じ部署に同期はもう二人いた。でも三人の中では一番気にかけてもらえた。挨拶をすれば少し立ち止まって言葉を交わしたり、業務の報告をすると労ってもらえた。取引先との大事な商談でミスをしてしまった時は、さすがに叱咤されたけれど、同時に激励もされた。私はまだこの仕事を続けていこうと前を向けた。
私たちの距離が縮まったのは、他部署と合同で開催されたクリスマス会兼忘年会だと思っている。
規模があまりにも大きいため、参加人数も多かった。あなたは遠くの上座にいて、私は下座で皿下げや注文の品などの手配をしていた。飲み会の最中、あなたがわざわざ私の元にやってきてくれた。グラスのビールがかなり減っていたから、私が畏れ多くも注いでしまった。あなたはとても美味しそうに口をつけた。
部下に慕われているあなたは、またすぐに別の席へ呼ばれてしまったけれど、立ち去る前に私に声を掛けてくれた。
「入社してきてくれて、本当に助かっています。日頃の感謝も込めた会だから、お好きに飲み食いしてください」
正直あなたに感謝されるような仕事ぶりではなかったけれど、私自身の存在を認められたような気がした。とても嬉しくて、その日は感激のあまり一晩寝られそうになかった。
その後すぐ部署異動で私は他所へ配属されてしまった。あなたと共に仕事ができないだなんて絶望した。何度も訴えかけたけれど覆ることはなく、私は内示が出てからずっと落ち込んでいた。
そんな私を慰めてくれたのも、あなただった。
「部署が違えど、私たちの仕事はどこかで必ず繋がっていますから。あなたの働きぶりが私たちに還元されますし、逆のこともあります。同じ会社で仕事をするってそういうことでしょう?」
あなたの意見はごもっともだった。
たとえ部署が違っていても、同じ会社ならば向かう先は一緒である。この会社にいる限り、あなたと仕事はできる。そばにはいられず、間接的ではあるけれど。
なぜ私はそのことに気が付かなかったのだろう。あまりの恥ずかしさに顔を見られたくなくて、頷き俯いた。あなたは私の肩をトンと叩いた。
「大丈夫、あなたならどこへ行っても活躍できます」
弾んだような声に、少し目線を上げた。あなたは私に微笑みかけてくれていた。美しくも儚いその表情が、今も頭から離れない。
その表情に泥がついたのは、配属先の別の上司からの一言だった。
「あの子、今度結婚するんだって」
私は、その言葉を理解するのに時間が掛かった。その間にも、ペラペラと詳細が語られた。大学時代からお付き合いしていた恋人がいたこと。半同棲状態なこと。職種や業界は異なるが、仕事のできる朗らかな人らしいこと。
「ウチの年、同期の仲が良くてしょっちゅう飲み会してるからか呼ばれたんだよね。まぁ会社代表みたいなもんだけど」
心から祝福しているような笑みを浮かべていた。私は相槌を打つ一方で、腑が煮え返っていた。表情には出していないが、目の前は真っ赤に染まっていた。
部署が変わっても廊下ですれ違えば会話をした。お昼休みが被れば社員食堂でそばに座った。相談に乗ってもらったこともある。それを繰り返せば、いつの間にか距離は縮まっているものだと思っていた。
でも私は式には呼ばれていない。しかも本人から直接報告を受けていない。
あぁ、裏切られたんだと思った。
大安吉日の日曜日。暖かく、憎らしいほど快晴の空の下。あなたは式場の庭で談笑していた。今時はカジュアルに式を楽しめるよう、ガーデンパーティーにする例も多いらしい。
口の軽い今の上司は、日時や場所についても話してきた。そこである一つの案が浮かんだ。招待されてないが、されてないなりに花を添えたって構わないだろう。
この式場はガーデンと言っても整備された花々が並んでいるだけで、特別自然に囲まれているわけではない。周りを囲う柵も高くない。道路に面しているから、覗こうと思えばいくらでも覗ける。
中の様子を伺うと、皆笑顔だった。花嫁花婿も、親族らしき人たちも、友人知人やスタッフまでも。人生で一番幸福なひと時が、そこにあった。
許せなかった、どうしても。
私を裏切っておきながらあなただけ幸せになることが。
だから私は、手にした遊び道具を握りしめた。あなたに花を添えるための道具だ。標的はもちろん決まっている。
パンッと本物のような音がした。でも威力は十分だった。あなたの肌に傷がついたことを確認した。
