ほろ

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空を飛んでる時点で、薄々思ってはいたけれど。
「うん、これ夢だな」
高校の同級生がどっかの国の王様になって、カップラーメン1日1食法案を通そうとしたり。冷蔵庫の中から手が出てきて引きずり込まれ、その先が天国みたいな場所だったり。自分の想像力って豊かだったんだなぁと他人事のように思う。
「夢の中で意識があるって、いわゆる明晰夢ってやつ……?」
それなら、やりたいことやるか。
空を走って、校舎裏で告白を受けて、アイドルになったり消防士になったり。忙しい日々が、一瞬で過ぎていく。

やがて、世界の輪郭が歪み始めた。
夢が終わるようだ。

「じゃあ、起きる前に最後の無茶しとくか」

おれは、足に力を込めてあらゆる建物の壁を走った。
途中で壁が崩れて、地面に真っ逆さまに落ちていく。
「いっっっったっっ!!」
ベッドから落ちて、おれは涙目になった。

3/20/2024, 1:38:55 PM