あなたは結婚相手だろう人に支えられつつも、地面に倒れた。必死の呼びかけにも答えられないようだ。痛いのだろうか、目を瞑っている。
「誰だ!!」
その場にいた参列者やスタッフがこちらに向かってきた。私は逃げずにその場に立っていた。
誰かが私の片腕を捻った。道具を持っている方だった。そのまま地面へ薙ぎ倒される。外野が何か喚いているが耳に入ってこない。私の視線はずっとあなたを追っていた。
あぁ、その白には赤が似合う。
私の隣で白いドレスを着れば、赤く染まらなかったのに。
『夢が醒める前に』
この夢が醒める前に
貴方を好きな私が消えてなくなってしまう前に
どうか忘れないでいて
あの夜交わした2人だけの約束を
あの日の私が貴方に伝えた言葉を
どうか捨てないでいて
私が貴方に贈った記念日のアルバムを
貴方が私にくれた指輪を
携帯の容量を喰う思い出だけが
私と貴方を繋ぎ止める材料で
私が貴方を捨てられない首輪で
それが狂おしく愛おしく
私の首を絞め続ける
夢路の先
そびえ立つ遮断機
わたしを追いはらう
何度も朝に突き落とされ
そのたび現実に轢かれる
マニベルの呼吸に糸を絡めて
泥沼状態の悲憤は抱き締めて
夢が醒める前に記憶を沈めて
雁字搦めになっているのは
自分なのか それとも其方か
夢が醒める前に伝えさせて。現実だと言える気がしないから、せめて夢の中だけでも…そう言って口を開いた瞬間、現実に戻ってしまう。
『夢が醒める前に』
もしもこれが夢だというのならどうか醒めないで
今があまりにも幸せで
あまりにも美しい景色が目の前にあるから
時々これが現実だと言じられなくなる
もしもこれが本当に夢で醒めてしまうというのなら
醒める前に手放してもいいと思えるように
どうか私を絶望の淵に突き落として
“私の友達” (テーマ:夢が醒める前に)
皆様、今晩は。1日の終わり、もうすぐ寝られる方もいらっしゃるかしら?
少しの間だけでも良いから、私の不思議なお話を聞いて下さるかしら?
私がまだ、ずっとずっと幼かった時。そうね、私が6歳の時よ。私は内気で気弱で、内向的だったからお友達が居なかったの。私の唯一のお友達といえばテディベアの“ボブ”くらいよ。あとは、お父様とお母様も友達のようだったわ。兄弟もいなかったから、話し相手が両親しか居なかったの。でも両親は、寂しさを感じないくらい、たくさんの無償の愛を注いで育ててくれたわ。
でもね、やっぱり女の子のお友達が欲しかったの。一緒にお人形遊びができる友達が。
ある日私はクレヨンで画用紙いっぱいに空想のお友達を描いたの。お姫様の様な、天使の様な可愛らしい女の子を。名前は「レイ」にしたわ。何故レイにしたかって?だって可愛らしい響きじゃない?
私は毎日、頭の中でもレイと遊んだわ。花畑に行った時も、レイに花冠をつくってあげたの。渡せないと分かってても、空想のお友達は現実よりもずっと近く感じたわ。
ある晩、私は眠りについて夢か現実かわからない狭間に居たの。その時「ユマ」と私の名前を小鳥のさえずりの様な可愛らしい声で私の名前を呼ぶ声が聞こえたの。返事をしたかったけど、思うように声が出せなくてもどかしかったわ。次の晩もその次の次の晩も、何度も私の名を呼ぶ声が聞こえたの。誰が呼んでるのか
さっぱり見当もつかなかった。
でもある晩、私の名前を呼ぶ声に返事ができたの。「あなたは、だーれ?」って。そしたらその瞬間、パッと視界が開けたわ。目が開けれたの。そこは森の中で、目に入ったのは、何千年いや何億もの歴史が詰まった大樹だった。よく目を凝らすと、大樹に大きな時計が埋め込まれてたわ。お爺様の家にあった柱時計の様に。大樹の枝には1羽の真っ白な梟がとまってたわ。驚いたのはその梟の左目には執事がするような“モノクル”をつけてたの。その梟ったら喋れるのよ。私に向かって「この大樹の時計が翌朝の8時を迎えた時、あなたは現実世界へと帰ることになります。」とね。最初は意味がわからなかったわ。だって急に連れてこられた様なものですもの。それにまだ6歳と幼かった。でも、不思議なことに恐怖心は全くなかったわ。恐怖心よりもこの不思議な世界に胸が踊ったの。だって、とっても大きな木の時計に喋る梟よ。絵本の世界みたいで素敵じゃない!
私は梟に「私はどこへ行けばいいの?」と問いかけたわ。すると梟ったら、「あなたが望む場所へ行くのです。」って言うの。私は辺りを見渡したわ。すると奥にお城が見えたの。私がいつの日か画用紙に描いた真っ白な可愛いお城が。夢のようだったわ!まぁ、本当に夢だったのだけどね。お城へ私は一目散で駆けたわ。するとお城の扉から、毎晩聞いていた可愛らしい声が聞こえたの。「ユマ?ユマね!!」ってとっても嬉しそうな弾んだ声で。私は目を疑ったわ。だってそこに居たのは空想の世界で生きていた私の唯一のお友達レイだったから。雪景色に光を浴びた様なホワイトシルバーの髪に、陶器のように白く美しい肌。コスモスを目に映したような可愛らしいピンクの瞳。やっぱりレイに間違いないわ。「あなた、レイね!!」私は咄嗟にレイに抱きついた。温もりを存在を確認する様に。レイも私をぎゅっと抱きしめ返してくれたわ。
私はとても嬉しかった。目の前に私が求め続けた友達がいるんだもの。そして、触れられたんだもの。
その後レイがお城に案内してくれて、一緒にお茶をしながらこの世界のことを教えてくれたの。この世界は夢の国でレイは夢の国のお姫様。そして、私を空想のお友達として画用紙に描いてたそうよ。絵を見せてもらったら、本当に私にそっくりだったの。栗色の長い髪に栗色の瞳。そしてユマと書かれていたの。
今思えば、魂のどこかで通じ合っていたのかもしれないわ。だってただの偶然とは思えないもの。
お茶をした後は一緒に湖へ出かけたわ。そこにはたくさん妖精が水面で舞い踊っていてとても美しかった。本当に幻想的だった。妖精を見た後は、一緒にキノコの森へ行ったわ。私の背丈よりも大きなキノコで上に乗るとトランポリンの様に跳ねてとても楽しかった。ずっと跳ね続けて遊んだわ。そして次はお花畑へ行って、花の冠をつくり交換したの。お花の美しさも別格だったわ。おばあさんになった今でも、夢の国で見たお花畑の花よりも美しい花なんて無かったわ。そこへ二足歩行で歩くうさぎを見たの。アリスの世界の様で面白かったわ。
そして、無情にも時が過ぎて白い梟が私に知らせに来たの。「残りあと5分となりました。」とね。急な知らせと時間の経過の速さに驚いたわ。まだ遊び足りなかったし、離れたくなかったから。
残りの5分間、お互い手を取り合って見つめあったの。夢が醒めても忘れないように。夢が醒める前に、目に全身に彼女の存在を刻み込むために。私とレイは最後の最後まで手を握り「絶対に忘れないわ、ずっとずっと友達よ。」と夢が醒める瞬間までずっと言い続けたの。
目が覚めたら、そこはいつもと変わらない私の部屋の天井が見えたわ。「帰ってきたのね。」涙が溢れたわ。
幸せと寂しさを混ぜ合わせた複雑な感情に心が乱れたわ。それからは内向的だった性格も受け入れてくれる友達ができたの。そして恋をして結婚をして、子供も2人産まれたわ。今では3人の孫のおばあちゃんよ。
あの時以来、夢の国へは行けてないわ。会いたいわレイ。今は何処で何をしてるのかしら。とても恋しいわ。
レイ、もし魂が繋がっているのなら私の気持ちも伝わるはずよね。私はいつでもあなたの味方よ。何があろうともね。
愛を込めて。
ずっとずっとあなたの友達ユマより。
あちらこちらに在る
小さなものたちを集めて歩き
大切に抱えていよう
君は変わらぬ
周りが変化しようとも
たとえ夢から醒めても
今日のテーマは、【夢が醒める前に】
夢が醒める──正常な精神状態にもどる。
正気づく。
目ざめる。
さーて、困った。
どうしようかな。
眠りから起きる前。
関心事(将来の夢や好きなもの)から心が冷める前。
うーん、文字で並べてもまだ決められない。
理屈で考えても答えは出なそうだ。
感覚に頼ろう。
【夢が醒める】という文字だけだと、フワフワしていたものがパチンと弾けて落ちる感覚がする。
シャボン玉や風船がわれた時のような、少し残念な感覚も伴う。
今回のテーマは、その【前】。
対象に対し舵取り可能、または、不可能な状態を選ぶことが出来る。
例えば
純粋な眠りから覚醒前までを物語にするのなら、
「夢が醒める前に、夢からまた夢へと誘われた」
(二度寝オチ)
「夢が醒める前に、〇〇を見た」
(幻想的または現実オチ)
関心事から心が醒める前を物語にするのなら、
「あれほど夢中になっていたはずなのに、心が置いてけぼりをくっている」
(困惑オチ)
「興味を失いそうな時は、一旦距離を置く」
(対処オチ)
ザックリ書いてもこれだけオチがある。
もっと考えれば、さらなるオチも出てくるのだろう。
四差路や五叉路を前に「どのルートにしますか?」と尋ねられているような気分だ。
なるほど。
優柔不断な自分にとって、このルートの多さは決めかねる。
上記全てのルートを通る方法は…文字数がヤバくなりそうだ。
しかし、試してみたい…
────────────────────────
私には、好きなものを好きなままでいられるよう心がけていることがある。
それは、「興味を失いそうな時は、一旦距離を置く」という方法だ。
どんなに好きなものでも毎日毎日摂取していると、偏りが生じ、食傷気味になる。そうなると、好きだったはずなのに好きでなくなるという悲劇に繋がってしまう。
人間の「飽き」の恐ろしさというやつだ。
それを回避する為に生み出したのが、先の少し飽きを感じた段階で好きなものと敢えて距離を取るという方法だ。
好きなものと敢えて距離を取ることにより、自分の中がフラットに戻るようにする。
フラットに戻ったところで、再び好きなものに向き合う。そうすると、新鮮さや有り難みを再び感じたりすることができるようになる。
存在の尊さは離れてこそ、ということなのだろう。
私の最近の楽しみは、推しを動画サイトで観ることである。
仕事終わりの至福な時間だ。
今日もいつものように布団の中で推しの動画を見ていた。
いつもならば「素敵」とか「カッコいい」とか、心がキャーキャーと黄色い悲鳴をあげるのに、今日は何故か悲鳴は疎か声すらあがらない。
頭ではカッコいいと思っても、心が置いてけぼりをくらっているような、変な感覚だ。
画面に推しがいる。
カッコいいはずだ。
それなのに以前のように魅力的に見えない。
何でだろう。
疑問符が頭の上に何個も浮かぶ。
食傷気味にならないように気を付けていたはずなのに。いつの間になってしまったのだろうか。
困惑している間に、動画は終わってしまった。
画面にいた推しの姿はなく、広告が流れ始めた。
「飽きないように気をつけていたのになぁ…」
誰に言うまでもなくポツリと呟く。
狭く寒い部屋に自分の声が寂しく響いた。
今日は疲れているから、心が動かなかったに違いない。
早く寝よう。
スマホの電源を切り枕元に放ると、部屋の扉が開く音がした。
一人暮らしの為、私以外に人はいないはずだ。
泥棒?
内心焦りながら扉の方へ目を向けると、そこには推しの姿があった。
動画と同じ衣装を着ている。
私はパニックで声にならない悲鳴をあげ、飛び起きた。
目をかっぴらくと、枕カバーが目に入った。
枕のそばではスマホが煌々とした明かりを放っている。チラチラと変わる色の向こうに推しの姿があった。夢で見た時と同じ衣装を着て、笑っている。
カッコいい。
やっぱり自分の推しはカッコいい。
さっきのは変な夢だったようだ。
こんなにカッコいい推しを見て心が動かないなんて、あり得なすぎる。
あっ、カメラ目線キタコレ。カッコいい。
心がキャイキャイと喜んでいる。
そうそう、推しを観ている時はこの感覚だ。
緩む頬のまま画面に釘付けになっていると、動画の推しが目の前にいた。
周囲は動画の中のスタジオに酷似している。
手の届く距離には、推しがいる。
「これは夢だ」と呟く誰かの声に私は、素早く耳を塞いだ。
「夢が醒める前に」
夢が醒める前に準備しておきたいこと。
それは、自分を保つ、整える準備だと思う。
夢が醒めたら、現実が押し寄せて来る。
そのとき、慌てたり焦ったり、焦燥感に苛まれたり
自分を見失わないためにも、
自己を意識し、自分というものを保てるようにしておきたい。
自分をしっかり意識しておけば、また夢を見れるはずだから。
そこからまた派生したものを1から育めばいい。
良いこと続きの、夢見心地の世界にいる時は、
夢見心地だから、あれこれ不安や恐れも出てこないけど
夢が醒めたら、どうなるか。
現実を受け止めきれるのか。
そこで受け止めきれず、自己すら崩れてしまったら元も子もない。
夢の世界にいても、これから更に飛躍するための、
準備期間として、自己整備しておけば、
突然夢が去ってしまっても、また、現実に夢の畑を耕すことが出来る。
夢が醒めることも、後に、必要だったってこともわかる時が来るから、不安にならなくて大丈夫。
もちろん、夢が醒める前に、夢の世界で浮き足だっていれば、足元をすくわれたり、崩壊する危険性もある。
その瞬間の最中にいても、自分を保つ、整えておくことを、忘れてはいけない。
同時に、今この瞬間を、全力で愉しむこと。
時間は進むもので、戻れないから。
一瞬、一瞬を大切に、生きていこう。
難しいけど。
あぁ、
きっと
これは
夢だ。
こんなこと
現実には
有り得ないんだもの。
こんなに
幸せで
楽しくて
このまま
これが
ずーっと
続いたら
いいのに―――
!
今、
すごく
幸せな夢を
見ていた。
なのに
そういう時ほど
何の夢か
覚えていない。
残念だなぁ。
#夢が醒める前に